当企業グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当企業グループは、「C(カーボン)の可能性を追求し世界に貢献すること」を経営理念とし、「どこにもないモノをつくる」という創業来のパイオニア精神を忘れず、最高の品質と最高の技術を誰よりも先に提供し、人々の暮らしをより豊かにすることで、広く社会に貢献できる企業を目指しております。
(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当企業グループを取り巻く事業環境は、地政学的リスクや気候変動リスクの高まり等、世界全体を覆う重大な課題にさらされており、今後も不透明かつ不安定な状況が続くと見られます。一方で、これら課題への対応も含めて産業構造やライフスタイルの変化が生じており、デジタル社会や循環型社会の急速な進展はその顕著な一例であります。当企業グループの事業分野においても、エレクトロニクスやエネルギー、モビリティ等の分野を中心に、新たなニーズの出現や技術革新の進展による事業機会の創出・増加が見込まれております。
当企業グループでは、これらの環境変化をチャンスと位置付け、その動きを機敏に捉えて、変化・高度化する市場のニーズや要請に応える高付加価値な技術・製品をグローバルに提供することにより、大きな成長を目指してまいる所存です。そのためにも、事業環境や市況の変化に左右されない事業ポートフォリオの構築、ならびにグループ全体におけるガバナンス体制と経営基盤の強化が課題であると認識しております。
中長期的な経営戦略につきましては、これらの環境認識と課題を踏まえ、2030年経営Vision『「どこにもないものを、あるに」地球に優しい製品と技術で世界No.1』のもと、会社方針に掲げる「グローバル企業になる」「世のため、社会のためになる」「強い会社になる」ことを実現するべく、高成長・高付加価値事業の拡大、省エネ・省人化等を含めた生産技術革新・競争力強化、ならびに海外展開強化等の取り組みを着実に進めてまいる所存です。そしてこれらの取り組みを支えるグローバル人材の育成を強化してまいります。
事業を通じて環境・社会に貢献する企業として、「さらなる成長」と「企業価値および社会的価値の拡大」を目指し、目標とする経営指標につきましては、2030年に売上高740億円、営業利益180億円を達成し、全社でのROEは10%以上とすることを掲げております。
(3)経営環境
今後の世界経済は、全般的に緩やかな持ち直しの動きが継続すると見られますが、米国の政策動向や中国の景気停滞等、不確実要素も存在しています。
当企業グループを取り巻く事業環境におきましては、生成AIの普及やデータセンターの増加、自動車の電動化等を背景に、エレクトロニクス・エネルギー分野では着実な需要が見込まれております。また、自動車生産や企業の設備投資等には底堅さが見られることから、モビリティ分野や一般産業分野においても、需要は堅調に推移する見込みです。当企業グループにおきましては、SiC半導体用途ではEVの需要低迷等により調整局面が継続するものの、シリコン半導体用途の需要は年度後半より緩やかな回復基調を見込んでおり、冶金用等においては堅調な需要を見込んでおります。
このような状況のもと、当企業グループは、2030年経営Vision『「どこにもないものを、あるに」地球に優しい製品と技術で世界No.1』のもと、新規用途の開拓や既存用途の深掘りを通じて製品・用途構成のバランスをコントロールしながら外部環境の変化に対応するとともに、顧客ニーズに真摯に向き合い、先を見据えた製品・技術開発を通じて革新的なソリューションを提供し、事業を通じた温室効果ガス排出量削減への貢献をはじめとするサステナビリティの取り組みを加速することで、高い付加価値を創造し、中長期的な事業成長ならびに企業価値向上を目指してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の「目標とする経営指標」のとおりです。
当企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。
<サステナビリティ>
1.サステナビリティ方針
東洋炭素グループは、取締役会におけるガバナンス方針に基づき従業員一人ひとりが自主性と責任感を持って自らの業務に取り組み、全てのステークホルダー(お客様、取引先、地域社会、株主・投資家、従業員)から期待される価値の提供に努めるとともに、サステナビリティ(社会の持続的な発展や地球環境の維持)の向上に貢献する企業であり続けるために、事業活動を通じた弛まぬ発展と、会社自身のサステナブル(持続的)な成長性を高めていく事を方針としております。
斯様な方針のもとに、技術革新と当社製品による社会的価値・顧客価値の創出をはじめ、地球環境への配慮、安全と健康の確保、コンプライアンスとリスクマネジメント、公正な事業慣行、人権と多様性の尊重、社会貢献活動による社会との調和等、社会への貢献と持続的な成長の実現を強く意識した基本姿勢により、バリューチェーン全体を対象にあらゆる事業活動を推進してまいります。
2.ガバナンス
事業活動による環境・社会課題解決等のサステナビリティ実現に向けた取り組みを一層強化し、グループ全体で戦略的に推進するとともに経営の重要機関として、サステナビリティ推進委員会を設置しております。委員長には代表取締役会長兼社長兼CEO、その傘下に各三つの推進グループを設置し、各役員がオーナーとして配置されております。サステナビリティ推進委員会は、原則として四半期に1回開催され、サステナビリティに関する方針、戦略、計画、施策の設定、目標とすべき指標の審議・設定、重要課題に関する方針の対応討議、サステナビリティ浸透活動の実施等進捗報告を行っております。サステナビリティ推進委員会で検討された内容は取締役会に報告され、取締役会において検討、承認された上で、サステナビリティ推進委員会を通じて関連部署や関連会社に対応が指示されております。
3.リスク管理
当企業グループは、「リスク・コンプライアンス基本規程」に基づき、法令・定款および企業倫理の遵守とリスク管理体制の確立のため、これらを統括する組織としてリスク・コンプライアンス委員会(以下RC委員会)を設置し、リスク・コンプライアンス上、重要な課題について審議し、方針を決議しております。個別のリスクについては、主幹部署が管理・対応を行い、RC委員会がこれらを統括しております。
気候関連のリスク項目は、サステナビリティ推進委員会で管理されるとともに全社のリスクマネジメントの一環として、RC委員会において評価・検討を行い、取締役会に報告されております。
4.戦略・指標及び目標
1)マテリアリティ(重要課題)
2021年12月、東洋炭素では、サステナビリティに関連するマテリアリティ(重要課題)についてサステナビリティ推進委員会での検討を経て、取締役会に報告し承認に至っております。今後、マテリアリティ(重要課題)への取り組みを加速していくことにより、自社の持続可能性を高めるとともに、社会・環境への貢献を拡大していくことを目指してまいります。
マテリアリティ(重要課題)の特定を行うにあたり、GRIやSASB、SDGs等の国際的な取り組みやガイドライン等で示される課題を参考とし、バリューチェーンに沿って自社と社会・環境との関係を調べ、当社のサステナビリティ課題を洗い出しております。
それらの課題について自社が社会・環境に与える影響と社会・環境が自社に与える影響とについてインパクト評価を行い、そのいずれかにおいてとても重要とされたものをマテリアリティ(重要課題)と特定しております。
マテリアリティ(重要課題)は、変化する経営環境や社会状況に対応するために、次年度以降、見直しを実施していく予定であります。
東洋炭素グループのマテリアリティ(重要課題)は、社会の課題において、グローバルに事業展開する素材メーカーとして果たすべき4つのカテゴリーと14の重要項目で構成されています。
特に、半導体等のエレクトロニクス、モビリティ、ライフサイエンス、クリーンエネルギー等各市場分野において、社会や顧客のニーズに基づいて開発・製造・販売する製品は、サステナブルな社会の実現に向けた高い貢献性とポテンシャルを有しております。
2)気候変動への対応
当社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同署名を行っており、TCFDが提言する開示フレームワーク(気候関連のリスクおよび機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った情報開示を進めております。
①ガバナンス
サステナビリティ推進委員会の支援プロジェクトとしてTCFD対応プロジェクトを設置し、気候変動対応に関するシナリオ分析、リスク機会の分析、対応策の策定等を行い、その内容はサステナビリティ推進委員会に報告しております。
サステナビリティ推進委員会で検討された内容は取締役会に報告され、取締役会において検討、承認された上で、サステナビリティ推進委員会を通じて当社の各事業部門およびグループ各社に伝達され、それぞれの経営計画・事業運営に反映されております。また、その内容によっては取引先にも協力を要請しております。
②戦略
TCFDが推奨するガイダンスに則り、2040年までの事業環境をシナリオ分析の手法を活用し、気候変動が当社に与える影響を分析・評価しております。
[シナリオ分析の概要]
[気候変動対応に関連する主なリスクと機会]
気候変動に関連したリスクと機会をより具体的に明らかにするために、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオ下における事業環境の変化を想定し、発生する可能性のあるリスクと機会を抽出しました。その中でも当社の経営に大きく影響を及ぼす可能性があると推測されるものが次表となります。
シナリオ分析からは、当社の事業は、気候変動に関連した社会変化、市場変化に部分的に影響を受ける反面、再生可能エネルギー関連製品の市場拡大等事業機会も大きいことが分かりました。
当社では、経営の持続可能性と発展のためには、今後の事業環境を見極めつつ迅速な対応を行っていく必要があると評価しております。
対応については、現在、検討を進めている段階であります。
(注)具体的な項目にて財務影響を記載しているため、総合的な政策・規制の財務影響額は「-」としております。
③リスク管理
「
④指標と目標
当社では温室効果ガス排出量について、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組みを進めております。
Scope1、Scope2およびScope3における過去の温室効果ガス排出量については、GHGプロトコルに準拠し算定を行いました。
2030年度目標として、売上あたり温室効果ガス排出量原単位(Scope1、Scope2)30%削減、2019年度比(単体)を設定いたしました。
気候変動に関する詳細情報は、当社ウェブサイトをご確認願います。
URL https://www.toyotanso.co.jp/sustainability/environment/tcfd.html
<成長を支える人材の確保(人的資本)>
1.戦略
グローバル化をはじめ、DX活用による働き方改革および価値観・ビジネスモデルの変容等、目まぐるしく変化する経営環境のもと、当社はサステナブル(持続可能)な社会の実現に貢献する人事環境の構築を推進しております。
社員にとって働きがいのある会社を目指すことは勿論、多様性の尊重、適所適材による人材配置、中長期的な人材育成、健康経営の推進、公正な評価および総合的な報酬政策によるエンゲージメントの向上を重視しております。
こうした各種人事施策を通じて、「人と組織」のパフォーマンスを最大化するとともに、「すべての人の安全と安心が保障された『誰一人取り残さない』社会の実現」に向け、一人ひとりが情熱と誇りを持って挑戦できる活躍の舞台を提供し続けてまいります。
当社にとって人材は最も大切な資産であり、人の成長こそが、会社発展の原動力であると考えております。様々な人事課題を受け、アイディア豊かな多様な個性を尊重し、人と人との信頼と共創により、サステナブルな未来の実現に貢献してまいります。
2.指標及び目標
人材の育成および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は次のとおりであります。
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当事業年度(2025年1月1日~2025年12月31日) |
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区 分 |
指 標 |
目 標 |
実 績 |
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人材開発・育成 |
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働きやすい環境風土の構築 |
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流動性 |
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健康管理 |
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(注)1.指標・目標については当社について記載しております。
2.当事業年度に誕生した子供を有する従業員のうち、育児休業を取得した従業員の割合を記載しております。
3.当事業年度に採用した採用数に対する定着率を記載しております。
4.従業員全体に対するストレスチェック受診率を記載しております。
以下におきましては、当企業グループの事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況にリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項およびその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。
当企業グループは、リスク・コンプライアンス委員会を推進組織とし、「リスクマネジメント基本方針」に基づき、経営上重要なリスクを特定・算定および評価を行ったうえで、優先対応リスクの決定を行い、その結果に基づき「リスクマップ」を作成し、リスク低減に向けた活動をグローバルに推進しております。また、リスクマップは定期的に見直しを行い取締役会に報告しております。
なお、気候関連のリスク項目は、サステナビリティ推進委員会で管理されるとともに、全社のリスクマネジメントの一環として、リスク・コンプライアンス委員会で評価・検討を行います。
<リスクマップのイメージおよびリスク管理体制>
なお、当社の有価証券に関する投資判断は、本項および本書中の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の事項のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当企業グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる場合があります。
(特に重要なリスク)
(1)大規模災害等による事業活動の停止について
当企業グループは、大規模災害による主要製品の操業停止の影響を最小限にするため、事業継続計画(BCP)を策定しており、グループ共通のオールハザードBCPの考え方を整備し、地震、風水害等の大規模な自然災害を想定して建物・生産機器等の耐震性・安全性確保、情報システムのバックアップ体制、在庫による供給維持などの施策を講じております。
また、大規模災害が発生した場合は、地域の安全確保および地域への積極的な支援(人命の救助、物資の提供、施設の提供、社会貢献、その他支援)を行います。
しかしながら、主要な生産設備が集中する香川県をはじめとした、販売および生産拠点等の所在地において当企業グループの想定を超える災害の発生等により、操業を停止する場合には、当企業グループの財政状態および経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(2)海外事業活動が経営成績に与える影響について
当企業グループは、顧客ニーズへの迅速な対応および適時に供給できるよう販売および生産拠点の拡大を積極的に進めております。当企業グループの連結売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度において57.2%でありますが、今後、グローバル展開の進展により当該比率がさらに高まる可能性があります。また、海外市場における為替レートの変動、政治情勢の変化および法規制の変化等が当企業グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。特に中国における事業の拡大から、中国における政治および政策の変化が、当企業グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)原燃料価格が経営成績に与える影響について
当企業グループは、原燃料の価格上昇の影響を抑えるため、2社購買および販売価格への転嫁等の対策を講じておりますが、予想以上に原燃料価格が上昇した場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)棚卸資産について
当企業グループは、加工製品につきましては受注生産でありますが、加工製品の素材となる等方性黒鉛材料の製造に約5ヶ月を要することから、等方性黒鉛材料につきましては見込生産を行っております。また、当企業グループでは、等方性黒鉛材料の需要予測を毎月行い、生産計画を作成することで、過剰在庫を持たないように努めておりますが、予想以上に等方性黒鉛材料の需要が落ち込んだ場合には、製品自体に経時変化はないものの一時的に過剰在庫となる可能性があります。
なお、当企業グループでは、直接販売を基本とすることで、顧客情報を直接入手し、顧客との共同研究開発、自社による製品開発および改良等に反映させることに努めており、その結果、棚卸資産の回転期間が当連結会計年度で7.8ヶ月となっております。
(重要なリスク)
(1)市場動向が経営成績に与える影響について
当企業グループの主要製品である特殊黒鉛製品は、エレクトロニクス、金型、冶金、化学および原子炉用等の幅広い分野において利用されておりますが、特にエレクトロニクス分野におきましては、シリコン半導体製造、化合物半導体製造向け市場の拡大にともなって販売を伸張してまいりました。また、複合材その他製品におきましても同様にエレクトロニクス分野に多く使用されております。
当企業グループは、エレクトロニクス分野の市場変動による経営成績への影響に適切に対応すべく、特殊黒鉛製品以外の機械用カーボン製品および電気用カーボン製品のシェア確保、冶金用等での新用途開拓に努め事業リスクの分散を図るとともに、エレクトロニクス業界の動向を分析予測し、適切な経営判断を行うよう努めておりますが、予想に反しエレクトロニクス業界が低迷した場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(2)競合について
当企業グループは、多岐にわたる顧客に対してカーボン製品を供給しておりますが、カーボン製品業界においては技術競争や価格競争が行われております。当企業グループでは、生産部門と営業部門の連携により様々な顧客ニーズに合致した高付加価値製品やそれを掘り起こす製品の早期開発を進めるとともに、原価低減や経費削減によるコスト低下に努めておりますが、競合他社の動向や価格競争の結果、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(3)法的規制の影響について
当企業グループのカーボン製品は「外国為替及び外国貿易法(外為法)等輸出関連法規」および国際原子力機関(IAEA)による「原子力関連機器の輸出に関する規制等」の適用を受けているほか、各国での事業・投資に関する許認可制度、関税・租税等の税制、公正競争や環境・リサイクル関連などの法的規制の適用も受けております。このような中、当企業グループは法令遵守に努めておりますが、これらの法的規制による指導を受ける可能性があります。また将来において現在予期し得ない法的規制等が設けられた場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)情報セキュリティについて
当企業グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。
当企業グループでは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、CSIRT体制を構築し、情報システムのウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っております。
しかしながら、当企業グループの想定を超える攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす場合には、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(5)今後の投資戦略について
当企業グループの投資戦略においては、定常の設備更新投資・研究開発投資に加えて、戦略的投資を積極的に推進する方針としています。これらの投資においては、市場環境の急激な変化、投資回収期間の長期化等によって、当企業グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(1)経営成績等の概要
①経営成績
当連結会計年度においては、世界景気は緩やかな持ち直し基調となったものの、一部地域において足踏みが見られた他、米国の通商政策の影響が懸念される等、先行き不透明な状況が継続しました。
当企業グループを取り巻く事業環境は、エレクトロニクス分野では、生成AI向けの最先端品等一部用途の需要は旺盛ながら、半導体市場全般では調整が継続し、シリコン半導体やSiC半導体等の用途は低調な動きとなりました。また、自動車産業の稼働や企業の設備投資には底堅さが見られる一方で、世界経済の不確実性にともなう停滞感も漂う中、モビリティ分野や一般産業分野の需要は緩やかなものに留まりました。
このような状況の中、当企業グループでは、製品・用途構成のバランスをコントロールしながら外部環境の変化に対応し、需要を取り込んでまいりました。また、技術革新に追随しうる高付加価値製品の増強・開発に取り組むとともに、生産性向上によるコスト競争力の向上を図る等、高度化する顧客ニーズに対し、製造・販売・開発が一体となり付加価値の高いソリューションを提供してまいりました。加えて、事業体質の強化を図るべく、第4四半期において、中国連結子会社のカーボンブラシ事業にて生産体制の最適化に向けた人員整理を実施いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高46,189百万円(前期比13.0%減)、営業利益6,759百万円(同44.8%減)、経常利益8,091百万円(同40.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,464百万円(同45.1%減)となりました。
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に 帰属する当期純利益 |
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予 想 |
48,000百万円 |
7,500百万円 |
7,000百万円 |
5,000百万円 |
|
実 績 |
46,189百万円 |
6,759百万円 |
8,091百万円 |
5,464百万円 |
|
予 想 比 |
△1,810百万円 |
△740百万円 |
1,091百万円 |
464百万円 |
|
増 減 率 |
3.8%減 |
9.9%減 |
15.6%増 |
9.3%増 |
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
日本
工業炉用等の冶金用や軸受等の機械用カーボン分野は底堅く推移したものの、半導体用が市場の調整を受け大幅に減少したこと等により、売上高24,184百万円(前期比18.1%減)、営業利益4,374百万円(同60.6%減)となりました。
米国
半導体用等は堅調に推移したものの、連続鋳造用や工業炉用等の冶金用が減少したこと等により、売上高4,618百万円(同7.1%減)、営業利益103百万円(同79.3%減)となりました。
欧州
半導体用や冶金用が減少したこと等により、売上高4,908百万円(同7.0%減)、営業利益73百万円(前期は90百万円の営業損失)となりました。
アジア
工業炉等の冶金用は堅調に推移したものの、カーボンブラシ製品が減少したこと等により、売上高12,477百万円(前期比6.2%減)、営業利益406百万円(同52.2%減)となりました。
品目別の概況は以下のとおりであります。
|
品目 |
前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
増減率(%) |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
|
特殊黒鉛製品 |
23,985 |
20,300 |
△15.4 |
|
一般カーボン製品(機械用カーボン分野) |
4,092 |
4,226 |
3.3 |
|
一般カーボン製品(電気用カーボン分野) |
5,008 |
4,356 |
△13.0 |
|
複合材その他製品 |
18,179 |
15,322 |
△15.7 |
|
商品 |
1,827 |
1,983 |
8.5 |
|
合計 |
53,093 |
46,189 |
△13.0 |
特殊黒鉛製品
エレクトロニクス分野は、SiC半導体向けの化合物半導体製造用や単結晶シリコン製造用が大幅に減少したこと等により、前期比28.2%減となりました。
一般産業分野は、工業炉用等の冶金用が堅調に推移したものの、放電加工電極が減少したこと等により、前期比6.2%減となりました。
これらの結果、特殊黒鉛製品全体としては、前期比15.4%減となりました。
一般カーボン製品
機械用カーボン分野は、軸受やパンタグラフ用すり板が堅調に推移したこと等により、前期比3.3%増となりました。
電気用カーボン分野は、家電・電動工具向けの小型モーター用等が減少したこと等により、前期比13.0%減となりました。
これらの結果、一般カーボン製品全体としては、前期比5.7%減となりました。
複合材その他製品
SiCコーティング黒鉛製品は、シリコン半導体向けが増加したものの、SiC半導体向けが大幅に減少したこと等により、前期比大幅減となりました。C/Cコンポジット製品は、半導体用は堅調だったものの、工業炉用が減少したこと等により、前期比減となりました。黒鉛シート製品は、自動車用や半導体用、冶金用は底堅く推移したものの、特殊用途が減少したこと等により、前期比減となりました。
これらの結果、主要3製品は前期比20.0%減となり、複合材その他製品全体としては、前期比15.7%減となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ2,582百万円減少し、12,069百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は6,065百万円(前期比36.1%減)となりました。これは主に棚卸資産の増加額3,053百万円、仕入債務の減少額975百万円および法人税等の支払額3,964百万円等の資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益7,594百万円、減価償却費4,353百万円および売上債権の減少額1,930百万円等の資金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は11,314百万円(同79.2%増)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入4,141百万円等の資金の増加に対し、定期預金の預入による支出3,446百万円および有形固定資産の取得による支出11,836百万円等の資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は2,398百万円(前期は2,563百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出555百万円および配当金の支払額3,037百万円等の資金の減少に対し、短期借入金の純増額831百万円および長期借入れによる収入5,400百万円の資金の増加によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
|
日本 |
23,422 |
74.2 |
|
米国 |
4,563 |
83.9 |
|
欧州 |
5,031 |
93.8 |
|
アジア |
14,009 |
96.2 |
|
合計 |
47,026 |
82.6 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|||
|
受注金額 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
|
|
日本 |
22,102 |
79.1 |
5,193 |
74.4 |
|
米国 |
5,367 |
154.8 |
4,245 |
133.4 |
|
欧州 |
3,336 |
67.1 |
868 |
41.8 |
|
アジア |
10,472 |
81.9 |
1,923 |
65.5 |
|
合計 |
41,278 |
84.0 |
12,230 |
80.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.外貨建てで受注したもので、当期中の為替相場の変動による差異については、当期受注金額に含めております。
3.当連結会計年度より受注金額および受注残高に半製品(素材製品)を含めております。前期比についても前連結会計年度の金額を同様の基準に組み替えて表示しております。
4.当連結会計年度の受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|||
|
受注金額 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
|
|
特殊黒鉛製品 |
19,975 |
84.9 |
6,507 |
93.4 |
|
一般カーボン製品 (機械用カーボン分野) |
4,095 |
94.7 |
930 |
87.4 |
|
一般カーボン製品 (電気用カーボン分野) |
4,296 |
84.3 |
811 |
93.0 |
|
複合材その他製品 |
12,911 |
79.7 |
3,981 |
63.4 |
|
合計 |
41,278 |
84.0 |
12,230 |
80.5 |
5.受注金額および受注残高には、X Energy, LLC向け高温ガス炉用黒鉛製品の一部受注分2,422百万円が含まれております。当該金額は、セグメント別では米国、品目別では特殊黒鉛製品にそれぞれ含まれております。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
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金額(百万円) |
前期比(%) |
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日本 |
24,184 |
81.9 |
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米国 |
4,618 |
92.9 |
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欧州 |
4,908 |
93.0 |
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アジア |
12,477 |
93.8 |
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合計 |
46,189 |
87.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
3.当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
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品目 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
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金額(百万円) |
前期比(%) |
|
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特殊黒鉛製品 |
20,300 |
84.6 |
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一般カーボン製品(機械用カーボン分野) |
4,226 |
103.3 |
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一般カーボン製品(電気用カーボン分野) |
4,356 |
87.0 |
|
複合材その他製品 |
15,322 |
84.3 |
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商品 |
1,983 |
108.5 |
|
合計 |
46,189 |
87.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②財政状態の分析
資産・負債および純資産の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,726百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が1,664百万円減少および有価証券が2,499百万円減少したものの、棚卸資産が3,377百万円増加、未収法人税等の増加等により流動資産のその他が358百万円増加および有形固定資産が5,237百万円増加したこと等によるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,379百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が629百万円減少、未払法人税等が2,240百万円減少および営業外電子記録債務の減少等により流動負債のその他が1,444百万円減少したものの、短期借入金が831百万円増加、1年内返済予定の長期借入金が1,080百万円増加および長期借入金が3,764百万円増加したこと等によるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,346百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が2,423百万円増加および為替換算調整勘定が781百万円増加したこと等によるものであります。
③経営成績の分析
売上高
当企業グループの当連結会計年度の売上高は、46,189百万円(前期比13.0%減)となりました。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上高に対する売上原価の比率は65.9%となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、売上高に対する比率が19.5%となりました。
営業外損益
営業外収益は、受取利息58百万円(同31.7%減)、受取配当金350百万円(同542.6%増)、持分法による投資利益416百万円(同5.4%減)および為替差益462百万円(同16.7%減)等を計上したことにより、1,446百万円(同10.0%増)となりました。
営業外費用は、支払利息65百万円(同84.1%増)および減価償却費15百万円(同5.0%減)等を計上したことにより、114百万円(同55.4%増)となりました。
特別損益
特別利益は、固定資産売却益227百万円(同3,267.1%増)等を計上したことにより、265百万円(同40.9%減)となりました。
特別損失は、減損損失452百万円(前期は計上なし)および特別退職金203百万円(前期は計上なし)等を計上したことにより、762百万円(前期比291.3%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,464百万円(同45.1%減)となりました。
④キャッシュ・フローの分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当企業グループの運転資金需要は主に、原材料等の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備であります。
当企業グループは、事業運営上必要な運転資金および設備投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針としつつ、金融機関からの借入により調達する場合もあります。
当連結会計年度において、重要な契約等の決定または締結等は行われておりません。
(1)研究開発活動の方針
当企業グループは、「C(カーボン)の可能性を追求し世界に貢献する」という経営理念のもと、等方性黒鉛材料の製造で培った材料開発技術を基盤に、新たな特性を備えた等方性黒鉛材料やカーボン系複合材料等、新素材の研究開発を進めています。そして、新規用途に着目し、従来の特性を超えたカーボン製品の開発に挑戦することにより、顕著に差別化され独自性を有する高品位、高付加価値製品を提供し、顧客満足の向上に努めています。さらに、会社の持続的な成長に貢献する技術人材を育成することにより、“技術の東洋炭素”を永続的に強化し、“常に経済的利益を生み出せる強い企業体質”を構築しています。このような取り組みを通じ、“顧客と従業員”および“社会”に対して価値を提供し続けることを基本方針としております。
(2)研究開発体制
当企業グループでは、短期、中期の市場投入にマッチした製品開発およびプロセス開発と、長期的な企業価値向上に資する基礎研究および要素技術の蓄積を目的とし、時間軸を意識した一体的な研究開発体制を構築しております。このような体制のもと、各部門の人材や技術を連携させながら、要素技術の構築から製造技術の開発、新製品のローンチに至るまで、体系的な開発を行っております。
基礎研究部門:粗原料研究等の基礎研究から将来的なアプリケーションの研究、学際との連携、将来技術の発掘および醸成
技術開発部門:基幹事業における新製品・新用途開発、評価技術の発展、進化技術等の新たな生産技術創出、生産技術的な革新的生産プロセスの確立
また、新しい技術を獲得するため、ユーザーや大学、国内外の研究機関等との共同研究も積極的に進め、市場ニーズに合致した製品の早期開発や潜在的なニーズ発掘につながる開発を推進しております。これら研究開発の管理にあたっては、海外子会社を含めた全社的な独自の管理システムによる技術審査を実施しており、技術・ノウハウの体系的な管理体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末における研究開発要員は66名であります。
(3)研究開発活動
当連結会計年度の研究開発費の総額は
A.基礎研究
近藤照久記念東洋炭素総合開発センターを基盤とする基礎研究体制を構築し、未開拓用途や新技術を取り込むとともに、限りある資源の有効活用等、社会に貢献する環境対応技術を強化しております。
その取り組みの一環である、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)が公募した2024年度「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」における研究開発課題「人造黒鉛における化石由来原料依存からの脱却に資する革新的製造技術の開発」において研究開発テーマとして採択された「黒鉛材料の非化石原料化に向けた研究開発」(以下、「本研究」)は、2年目の研究開発が順調に進行しており、今後国家プロジェクト化することを見据え、本研究プログラムをベースとした体制づくりが進んでおります。
本研究以外にも、国内外の大学・公的研究機関との共同研究を積極的に推進しており、2025年に実施した国立研究開発法人物質・材料研究機構との共同研究では、次世代蓄電池としてポストリチウムイオン二次電池の一つとして有力視されているリチウム空気電池の実用化に向け、「高出力」「長寿命」「大型化」を同時に実現するカーボン電極の開発に成功しました。
また、新たな分析装置の導入により、従来の炭素材料に関する分析では実現し得なかった動的微細構造観察技術や元素分析技術の確立を実現しました。
今後も、未利用資源を利用した材料研究や新たな用途開発、カーボンのリサイクル技術の開発等、先進的な技術にチャレンジし、将来の成長につながる技術の蓄積を行ってまいります。
B.製品開発および生産技術
ユーザーのニーズをいち早く掴み技術動向の先頭を走るべく、省エネ・環境負荷低減に貢献しうる製品・技術の充実を図るとともに、既存用途の延長線上にはない製造技術や原材料、製品特性等の検証により、環境規制やクリーンエネルギー市場の動向に適合した品質を確立する等、市場要求にマッチした製品をタイムリーに投入するための研究開発活動を強化しております。
①特殊黒鉛製品
新機能材料の開発につきましては、エレクトロニクス分野において半導体製造用黒鉛を開発し、市場評価が進んでおります。特に半導体単結晶製造部材向けとして、従来とは全く異なる物性を有する材料を開発し、顧客要望の変化にオンタイムで応えるべく、さらなる技術開発を進めております。加えて、より広範なニーズに対応するべく開発を進めるとともに、社内における評価技術も強化しております。また、エネルギー分野の原子力用途では、多目的高温ガス炉用黒鉛材料や製品について、当社独自のプロセス技術を活用し、顧客要求に即した開発を進めています。また、原料を長期的かつ確実に調達するべく、品質に適った新規原料の探索ならびに粗原料の使いこなし技術の確立に取り組むとともに、QCDS(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期、Service:サービス)を実現するべく、製造リードタイムの短縮に向けたプロセス技術開発も行っております。
②一般カーボン製品(機械用カーボン分野)
一般産業機械用につきましては、メカニカルシール用高機能カーボン材料の市場評価を含めた開発を継続しております。また機械用カーボンの製造技術向上を目的に導入した製造試験装置を用いた生産性改善や、自動化を用いたプロセス技術の開発によるさらなるコストダウンの可能性を見出すことに成功しております。また、AIやDXの進展を受け、エレクトロニクス分野向けの材料開発や加工技術確立を推進した結果、新たな用途への展開が進展する等、従来カーボンが使用されていなかった領域への適用を実現する開発を推進しています。さらに量産製品の品質維持・向上を図るとともに、原料・副資材の確実な調達とコスト低減を実現するべく、代替原料および代替技術の開発に注力しております。
③一般カーボン製品(電気用カーボン分野)
小型モーター用につきましては、主に高性能掃除機用カーボンブラシおよびバッテリータイプ電動工具用カーボンブラシの開発を推進するとともに、洗濯機用カーボンブラシおよび自動車用カーボンブラシの市場ニーズにタイムリーに応えるべく開発を継続しております。カーボンブラシ製品においては、コスト低減という開発課題の重要性が一段と高まっており、当企業グループにおきましても生産技術を含めた、総合的な技術開発を加速しております。また、環境規制物質に関する各国の法規制に先駆的に対応するべく、新たな原料の検討を行う等の開発活動を展開しております。
また、風力発電等の再生可能エネルギー用途や輸送機器等に使用される大型モーター用カーボンブラシにつきましては、小型モーター用における技術と素材開発技術の掛け合わせ等の方法を用いて、材料開発を進めており、顧客評価を受けながら機敏な試作品展開を進め、大型モーター市場への展開を積極的に進めております。また、外部機関等との共同開発により次世代製品に関する研究等も積極的に行い、新しい技術の取り込みを進めております。
カーボンブラシ製品の開発においては、リードタイムの短縮化を目的として、データベース型のマテリアルインフォマティックス技術の導入を進める等、顧客のニーズに合致した開発品や製品をタイムリーに提供するべく、DXを効果的に活用した開発活動を推進しております。今後、他の製品や商品の開発にも、当該手法の展開を進めてまいります。
④複合材その他製品
SiCコーティング黒鉛製品につきましては、半導体製造用黒鉛部材に対する品質要求のさらなる高度化に応えるべく、基盤となる黒鉛に施す高純度化処理の技術向上にグループ全体で取り組んでおります。また、需要増等の顧客ニーズにタイムリーに対応するための生産性の向上と、品質向上に向けた製造技術強化に注力しております。さらに、次世代の品質要求を満足しうる黒鉛とその被膜膜質の実現等、新規プロセスを用いた高品質グレード品の開発や、従来製品における品質向上のための技術開発に加え、製造設備の検討にも積極的に取り組んでおります。
多孔質炭素CNovel(R)(クノーベル(R))につきましては、燃料電池における国内外のユーザーでの評価が進展しており、2025年には採用が決定した事案も国内外で出てまいりました。また、さらなる顧客要求の高度化に向けて、今までにない微細化技術に取り組み評価品販売を進めています。さらに、NEDOにおいて、2030年度における燃料電池の目標能力達成に寄与する材料としてCNovel(R)が紹介される等、触媒担体としての高い評価と実績を有しております。
また、連結子会社の上海東洋炭素有限公司においては、電子部品の放熱フィラー材料として、独自の製造方法を用いて窒化アルミニウムの試作品を製造しており、材料の改良・改善等の開発を進めながら、通信機器の放熱用途等、通信の高速化により高機能化する電子デバイス等への適用を見据え、ユーザー評価を推進しております。