(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「農家を過酷な労働から解放したい」という熱い想いを原点に、多くの方々に支えていただきながら、その想いを連綿と受け継ぎ、2025年に創立100周年を迎えました。近年、地政学的リスクの更なる高まり、米国関税政策の影響、物価上昇、気候変動などを背景に、食料安全保障や食への関心は一段と高まっています。こうした環境下で、食を支える農業や、人々の暮らしを支える景観整備事業は、エッセンシャルビジネスとしてその重要度が再認識されています。
当社グループは、「『お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供』を通じ豊かな社会の実現へ貢献する」を基本理念として掲げています。また、長期ビジョンを「『食と農と大地』のソリューションカンパニー」とし、これらに関連する課題を解決するとともに、新たな価値創造を目指しております。

(2)目標とする経営指標
当社グループは、事業環境が大きく変化する中で、農業機械総合専業メーカーとして培ってきた知見、経験などをコアに社会課題を解決し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。2027年までに連結営業利益率5%以上・ROE(自己資本利益率)8%以上・DOE(株主資本配当率)2%以上を達成し、PBR(株価純資産倍率)1倍以上とすることを目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
①経営課題
当社グループの課題を収益性・資産効率と捉え、これらの改善を図るため、2024年2月に「プロジェクトZ」施策を公表し、抜本的構造改革と成長戦略の推進に取り組んでおり、現在、これらの施策は概ね計画どおりに進捗しています。
②課題解決に向けた具体的施策
a.プロジェクトZ施策
プロジェクトZでは抜本的構造改革と成長戦略を着実に遂行しております。抜本的構造改革では、「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」の3テーマを軸に短期集中的に施策を推進しています。また、成長戦略では、国内外の成長分野へ経営資源を集中し事業拡大を図っております。

■抜本的構造改革
・生産最適化
生産拠点と機種の再編、将来を見据えた設備投資を着実に遂行します。2025年末にISEKI M&D(熊本)でのコンバイン生産を終了し、ISEKI M&D(松山)への生産移管を計画どおり進めています。また油圧機器部品についてもISEKI M&D(松山)から井関新潟製造所への移管を計画どおり進めています。今後は、田植機の最終組立工程をISEKI M&D(松山)へ移管し、季節性の高い当社製品の生産拠点を集約することで生産の効率化と平準化を図ってまいります。併せて間接業務の効率化、在庫運用の効率化と圧縮に繋げてまいります。
生産拠点の再編に係る投資については、2024年7月に発表いたしました当初総投資計画460億円から生産性を維持した上で380億円に圧縮いたしました。今後も生産効率を改善しつつ、投資の効率化・適正化に努めてまいります。なおISEKI M&D(松山)では生産を集約するための新しい建屋完成を2026年3月に予定しています。
これらの生産最適化に向けた取り組みによって、これからの100年を支える強靭な事業基盤の構築を目指してまいります。

・開発最適化
商品の成長性と収益性の分析に基づき、機種・型式の削減および成長分野への経営資源集中を進めております。機種・型式削減では30%以上の集約を目指した削減計画を実行しており、現在、計画どおり進んでいます。また、開発手法については、全地域共通の母体を用いるグローバル設計を推進し、効率化と標準化を進めています。
製品利益率の改善については、2027年に向けた計画に対し、若干の遅延が生じているものの、対象や手法の見直しにより挽回を図ります。
これらの開発最適化により、成長分野へ開発リソースを重点的に投入するとともに、組織のスリム化を図り、さらなる競争力強化に繋げてまいります。

・国内営業深化
国内販売体制の強化と経営効率の向上を図るため、2025年1月1日付で国内販売会社7社および当社営業本部を統合し、ISEKI Japanを発足、国内営業体制を抜本的に再編いたしました。
新体制では、地域特性に即した高度なソリューション提供力を確立すべく「大規模企画室」を設置し、大規模農家向けの提案力を一段と強化しました。併せて在庫拠点・物流体制の再構築と重複する間接業務の集約を力強く推し進め、経営効率の改善を図ってまいります。さらに、地域を越えた人材交流を促進することで、各販売会社が蓄積してきた強み・ノウハウを迅速に水平展開し、販売・サービスの総合力を飛躍的に向上させています。
ISEKI Japanの発足により在庫運用の効率性は大きく向上し、国内在庫水準の大幅な圧縮を実現いたしました。これらの国内営業深化の取り組みは、当社が掲げる成長戦略の強固な基盤となるものです。

■成長戦略
・海外
地域別戦略と環境対応型商品の投入を含む商品の拡充など各地域のニーズを的確に捉え、海外事業の成長を加速いたします。
欧州では、2025年1月に英国販売代理店「ISEKI UK & Ireland社※」を連結子会社化いたしました。フランスIF社、ドイツIMG社と合わせた連結子会社3社の連携を強化し、商材の相互拡充、共同購入・在庫一元管理による効率化などのシナジーと多様な人材交流によるイノベーションを創出してまいります。加えて販路拡大により、中東、アフリカをはじめとする新規市場の開拓を推進してまいります。
アセアンでは、営業拠点のタイIST社を中核として、当社生産拠点のPT. ISEKI INDONESIAから供給する製品に加え、インドTAFE社製品を販売展開することで、成長するアセアン市場で競争力のある製品ラインナップを構築してまいります。
※ 2025年12月に社名をPREMIUM TURF-CARE LIMITEDからISEKI UK & Ireland Limitedに変更
・国内
成長分野である「大型」「先端」「畑作」「環境」への経営資源の集中・販売強化により、安定した利益を確保してまいります。この分野においては、「大規模企画室」が中心となり大規模農家へのマーケティング力を強化しています。当社製品の販売に占める大型製品の割合を50%以上にすることを目標としており、2025年実績は40%を超えました。
また、草刈市場を新たな成長分野と位置付け、欧州で50年以上にわたる販売実績がある景観整備商品を国内に投入します。これにより国内においても人手不足や作業者の高齢化、気候変動による作業負担の増加といった課題に対応できると考えております。当社では草刈市場の拡大を見込んでおり、関連売上高は2024年比2.5倍の100億円を目指してまいります。

b.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
■PBR改善に向けて
引き続き「プロジェクトZ」の諸施策完遂に向けた取り組みとIR・ESG活動への取り組みを強化し、2027年までにPBR1倍以上の実現を目指してまいります。

■株主・投資家との対話状況
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を重要な経営課題と認識しており、その実現に向け、株主・投資家の皆さまとの建設的な対話を重視し、正確な情報を積極的かつ公正に提供するとともに、長期的な信頼関係の構築に努めてまいります。
対話については、代表取締役による四半期毎の決算説明会や個人株主向け説明会等を実施し、取締役をはじめとする役員による株主・投資家の皆さまとの対話機会のさらなる充実を図ってまいります。
③取引適正化への取り組み
当社は、取引先の中小受託事業者様に対し金型等を無償保管させていた事実を理由として2025年5月9日に公正取引委員会から下請法(現:中小受託取引適正化法)に基づく勧告を受けました。本勧告を厳粛に受け止め、取引適正化への取り組みは当社グループの重大な課題と認識しています。今後、違反しないようグループ全体で体制を再整備し、再発防止に取り組んでまいります。
◎再発防止に向けた取り組み
・中小受託取引適正化法違反内容および再発防止策の社内周知
・取引適正化に関する基本方針の策定
・法務担当者による中小受託取引適正化法の遵守状況についての定期的な監査
・役職員に対する中小受託取引適正化法遵守のための定期的な研修
④サステナビリティ(ESG)への取り組み
当社は、環境負荷低減、人的資本の充実および実効性あるガバナンスの強化を重要課題と認識し、ESGを経営の中核に据えた取り組みを推進しております。脱炭素への対応、「挑戦と成果を評価する」人事制度改定や処遇改善を通じた人的資本投資、サプライチェーンを含む社会的責任の遂行、ならびに取締役会の関与を通じたESG推進体制の強化により、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
井関グループは、「農家を過酷な労働から解放したい」という創業者の想いのもと、「『お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供』を通じ豊かな社会の実現へ貢献する」を基本理念に掲げております。私たちは、ステークホルダーの皆さまとともに持続可能な社会“食と農と大地”の実現を目指します。
サステナビリティを推進する体制として、当社グループのESGを巡る諸課題への対応について一元的な組織運営を行うことを目的に、取締役、執行役員で構成し、独立社外取締役を委員長とする「ESG委員会」を2022年8月に設置しました。委員会は、原則として毎月開催し、気候変動への対応や人権の尊重、コンプライアンスの徹底などグループ全体のESGに関する取組についてリスクと機会の観点から検討・審議を行っております。また、委員会にて審議した内容は取締役会に答申し、基本方針・マテリアリティその他重要な事項については、取締役会において審議・決定する仕組みとすることで、経営陣の関与強化を図っております。加えて、ESG推進に係る7つのワーキンググループ(WG)を設置し活動を推進しております。

当社グループでは、「リスク管理規程」で物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を与えうる要因をリスクと定義し、リスクの顕在化防止及び損失の極小化を図り、業務の円滑な運営、資産保全、企業の信用維持に資することを目的としてリスクを管理しております。当社グループを取り巻くリスクの洗い出し・評価を実施のうえ、管理基準・規程や監視・対処体制の整備など適切な対策を講じております。リスクマネジメントWGにてリスクの洗い出し及び予見されるリスクに対する被害の大小・頻度の高低を評価し、その対応策について検討しております。
なお、当社グループにおけるリスクと対応の状況については、

マテリアリティは、当社グループが目指す姿や長期ビジョンの実現に向け、優先的に取り組む重要な課題です。基本理念や長期ビジョンで2030年に目指す姿と社会課題(社会からの要請・期待)の両面から検討し、外部専門機関からの示唆を踏まえ、経営層で議論のうえ、特定しております。

これらのマテリアリティの中から、特に重要と判断するサステナビリティの取組について、以下に記載しました。なお、関連する情報については、当社の
1) 気候変動への対応
■環境経営に関する方針、戦略
当社グループでは、「脱炭素社会と循環型社会の実現」をマテリアリティとした環境経営を実践しています。2022年には、新たに環境ビジョンを策定し、環境基本方針・環境中長期目標を見直しました。具体的な取組として、環境保全型スマート農業や電動化商品の提案など環境負荷低減に寄与する商品やサービスの拡充を図っております。
<環境ビジョン>
井関グループは、「お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供」を通じ、
2050年までにカーボンニュートラルで持続可能な社会の実現を目指します。
<環境基本方針>
「井関グループは、持続可能な社会の実現を目指すべく、
自然・社会・企業の調和に貢献する環境活動を推進します」
①環境マネジメントシステムの整備と機能的運用
②カーボンニュートラルを実現する事業活動及び製品・サービスの普及推進
③環境関連法規制の順守
④環境教育と環境情報公開
2) 人的資本・多様性の確保に向けた対応
■人的資本経営に関する方針、戦略
当社グループは、人材こそが最大の経営資源であり、人材の育成と活躍が持続的な成長を牽引する原動力であると考えております。
2025年の創立100周年、そして次の100年を見据え、将来を担う人材の育成に注力するとともに、従業員一人ひとりのモチベーション向上と生産性向上を両立させる人的資本経営を推進し、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

また、中核人材の確保と育成にあたっては「人材育成方針」、従業員エンゲージメント向上にあたっては「社内環境整備方針」を定め、これらの方針に基づき、具体的な取組を行っております。
<人材育成方針>
井関グループは、課題解決を果たすのはすべて「人」であり、企業の持続的成長と価値向上に欠かせない存在と考えております。
先端技術やグローバル化の推進など、事業戦略の実行に向けた中核人材の確保に注力するとともに、「食と農と大地」のソリューションカンパニーの実現に向けて、DXをはじめとする教育プログラムの更なる充実により、一人ひとりの力を最大限に引き出し「変革」を起こすチャレンジ精神あふれる人材を育成してまいります。
〇具体的な取組
① 社員教育を目的とした社会人大学院(事業構想大学院大学)への企業派遣制度の実施
② 先端技術活用のためのDX研修導入
③ グローバル人材育成のためのTOEIC講座実施
④ 耳で聴く新しい学習スタイルの導入による教育プログラムの多様化
⑤ 階層別研修の充実
⑥ グループ人材公募制度の運用
これらの人材育成を通じ、お客様から信頼されるモノづくり、画期的な商品・サービスの提供促進を図っております。
<社内環境整備方針>
井関グループは、「従業員には安定した職場を」という社是に基づき、従業員への安全・安心な職場の提供と働きがいのある職場づくりを目指しております。
人権の尊重とコンプライアンスの徹底を前提に、当社と従業員がともに発展して行くため、エンゲージメント向上に取り組むとともに、多様性に富んだ健全で透明性の高い社内環境を整備してまいります。
〇具体的な取組
① 残業時間の削減、有給休暇の取得促進によるワークライフバランスの充実
② 女性活躍推進分科会の活動やハラスメント防止などの取組を通じたダイバーシティ推進
③ 多様な経験を持つ人材の積極的な採用
④ 健康経営推進
⑤ エンゲージメント調査、360度評価制度による組織力の強化
マテリアリティの各項目に対しては、KPIの設定・取組計画を策定のうえ、ESG推進に係る各WGが活動を推進し、ESG委員会等で定期的に進捗管理を行っております。マテリアリティの中から、特に重要と判断する指標及び目標並びに実績については、以下のとおりです。
1) 気候変動への対応
■環境経営に関する指標及び目標
当社グループは、中期計画の中で環境面においては以下の定量目標を定めております。
GHG排出量においては、2030年にグループ全体のScope1&2の2014年比46%削減を目指しています。また、環境に配慮した商品やサービスの拡充を通じ、農業における環境負荷低減に繋げる取組指標として、2030年にエコ商品の国内売上高比率85%以上を目指しています。
水使用量、廃棄物最終処分量、総物質投入量の削減目標は、2023年実績において、当初設定した2030年目標水準を上回ったことから、2024年より引き上げ及び対象範囲の見直しを実施しました。引き続き2030年目標に向け社内推進をしてまいります。
※1:対象範囲は提出会社及び連結子会社
算出に使用した電気事業者別排出係数は環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」に2025年2月末現在掲載されている係数を使用しております。
※2:対象範囲は㈱ISEKI M&D、㈱井関新潟製造所、㈱井関重信製作所、2024年からPT.ISEKI INDONESIAを追加
※3:対象範囲は㈱ISEKI M&D、㈱井関新潟製造所、㈱井関重信製作所
※4:2025年までは、仕入れ商品を含む当社ブランドで販売する国内商品の実績を分母・分子とし算定していましたが、仕入れ商品は他社開発のため当社が環境配慮設計に影響できないことから、2026年以降は当社の開発商品のみの実績を対象とするよう算定基準の見直しをいたしました。
2) 人的資本・多様性の確保に向けた対応
■人的資本経営に関する指標及び目標
人材育成及び社内環境整備に関しては、以下2つの項目について目標値を定め、随時進捗状況を確認のうえ対応しております。なお、当社グループ各社の業容や規模が様々であり、連結全体での記載が困難であることから、当社単体における目標と実績を記載しております。
(注) 女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差についての実績は、
経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいる所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、資産・負債の評価及び収益・費用の認識について、重要な会計方針に基づき見積り及び判断を継続して行っております。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当期における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続きました。一方で、地政学的リスクの高まりや米国関税政策の影響、物価上昇による景気下押しリスク等、先行きは依然として不透明な状況です。
このような状況の中、当社グループの連結経営成績は以下のとおりとなりました。
〔当期連結業績〕
当期の売上高は、前期比17,344百万円増加し、185,770百万円(前期比10.3%増加)となりました。
国内売上高は前期比16,420百万円増加の129,452百万円(前期比14.5%増加)となりました。農機製品・作業機は農家の購買意欲の高まりを的確に捉え増収、さらに安定収益源であるメンテナンス収入の続伸、施設大型物件の複数完工もあり、国内合計では大幅な増収となりました。
海外売上高は前期比923百万円増加の56,318百万円(前期比1.7%増加)となりました。欧州はイギリスIUK社の連結化とフランスIF社の堅調により、ドイツIMG社の仕入商品特需があった前年と同水準を維持、北米市場では弱含みが継続し減収となったものの、アジアでカバーし、海外合計では増収基調を維持しました。
営業利益は前期比2,305百万円増加の4,225百万円(前期比120.1%増加)となりました。国内外の増収および価格改定効果で増益となりました。
経常利益は前期比2,541百万円増加の4,119百万円(前期比161.1%増加)となりました。
税金等調整前当期純利益は4,434百万円(前期は税金等調整前当期純損失1,531百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,757百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,022百万円)となりました。主に固定資産売却益の計上と前年にあった構造改革に伴う減損損失がなくなったことで、経常利益から増益幅が拡大となりました。
〔当期個別業績〕
当期の売上高は88,450百万円(前期比2.5%増加)、営業損失は886百万円(前期は営業損失1,664百万円)、経常利益は684百万円(前期比92.2%減少)、当期純利益は467百万円(前期比89.2%減少)となりました。
商品別の売上状況につきましては、次のとおりであります。
〔国内〕
整地用機械(トラクタ、耕うん機など)は24,318百万円(前期比14.4%増加)、栽培用機械(田植機、野菜移植機)は8,170百万円(前期比24.3%増加)、収穫調製用機械(コンバインなど)は18,649百万円(前期比14.1%増加)、作業機・補修用部品・修理収入は53,529百万円(前期比20.9%増加)、その他農業関連(施設工事など)は24,784百万円(前期比0.9%増加)となりました。
〔海外〕
整地用機械(トラクタ、草刈機など)は40,003百万円(前期比11.0%増加)、栽培用機械(田植機など)は1,005百万円(前期比1.4%減少)、収穫調製用機械(コンバインなど)は1,455百万円(前期比147.6%増加)、作業機・補修用部品・修理収入は7,280百万円(前期比5.1%増加)、その他農業関連は6,573百万円(前期比39.3%減少)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,342百万円増加し209,475百万円となりました。販売が進んだことにより棚卸資産は減少した一方、期末にかけて債権回収が進み現預金が増加しました。また、株価上昇に伴い投資有価証券が増加したほか、プロジェクトZの生産最適化投資などで固定資産が増加しました。
負債の部は、前連結会計年度末に比べ3,247百万円減少し131,046百万円となりました。主に有利子負債の減少によるものであります。
純資産の部は、当期純利益の計上や株価上昇に伴う有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ6,590百万円増加し78,428百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ4,690百万円増加し12,840百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上と棚卸資産の減少により23,456百万円の収入(前期比14,631百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に設備投資による支出と有形固定資産の売却収入により4,442百万円の支出(前期比1,400百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に有利子負債の返済により15,132百万円の支出(前期比10,032百万円の支出増)となりました。
当社グループの主な資金需要は、部品原材料の購入及び製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用に係る運転資金のほかに、生産設備の更新や営業拠点の整備等の設備投資資金であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、これらの資金は、自己資金及び金融機関からの借入金により調達しております。なお、当社は、資金の流動性を確保するため、主要取引銀行と総額20,030百万円のコミットメント・ライン契約を締結しております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は62,174百万円、現金及び預金の残高は12,891百万円となっております。
当社グループは、抜本的構造改革と成長戦略を立案・実行する「プロジェクトZ」において、基本戦略及び数値目標(2027年までに連結営業利益率5%以上・ROE8%以上・DOE2%以上)を定めました。重視する経営指標の状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。なお、当社は「農業関連事業」のみの単一セグメントであるため、「農業関連事業」の製品別生産実績を記載しております。
(注) 金額は、販売価格によっております。
主として需要見込みによる生産方式であり、受注生産はほとんど行っていないため記載をしておりません。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は「農業関連事業」のみの単一セグメントであるため、「農業関連事業」の製品別販売実績を記載しております。
(財務上の特約が付された金銭消費貸借契約)
2024年4月1日前に締結された財務上の特約が付された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
当社グループは、創業以来「需要家に喜ばれる製品」の提供を企業理念の一つに掲げ、お客様に満足してご使用いただける商品を適切なタイミングで提供することをモットーとして、研究開発活動を展開しています。お客様のニーズに応えるため、徹底した市場調査・現地調査に基づき、省エネ・低コスト農業、安全作業・環境保全への配慮などに積極的に取り組んでいます。
国内においては、ICTやロボット技術を活用した超省力化農業、経験や勘に依存しない誰もが取り組みやすい農業、データを駆使した戦略的な農業を可能とするスマート農業にも積極的に取り組んでいます。海外においては、欧州景観整備市場への対応や、日本で培った稲作技術を活用した商品展開など、地域のニーズに対応した商品展開に積極的に取り組んでいます。
また、脱炭素社会および循環型社会の実現に向けた商品開発にも積極的に取り組んでいます。開発製造本部内のランドスケープ技術部は、公園・緑地管理や景観整備向けトラクタ、乗用モーアなどのNon-Agri製品を対象に、電動化など製品のゼロエミッション化に取り組んでいます。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
農業関連事業
(乗用モーア)
乗用モーアはゴルフ場、競技場、公園、河川敷、学校のグラウンドなどあらゆるシーンの芝・草管理をサポートします。今回、欧州で非常に高い評価をいただいている乗用モーア「SXG327-S5H2S」を国内に投入しました。
欧州での経験を生かした高い条件適応性で、軽作業から高負荷のかかる作業、傾斜地や背の高い雑草刈りでも安定作業が可能です。刈った草の集草容量は650Lでハイダンプ仕様となっており、最大高さ約2mまで素早く持ち上げトラックへの排出も容易に行えます。コレクタが満杯の状態で最大高さに持ち上げた場合でも安定するよう前後バランスを考慮しています。また、刈幅は54インチ(1,372mm)と広く、センター排出方式を採用して広口のシューターによって、背の高い草や濡れた草でも詰まりにくい構成で効率的な作業を可能としています。
操作関係はコレクタ(集草機)のリフトおよび、ダンプを操作するジョイスティックレバーとモーアデッキ操作レバーの2本構成としています。これにより誤作動を防止するとともに、シューターのクリーニングレバーも右側に装備しているので、作業中は全て右側レバーとスイッチで作業が可能です。チルトステアリングおよびオートクルーズ装備により快適な操作性を実現しました。
(田植機)
RPQ3シリーズは2022年の発売開始以来、本格ロータリ式の乗用4・5条田植機として好評を頂いています。このたび、小型乗用田植機「さなえ」RPQ5シリーズを市場投入しました。
農家の高齢化に伴う更なる安全性の向上や、低コスト栽培「密播疎植」(みっぱそしょく)が可能な型式を設定することで、より安全で、より低コストな田植え作業を可能としています。
(野菜作商品)
野菜産地では若い後継者が多く、軽労化と効率を重視した経営を行っており、このような農家からは効率の良い全自動野菜移植機が求められています。キャベツ栽培とスイートコーン栽培の両方に力を入れる多角経営化も見られることから、高能率でキャベツとスイートコーンの作業体系に適応した歩行型全自動野菜移植機「PVZ100-90WL」を投入しました。
スイートコーンの栽培体系である1うね2条(条間35㎝前後)に往復2条で対応できるトレッドを採用、キャベツの1うね60㎝の栽培体系にもトレッドを調整することで適応可能としています。
当社は、「ISEKIレポート」等において当社グループの研究開発の考え方、活動、知的財産戦略等について情報開示を行っております。「特許行政年次報告書」(特許庁編)によれば、日本における分野別登録数(2014年までは分野別公開数)及び全産業を対象とした特許査定率において上位を維持し続け、2024年度は分野別登録数で第2位となりました。
(分野別登録数・分野別公開数の年度別推移)
※ 特許査定率 = 特許査定件数 / (特許査定件数 + 拒絶査定件数 + 取下・放棄件数)
取下・放棄件数 … 拒絶理由通知後に取下げまたは放棄した件数
2023年度は、特許登録件数が公表基準に満たないため、当社の特許査定率は公表されていません。
また、自動化、電動化等の先端技術の研究開発に伴い、これらの発明提案が全体の約60%まで増加しており、先端技術能力の底上げが図られています。そして、市場を席巻するレベルの技術を「スーパー・アイ」と位置づけ、この「スーパー・アイ」の技術を創出することにより競争優位性や収益の向上を目指します。