第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は、自分の想いをどんな形であれ表現し、自分らしく生き、人々と交流することが人生をより豊かにすると考えます。このような人々を表現者(クリエイター)と位置づけたうえで、当社は「世界中の人々を表現者にする」企業となることを目指します。

そのために、「クリエイターに品格を伴った価値を提供するという、利他的な動機を基にした行動」という規範のもと、創作活動を加速させる魅力的なクリエイティブオーディオ機器の開発を推し進めるとともに、より多くの人々に当社を認知してもらい、かつ既存顧客の満足度を高めるべく、ブランド価値の向上に努めます。

また、適正で安定した利益還元によって株主の期待に応えるとともに、技術革新に対する投資を積極的に行います。更に、コンプライアンス、透明性、環境への配慮を重視することで企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループでは、持続的な成長と適正な利益の確保のための指標として売上高及び営業利益を、また、資金の効率的な運用を実現するための指標として株主資本利益率(ROE)及び投下資本利益率(ROIC)を、重要な指標と考えております。

 

(3) 経営環境

当社グループが属する楽器関連機器業界においては、コロナ特需の2021年をピークに下方傾向にあり、旅行やレジャー等の体験消費が旺盛なことや中古市場が拡大傾向にあること、世界的なインフレに伴う特に若年層の可処分所得の減少や金利差を背景とする急激な為替レートの変動により市況感が低迷していることから需要が減少しており、先行きの不透明な状況が続いております。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中長期的な経営ビジョンとして、「“進化”と“挑戦”により、より多くの自己表現を支える」を掲げ、当社製品のターゲットユーザーを楽器の演奏をするミュージシャンに限定せず、広く創造活動をするクリエイターと位置づけることにより、製品カテゴリーを拡げることで成長シナリオを描いております。一方で、ハンディオーディオレコーダー、マルチエフェクターやデジタルミキサーといった既存の製品カテゴリーにつきましても、引き続き新製品を投入し、持続的な成長を目指してまいります。すなわち、製品カテゴリーを入れ替えていくのではなく、実績ある従来製品で安定した事業基盤を確保しつつ、新たな製品カテゴリーを加えていく、という経営戦略を掲げております。

加えて、開発標準化・最適化や効率的なプロモーション活動による利益率向上、部品納期短縮と販売子会社との連携強化による在庫最適化がもたらす回転率向上、AIやDXを活用した生産性向上という3つの効率化により、収益率を強化します。

また、2021年1月に株式会社フックアップを子会社化したことにより、音楽用電子機器のディストリビューション・ビジネスを営む基盤が、日米欧に揃いました。ズームブランドの成長に加えて、第二の収益の柱として育成してまいります。M&Aを含めた成長のために必要な投資については、継続的に実施していく予定であります。

当社は、上記方針を踏まえ、2024年度から2026年度までの中期経営計画「第4次中期経営計画2024-2026」を策定し、2026年度の数値目標を、連結売上高220億円、連結営業利益22億円と定めました。しかしながら、米国相互関税によるコストの上昇や競争環境の激化など、事業環境が当初の想定を大きく超えて変化したことに加え、予定していたM&Aの不成立もあり、当初計画と実績の乖離が生じております。これを受け、当社は、収益力の回復を最優先課題とする経営判断を行い、同数値目標を連結売上高175億円、連結営業利益6.5億円に修正いたしました。また、資本効率指標の目標値(ROE10%以上、ROIC10%以上、PBR1倍以上)については、2026年度での達成は困難な見通しですが、資本効率を重視する経営方針に変更はなく、引続き中長期的な指標として維持してまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当面は不透明な外的要因が続くことを前提に、安定的、持続的に事業を拡大するため、下記のような課題に優先的に取り組んでまいります。

 

当連結会計年度においては厳しい業績結果となりましたが、その背景には、ハンディオーディオレコーダー市場を取り巻く事業環境の変化や、米国における追加関税の影響など、事業運営の前提条件に関わる変化が存在しています。これらは一過性の要因ではなく、今後の事業運営においても継続的に影響を及ぼすものと認識しております。このような状況を踏まえ、当社は現状を「有事」と位置付け、経営として最優先で対処すべき課題を二点に集約し、集中的に取り組んでまいります。

① 市場構造の変化を踏まえた成長戦略の再構築

ハンディオーディオレコーダー市場では、汎用的な録音用途の価値がスマートフォンやワイヤレスマイクへと移行する構造変化が進行しており、従来、汎用用途を担ってきた廉価な製品を中心に、市場環境は以前に比べて厳しさを増しています。当社はこの変化を一時的な需要調整ではなく、市場構造そのものの変化として受け止めています。当社は中期経営計画において、新技術の活用や製品エコシステムの構築等の方向性を示してきましたが、市場構造の変化が想定以上のスピードで進行したことにより、従来の延長線上の取り組みでは十分ではないとの認識に至りました。このため2026年はこれまで示してきた方向性を前提に、商品企画・技術開発・事業展開を一体で再設計し、成長に向けた取り組みを集中的に進める年と位置付けています。価値提供のあり方の転換、及び収益源の分散を進めることで、中長期的に安定した成長を実現するための基盤構築に取り組んでまいります。

②  利益を確保するための収益構造の再構築

米国における追加関税や為替変動などの外部要因は、当社の収益構造に大きな影響を及ぼしており、今後も高い不確実性を伴うものと認識しております。当社は、2025年に実施したリストラクチャリングや資産評価の見直しを通じて損益分岐点を引き下げ、外部環境の変化を織り込んだうえで利益を創出できる体制への転換を進めております。2026年以降は、この収益構造を前提に、外部環境の変動を織り込んだうえでも利益を確保できる、より筋肉質で持続可能な事業運営を確立することを最優先課題として取り組んでまいります。

企業の持続的成長に不可欠な人材育成については、継続的な取り組みが求められるため、より実務的な育成プログラムを社内で立ち上げるなど、長期的な成長を支援する体制を強化してまいります。今後も、社員一人ひとりのスキル向上とキャリア成長を促進する取り組みを積極的に推進してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続きについて、事業と密接に結びつくことからコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。サステナビリティ全般における課題については、当社取締役会においても協議し、今後のサステナビリティ活動に取り組んでまいります。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2) 戦略

当社の経営方針・経営戦略などに影響を与える可能性のあるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組として、開発される商品にアクセシビリティ(誰にでも使用可能なユーザーインターフェース)を確保し持続可能な社会の実現に努めております。また、地球環境に関する課題として、商品輸送時のCO2排出量削減、ペーパーレスなどを意識し、取扱説明書、乾電池、ビニール袋などの同梱物を極力排除し、リサイクル可能な環境配慮型の個装箱設計を推進しております。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

① 人材育成方針

当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境の整備に関する方針は、従業員の最大限の能力を発揮できるよう、年1回の「自己申告書」の提出を通じて各従業員から意見のくみ上げを行い、活力ある職場環境や企業風土の醸成に努め、適性のある人材を管理職として登用していくことを基本方針としております。

具体的には、技術を極めるプロフェッショナル職とプロジェクトを率いるマネジメント職を選択できる複線型人事制度を2025年に導入しております。更に若手~中堅社員を中心に推進するプロジェクトチームを多数結成し、プロフェッショナル社員が横断的に技術品質を担保することで、更にプロジェクトチームの拡大が見込まれます。これにより、組織の開発力を強化するとともに、社員のモチベーション向上も期待できます。

② 社内環境整備方針

誰もが働きやすい環境づくりのための、フレックスタイム制に加えテレワークを可能とする体制の整備や、ITツールを活用した業務の効率化、ハラスメント研修の開催、年次有給休暇や産休・育児休業の取得奨励などに取組み、職場環境の整備・改善を図ることにより離職率の低下を目指しております。

なお 、2025年12月期は男性2名、女性2名が育児休業等・育児目的休暇を取得しており、取得した社員の職場復帰率は男女とも100%であります。また、有給休暇の取得率は99.6%、離職率は6.0%(会社都合除く)となりました。

 

(3) リスク管理

当社では、サステナビリティ経営の推進及び経営に係る各種リスクが、各部門で行われる定期ミーティングなどで認識された場合には、毎週1回開催される経営会議において、短期、中期及び長期的な問題点、更には潜在的リスク等について確認し、議論が行われ、対応が必要とされた事項については、適宜取締役会に諮り議論されながら、事業活動を行っております。また、ファブレス製造業者として事業を継続していく上で、BCP策定が重要な事項の一つと考えており、BCPコミッティーを設置し、策定に取り組んでおります。具体的なリスクの評価と選定につきましては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(4) 指標及び目標

当社は、「(2) 戦略 ① 人材育成方針 ② 社内環境整備方針」に記載の各取組みを推進することにより職場環境を改善し、離職率の低下を目指してまいります。具体的な指標としましては、2027年度までに年次有給休暇取得率を90%、育児休暇からの職場復帰率を100%とし、離職率5%以下を達成することを目標としております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。これらのリスクのうち、既に顕在化しているあるいは顕在化の可能性が高いものについては、リスク項目の右側に「※」を付しております。

文中の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 外部経営環境

① 為替の変動 ※

当事業年度における当社(提出会社)の売上高6,850,967千円のうち、5,635,297千円と約82%を占める海外への売上高は主に米国ドル建であり、加えて、生産委託先からの仕入高についても米国ドル建であるため、為替相場の変動は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。具体的には、売上高及び仕入高については、それぞれ販売及び仕入れをした日のレートで円換算されるため、同レートに応じて円換算後の売上高と売上総利益が増減いたします。すなわち、円高となった場合は売上高と売上総利益が減少いたします(円安の場合は増加)。

なお、現地の販売代理店として、イタリアに本社を置くMogar Music S.r.l.、ドイツに本社を置くSound- Service Musikanlagen-Vertriebsgesellschaft mbHが連結子会社となっていることから、ユーロの変動についても当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、棚卸資産の評価基準として総平均法を採用しているため、円高傾向が継続した場合、売上原価は過去の円安時に円換算された仕入価格の影響を受けることから、売上原価率が上昇する傾向にあります(円安傾向が継続した場合は下落)。

更に、当社の外貨建資産と外貨建負債のほとんどが米国ドル建であるため、為替相場の変動に応じて為替差損益を計上する可能性があります。

当社では、円高のリスクを取込んだうえで予算を作成すること、米国ドル建資産と米国ドル建負債のバランスを保つこと、及び一部米国ドル建て売掛金に対して為替予約を行うことにより、当社グループとして上記リスクに対応しております。

② 各国の経済状況及び市場の動向 ※

当社グループの製品は世界各国で販売されているため、各国の経済状況や競合他社との価格競争を含む市場の動向に大きな変化がみられた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

特に、当社グループの顧客には比較的若いユーザーが多いため、主に先進国で見られる少子化は将来の顧客数に影響を与える可能性があります。

また、趣味の多様化により当社グループの製品カテゴリーの対象顧客が減少する可能性があります。

更には、ミュージシャンやクリエイター等がターゲットユーザーである製品が多いため、限られたユーザーの動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、新しい製品カテゴリーを継続して開拓していくことを戦略目標の一つとすることにより、上記リスクに対応しております。

③ 競合 ※

スマートフォンが携帯音楽プレーヤー、カメラや携帯電話の市場を取込んだように、技術革新や新しいコンセプトの製品の誕生により、思いもよらない製品が将来当社製品の競合となる可能性があります。

また、資金力や技術力がある企業が、新たに当社グループの製品が属するカテゴリーに参入することにより、競争が激化する可能性があります。

当社グループでは、商品開発5か条に基づき他社製品にはないユニークでオリジナリティのある製品を継続して開発することにより、上記リスクに対応しております。

 

④ 法的規制 ※

当社グループは日本国内において電波法、会社法、法人税法、独占禁止法、個人情報保護法、製造物責任法、景品表示法など様々な法的規制を受けております。これらの法改正や新たな法的規制が設けられる可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは製品を世界各国の販売代理店を通じて販売しているため、各国の現地の法的規制を遵守するよう努めております。しかしながら、現地の法的規制が改正又は新たに設定された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

なお、関税について、現在、米国政府は海外からの輸入品に対して追加の関税を賦課する政策をとっております。当社の生産委託先は全て中国又は東南アジアであり、相互関税が付加される状況となっており、既に売上原価の増加といった影響が顕在化しております。一方、相互関税については2026年2月20日に米国最高裁において違法の判決が下されたものの、税還付の時期や現政権による代替的な貿易保護政策の導入可否については予断を許さない状況にあります。関税対象が更に拡大する可能性もあり、その場合には、米国市場においてコスト競争力が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、現地販売代理店又は会計・法律事務所から、法改正や新たなる規制の導入についての最新の情報を継続的に入手し、リスクの高い項目については事前に対応策を検討すること等により、上記リスクに対応しております。

特に税務については、海外の税法に関する知識不足や見解の相違が原因で、当社又は子会社の税務申告が否認され追徴課税されること等により巨額の損失が発生する可能性があるため、移転価格税制やタックスヘイブン税制等税務リスクが高い分野について専門のコンサルタントから助言を受け、事前にリスクを低減するよう努めております。

⑤ 原材料の調達

当社の製品は、機種により数十から数千個から成る部材で構成されております。ある機種の部材が一つでも調達ができなくなった場合には、当該機種の製品が生産できなくなることから、全ての部材について十分な在庫の確保に努めております。何らかの理由により特定の部材の購入が困難となった場合、必要な数の製品が生産できず販売機会損失が発生することから、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、重要な部材については十分な量の在庫を保有することに加え、複数の調達ルートや代替となる部材を確保すること等により、上記リスクに対応しております。

⑥ 戦争、テロ、感染症又は自然災害等 ※

当社グループは、開発拠点を日本に、生産拠点を中国及び東南アジアに、販売拠点を日本及び海外に置いております。これらの拠点において、地震、水害等の自然災害、新型コロナウイルス・新型インフルエンザ等の感染症や疫病の発生、戦争・テロ又は第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。

当社グループでは、一定規模の災害等を想定したリスク対応策を講じておりますが、こうしたリスク等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 新製品開発及び製造

① 製造物責任

当社グループは製品の開発、製造及び販売に当たり、適切な品質管理の実施に努めておりますが、予期せぬ欠陥が生じることによりリコールや訴訟が発生する可能性、また、その後のレピュテーションリスクやブランド力の毀損のリスクが考えられます。

更に、製造物責任賠償保険に加入しているものの、保険で賠償額が十分にカバーされなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、品質管理部門において品質管理を一元化するとともに、週次で品質管理ミーティングを開催し問題が深刻化することを未然に防止することにより、上記リスクに対応しております。

② 新製品開発 ※

当社グループは世界初のユニークな製品を開発することを目指しておりますが、期待どおりの成果が得られず製品化を断念した場合、あるいは開発の遅延により予想外の追加コストが発生した場合や販売開始が遅れた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、週次で開発会議を開催し進捗をコントロールするとともに、複数の新製品開発を同時並行で行うことでリスクを分散することにより、上記リスクに対応しております。

③ 生産コストの上昇 ※

当社グループの生産は、中国及び東南アジアにあるEMS企業へ委託しているため、今後EMS企業の所在地の人件費や物流費用の上昇等の理由により生産コストが上昇する可能性があります。

当社グループでは、必要に応じて製品出荷価格の値上げを行うほか、特定の国に偏重しないようEMS企業を選定することにより、上記リスクに対応してまいります。

 

(3) 知的財産権 ※

当社グループでは、製品の開発にあたり知的財産権を使用することから、知的財産侵害の指摘を受け他社との間で紛争や訴訟が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、新製品開発に当たり他社の知的財産権の調査を行い、特に新製品で使用する技術が他社の特許権を侵害しないか、新製品の名称が他社の商標権を侵害していないか、に留意して調査することにより、問題の発生の防止に努めております。

また、当社グループが保有する商標権や特許権等の知的財産が侵害されることにより市場において当社ブランドとの混同や模倣製品が流通すること等によって、当社のブランド価値に毀損が生じることにより、中長期的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、知的財産の侵害を発見した場合には決して容認せず、毅然とした態度で法的措置等を含めた対応をとることにより、上記リスクに対応してまいります。

 

(4) 海外の販売代理店への依存

当社グループの海外売上高比率は83.3%(2025年12月期)と非常に高く、その全ては海外の販売代理店経由の売上となっております。販売代理店が子会社である北米、南欧及び中欧を除き、各国での当社製品のプロモーションや営業活動は、原則として当該国担当の販売代理店が独自で行うため、各販売代理店の販売戦略等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、主要な販売代理店との契約終了や関係の悪化が、小売業者や顧客の喪失、競合他社へのノウハウの流出、当社グループの営業力の減退をもたらし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

更に、販売代理店に対するモニタリングが不十分であった場合、当社グループの評判又は信用が毀損し、又は小売業者や顧客との関係を悪化させ、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、主要な代理店については定期的にミーティングを行うとともに、新製品について各主要代理店の営業担当に対しトレーニングを行うことでコミュニケーションの円滑化を図ることにより、上記リスクに対応しております。

 

 

(5) 人材の確保と育成

当社グループの製品は、競合商品の出現や技術革新により販売台数が減少する傾向にあることから、持続的な成長のためには継続的に新製品を開発し、発売していくことが不可欠となります。製品開発に当たってはエンジニアの数と質が制約条件となるため、優秀なエンジニアの確保と継続的な人材の育成に努めてまいります。

しかしながら、我が国では若年層及び生産年齢人口が減少の一途を辿っていることもあり、優秀な人材の確保や育成が予定どおり進捗しない場合や優秀な人材の流出が続いた場合、競争力の低下や事業計画の予定どおりの遂行ができなくなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、エンジニアについては新卒採用の間口を広げるとともに、学生との接点を増やすことにより毎年必要な新卒を継続的に採用し、大学院派遣やジョブローテーションを実施し、スキルアップを図ることにより人材を育成するとともに、必要に応じて中途採用を行うことにより、優秀な人材の確保に努めております。

 

(6) システムトラブルと情報漏洩

当社グループは、生産管理、部品や製品の発注、在庫管理、販売管理に基幹システム及び情報システムを利用しております。これらのシステムが、不正アクセスやシステムの不具合、自然災害等により、アクセスできなくなる等の障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、業務を通じて取引先の機密情報やユーザーの個人情報等を保有しており、これらの情報を保護するために個人情報保護等の規程の整備を含めた情報セキュリティ体制を構築、運用しております。

しかしながら、コンピューターウイルスの感染やパソコンの盗難等の不測の事態により機密情報が漏洩した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、システムのバックアップやファイアウォールの設定等不正アクセスを防止するための措置を講ずるとともに、定期的にセキュリティの見直しを行うこと等により、上記リスクに対応しております。

 

(7) レピュテーションリスク

当社グループの製品は主として個人向けであり、スマートフォン、タブレット及びパーソナルコンピューターとの連携を前提とした製品も多いため、ネットリテラシーの高いユーザーが多く、ユーザーからの感想や要望がソーシャルメディアやブログ等に多くあがっております。事実の有無にかかわらず、インターネット上で当社若しくは当社製品への誹謗・中傷が広がった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、ソーシャルメディア運用管理規程等を定め、いわゆる“炎上”が起こらないように注意することにより、上記リスクに対応しております。

 

(8) 売掛金の回収リスク

当社グループの主要取引先に対しては、主として売上の1か月から2か月分の与信を設定しております。取引先には、有力な卸、小売店又は販売代理店が多いため売掛金残高も多額となるケースがあり、倒産等により売掛金の回収が不可能となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、主要取引先に対しては定期的に信用調査を行うなど慎重に与信管理を行うことに加え、一部販売先の売上債権に対して金融機関の保証ファクタリングを利用することにより、上記リスクに対応しております。

 

(9)重要な訴訟

当社グループの製品は世界中で利用されているため、様々な理由で訴訟の提起を受ける可能性があり、その場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、コンプライアンス規程及びコンプライアンス・マニュアルを制定し、法令及び契約の遵守に努めることにより、上記リスクに対応しております。

 

(10)業績の季節変動 ※

当社グループの主たる市場である欧米においては年末商戦における需要が強いことから、当社グループの売上及び利益は上期に比べて下期に増加する傾向があります。このため、為替の変動や生産コストの上昇等何らかの理由により下期の売上及び利益が予想を下回る場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、ウクライナや中東地域をはじめとする地政学的リスクの高止まりが、エネルギー価格や物流コストの不安定化を招き、景気の下押し圧力となりました。また、主要な市場である米国においては、通商政策の変化に伴う関税強化や貿易摩擦の再燃などにより、先行きの不透明感が一段と強まりました。我が国経済においても、円安基調の継続による原材料価格の高騰や物価上昇が家計を圧迫し、個人消費が伸び悩むなど、依然として予断を許さない状況が続いております。

当社グループが属する楽器関連機器業界におきましては、コロナ禍の特需の反動による在庫調整が継続したことに加え、世界的な物価高を背景とした消費者の節約志向により、趣味・娯楽への支出が抑制されるなど、厳しい販売環境で推移いたしました。

このような環境の下、期首想定を上回る事業環境の悪化が上半期を通じて顕在化いたしました。当社グループの業績につきましては、国内及び欧州市場は比較的堅調に推移したものの、最大の市場であり利益率が高い北米市場において、相互関税の影響及び個人消費の減退に伴う販売不振に見舞われ、売上高及び売上総利益が当初想定を大きく下回る結果となりました。

当社グループはこの事態を重く受け止め、これを「有事」と認定したうえで、年度途中から事業運営の前提を見直し、各種対応を進めることとなりました。以下は、その判断に至るまでの経過と、判断後に実施した主な取り組み及びその成果になります。

 

「取り組み1」市場構造変化を踏まえた製品戦略の検証と見直し
 ハンディオーディオレコーダー市場では、ワイヤレスマイクの普及やスマートフォンの録音性能向上により、汎用的な録音用途の価値が他デバイスへ移行する構造変化が進行しております。一方で、音楽用途や高音質・高信頼性を求める用途、業務用途など、録音品質や信頼性そのものが評価軸となる領域では、引き続き一定の需要が存在しているものと認識しております。

 こうした市場環境を踏まえ、高音質録音を明確な価値とするStudioシリーズを投入し、販売は堅調に推移しました。一方、汎用用途を主眼としたEssentialシリーズについては、市場における価値軸の変化との乖離が顕在化しました。このため、ファームウェアアップデート、プロモーション・マーケティング施策、バンドル販売の拡大などの対応を講じましたが、需要構造の変化の大きさを踏まえると、既存製品を前提とした対応には限界があり、かつ効果の発現に一定期間を要することから、販売は想定を下回る結果となりました。

 これらの結果を通じて、当社は、従来の製品構成や価格帯を前提とした事業運営には見直しが必要であるとの認識に至り、成長が見込める領域に経営資源を再配分するための事業構造の再定義に着手しました。

 

「取り組み2」関税影響の顕在化を踏まえた収益管理の見直し
 米国向け製品において追加関税の影響が本格化し、当社の収益性に大きな影響を与えました。当初、関税については、中国とその他アジア地域との間で関税水準に大きな差が生じる前提での適用を想定しており、関税影響の緩和を目的として生産地移管を進めるとともに、販売価格の調整など既存施策による対応を実施しました。

 しかしながら、実際には地域間の関税差は当初想定より限定的であり、かつ税率水準自体も高水準で推移したことから、生産地移管による短期的なコスト吸収効果は想定を下回る結果となりました。この結果、外部環境の変動が収益性に与える影響の大きさが改めて顕在化しました。

 これらを受け、当社は、外部要因の変動をより前提とした収益管理の必要性を認識し、事業運営上の不確実性を低減するための対応を進めてまいりました。

 

 

 「取り組み3」有事対応としての組織再編及び事業基盤の整理
  上記の環境変化を受け、有事対応の一環として、組織体制及びコスト構造の見直しに着手しました。本社機能を中心としたリストラクチャリングを実施する一方で、将来の成長に不可欠な開発の中核リソースについては維持・強化を図り、メリハリのある組織運営を推進してまいりました。

 また、北米事業を担うZoom North America LLCにおいては、市場環境や事業見通しの変化を踏まえ、将来の収益計画との整合性を図る観点から、保有資産の評価見直しを行い、のれんの減損処理を実施しました。これにより、資産価値を実態に即した水準へと適正化するとともに、次期以降の収益性を改善し、将来的な追加損失のリスクを低減させております。

 これらの取り組みにより、当連結会計年度には一時的な費用負担が生じたものの、損益分岐点の引き下げと事業運営の効率化が進み、次期以降に向けて、より持続可能な事業基盤の構築を図ることができました。

 

 上記の構造改革に伴い、割増退職金の支払いや棚卸資産の処分に伴う損失、及び将来の収益性の低下に鑑みたのれんの減損損失など、合計10億円弱の特別損失を計上いたしました。

 この結果、営業利益以下の各段階利益につきまして、誠に遺憾ながら損失を計上するに至りましたが、今回の措置により次期以降の固定費削減及び資産の健全化が図られたものと考えております。

 

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,437,011千円(前期比3.5%減)、営業損失は56,959千円前期は営業利益531,518千円)、経常損失は231,076千円前期は経常利益554,189千円)、及び親会社株主に帰属する当期純損失は1,728,030千円前期は親会社株主に帰属する当期純利益40,876千円)となりました。

当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。製品カテゴリー別の説明は以下のとおりであります。

 

(ハンディオーディオレコーダー)

ハンディオーディオレコーダーは、音楽・業務用途など録音品質や信頼性が重視される領域で需要が引き続き堅調であり、そのニーズを的確に捉えた新製品「Studio シリーズ」は好調な販売を記録し、当カテゴリーの新たな柱となっています。一方、スマートフォンの性能向上等により、手頃な価格が特徴の「Essential シリーズ」は苦戦を強いられ、各種販促施策を講じたものの想定を下回る結果となりました。さらに欧州等の地域で前期の旧Hシリーズ最終販売に伴う反動減もあり、売上高は3,665,596千円(前期比5.3%減)となりました。

(デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー)

デジタルミキサー/マルチトラックレコーダーは、2025年9月から新製品3機種を順次市場へ投入いたしました。これら新製品の立ち上がりは概ね堅調に推移したものの、既存製品の販売減少分をカバーするまでには至らず、売上高は2,011,189千円(前期比3.3%減)となりました。

(マルチエフェクター)

マルチエフェクターは、前期に実施した「MultiStompシリーズ(MS+シリーズ)」の刷新及びラインナップ拡充に伴う需要が一巡したことに加え、低価格帯製品における競合他社との競争激化の影響を受け、売上高は1,377,868千円(前期比20.1%減)となりました。

(プロフェッショナルフィールドレコーダー)

プロフェッショナルフィールドレコーダーは、2023年以降、新製品の投入がなかったこと等により、売上高は1,075,516千円(前期比25.4%減)となりました。

(ハンディビデオレコーダー)

ハンディビデオレコーダーは、2022年以降、新製品の投入がなかったこと等により、売上高は465,149千円(前期比21.8%減)となりました。

(Mogar取扱いブランド)

Mogar取扱いブランドは、現地通貨ベースの売上高は前年同期並みとなったものの、ユーロに対する円安進行の影響を受け、売上高は1,254,611千円(前期比3.1%増)となりました。

 

(フックアップ取扱いブランド)

フックアップ取扱いブランドは、高価格帯製品に対する需要が低調に推移したことから、売上高は1,706,399千円(前期比8.4%減)となりました。

(Sound Service取扱いブランド)

Sound Service取扱いブランドは、「Nord Keyboards」や「LTD」の販売が好調に推移したことに加え、英国の拠点であるSound Service U.K. Limitedが、2024年10月にオーディオブランドの販売代理店であるSCV Distribution Limitedの商圏を承継したことも寄与し、売上高は4,717,466千円(前期比18.9%増)となりました。

 

なお、従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より独立した説明を省略することといたしました。

 

また、財政状態については、当連結会計年度末の資産合計は18,743,778千円となり、前連結会計年度末と比べ1,344,098千円減少しました。これは主に、流動資産が308,678千円、固定資産が1,035,420千円減少したことによるものであります。

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ308,678千円減少し、14,656,341千円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が291,589千円減少したことによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,035,420千円減少し、4,087,436千円となりました。これは主に、工具、器具及び備品が71,257千円、投資有価証券が216,885千円増加した一方で、償却の進行や一部減損損失の計上によりのれんが1,100,454千円減少したことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ354,100千円増加し、8,114,787千円となりました。これは主に、買掛金が81,397千円減少した一方で、短期借入金が723,390千円増加したことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ496,670千円減少し、3,208,662千円となりました。これは主に、長期借入金が466,566千円減少したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,201,528千円減少し、7,420,327千円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が349,683千円、非支配株主持分が323,948千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が1,874,341千円減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ253,300千円減少し、3,034,649千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により増加した資金は601,939千円(前年同期は584,571千円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を1,221,342千円計上した一方、減価償却費368,594千円、のれん償却額475,158千円及び減損損失862,626千円を計上したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により減少した資金は690,113千円(前年同期は241,611千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出398,839千円及び関係会社株式の取得による支出216,885千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により減少した資金は113,086千円(前年同期は15,111千円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額656,620千円があった一方、長期借入金の返済による支出509,742千円及び配当金の支払額135,100千円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ. 生産実績

当社グループは、外部に製造を委託しており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

ロ. 製品仕入実績

当連結会計年度における製品カテゴリー別の仕入実績は次のとおりであります。

製品カテゴリーの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

金額 (千円)

前年同期比 (%)

ハンディオーディオレコーダー

1,180,558

51.3

デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー

1,061,127

108.8

マルチエフェクター

878,821

94.4

ハンディビデオレコーダー

445,330

476.6

プロフェッショナルフィールドレコーダー

307,477

84.9

Mogar取扱いブランド

863,533

109.8

フックアップ取扱いブランド

1,156,951

83.3

Sound Service取扱いブランド

3,831,799

114.6

その他

1,189,835

105.1

連結消去額

△10,141

10.3

合計

10,905,295

97.2

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

2.当社グループの製品は、当社ブランドの製品については全て生産委託しております。

3.従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より「その他」に含めております。

 

ハ. 受注実績

当社グループは、需要予測による見込みで販売数量を決定しており、受注生産の形態を採っておりません。

 

ニ. 販売実績

当連結会計年度における製品カテゴリー別の販売実績は次のとおりであります。

製品カテゴリーの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

金額(千円)

前年同期比 (%)

ハンディオーディオレコーダー

3,665,596

94.7

デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー

2,011,189

96.7

マルチエフェクター

1,377,868

79.9

プロフェッショナルフィールドレコーダー

1,075,516

74.6

ハンディビデオレコーダー

465,149

78.2

Mogar取扱いブランド

1,254,611

103.1

フックアップ取扱いブランド

1,706,399

91.6

Sound Service取扱いブランド

4,717,466

118.9

その他

1,163,213

88.4

合計

17,437,011

96.5

 

(注) 1.従来独立したカテゴリーとして記載しておりました「マイクロフォン」「ボーカルプロセッサー」及び「オーディオインターフェース」につきましては、直近の販売実績の推移及び今後の開発計画を鑑み、重要性が低下したことから、当連結会計年度より「その他」に含めております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Thomann GmbH (注)

2,778,556

15.4

2,907,458

16.7

Amazon.com, Inc. (注)

3,308,222

18.3

2,837,755

16.3

 

(注) 当該顧客と同一の企業集団に属する顧客への販売実績を集約して記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。

イ. 棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の保有期間及び将来の需要予測に基づき検討した結果、正味売却価額が帳簿価額を下回るものについては商品評価損を計上しておりますが、想定よりも実際の市況が悪化した場合は追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

ロ.貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、取引先の財務状況が悪化しその支払い能力が低下した場合又は債権が回収不能となった場合、追加の引当又は損失の計上が必要となる可能性があります。

 

ハ. 繰延税金資産

繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性を慎重に検討し、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

ニ.のれん

当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。

 

② 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前期比3.5%減17,437,011千円となりました。これは主に、米国市場における相互関税の影響や需要減退に加え、スマートフォン等の普及による代替需要の拡大に伴い、汎用価格帯製品の競争が激化したこと等によるものであります。

(売上総利益)

売上総利益は、前期比6.6%減6,471,003千円となり、売上総利益率は前期比1.2%減少の37.1%となりました。これは主に、相互関税による売上原価の上昇や、在庫評価基準の保守的運用により棚卸資産評価損の増加が要因となります

(営業利益)

販売費及び一般管理費は、前期比2.0%増6,527,963千円となりました。これは主に、研究開発費の増加によるものであります。

以上の結果、営業損失は56,959千円前期は営業利益531,518千円)となりました。

 

(経常利益)

営業外収益は、前期比49.8%減85,044千円となりました。これは主に、前期にあった保険解約返戻金51,050千円及び非連結子会社であるZOOM HK LTDからの受取配当金50,384千円の計上がなかったことによるものであります。一方で、営業外費用は、前期比76.5%増259,162千円となりました。これは主に、支払利息を125,061千円、及び為替差損を132,204千円計上したことによるものであります。その結果、経常損失は231,076千円前期は経常利益554,189千円)となりました。

(税金等調整前当期純利益)

経常損失の計上に加え、特別損失としてのれん等の減損損失を862,626千円及び事業構造改善費用を128,003千円計上したことにより、税金等調整前当期純損失は1,221,342千円前期は税金等調整前当期純利益554,188千円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,728,030千円前期は税金等調整前当期純利益40,876千円)となりました。これは法人税等の計上に加え、非支配株主を抱える子会社(Mogar Music S.r.l.、Sound-Service Musikanlagen-Vertriebsgesellschaft mbH及びSound Service U.K. Limited)の当期純利益等の49%を、非支配株主に帰属する当期純利益に139,214千円計上したことによるものであります。

(経営上の目標達成状況)

  中期経営計画「第4次中期経営計画2024-2026」において、2026年度の数値目標を、連結売上高220億円、連結営業利益22億円としておりました。しかしながら、計画していた大型M&Aが不成立したことに加え、米国市場における通商政策(相互関税)の影響や需要減退、更にはスマートフォンの普及に伴う顧客ニーズの多様化といった構造的な変化に直面しました。これら外部環境の急変を受け、2025年度の販売実績は当初計画を大幅に下回る結果となりました。

 こうした環境変化に対応し、持続的な成長基盤を再構築するため、当社グループは既存事業の効率化及び不採算領域の整理といった構造改革にリソースを最優先で配分し、収益力の回復を喫緊の課題として取り組んでおります。具体的には、損益分岐点を大幅に引き下げることで、売上高が2025年度と同水準であっても安定的な利益を創出できる財務体質への変革を推進しております。以上の状況を鑑み、中期経営計画の最終年度である2026年度の目標数値を、連結売上高175億円、連結営業利益6.5億円へと見直しております。

 なお、本計画における資本効率性の指標(2026年度のROE及びROIC 10%以上)につきましても、現時点では2026年度中の達成は困難な見通しとなりました。

 しかしながら、資本効率を重視する経営方針に変更はなく、中長期的な達成目標として維持してまいります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当社グループの主な資金需要は、製品の仕入れ、人件費や外注先への支払等の営業費用及び金型等の設備投資であります。これらの資金需要は自己資金を充当し、不足が生じる場合は金融機関からの借入で調達を行っております。なお、取引金融機関との関係は良好であり、当座貸越枠を確保していることから、充分な資金流動性を確保していると考えております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると考えております。中でも為替の変動リスクについては、当社グループの売上高は米国ドル建て又はユーロ建てが多いことから、当社グループの業績へ与える影響は特に大きいと考えております。加えて、米国における新政権の経済・通商政策の不確実性や、世界各地で高まる地政学的リスクが、グローバルな需要動向やサプライチェーンに予期せぬ停滞を招く懸念があります。 今後の政治・経済動向には不透明な要素が多く、これらの変化が当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5 【重要な契約等】

(財務上の特約が付された金銭貸借契約書)

当社が締結している、財務上の特約が付された金銭貸借契約(シンジケートローン契約)は下記のとおりであります。

(1) 契約締結日

2023年1月11日

(2) 金銭貸借契約の相手方の属性

都市銀行及び信託銀行

(3) 金銭貸借契約に係る債務の期末残高及び弁済期限並びに当該債務に付された担保の内容

① 期末残高 1,995,370千円

② 弁済期限 2033年1月17日

③ 当該債務に付された担保の内容 担保なし

(4) 財務上の特約の内容

① 借入人は、借入人の各年度の決算期の末日における借入人の連結の貸借対照表における純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日又は2021年12月に終了する決算期の末日における借入人の連結の貸借対照表における純資産の部の金額のいずれか大きい方の70%の金額以上にそれぞれ維持することを確約する。

② 借入人は、借入人の各年度の決算期に係る借入人の連結の損益計算書上の経常損益に関して、それぞれ2期連続して経常損失を計上しないことを確約する。本号の遵守の対象となる最初の決算期は、2023年12月に終了する決算期及びその直前の2022年12月に終了する決算期とする。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、研究開発活動を当社に集中しており、当連結会計年度末における当社の開発人員は54名となっております。楽器演奏をはじめ、クリエイター経験の長いエンジニアが、臨場感ある音であるかどうか、心に残る映像であるかどうか、演奏の現場での使い勝手が良いかどうか等を、自身の経験とプロフェッショナルクリエーターの現場、更には販売代理店やエンドユーザーからのフィードバックを元に開発をすることにより、“ズーム”らしくかつ市場のニーズに合致した製品をいち早く製品化できるように努めております。当社が掲げる「世界中の人々を表現者にする」というパーパスと中期経営計画のビジョン「“進化”と“挑戦”により、より多くの自己表現を支える」を体現するために、(1)プロには挑戦への、アマチュアには継続へのモチベーションを提供する(2)機能、性能、価格、外観、操作性等に何らかの「世界初」を取り入れる(3)ユーザーの視点に立ち、自分でも使いたいと思える商品にする(4)デザインは機能と結びついていなければならない(5)課題解決型であり、かつ機会提供型でもある商品で新しい市場を創出する、という「商品開発5カ条」をバリューと定め、当方針をもとに研究開発活動を行った結果、当連結会計年度においては、A.I.ノイズリダクション機能を搭載したPodcastレコーダーP2及びP4next、大口径コンデンサーマイクロフォンを搭載した32bitフロートハンディオーディオレコーダーstudioシリーズ2機種(H5studio、H6studio)、32bitフロート録音技術対応の新世代のデジタルミキサーL6max、L12nextを開発・販売いたしました。

これらの活動の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,003,809千円となりました。

なお、当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 「技術とノウハウの転用」

当社グループは、下記の図に示すとおり過去の技術とノウハウの蓄積を利用して、新しい製品カテゴリーに参入してまいりました。今後も蓄積してきた技術とノウハウを活用し、新しい製品カテゴリーを開拓していく所存であります。

 

<当社グループの製品における技術の転用(例)>