第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 会社の経営の基本方針

 当社グループは2017年1月1日付で「社是」「私たちの使命」「私たちのありたい姿」「私たちの持つべき価値観」を新たに理念体系として整備し、全役員・全従業員がこれらの理念を実践、体現することを基本的な経営姿勢としております。

 当社グループは、理念に掲げた使命を果たし、ありたい姿を実現していくために、経営基盤の強化、よき企業風土の醸成、また、企業価値を高める事業戦略を打ち立て、その確かな遂行に努めていくことを経営の基本方針としております。

 

(理 念)

 社 是

昨日より今日はより良くより安く、需要者の為に各自の職場で最善を

 私たちの使命

 (ミッション)

お客さまの期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、

豊かな社会づくりに貢献します。

 私たちの

 ありたい姿

 (めざす企業像)

一.  私たちは、たゆまぬ技術革新によって、一歩先の未来を創る企業をめざします。

一.  私たちは、挑戦心と独創的な発想にあふれた闊達な風土を持つ企業をめざします。

一.  私たちは、企業活動に関わるすべての人びとと喜びを分かち合う企業をめざします。

 私たちの

 持つべき価値観

 (TOYO WAY)

公正さ 社会に正しく役立つことを旨として、私心のない公明正大な行動をとる。

誇  り 会社と仕事、自分自身に高い誇りを持ち、最後まであきらめない。

主体性 何事にも、自らが主体となって受け止め、自らが主体となって取り組む。

感 謝 人と社会に思いやりと感謝の心を持ち、誠意を込めて力を尽くす。

結束力 仲間とともに知恵と力を結集し、常に創意工夫と改良改善を続ける。

 

 

 

 ② 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

  当社グループの持続的成長を企図して策定した5ヵ年の中期経営計画「中計’21」が昨年終了しました。変化の激しい経営環境のなか迅速かつ柔軟な適応力を高めるとともに、企業として経済的価値、環境的価値、社会的価値の創造に努めてまいりました。中核であるタイヤと自動車部品の事業経営においては各機能別組織がケイパビリティの最大化と強固な相互連携によって当社独自の強みをさらに強化し、「中計’21」に掲げた経営指標(下表)は概ね達成することができました。

 

経営指標

目標数値

達成時期等

2025年度実績

連結営業利益率

14%超

2025年度

16.4%

重点商品販売構成比率

55%超

2025年度

72%

連結営業利益

600億円

2025年度

974億円

ROE

12%以上

中計’21期間中

13%

設備投資

1,940億円

中計’21期間(5ヵ年)累計

当期までの累計1,747億円

株主還元

配当性向30%以上

中計’21期間中

32%

 

 今後、関税政策や米中貿易摩擦などの地政学リスクをはじめ、原材料価格の高騰や慢性的な人手不足など、業界を取り巻く不透明要因の拡大や著しい環境変化が予想されますが、DXやAIを駆使した革新的な業務改革及び生産性向上を推進するとともに、業界屈指の経営スピードと独自性の追求をさらに推し進める5ヵ年の中期経営計画「中計’26」を基軸に据えて高利益体質を堅持してまいります。

 「中計’26」の詳細につきましては、当社ホームページ(https://www.toyotires.co.jp/ir/)をご参照ください。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

 当社グループは、「企業活動上のあらゆる働きがすべて社会と将来につながっている」という自覚を強く持ち、事業を通じた社会課題の解決、社会的価値の創出によって、自らの存在意義を追求していく方針です。

 

① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する取り組みについて、取締役会による監督の下、全社的に推進するガバナンス体制を構築しております。

(イ)監督機能

      取締役会は、サステナビリティ経営方針を承認し、当社が優先的に取り組むべき重要事項(マテリアリティ)について報告を受けております。また、サステナビリティ委員会及び経営会議での審議結果や執行状況について定期的に報告を受けることで、サステナビリティに関する戦略、目標及び取り組みの進捗状況を監督し、それらに係る意思決定や取り組みが、経営の観点から適切に行われているかを継続的に確認しております。

    (ロ)執行機能

当社グループは、サステナビリティを経営の軸として、中長期的な企業価値の向上につなげることを目的に、経営会議の下部組織として「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は、委員長を社長とし、委員は統括部門管掌役員で構成されており、サステナビリティに関する全社戦略、マテリアリティの特定、機能分担の最適化、目標・計画に対する主要KPIの達成度合い等について報告及び審議を行っております。原則として年4回開催しており、事務局は経営基盤本部ESG推進部が担当しております。

      サステナビリティ委員会で報告・審議された事項のうち重要なものについては、経営会議に報告され、執行としての最終的な意思決定が行われております。

なお、サステナビリティ委員会には、執行状況を確認する観点から、常勤監査役が出席しております。

 

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② リスク管理

 当社グループでは、マテリアリティを特定するプロセスにおいて、さまざまな環境・社会課題により生じるビジネスリスクと、それらの解決に貢献することでのビジネス機会の双方から検討を行いました。その結果を踏まえて、マテリアリティを「価値創出」「価値創出を支える基盤」「リスクマネジメント」の3領域に整理しております。

 「価値創出」領域においては、当社グループの製品・サービスにより、モビリティの環境負荷低減や安全・安心に貢献し、また、人々のモビリティライフを豊かにすることを通じてビジネス機会の拡大をめざしております。これらの取り組みについては、技術部門を中心に、関連する機能組織において具体的な対応方針を策定・整理し、その取り組み状況をサステナビリティ委員会に報告しております。

 一方、当社グループでは、全社的リスクマネジメント体制の下、事業活動を行うバリューチェーンにおいて、万が一、発生・顕在化した場合に、経営に重大な影響を及ぼすリスクを「重要リスク」と位置づけ、これらを最優先で対策していくリスク管理を行っております。マテリアリティにも特定している気候変動に伴うリスクやサプライチェーンを含む事業活動全体における人権リスクについては、コーポレート部門で重要度評価を行い、関連する機能組織と連携して対策を立案・実行するとともに、その実行状況をサステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会に報告しております。

 リスクマネジメント体制の整備の状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。

 

③ 戦略

 当社グループは、理念において、「お客さまの期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、豊かな社会づくりに貢献」することを使命(ミッション)に掲げ、この使命の実現こそが当社の存在意義であると位置づけ、経営計画はその実現に向けた指針であると認識しております。

 サステナビリティ経営の取り組みにあたっても、この認識に立ち、理念に包含されている「事業を通じた社会への貢献」や「ステークホルダーへの貢献、配慮」といった本質的な考え方を捉えながら、サステナビリティ推進の方針及びマテリアリティを議論いたしました。中長期的なビジネス機会・社会的価値とビジネスリスクの両側面からサステナビリティに関わるテーマを抽出し、当社グループの理念との関連性や取り組み状況、並びに業界課題等に照らして評価・検討を行った結果、当社が優先的に取り組むべき重要事項として7つのマテリアリティを特定しております。

これらのマテリアリティに対し、社内リソースを戦略的に投下するとともに、従業員一人ひとりが業務と関連づけてサステナビリティ課題に取り組む組織風土の醸成、マテリアリティを軸とした対外的なESG対話の充実等を通じたステークホルダーエンゲージメントの強化にもつなげております。

 

 マテリアリティに取り組むにあたっては、各マテリアリティに活動テーマを設定し、サステナビリティ委員会の下部組織として設置したサステナビリティに関する個別テーマのタスクフォース、もしくは既存の横断的組織・会議体を活用して、テーマの中長期の目標・KPI、並びにその達成に向けた取り組み計画(プロセス・施策)を策定しております。それらをサステナビリティ委員会及び経営会議で承認したのち、各統括部門の年度方針書・事業計画に組み込み、具体的な施策として実行しております。こうした運用を通じて、サステナビリティを統合的に事業経営へ落とし込み、経済的価値のみならず、社会的価値及び環境的価値の創出に努めております。

 

領域

マテリアリティ

価値創出

持続可能なモビリティ社会の実現に寄与する

豊かなモビリティライフを支え、創造する

価値創出を支える基盤

多様な人材の挑戦と働きがいを創出する

次世代モビリティの技術革新を続ける

リスクマネジメント

全企業活動における脱炭素を追求する

サプライチェーンのサステナビリティを促進する

モノづくりの根幹(品質と安全性)を守り抜く

 

各マテリアリティに係る活動テーマの目標・KPI及び取り組み計画は、事業環境や社会要請の変化を踏まえ、経営戦略との整合を図りながら継続的に見直しを行い、サステナビリティ委員会及び経営会議の承認を経たうえでローリングし、各統括部門の年度方針及び事業計画に反映させながら推進しております。

下記に示す目標・KPI及び取り組みは、2021年に設定した枠組みを基礎として、当時の事業環境等を踏まえ策定したものです。

 

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④ 指標と目標

 主要な指標と目標は下記の通りですが、これら以外のマテリアリティの進捗を管理する適切な定量指標について検討しており、順次、開示する予定にしております。

マテリアリティ

指標・目標

持続可能なモビリティ社会の実現に寄与する

Scope3:GHG排出量原単位

タイヤ1本当たりのGHG排出量について、2030年時点において2019年比20%の削減貢献をめざす。

次世代モビリティの技術革新を続ける

製品におけるサステナブル原材料使用比率

2030年に40%、2050年に100%をめざす。

全企業活動における脱炭素を追求する

Scope1, 2:GHG排出量

2030年に2019年度比46%の削減、2050年にカーボンニュートラルをめざす。

Scope3:GHG排出量原単位

タイヤ1本当たりのGHG排出量について、2030年時点において2019年比20%の削減貢献をめざす。

サプライチェーンのサステナビリティを促進する

サステナブルサプライヤー比率

2025年までに一次サプライヤーの環境・社会リスク評価実施率95%以上をめざす(2025年までに96%実施)

 

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)

 気候変動による影響が深刻化し、モビリティに対する社会的要請がますます高まるなか、モビリティ事業を事業経営の中核に据える当社グループにとって、気候変動対応は当社グループの成長を左右する最重要課題であると認識し、パリ協定が掲げる長期目標の達成に向けた温室効果ガスの排出削減やクリーンエネルギーの利活用拡大を進めております。

 また、当社はTCFD提言に賛同し、開示フレームワークに沿った情報開示を通じてステークホルダーとの対話やエンゲージメントを活性化させ、気候変動に関する取り組みを推進します。

 

① ガバナンス

 サステナビリティ委員会傘下に、品質環境安全統括役員を責任者とする「脱炭素タスクフォース」を設置し、事業活動におけるCO2削減に向けた活動計画や目標・KPIなどを議論しております。なお、タスクフォースの取り組みの進捗については、サステナビリティ委員会にて定期的に確認・モニタリングを実施しております。

 

② リスク管理

 TCFD対応を主管する経営管理本部、サステナビリティ委員会を主管する経営基盤本部 ESG推進部、脱炭素タスクフォースを主管する環境安全推進本部 環境衛生推進部を中心に、気候関連リスクの特定・評価を実施し、サステナビリティ委員会での審議を経て、当社グループとしての気候関連リスクを評価しております。

 サステナビリティ委員会の脱炭素タスクフォースを通じて、各国のGHG排出量削減目標(再生可能エネルギー導入目標を含む)や自動車の燃費規制、ガソリン車の新車販売禁止などの規制要件を注視するとともに、各リスクへの対応を主管部に促し、進捗管理を行っております。

 

③ 戦略

 気候変動が当社グループの事業活動に及ぼす影響を確認するためにシナリオ分析を実施しております。シナリオ分析にあたっては現行シナリオ(3~4℃上昇)及び移行シナリオ(1.5℃上昇)の2つのシナリオを前提に分析しました。

 分析の結果として、中長期で影響が大きいと見込まれるリスクの財務的影響及び対応策は下記の通りです。

※ 各シナリオに基づくリスクと機会の詳細については、当社ウエブサイト(https://www.toyotires.co.jp/csr/materiality/decarbonization/)をご参照ください。

(イ)気候パターンの変化に伴う天然ゴムの調達への影響

属性

気候関連事象/事業への財務的影響

影響額/発生年度

算定方法

対応策

慢性

気候パターンの変化

気候パターンの変化により、天然ゴムの木の生育可能地域変動、品質低下等の影響が生じ、天然ゴムの調達コストが増加する。

約7~約97億円

(中期:2030年)

(下限)

天然ゴム調達量×天然ゴムの上昇価格

・天然ゴム調達量は過去実績から推定した2030年時点の天然ゴム調達量。

・天然ゴムの上昇価格は、過去の大洪水発生月の価格上昇分を年間に均したもの。

(上限)

天然ゴム調達コスト増加額×天然ゴム調達量増加割合

・天然ゴム調達コスト増加額は、大規模洪水が発生した年の調達コスト増加分。

・天然ゴム調達量増加割合は、大規模洪水が発生した年から2030年迄の調達量における推定増加割合。

・タイヤ転がり抵抗低減を念頭に置いたタイヤの軽量化を推し進める事により、タイヤ1本当たりに使用する天然ゴム使用量を低減する。

・サステナブル原材料の使用比率向上に向けた取組みを継続し、使用済みタイヤ由来の再生ゴム等のリサイクル原材料を適用した商品を順次市場投入していく事で、天然ゴムの消費量を低減する。

・天然ゴムの生産現場における課題(森林減少、地域住民の権利侵害等)に対し、サプライチェーン全体で解決策を講じる事により安定した天然ゴム調達を実現する。

 

(ロ)カーボンプライシングメカニズム

属性

気候関連事象/事業への財務的影響

影響額/発生年度

算定方法

対応策

政策

カーボンプライシングの導入

カーボンプライシングの導入により、COの排出に対するコストが上昇する。

約5億円

(中期:2030年)

CO削減目標未達分×炭素税

・CO削減目標未達分は、2030年時点の当社CO目標削減量が仮に10%足りなかった場合の未達量。

・炭素税はIEAが公表する2050年Netゼロに向けて想定される2030年時点の先進国向け炭素税。

・当社グループにて、組織内外での事業活動及び製品を通じた効率的なエネルギー利用により、COの削減を継続する。

・CO削減への対策としては、ICP(社内炭素価格)を活用した製造拠点の再エネ調達、燃料転換、及び設備更新を進めていく。

約57億円

(中期:2030年)

CO排出量×炭素税

・CO排出量は、2030年時点の当社目標CO排出量。

・炭素税はIEAが公表する2050年Netゼロに向けて想定される2030年時点の先進国向け炭素税。

 

④ 指標と目標

(イ)温室効果ガス(GHG)の排出実績

(千t-CO2e)

 

 

2022年

2023年

2024年

Scope1:直接的GHG排出量

265.3

274.5

265.1

Scope2:間接的GHG排出量

ロケーションベース

253.6

280.5

244.6

Scope2:間接的GHG排出量

マーケットベース

105.8

55.2

Scope3:その他の間接的GHG排出量

13,019.8

16,388.7

14,784.5

 

(t-CO2e/百万円)

 

 

2022年

2023年

2024年

排出原単位

(Scope1+2の総量/売上高)

1.04

0.69

0.57

※算定方法:Scope2排出量については、2022年度はロケーションベース、2023年度以降はマーケットベースで算定しています。

※2025年度については、有価証券報告書の提出日現在において集計中のため、集計が完了次第、サステナビリティ情報を掲載した当社のウェブサイトにて報告予定です。

 

(ロ)温室効果ガス(GHG)排出削減目標

Scope1&2

GHG排出量   :2030年に2019年度比46%の削減、2050年にカーボンニュートラルをめざす。

Scope3

GHG排出量原単位:タイヤ1本当たりのGHG排出量について、2030年時点において2019年比20%の削減貢献をめざす。

 

(3)人的資本の拡充(人材育成、多様化推進に向けた取り組み)

 当社は、「中計'21」において、持続的な成長を支える経営基盤構築の一環として、(1)多様な人財が有機的に協働し、働きがいを持って活躍できる仕組みの整備、(2)個性と質と能力を極める育成システムの構築を掲げています。

 これに即し、国籍や性別、年齢、経歴・キャリア志向などに拘らず、多様な人財が成長・活躍できる基盤整備を推進していきます。また、採用・登用においては、能力・適性・実績に基づいた評価と最適配置を促進することで人財のベストミックスを進めました。 人的資本への投資については、人財育成、ダイバーシティ推進、ウェルビーイングな職場づくり(働き方改革)の観点から「事業経営者及び各機能のプロフェッショナル人財の計画的な育成を促進するシステム」「多様な人財が働きやすいオフィス環境や人事制度」「従業員のパフォーマンスやコミュニケーション向上に資する勤務形態・ツール」などに対して中長期的にリソースを投下する考えです。

 2026年より開始する「中計26'」においては人的資本への取組みを進化・深化させ、積極的な人的資本投資の循環により、機動力と独自性の高い少数精鋭の人財基盤を強固にしてまいります。

 なお、指標、目標は各連結子会社で従業員の規模や制度が大きく異なるため、連結グループにおける記載が困難であることから提出会社単体の記載としております。

 

① ガバナンス

 当社グループは、人財基盤の強化に向けた方針と重要な施策の方向性を組織人事委員会で協議・決定し、コーポレート統括部門経営基盤本部が責任主管として実行を主導します。サステナビリティ委員会が管轄する人財のマテリアリティに関わる活動テーマもこの方針に基づいており、その取り組みを推進するにあたっては必要に応じて組織人事委員会に諮問します。

 

② 戦略

(イ)人材育成方針

 人財は、当社グループが事業活動を通じて社会に対する価値を生み出す源泉であり、継続的事業成長を支える最重要資本であると捉え、人的資本開発の重要性を認識しています。不透明・不確実な事業環境下において複雑化・多様化する課題や困難に対して「挑戦を続けられる人財」、挑戦の先に「独自性を持って課題解決につなげられる人財」が当社の成長を支え、社会に対する新たな価値創出を可能にすると考えています。そうした人財を育成するための人事施策と投資をサイクルさせることで、当社の人財基盤を構築していく方針です。

 当社グループは、この方針にもとづき、人的資本への投資を経営戦略と一体で推進し、人財の能力及びエンゲージメントを中長期的に高めることが、企業価値の持続的向上につながるものと考えています。

 そのために、「個性と質と能力を極める育成システム」の構築の一環として研修体系を2022年に見直し、当社が経営の支柱として掲げる理念、人事制度で明示している役割期待、及び中核社員が基礎的知見として有すべき事項(DX、ESG)について十分認識を醸成するために研修内容を再編し、各階層研修にも組み込むとともに選抜型研修の刷新も行いました。各部門長・本部長を対象とする研修では、自己変革を促してマネジメント力を強化し、中長期的な課題解決に向けたリーダーシップの向上を図るとともに、中堅層への選抜型研修を通じてグローバルに活躍できる将来の事業経営候補者育成を強化しています。

 また、従業員が将来の目標に向けて意欲的に取り組めるよう、社内におけるキャリア育成方針を明確にし、従業員のキャリア開発に関する定期的なレビュー、上司・本人との面談を実施するとともに部署ごとに中長期的視点での人財ローテーションを含めた人員計画書を作成し、同計画書に基づいた人事異動を全社レベルで促進しています。

 

(ロ)ダイバーシティの推進

 当社グループでの採用・登用においては、能力や適性、実績のほか理念への共感や体現も考課項目に加え、本人の意欲を見極めた人財のベストミックス(適時適材適所の人財配置)を図っています。そして国籍や性別、年齢などにかかわらず、多様な価値観や経験を有する人財が活躍できる職場環境を整備し、ダイバーシティを推進することを、人的資本経営の重要な柱の一つとして位置づけています。

 具体的には、国内外における新卒採用及びキャリア採用を広く継続的に進めているほか、障がい者雇用や定年退職者の再雇用など多様な人財が活躍できる機会提供にも積極的に取り組んでいます。とくに、定年退職後も卓越したマネジメント力や戦略推進力を有する人財、又は特定分野のエキスパートとして技術・技能伝承に寄与できる人財が引き続き当社で活躍し、当社がその力を活用できるよう、2024年に制度の柔軟化を行いました。

 また、「ダイバーシティ&インクルージョン」をテーマにしたeラーニングや女性活躍を推進する企画として外部講師を招聘した講演会の開催など、従業員の意識改革を企図したさまざまな施策を実施しています。

(ハ)働きやすい環境の整備

 当社らしい働き方や働き場所が挑戦と独創性を育み、多様な人財、組織の能力・活力を最大化すると考えています。

 2023年、それまでのコロナ期間中に定着させた在宅勤務を選択肢に加えた新しい就業様式を制度として導入しました。また、出社時には社員が自ら働く場所を選び、集中して業務の生産性を向上させるとともに周囲との調和を図ることのできるオフィス環境を本社に整えました。働き方の選択肢を広げ、自在かつ自律的に働ける当社独自の就業様式・職場環境に対しては、9割以上の従業員が「満足している」との意識調査結果を得たほか、社外のオフィス評価団体より奨励賞を受賞しました。2025年には本社に隣接するタイヤ技術センターもオフィス改装を実施し、働く環境向上の取り組みを全社で続けています。

 2024年には、猛暑下での通勤負担軽減を目的に期間中の100%在宅勤務を推奨し、ワーク・ライフ・バランスの側面で高い従業員満足度に繋がっていることが確認できたことから、同年11月より「在宅勤務100%選択可」とする勤務態様を恒常的な制度へ更新しました。

 このほか、従業員が人生で迎えるライフイベントによる生活変化に理解を深め、仕事と生活の調和を実現する選択肢の提供に努めています。2歳以下の子の養育及び家族の介護に専念できる休業制度や男性が育児休暇を取得しやすい制度や職場環境を整え、従業員の育児・介護を支援しているほか、育児・介護やボランティア活動、妊娠・不妊治療などの事由に該当する場合には、失効した年次有給休暇を復活させて使用できる制度なども整備しています。また、事務技術拠点では労使協議の上で「ワーク・ライフ・バランス年休取得推進日」を年間で複数日設定しており、生産拠点では年間生産計画に合わせた年次有給休暇の計画的取得を進めています。直近1年間の年休取得率は71.4%(2024年4月から2025年3月の12ヶ月間での集計としています。)で、直近3年間で約11ポイント良化しています。一般事業主行動計画では、子の看護休暇の有給化や有休となる育児休業日数の拡大の検討等を対策に織り込み、性別を問わず育休取得率100%を目標として、子育て支援制度の拡充と職場環境の整備に取り組んでいます。

 今後も、働きやすい環境の整備を進め、多様な人財が能力・活力を発揮できる施策を継続的に取り組んでいきます。

 

③ 指標と目標

 当社では、女性が働きがいをもって活躍できる基盤整備を進めるべく、さまざまな指標を目安に取り組んでいます。2025年までの5年間においては、管理職候補となる係長級層の女性比率を2020年の4.7%から2025年には9.7%へと引き上げました。

 また、係長級から課長級以上の管理職層への女性登用比率は、「中計’21」期間中(2021~2025年)に同男性登用比率比の0.8~1.2倍へ引き上げることを目標に定めて取り組んだ結果、2023~2025年の3か年平均では1.24倍となっています。

 また、個人の能力向上及び組織力のさらなる強化を目的に、各種研修の体系化及び内容の充実化を進めています。スキル獲得やリーダーシップ育成といった「人財が学び、成長する機会」の充足度を確認するため、研修受講後のアンケート調査に基づく受講者満足度をKPIとして設定し、75%以上を目標としています。そして当該指標を通じて研修の有効性を確認し、研修内容の継続的な改善を図っています。

なお、2025年に実施した研修・教育の実績は下記のとおりです。

 

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3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済環境及び需要動向の影響について

 当社グループの売上高は、タイヤ事業及び自動車部品事業により構成されており、世界的な景気減速による自動車販売の落ち込みなどの自動車産業の景況は、連結業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループはグローバルな事業展開を進めており、特に北米・欧州・アジアなどの主要市場の経済状況は連結業績に影響を及ぼす可能性があります。国内需要については、景気の動向や暖冬による冬用タイヤ需要の減少に左右され、連結業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)海外投資等に関わる影響について

 当社グループは、グローバルな需要に対応する柔軟な供給体制確立のため、海外生産拠点への投資を行っております。適正な投資運用を行っておりますが、世界的な景気の変動などにより、計画とは異なる成果となることで、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外国為替変動の影響について

 当社グループの海外売上高比率は、2022年12月期80.4%、2023年12月期80.0%、2024年12月期81.5%、2025年12月期81.3%となっており、海外売上高が連結売上高の半分以上を占めております。このため為替予約などによるリスクヘッジを行っておりますが、為替変動が、連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)主要原材料価格変動の影響について

 当社製品の主要原材料は天然ゴム、合成ゴム及びその他石油化学品であります。これらの仕入価格は、原油、ナフサ及び天然ゴムの国際市況によって大きく影響を受けます。また、天然ゴムをはじめとし輸入品も多く為替変動の影響も受けます。これらに加えて、米国工場で使用する輸入原材料が米国関税政策の影響を受けることにより、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)株価変動の影響について

 当社グループは市場性のある株式を保有しております。このため全般的かつ大幅な株価下落が続いた場合、保有有価証券に減損又は評価損が発生し、連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)金利変動の影響について

 当社グループは、キャッシュ・プーリング・システムの導入等により子会社の資金調達並びに資金管理の一元化を図るなど金融収支を改善するとともに、資金調達手段の多様化や長期借入金比率を高めることにより金利変動リスクのヘッジを行っております。これらの取り組みを行っておりますが、金融環境が急速に悪化した場合や金利が中長期的に上昇した場合には資金調達コストが上昇し、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)災害等の影響等について

 当社グループは、災害等(地震・火災・風水害・疾病・戦争・テロ等)による影響を最小限にするため、設備の定期的点検の実施、有事の際の対応策の設定・訓練などの取り組みを行っております。しかしながら、大規模な災害等の発生や生産拠点及び原材料の仕入先並びに製品の納入先で災害等が発生した場合、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)製品の品質による影響について

 当社グループは、品質管理を経営の最重要課題とし、品質管理体制に万全を期しておりますが、製品の欠陥や不良が発生しない保証はありません。大規模なリコールや欠陥に起因する多額の損害賠償が起きた場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権について

 当社グループは、技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者による当社知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、第三者から、当社グループの製品又は技術が第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、その訴えが認められた場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法律・規制について

 当社グループは、経営の基本としてコンプライアンス体制の強化、内部統制機能の充実に努めております。それにもかかわらず、法律・規制を遵守できなかった場合、活動の制限やコストの増加につながり、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があり、重要な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)退職給付債務について

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて計算を行っております。このため、実際の金利水準の変動や年金資産の運用利回りが悪化した場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2025年1月1日から2025年12月31日まで)における経済環境は、米国では、トランプ政権下における外交、通商政策の動向に一部不確実性がみられるものの、雇用情勢や個人消費を中心に主要経済指標は底堅く推移しました。欧州では、米国の関税政策の動向に不確実性が残るなか、インフレの安定を背景にECB(欧州中央銀行)が政策金利を据え置き、景気は緩やかな持ち直しの動きがみられました。わが国では、米国の通商政策による影響が一部にみられるものの、雇用、所得環境の改善や各種政策の効果により、景気は緩やかな回復基調が続くことが期待されます。一方で、金融資本市場の変動や米国の今後の政策動向等については、引き続き注視が必要な状況です。

このような状況のもと、当社グループは2021年を起点とした5ヵ年の中期計画「中計’21」を策定し、その中で掲げた各種経営指標を実現するため、これまで培ってきた得意分野や独自性、研鑽してきた機能別組織機能、変革・強化を図ってきたガバナンスやコンプライアンス体制をベースに置きながら、取り巻く変化に迅速、かつ柔軟に適応する力を当社グループ全体で強化することに取り組みました。

その結果、当期の当社グループの売上高は594,923百万円(前年度比29,564百万円増、5.2%増)となり、営業利益は97,350百万円(前年度比3,369百万円増、3.6%増)、経常利益は101,328百万円(前年度比789百万円減、0.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は63,614百万円(前年度比11,196百万円減、15.0%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(イ)タイヤ事業

 北米市場における市販用タイヤについては、輸入関税引き上げに伴いタイヤメーカー各社で値上げが実施されましたが、未だ価格面での優位性を持つアジア品を中心とした輸入タイヤの需要が継続しております。当社では、新商品NITTO TERRA GRAPPLER G3(ニットー テラグラップラー ジースリー)やOPEN COUNTRY R/T PRO(オープンカントリー・アールティープロ)、人気商品OPEN COUNTRY A/T Ⅲ(オープンカントリー・エーティースリー)など重点商品の販売量が堅調に推移し、前年度を上回る販売量となりました。また、値上げ活動が浸透したこともあり、売上高は販売量以上に前年度を上回りました。

 欧州市場における市販用タイヤについては、事業再編に伴うオペレーションの変更により販売量及び売上高ともに前年度を大きく下回りました。市場では中国品を中心とした安価なタイヤの流入が続いていますが、当社はセルビア工場からの地産地消を推進し重点商品の増販を図ることで利益率の向上に取り組みました。

 国内市場における市販用タイヤについては、6月の夏タイヤと9月の冬タイヤ値上げ前の駆け込み需要はありましたが、その後の反動により年間の販売量は前年度並みとなりました。また、OPEN COUNTRY(オープンカントリー)シリーズや昨年発売したPROXES CF3(プロクセス・シーエフスリー)、新商品PROXES LuKⅡ(プロクセス・エルユーケーツー)やOBSERVE GIZ3(オブザーブ・ギズスリー)など質を重視した重点商品への販売シフトに加えて値上げの効果もあり、売上高は前年度を上回りました。

 新車用タイヤについては、自動車メーカーの需要が安定したこともあり販売量は前年度並みとなりましたが、物価高騰の一部を価格に反映できたため、売上高は前年度を上回りました。

 その結果、タイヤ事業の売上高は547,697百万円(前年度比27,865百万円増、5.4%増)、営業利益は95,509百万円(前年度比3,419百万円増、3.7%増)となりました。

 

(ロ)自動車部品事業

 自動車部品事業については、自動車メーカーの需要が安定したことにより、売上高は47,225百万円(前年度比1,699百万円増、3.7%増)と前年度を上回りました。一方で、市況及び物価高騰による原価の上昇を受けて営業利益は1,821百万円(前年度比58百万円減、3.1%減)と前年度を下回りました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は753,248百万円となり、前年度末に比べ30,581百万円増加しました。これは、主として、現金及び預金が増加したことによります。

 また、負債は230,588百万円となり、前年度末に比べ19,524百万円減少しました。これは、主として、短期借入金及び長期借入金が減少したことによります。なお、有利子負債は92,349百万円となり、前年度末に比べ16,100百万円減少しました。

 当連結会計年度末の純資産は522,659百万円となり、前年度末に比べ50,106百万円増加しました。これは、主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金、円安の影響により為替換算調整勘定が増加したことによります。

 この結果、自己資本比率は69.4%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による収入が93,060百万円となり、投資活動による支出が23,079百万円となったため、純現金収支(フリー・キャッシュ・フロー)は69,981百万円のプラスとなりました。財務活動においては43,827百万円の支出となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、これら収支に為替換算差額の増加額、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額を合わせ116,796百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、為替差益の計上や売上債権の増加、法人税等の支払い等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等の増加要因により、93,060百万円の収入(前年度比26,001百万円増、38.8%増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入等があったものの、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出等により、23,079百万円の支出(前年度比7,865百万円増、51.7%増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少や配当金の支払い等により、43,827百万円の支出(前年度比20,749百万円増、89.9%増)となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(イ)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

501,774

2.5

自動車部品事業

37,114

△3.0

合計

538,889

2.1

(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(ロ)受注状況

 当社グループは製品の性質上、原則として需要見込生産方式を採っております。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

547,697

5.4

自動車部品事業

47,225

3.7

合計

594,923

5.2

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する当該販売実績の割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

American Tire Distributors, Inc.

63,672

10.7

※前連結会計年度のAmerican Tire Distributors, Inc.については、当該割合が100分の10未満のため記載

を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

 なお、当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(イ)売上高

 タイヤ事業においては、北米市場において当社が強みとしている大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤを中心とした堅調な需要により、前年度を上回る販売量となりましたが、欧州市場における市販用タイヤについて、事業再編に伴うオペレーションの変更により販売量は前年度を下回りました。一方、値上げ活動が浸透したこともあり、売上高は前年度を上回り、売上高は594,923百万円(前年度比29,564百万円増、5.2%増)となりました。

 

(ロ)営業利益

 値上げ活動が浸透したことや、大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤなど重点商品が増販したことによる利益率が向上したことにより、営業利益は97,350百万円(前年度比3,369百万円増、3.6%増)となりました。この結果、営業利益率は、16.4%(前年度比0.3ポイント減)となりました。

 

 

(ハ)経常利益

 主にUSドルを中心とした円高影響による為替差益の減少により、経常利益は101,328百万円(前年度比789百万円減、0.8%減)となりました。

 

(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益として投資有価証券売却益を計上、特別損失として減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は63,614百万円(前年度比11,196百万円減、15.0%減)となりました。

 

 当連結会計年度の財政状態の分析、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、持続的な成長を実現するために、事業機能・経営基盤の強化に一層注力し、重点ターゲット領域での着実な成長を目指しております。具体的には、Toyo Tire Sales and Marketing Europe d.o.o. Indijaの立ち上げ、Toyo Tire North America Manufacturing Inc.をはじめとする工場の生産設備増強や、驚きのある商品を提供する開発力・技術力の進化のため研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度は、生産設備増強や合理化及び品質向上を中心に24,878百万円、デジタル・ITインフラの再構築、並びに基礎研究技術の強化を中心に5,116百万円の設備投資を実施しました。これらの投資を含む事業活動に必要な資金は自己資金、借入金及び社債の発行により賄いました。また、キャッシュ・プーリング・システムの導入等により子会社の資金調達並びに資金管理の一元化を図るなど金融収支を改善するとともに、資金調達手段の多様化や長期借入金比率を高めることにより金利変動リスクのヘッジを行っております。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、翌連結会計年度の設備投資金額は総額48,954百万円を計画しており、これらの所要資金については自己資金及び借入金により充当する予定であります。設備投資計画の主な内容・目的につきましては、「第3 設備の状況3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期経営計画「中計’21」のもと、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針 ② 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略」に記載の経営指標の実現をめざしております。当連結会計年度は、連結営業利益率16.4%、重点商品販売構成比率71.8%、連結営業利益97,350百万円、実績ROE(期末配当控除後)12.8%、配当性向31.5%となりました。

 また、設備投資については、「中計’21」において2021年度から2025年度までの5ヵ年累計で194,000百万円を計画しており、5年目である当連結会計年度末までの5ヵ年累計で174,758百万円を実施しました。

 

5 【重要な契約等】

(1)現在、当社が締結している合弁事業契約の主なものは、次のとおりであります。

契約締結日

相手先

契約の内容

1986年12月24日

 

 

 

正新橡膠工業股份有限公司

(中華民国)

 

 

中華民国における自動車用防振ゴム製造会社として、洋新工業股份有限公司を合弁にて設立し運営する旨の契約であります。

なお、洋新工業股份有限公司に対する出資比率は以下のとおりであります。

当社                         50%

正新橡膠工業股份有限公司               50%

 

(2)現在、当社が締結している業務提携契約の主なものは、次のとおりであります。

契約締結日

相手先

契約の内容

2008年5月16日

 

 

 

 

株式会社ブリヂストン

 

 

 

 

世界のタイヤ・ゴム産業における需要構造、競争構造、収益構造その他の経営環境の変化に対応して更なる企業価値の向上を図るため、それぞれの事業運営の独立性を維持しつつ、業務について緩やかな提携を図るものであります。本合意書の締結後、業務提携の分野を選定し、その個々の分野における業務提携について協議及び検討を開始いたします。

2018年11月1日

 

 

 

 

 

 

 

三菱商事株式会社

 

 

 

 

 

 

 

将来の成長に向けて事業と経営の基盤を更にステージアップさせるために、三菱商事株式会社と業務及び資本について提携を図るものです。業務提携は、当社と三菱商事株式会社が「販売力強化」、「技術力強化」、「リソース強化」の各テーマで協働し、協力体制を強化してシナジー効果の最大化に取り組んでいくものです。また、資本提携は、両者間のより安定的な資本関係を構築し、かかる資本関係を基礎として、両者の得意分野や経営資源の有効活用を促進することでシナジーを実現し、それぞれの企業価値を向上させることを目的としております。2019年2月12日を払い込み期日とする第三者割当により、三菱商事株式会社が当社の新株26,931,956株を引き受けました。

 

(3)子会社持分の譲渡に関する契約

当社は、2025年4月24日付けで連結子会社である通伊欧輪胎張家港有限公司(TOYO TIRE ZHANGJIAGANG CO.,LTD.)の持分86%をLiaoning Hengdasheng Investment CO.,LTD.へ譲渡することを内容とする持分譲渡契約を締結し、2025年7月31日に持分の譲渡を実施しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

 当社グループは、中期経営計画「中計'21」に基づき、「変化に迅速・柔軟に適応する力」の強化に継続的に取り組んでおります。最新の技術を積極的に活用し、モビリティ社会の発展及び豊かなクルマ文化の活性化に貢献することを目指し、研究開発を推進しています。

 基盤技術センターでは、事業部門や社外の研究機関と連携し、環境配慮をはじめとする次世代モビリティに対応した素材及びサステナブル材料の研究開発を進めています。その取り組みの一環として、使用原材料におけるサステナブル素材の比率を従来の90%から大幅に向上させ、96.5%まで高めたコンセプトタイヤを開発しました。今後、市販用タイヤへの実装に向けて、引き続き技術革新と研究開発に取り組んでまいります。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は13,795百万円であります。うち、各事業部門に配分できない基礎研究の費用は1,742百万円であります。

 

 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1)タイヤ事業

 国内市販用タイヤについては、グローバル・フラッグシップタイヤブランド「PROXES」シリーズにおいて、軽ハイトワゴン専用プレミアムタイヤ「PROXES LuKⅡ(プロクセス エルユーケーツー)」を2025年3月より発売しました。「PROXES LuKⅡ」は、従来品の静粛性、しっかり感、上質な快適性、摩耗性能を継承しながら、ウェット制動性能が向上、転がり抵抗が低減した軽ハイトワゴン専用プレミアムタイヤです。非対称のトレッドパターンを採用することにより、操縦安定性と静粛性を両立しています。また同じく2025年3月より、商用車カテゴリーブランド「DELVEX」シリーズにおいて、ビジネスバン用タイヤ「DELVEX V-03e(デルベックス ブイゼロスリーイー)」を発売しました。「DELVEX V-03e」はコンパウンド中のシリカを増量するとともにその分散性を高めるスーパーアクティブポリマーを採用することで配合設計を最適化し、転がり抵抗性能とウェット性能を高次元で両立しております。またSUV用タイヤブランド「OPEN COUNTRY」シリーズにおいては、デザインにもこだわり、街乗り用としての静粛性と転がり抵抗性能を兼ね備えたハイウェイテレーンタイヤ「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ(オープンカントリー エイチティー ツー)」を、2025年4月より発売しました。「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ」のパターン設計では、ノイズを抑えるためにタイヤのショルダー(両肩)部をリブ形状とする「ショルダーリブ化」、ショルダー部とセンター部の間の縦ミゾをストレート形状とする「ショルダーグルーブストレート化」を組み合わせたデザインを採用することで、タイヤラベリング制度における「低車外音タイヤ」に適合する静粛性を実現しております。SUV用スタッドレスタイヤ「OBSERVE W/T-R(オブザーブ ダブルティーアール)」のサイズラインアップを拡充し、2025年9月より国内で順次発売しました。「OBSERVE W/T-R」は、深雪や荒れた氷雪路での走破性を追求したSUV専用スタッドレスタイヤです。当社のオフロード向けタイヤで使用している大型のサイドブロックを採用、深雪路面でのトラクション性に効果を発揮するとともに、ワイルドで力強いデザインが好評をいただいています。また、ピックアップトラック/SUV用ラギットテレーンタイヤ「OPEN COUNTRY R/T TRAIL(オープンカントリー アールティー トレイル)」、街乗り用ハイウェイテレーンタイヤ「OPEN COUNTRY H/T Ⅱ(オープンカントリー エイチティー ツー)」、軽ハイトワゴン専用プレミアムタイヤ「PROXES LuKⅡ(プロクセス エルユーケーツー)」の3商品が2025年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。今回受賞した3商品はいずれも機能性とデザインの両面で優れたバランスを実現している点が特長です。当社は今後もマーケットの情報を広く収集し、タイヤに求められる性能とデザインを高次元で両立させる付加価値の高い商品開発に取り組んでまいります。

 トラック・バス用タイヤについては、北米市場で、鉱山やエネルギー関連、建設関連、林業や農業関係などの業態で使用される、過酷な使用に耐える頑丈さと優れたトラクション性能を備えた好評の「TOYO M655(トーヨーエムロクゴゴ)」に、新たにホイール径22.5インチと24.5インチを装着する中型トラック用のサイズを拡充し、小型トラック向けに17インチと18インチ、中型トラック向けに19.5インチ、22.5インチ、24.5インチのサイズを揃えたM655シリーズでパワーライン化しました。また、長距離用ステアタイヤとして前モデルM177の後継「TOYO M177+(トーヨーエムイチナナプラス)」を発売しました。新ディファレンシャルグルーブを採用し耐偏摩耗性能を向上させ、高い低燃費性能を両立しています。

 日本市場では、EV路線バス専用タイヤ「NANOENERGY M648 EV(ナノエナジーエムロクヨンハチイーブイ)」を2025年9月より発売しました。都市部や地域路線で大型バスのEV化を見据え、耐摩耗NCコンパウンドを採用し、耐摩耗性能と低電費性能を高次元で両立しています。また、大型4軸低床トラック向けにオールウェザータイヤ「M630(エムロクサンマル)」を2026年1月より発売しました。4軸低床トラック特有の耐偏摩耗課題に対応すべく、ショルダーブロックの剛性を高めた新パターンを採用し、肩落ち摩耗を抑制することによって低メンテナンス性を向上させました。燃費効率にも配慮しています。また、低メンテナンス性を追求したトラック・バス用リブタイヤ「M170(エムイチナナマル)」を2026年1月より発売しました。19.5インチ以上には4本溝、17.5インチには3本溝を採用するなどインチごとにパターンを最適化し、車両条件に応じた剛性バランスを確保することで高い耐摩耗性能、トラクション性能や操縦安定性も向上しています。

 技術開発においては、これまでの商品開発で採用してきた独自のタイヤ設計基盤技術において、TOYO TIREのめざす次代のタイヤづくりに不可欠と考える領域を基軸に据え、これらの革新と融合によって進化させていくための体系化を行いました。この新技術体系「THiiiNK(シンク)」は、当社が将来にわたる中核的技術として位置づけた 「材料技術」、「シミュレーション技術」、「デザイン技術」の3分野の技術を、今後さらに研鑽、高度化し、価値創造を推進していくための道しるべとしていくものであり、各技術を進化させながら横断的に連動させ、「設計プロセスの効率化と最適化」と「商品価値の最大化」を図り、今後、本技術を搭載した魅力ある商品をより多くの皆様にお届けしてまいります。

 

 当事業に係る研究開発費は11,122百万円であります。

 

(2)自動車部品事業

 自動車部品では、既存の主要部品に集中した設計・材料・生産技術の標準化と効率化の推進とともに、適地生産と製造性を考慮した収益改善につなげる設計仕様変更や工程変更を推進し、技術力と競争力の向上を進めています。また、電気自動車などの次世代車向けの商品開発としては、従来の耐熱性、耐寒性、高耐久性に加え、静粛性ニーズに対応する高トルク負荷時や高周波数領域でも低い動バネ定数を持つモーターマウントと、そのマウントを保持し振動伝達系となる金具も含めた最適化設計技術の構築を進めています。特に、先行技術開発においては、軽量化を重要テーマと位置付けて、既存の鉄やアルミの金具製品の最適化とともに、金属の代替として樹脂の適用技術も含めた更なる技術向上の取り組みも進めています。

 その他、タイヤ事業の解析技術や評価技術と独自技術を融合させたモデルベース開発の技術構築も進めており、これにより自社の強みを生かしたサスペンションモジュールに関連する自動車部品の最適化提案ができるように取り組んでまいります。

 

 当事業に係る研究開発費は930百万円であります。