第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

ビジョン(Vision)

人と産業の可能性を、解き放つ

(Unleash the potential of every person and industry on the planet)

『新たな地図を描くように、価値を生み出す「機会」や「場」を世界中に創り出したい』

創業者が世界の多くの国や都市を旅し、ビジネスを通じて抱いた想いによって、「Atlas(地図)」という名を冠した「Atlas Technologies」は創業されました。そんな私たちのビジョンは「人と産業の可能性を解き放つ」ことです。テクノロジーの力によって、世界中の人・組織・産業が本来持っている力を最大限に発揮できる豊かな社会を実現したいと考えています。

 

ミッション(Mission)

あらゆる産業とFintechの融合

(To offer seamless solutions for embedding Fintech across all industries)

インターネットによって、人類は地球規模で情報を低コストに伝達できるようになりました。その一方、日々生み出される経済的・社会的価値が世界中で途切れることなく移動し、交換されるためには、今なお多くの課題があります。私たちは、従来の金融機関のみならず、あらゆる産業がFintechと融合することで、決済・送金・投資・融資・預金・会計・保険・証券といった従来の金融のあらゆる領域がテクノロジーによって再定義され、その結果創造された価値が世界中をなめらかに移動し、人と産業の可能性が解き放たれる社会を実現したいと考えています。

 

Set of Values(5つの価値観)

① Challenge the Possibilities(可能性に挑戦しよう)

自分たち自身が奮い立つような高い目標を成し遂げよう。解は必ずあると信じて行動する。

② Build Leadership(全員がリーダーであろう)

ゴールを掲げ、自らがチームの先頭を走ろう。勇気をもって決め、相手が行動を起こせるように伝える。

③ Act As One(一丸となってコトを成そう)

個人では成し遂げられないような驚くべきことをチームで実現しよう。

④ Have Integrity(常に誠実さを持とう)

顧客・パートナー・同僚、そして自分自身に対して誠実で謙虚であろう。

⑤ Keep It Fun(日常に遊び心を)

自らがその日常を楽しいと思えるような機会や場を創り出そう。余裕やユーモアをもって行動する。

 

 

(2) 経営環境

当連結会計年度の我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加を背景に、内需を中心として緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、エネルギー・原材料価格の高止まりや円安に伴うコスト上昇、消費者の節約志向は継続しております。加えて、米国の通商・金利政策の不透明感や欧州・中東情勢の緊迫化といった海外リスクも重なり、先行きについては依然として不透明な状況が続きました。金融資本市場の変動幅拡大も相まって、引き続き慎重な見極めが求められる局面となっております。

国内DXコンサルティングサービスを取り巻く環境においては、国内コンサルティング市場規模が2029年には1兆2,832億円(出典:IDC「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2025年から2029年(2025年)」)、国内DX市場規模も2030年には9兆2,666億円(出典:富士キメラ総研「2025デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)にまで拡大し、今後も中期的に右肩上がりで成長が続くものと予想されております。また、海外においても同様に経営戦略及びIT関連のコンサルティング需要が中期的に高まっていくことが見込まれます。

当社グループがコンサルティングサービスを展開する金融業界及びFintech関連業界の多くの企業においては、日々変化する事業環境での生き残りを図るため、新たな価値の創出を模索している状況と推察されます。経営戦略やIT戦略の企画検討及び推進に際しては、イノベーションを実現するIT技術の活用と事業活動上の遵守項目への対応などを両輪かつ効率的に追求するよう迫られており、それらに対するコンサルティング需要は底堅く続くものと予想されます。



このような環境のもと、当社グループの事業としては、特にFintech関連事業における顧客のニーズを的確に捉え、既存顧客の深耕及び新規顧客獲得により受注は底堅く推移しております。また、前連結会計年度より立ち上げが本格化した銀行・保険・証券・PMO・ITリスク・セキュリティといった新規サービス分野につきましても、提供体制の整備が進んだことで新規受注が拡大し、着実に収益貢献を果たしております。なお、これらのサービス提供の要となる、高い専門性を持ったコンサルタントの採用につきましても、引き続き積極的に行っております。

 

(3) 中長期的な経営戦略及び経営指標

当社グループでは、2024年8月14日に2025年12月期から2028年12月期の4か年度を期間とした中期経営計画を公表しました。同計画は収益性を伴った事業成長に向けた取組みを行うフェーズであると位置づけており、主要な取組みとして、次の3点を推進してまいります。

① サービスの拡大と高付加価値化

② 優秀な人材の採用と育成

③ クライアントの獲得と深耕


① サービスの拡大と高付加価値化

Fintech領域のコンサルティングサービスにおいて、祖業である決済に加えて銀行・証券・保険分野のコンサルタント体制を確立し、収益貢献の基盤をより強固なものとしています。また、2025年度12月期より、ITリスク・PMO支援分野の新規サービスの立ち上げと体制構築が完了し、収益貢献が開始しております。独立系のコンサルティング・グループとして、Fintech領域の様々なプロジェクトを遂行した実績により蓄積したノウハウ・ナレッジを最大限活用し、全ての分野においてサービスの高付加価値化を推進してまいります。

② 優秀な人材の採用と育成 

新規に立ち上げたサービス分野においては優秀なコアメンバーを採用したことで、プロジェクトのデリバリーに必要な体制が構築されました。今後はデリバリーの中心となるマネージャークラスや持続的な組織成長の基礎となる積極的育成の対象となるジュニア層の採用を強化していきます。また、採用活動のみならず、当社グループ社員の「可能性を、解き放つ」ことも重要な事項であると捉え、OJTや社内外の様々な研修を中心に、多くの成長機会を提供しております。特に高い専門性を持つコンサルタントが集まる当社グループにおいて、多様な知識や経験を横展開するための社内向け研修プログラムを拡充させるなど教育施策を強化し、サービスの高付加価値化や定着率向上に繋げていきます。

③ クライアントの獲得と深耕

新規に立ち上げたサービス分野においては着実にプロジェクト・パイプラインを積み上げ、2025年12月期からプロジェクトの受注が開始しており、今後も一層の収益貢献が見込まれております。一方で、新規に立ち上げたサービスであることから、より一層の信頼獲得の余地があり、プロジェクトの実績を積み重ねて、顧客基盤強化に取組んでまいります。また、既存の決済分野における受注は底堅く推移する中で、顧客との深耕をさらに推進することでアップセルによる受注拡大を企図しております。いずれのサービス分野においても、当社グループの強みである一気通貫でのサービス提供を活かし、各サービス分野を横断した提案活動を推進することでより幅広い顧客ニーズを取り込み、着実な受注獲得を目指してまいります。

 

なお、2026年1月21日に公表しました「業績予想の修正、次期業績予想、及び中期経営計画の財務計画取り下げに関するお知らせ」のとおり、中期経営計画における財務計画を取り下げました。新たな中期経営計画の財務計画につきましては、当社グループを取り巻く昨今の事業環境等を総合的に勘案し、合理的に策定できるようになった時点ですみやかに公表する予定であります。

一方で中期経営計画における事業成長戦略等には変更はありません。2026年2月13日に公表しました「2025年12月期 通期決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項)」にて、計画の進捗状況をアップデートした内容を開示しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが対処すべき主な課題は、以下の項目と考えております。

① 優秀なコンサルタントの確保

当社グループは、顧客の多様な課題解決ニーズに応えるため、Fintech分野の知識に精通した優秀なコンサルタントの更なる積極的確保が優先的に取組むべき課題であると認識しております。企業規模の拡大のためには、コンサルティング業界やFintech業界から専門性の高い人材を獲得し育成を進めることが不可欠であり、多様なバックグラウンドを持つ社員のノウハウの共有や育成プログラムを拡充させ、高い提案力、高い課題解決力や高い専門性を持つコンサルタントが育つ環境づくりを促進してまいります。

また、今後の成長推進のため、当社グループのビジョンやミッション等を理解し、スピード感を持って事業を推進することができるコンサルタントを積極的に採用すべく、様々な手法を活用し採用力を強化してまいります。さらに、コンサルタントがより働きやすく成長できる環境を制度・組織風土の両面から整備することで、育成・定着を図り、経営戦略と連動する人材戦略を策定し、人的資本の高度化につなげてまいります。

 

② 取引先及び取引額の拡大

当社グループのデジタルソリューション事業は、大手通信キャリアを中心とした顧客からの収益が多くを占めております。業界におけるリーディングカンパニーとの先進的なプロジェクト経験によって得られたFintech事業特有のノウハウ・ナレッジを活用し、主力の決済分野での新規顧客獲得や既存顧客深耕に加え、新規に立ち上げた銀行・証券・保険分野のコンサルティング体制の確立により顧客ポートフォリオの拡大及び取引額の拡大を目下推進しております。

収益の安定的な成長に向けては、付加価値提供をさらに追求し、サービスメニューを拡大するなど、その取組みを加速してまいります。

 

③ コンサルティング力強化による付加価値向上と大型案件や新たな事業・サービスの創出

当社グループは、プロジェクト経験やグローバルにおける最先端動向の研究などを通じて得られる知見のナレッジ化・アセット化を推進しております。それらを踏まえ、顧客の課題解決をさらに追求することや、専門性が求められる様々な新規プロジェクトの獲得及び大型案件獲得の追求をさらに促進してまいります。

また、顧客業界の市場特性や課題解決に直結する分析などの知識や経験を活かして、全サービスでの高付加価値化を推進してまいります。

 

④ 内部管理体制の強化

当社グループが持続的な成長を続けることができる企業体質の確立に向けて、内部管理体制の更なる強化が必要であると認識しております。ステークホルダーに対して経営の適切性や健全性を確保し、持続的かつ健全な成長を図るため、引き続きコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化に取組み、グループ全体の業務の適格性を確保するための体制を整備してまいります。

 

⑤ 事業拡大を支える財務基盤の構築

当社グループはこれまで金融機関からの借入を行ったことがなく、資金需要は自己資金により賄い、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉に手元流動性を確保してまいりましたが、今後の事業拡大及び事業上の課題への対処により、更なる資金需要が生じると考えております。そのため、資金調達方法の多様化と柔軟な流動性確保を図るため、金融機関との良好な関係を構築し、資金調達が必要な場合には適時適切に対応することを検討いたします。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境

様々な社会課題の顕在化やステークホルダーの価値観の変容に伴い、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営や経済価値と社会価値の双方を創出するサステナビリティ経営がより一層求められています。当社グループにおいても、持続的な社会の創造については、責任をもって取組んでいくべきであると考えております。

 

(2)サステナビリティに関する考え方

当社グループにとってのサステナビリティとは、事業を通じて社会課題の解決に寄与することであり、当社グループの持続的な成長が、社会の持続的な発展に貢献できるような世界を目指すことです。その実現に向けて、顧客、取引先、従業員、株主はもちろん、環境や社会とのエンゲージメントも非常に重要であると考え、2018年の創業以来、あらゆるステークホルダーとのエンゲージメントを大切に、サステナビリティを重視した経営を実践しております。

 

その実践に際しては、当社グループのビジョンである「人と産業の可能性を、解き放つ」に表されているように、「人的資本の高度化・価値最大化」をベースとしております。当社グループのビジネスはコンサルティングビジネスであるため、人的資本及び知的資本が、事業を通じて社会関係資本を創造し、財務資本を増大させております。そのため、人的資本を最重要項目として投資を行い、人的資本及びその他の資本を持続的に増強させることで、サステナビリティを実践してまいります。

 

≪ガバナンス≫

(1)基本的な考え方

当社グループは、「人と産業の可能性を、解き放つ」をビジョンに、「あらゆる産業とFintechの融合」をミッションに、「Challenge the Possibilities(可能性に挑戦しよう)」、「Build Leadership(全員がリーダーであろう)」、「Act As One(一丸となってコトを成そう)」、「Have Integrity(常に誠実さを持とう)」、「Keep It Fun(日常に遊び心を)」の5つの価値観を掲げております。

当社グループは、これらのミッション及びビジョン並びに価値観を実現・実行するとともに、経営の効率化、健全化、透明性を高め、中長期的、安定的かつ継続的に株主価値を向上させることが、コーポレート・ガバナンスの基本であると認識しております。

このため、企業倫理の醸成と法令遵守、経営環境の変化に迅速・適切・効率的に対応できる経営の意思決定体制を構築して、コーポレート・ガバナンスの充実を図ります。

また、全てのステークホルダーからの信頼を得ることが不可欠であると考え、情報の適時開示を通じて、透明・健全な経営を行ってまいります。

 

(2)コーポレート・ガバナンス体制

当社グループの全体としてのガバナンスの体制等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

≪リスク管理≫

当社グループのリスクに関する規程や体制については以下のとおりです。

(1)リスク管理規程を定め、代表取締役社長を統括責任者として当社グループ全体を対象とした総合的なリスク管理体制を構築・整備し、その推進を図っております。

 

(2)各組織及び当社子会社において、内在するリスク要因を認識し、それぞれのリスク程度に応じた対策を講じることにより、リスクの回避や低減措置を図っております。

 

(3)当社子会社を含めた経営に影響を及ぼす重要なリスクについては経営会議等でリスクを協議し、決定された対応方針に基づいて、主管部署が関連部署または当社子会社の関連部署と協同して必要な対策を実施しております。

 

(4)緊急性を要する災害、事故、企業不祥事等のリスクについては、リスク管理規程に基づいて、人命を尊重し、地域社会への配慮と貢献、企業価値毀損の抑制を主眼とするリスク管理を推進しております。

 

≪戦略≫

(1)サステナビリティ戦略

当社グループのビジネスはコンサルティングビジネスであり、人的資本が様々な資本の価値創造の源泉であると考えております。人的資本及び知的資本が顧客開発を通じて社会関係資本を創造し、財務資本を増大させております。そのため、人的資本を最重要項目として投資を行うことで、持続的に人的資本及びその他の資本を増強することを目指して戦略を設計しています。このように、サステナビリティの実践に向けて、特に組織・人材戦略を中心に据え、その重要テーマとして、「組織力」と「人材力」を置き、その向上を図っております。具体的には、以下のような取組みを行っております。

 

(2)具体的な戦略と取組み

人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成に関する方針

当社グループでは、「組織力」と「人材力」の両方を高めるために、多様性確保を含む人材の採用と育成は非常に重要な事項であると考えております。採用・育成に関する具体的な取組み内容は、以下のとおりです。

 

<採用>      

「組織力」と「人材力」の向上に向けて、入社の入口である採用活動は非常に重要です。私たちは、「人的資本が財務資本の源泉」という考えのもと、コンサルタントの採用に向き合っております。

① エントリーマネジメントサーベイ

企業と応募者のマッチングを定量的に可視化できる見極めツールなどを活用することで、入社後のミスマッチを極小化することを目指しながら採用活動に注力しています。

 

<育成>

事業戦略の遂行には、社員ひとりひとりの成長が欠かせないものと考えております。当社グループのビジョンに則して可能性を解き放つリーダーを輩出することを念頭に、社内外の様々な研修制度を設計し、多くの成長機会を提供しております。

また、当社グループでは高い専門性を持つコンサルタントが集まり、プロジェクトの支援実績が着実に積み上がっております。これらの経験やノウハウを横展開するために、社内向けのナレッジ共有プログラム拡充を推進しております。さらに、コンサルタントのプロジェクト経験を着実に積み上げるためにアサイン状況の管理徹底・効率化を一層推進し、OJTによる育成にも注力しております。

 

(3)社内環境整備に関する方針

当社グループでは、「組織力」と「人材力」の両方を高めるために、人事制度と組織風土の整備は非常に重要な事項であると考えております。人事制度・組織風土に関する具体的な取組み内容は、以下のとおりです。

 

<人事制度>

当社グループの強みの一つとして、様々なコンサルティングファームや事業会社の出身者が集まっていることが挙げられます。様々な知見を結集してコンサルティングファームとして魅力ある人事制度へ常に見直しを図り、適正な評価が実施される体制にブラッシュアップしてまいります。

 

<組織風土>

風土形成に向けては、社員間の「コミュニケーション」を大切にしております。当社グループが成長していくためには、組織の階層・機能の分化を推進しなくてはなりません。しかしながら、組織の分化が進行すると、上下(階層)、左右(機能)の距離感は増大し、経営層の考えが伝わらない、部署間の協働が薄れるなど、様々な問題が発生します。よって私たちは、組織成果を極大化するための組織の分化は進めていくと同時に、意識統合や相互理解をコミュニケーションによって実現するために投資をしております。

① コミュニケーション施策

経営層から現場、部署同士、又は全社員をつなぐコミュニケーションの機会を様々なタイミングで展開しています。代表的な施策は、月1回全従業員が参加し、経営層からのメッセージや社員紹介を行うAll Handsの開催や従業員のコミュニケーション醸成のための自己紹介ツールの作成です。グループ全体の方針等の共有を適切なタイミングで行い、共通言語を紡ぎ上げることで、全員が共通の目的に対して行動できる状態を実現することを目指しております。

 

② 表彰制度

当社グループではビジョン・ミッションに基づいた5つのSet of Valueを設けており、Set of Valueに基づいて行動した従業員を表彰する制度を設けております。この表彰制度においては、受賞者本人だけでなく他社員の成長意欲を強く喚起する場となることを目指しております。

 

≪指標及び目標≫

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に係る指標について、上記「≪戦略≫」に記載したとおり、「組織力」と「人材力」を高める具体的な取組みを行っているものの、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標を設定しておりません。今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標を設定し、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

以下には、当社グループが事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが独自に判断したものであり、将来において発生する可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。また、当社グループにとっては必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については記載しております。

当社グループはこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に取組む方針ではありますが、当社グループの経営状況、将来の事業についての判断及び当社株式に対する投資判断は、本項記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① 市場動向について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループが事業を展開するFintech領域のコンサルティング市場については、その市場規模が順調に拡大しており、また、Fintech分野に対する企業ニーズも拡大している状況にあると認識しております。

しかしながら、今後、経済情勢や景気動向等が変化し、顧客のFintech事業に対する投資マインドが減退し、Fintech事業への投資及びコンサルティングサービスの利用が減少する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループは常に市場の変化を注視しながら顧客のニーズをつかみ、プロジェクトの上流工程であるコンサルティングフェーズのみならず、プロジェクト実行支援まで一気通貫のサービスを提供することにより、リスクの軽減を図っております。

 

② 競合について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

Fintech領域における高い専門性と経験を積んだコンサルタントによる高付加価値のコンサルティングサービスを提供することが、当社グループと競合他社が差別化される点と認識しています。

現時点においては直接的に競合する企業は少ないものと認識しておりますが、今後、当社と同様にFintech分野における豊富な知識と経験を有する人材を持つ企業が出現し、業界における競争が激化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは様々な採用手段を講じて優秀な人材を確保し、顧客の多様な経営課題を上流から下流まで一気通貫で解決に導くことができる体制を構築することにより、リスクの軽減を図っております。

 

③ 顧客の経営環境について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、大手通信会社をはじめとした多様な顧客に対してコンサルティングサービスを提供しており、継続受注や追加受注によるリカーリング性の高いビジネスモデルを構築しております。

当社グループは、顧客に対して付加価値の高いサービスの提供に努めてまいりますが、顧客のFintech事業に対する需要減少や、同業他社との契約増加により、当社との契約が減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループはFintech事業の展開を検討している多様な顧客に対して積極的にアプローチし、顧客ポートフォリオの多様化を図るとともに、プロジェクト受注を重ねることでリスクの軽減を図っております。

 

 

④ 法的規制について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループの主要な事業であるデジタルソリューション事業においては、ビジネスパートナーによるプロジェクトの支援を仰ぐことがあります。このような場合、当社グループは、2026年1月1日に施行された改正下請法(取適法)及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に違反しないよう適切な対応を実施しておりますが、万が一、法令の解釈や当局の判断等により法令違反とみなされ、当社グループの信用低下や損害賠償請求等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループは法令改正の動向等の情報収集を適宜行うとともに、取引実態を継続的に注視することで、リスクの軽減を図っております。

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① 経営上の重要な契約について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループの経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載のとおりであります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了となった場合、若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の経営状態の悪化や経営方針の変更があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループは取引先との良好な関係を継続的に構築することに努め、リスクの軽減を図っております。

 

② ビジネスパートナーの確保について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、プロジェクト実行支援における業務の一部について、ビジネスパートナーと連携し、顧客企業に対するサービスを提供しております。

今後の事業拡大に当たり、既存ビジネスパートナーとの安定的な取引関係の維持及び新規ビジネスパートナーの開拓を継続的に行ってまいりますが、当社グループの事業拡大に応じた適切なビジネスパートナーの確保ができない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新規事業への投資について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループは、企業価値を高めるために事業規模の拡大をすべく、新規事業への取組みを積極的に行う予定であります。

本書提出日現在において、具体的な事業化に至っているものはありませんが、競争優位性を確保するため、常に新規事業に関する情報収集等に努めるなど、新規事業の創出に向けた努力を続けております。

新規事業を進めるに当たっては、事業計画を十分に検討した上で実施することとしておりますが、当該事業計画は、計画策定時点における予想や仮説に基づく部分も存在するため、当該予想や仮説が現実と大きく異なる場合や、当初の予測とは異なる状況が発生する場合があります。

このように、当初の事業計画通りに進捗しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ 特定顧客の売上高比率について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:10年以内、影響度:大)

当社グループは、多くの取引先からプロジェクトを受託しており、2025年12月期のプロジェクト受注顧客数は37社ですが、中でも総売上高に占める株式会社NTTドコモの比率が2020年12月期93.2%、2021年12月期90.4%、2022年12月期81.8%、2023年12月期74.1%、2024年12月期60.1%、2025年12月期51.6%となっております。当社設立時より、同社のプロジェクトに初期段階から参画しており、その後の営業活動を通じて取引額が増加したことにより、結果として同社の売上高比率が上記の数値のとおりとなっております。

今後も同社との強固かつ良好な関係を継続し、取引の維持・拡大に努める方針でありますが、永続的な取引が確約されているものではなく、万が一、同社との間において、契約条件の重要な変更が生じた場合や取引額が大幅に減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループは、様々な企業へアプローチしFintech領域のニーズを取り込みながら、新規顧客からの受注や既存顧客からの継続・追加受注獲得を積み重ね、顧客ポートフォリオの多様化を図ることで、特定顧客へ依存することのない事業成長を推進してまいります。

 

⑤ 海外展開について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、連結子会社であるKapronasia Singapore Pte. Ltd.及び当社シンガポール支店を中心に今後の海外事業を展開してまいります。海外事業においては、各国における内乱や大規模な騒乱、政治動向や経済に影響を与えるカントリーリスク、各国固有の商慣習や法的規制、為替リスク等、様々な潜在的リスクがあります。当社においては、現地におけるリスクの兆しを把握し早急に対応する体制を講じておりますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は相応に存在すると認識しております。当社グループは、事業活動を展開する諸外国の動向に関する情報収集に努め、リスクの兆しが顕在化する可能性がある場合には、事業撤退を含めて迅速に対応することとしております。

 

(3) 事業運営体制に関するリスクについて

① 特定人物への依存について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社代表取締役社長である山本浩司は、当社の創業者かつ主要株主であるとともに、当社事業に関する豊富な経験と知識を有しており、当社グループの経営方針や事業戦略の決定などの事業活動全般において重要な役割を担っております。

当社グループでは、業容拡大とともに経営幹部の拡充及び権限委譲を進め、山本浩司に過度に依存しない経営体制の整備や人材の育成など、リスクの軽減に努めております。しかしながら、山本浩司が何らかの理由により業務執行ができない事態となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 優秀な人材の確保及び定着について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、継続的な事業拡大及び新規事業の推進等のためには、優秀な人材の確保及び定着が必要不可欠であると認識しております。

当社グループは、今後も継続的に優秀な人材の確保及び育成に努め、定着を図ってまいりますが、当社グループが求める人材を適切なタイミングで確保できず、また人材育成が計画通りに進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 小規模組織であることについて(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは小規模組織であり、現在の組織及び管理体制も規模に応じたものとなっております。今後、事業拡大に伴い、組織の整備や内部管理体制の充実を図る予定であり、引き続き、適時適切に人材採用を進めてまいります。

しかしながら、事業拡大に応じた組織の整備や内部管理体制の充実が順調に進まなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ M&Aや資本提携に関するリスク(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループでは、通常の営業活動による顧客ポートフォリオの拡大や新規事業の推進に加え、事業拡大への経営資源を獲得し、既存事業とのシナジー効果を得るために、M&Aによる企業買収や資本提携等を活用することを検討しております。これらの施策を実施する場合、対象企業の属する業界の市場規模、業界環境及び対象企業の競争力の源泉等を調査し、財務内容や事業についてデューデリジェンスを行うことに加えて、対象企業の株主を慎重に調査することで、事前に投資リスクを把握し、対象となる企業の収益性や投資の回収可能性について慎重に検討することとしております。

しかしながら、国内外の経済環境の変化や対象企業の属する業界の市場規模が想定よりも拡大しない場合や対象企業の競争力の源泉が衰えた場合等の理由から、当社グループがM&Aや資本提携等を行った企業の経営、事業、資産等に対して、十分に活用することができない場合や、買収した企業の人材や顧客基盤が流出する可能性もあり、当初に期待したシナジーを得られない可能性もあります。このような場合、当初の投資額を回収できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報管理について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループは、その業務の性格上、顧客側で保有している機密情報に触れる場合があります。情報の取扱いについては、顧客側の管理ルール及び当社が認証を取得しているISO/IEC27001の運用ルールに則り、適切な運用を行っております。

しかしながら、このような対策にもかかわらず、当社グループの人的オペレーションのミス及びその他予期せぬ要因等により、情報漏洩等の事案が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任を負う可能性や顧客からの信用を失うことに伴い取引関係が悪化する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他のリスクについて

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とした新株予約権(以下「ストック・オプション」という。)を付与しております。これらのストック・オプションの権利が行使された場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

本書提出日現在におけるストック・オプションによる潜在株式数は20,000株であり、発行済株式数7,430,000株に対する潜在株式の比率は約0.3%であります。

 

② 配当政策について(顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループは、株主に対する利益還元は経営上の重要課題と認識しており、利益還元策の決定に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状態や今後の経営計画等を十分に勘案し、剰余金の分配を検討する所存であります。

しかしながら、現時点においては、事業が成長段階にあることから、内部留保を充実させ、成長事業に投資を行うことを優先することが株主利益にかなう場合があるため、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。

 

 

③ 資金使途について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:3年以内、影響度:小)

当社が株式上場時に実施した公募増資による資金の使途については、人材採用や教育等の人材関連投資に充当する予定であります。

しかしながら、急速に変化する事業環境に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途へ充当する可能性もあります。また、計画どおりの使途に充当された場合でも、想定どおりの効果が得られない可能性があり、このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。また、当社グループは法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、取引先、従業員その他第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、将来において、当社グループの事業に起因する訴訟等の提起を受ける可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によりましては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 自然災害について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、安定的なサービス提供を維持するため、地震、落雷、火災等の災害に対して十分な耐性を有すると判断されるビルにオフィスを構えるとともに、大規模災害が発生した場合等、有事に備えたリスク管理体制の整備に努め対策を講じております。しかしながら、台風、地震、津波、感染症等、自然災害等が当社グループの想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社または当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 当社株式の流動性について(顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:1年以内、影響度:中)

当社の株主構成は、代表取締役社長により議決権の過半数を所有されている会社となっており、上場時の公募増資及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めましたが、(株)東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末において32.7%となっております。当事業年度末においての代表取締役社長の持ち株比率が66.7%となりますが、今後は段階的に売出しを行い、持ち株比率が過半数程度となるまで低下させることにより、更なる流動性の確保を行います。

上記株主は安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

また、当社グループの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 税務上の繰越欠損金、繰延税金資産について(顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:10年以内、影響度:中)

当社は、当事業年度末現在、税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておりません。今後、繰越欠損金の使用、又は期限切れによる繰越欠損金の解消により、課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税の負担が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また当社は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討し、繰延税金資産を計上しています。しかしながら、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 (資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末より6,737千円増加し、1,944,137千円となりました。これは主に売掛金159,824千円繰延税金資産8,915千円増加したものの、現金及び預金142,620千円仕掛品10,581千円未収還付法人税等17,158千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末より17,057千円減少し、266,230千円となりました。これは主に未払法人税等19,715千円賞与引当金7,199千円増加したものの、買掛金9,125千円未払金41,568千円前受金34,082千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末より23,795千円増加し、1,677,906千円となりました。これは主に資本金1,350千円資本剰余金1,350千円利益剰余金22,550千円増加したものの、為替換算調整勘定1,455千円減少したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度の我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加を背景に、内需を中心として緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、エネルギー・原材料価格の高止まりや円安に伴うコスト上昇、消費者の節約志向は継続しております。加えて、米国の通商・金利政策の不透明感や欧州・中東情勢の緊迫化といった海外リスクも重なり、先行きについては依然として不透明な状況が続きました。金融資本市場の変動幅拡大も相まって、引き続き慎重な見極めが求められる局面となっております。

国内DXコンサルティングサービスを取り巻く環境においては、国内コンサルティング市場規模が2029年には1兆2,832億円(出典:IDC「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2025年から2029年(2025年)」)、国内DX市場規模も2030年には9兆2,666億円(出典:富士キメラ総研「2025デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)にまで拡大し、今後も中期的に右肩上がりで成長が続くものと予想されております。また、海外においても同様に経営戦略及びIT関連のコンサルティング需要が中期的に高まっていくことが見込まれます。

当社グループがコンサルティングサービスを展開する金融業界及びFintech関連業界の多くの企業においては、日々変化する事業環境での生き残りを図るため、新たな価値の創出を模索している状況と推察されます。経営戦略やIT戦略の企画検討及び推進に際しては、イノベーションを実現するIT技術の活用と事業活動上の遵守項目への対応などを両輪かつ効率的に追求するよう迫られており、それらに対するコンサルティング需要は底堅く続くものと予想されます。

このような環境のもと、当社グループの事業としては、特にFintech関連事業における顧客のニーズを的確に捉え、既存顧客の深耕及び新規顧客獲得により受注は底堅く推移しております。また、前連結会計年度より立ち上げが本格化した銀行・保険・証券・PMO・ITリスク・セキュリティといった新規サービス分野につきましても、提供体制の整備が進んだことで新規受注が拡大し、着実に収益貢献を果たしております。なお、これらのサービス提供の要となる、高い専門性を持ったコンサルタントの採用につきましても、引き続き積極的に行っております。

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高2,280,860千円(前年同期比7.5%増)、営業利益は9,169千円(前年同期は営業損失382,641千円)、経常利益は21,819千円(前年同期は経常損失373,534千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は22,550千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失852,052千円)となりました。

なお、当社グループはデジタルソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比べて142,620千円減少し、1,512,403千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、137,974千円(前連結会計年度は136,677千円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益21,895千円、賞与引当金の増加額7,199千円、売上債権の増加額159,626千円、仕入債務の減少額9,464千円、未払消費税等の増加額48,809千円、法人税等の還付額16,768千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、7,031千円(前連結会計年度は391千円の増加)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入75千円、差入保証金の回収による収入570千円、差入保証金の差入による支出6,676千円によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、2,700千円(前連結会計年度は31千円の減少)となりました。これは株式の発行による収入2,700千円によります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.  生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.  受注実績

当社グループで行う事業は、サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.  販売実績

販売実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループはデジタルソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

デジタルソリューション事業

2,280,860

107.5

 

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

1,274,860

60.1

1,176,686

51.6

アイフル株式会社

278,981

13.2

 

2.販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については記載を省略しております。

3.当連結会計年度におけるアイフル株式会社への販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の分析

経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりであります。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、2,280,860千円(前年同期比7.5%増)となりました。これは、既存顧客の深耕を推進し、既存の決済分野の受注が底堅く推移したことに加えて、新規に立ち上げた銀行・保険・証券・PMO・ITリスク・セキュリティ分野においても受注が拡大し、着実に収益貢献を果たした結果であります。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、1,713,124千円(前年同期比0.1%減)となりました。これは、積極的な人材採用によりコンサルタント人件費が増加したものの、ビジネスパートナーへの業務委託費が減少したことによるものであります。この結果、売上総利益は567,735千円(前年同期比39.8%増)となりました。

 

販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、558,566千円(前年同期比29.2%減)となりました。これは、積極的な人材採用の一方で採用コストの最適化を図ったことや、外注費の効率化を進めたことによるものであります。この結果、営業利益は9,169千円(前年同期は営業損失382,641千円)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度における営業外損益は、営業外収益が13,170千円となり、営業外費用が520千円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取利息2,092千円、債務免除益10,364千円、営業外費用の主な内訳は、為替差損293千円、消費税差額216千円であります。この結果、経常利益は21,819千円(前年同期は経常損失373,534千円)となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は75千円となりました。これは固定資産売却益75千円によるものであります。この結果、税金等調整前当期純利益は21,895千円(前年同期は税金等調整前当期純損失857,745千円)となりました。

法人税等合計△655千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は22,550千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失852,052千円)となりました。

 

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としつつ、資金を効率的に調達できるよう、取引銀行3行と極度総額10億円の当座貸越契約を締結しております。なお、当連結会計年度末において、当座貸越契約に係る借入実行残高はありません。

 

5 【重要な契約等】

業務委託契約

相手先の名称

相手先の所在地

契約品目

契約
 締結日

契約期間

契約内容

株式会社NTTドコモ

東京都千代田区

業務委託契約

2019年1月

3ヶ月ごとの都度更新

カード事業における各種支援業務

 

(注)本書提出日時点において上記契約は継続しており、現時点において契約解除は予定されておりません。なお、上記契約は、相手方が本契約の規定の一にでも違反した場合、所定の手順を経て契約の全部又は一部を解除することができる内容となっております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。