第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、顧客を満足させる品質と価値の創造開発に全力を尽くすとともに、環境保全と省資源へも積極的な取組みを続け、消費者・取引先・株主等を始めとするステークホルダーに信頼される企業を目指すことを経営の基本理念としております。

 この理念の実現を通して、株主の利益向上・会社の発展・社会への奉仕・社員生活の充実の推進が一致する経営の確立を目指してまいります。

 また当社は、常に新しい市場の創造と開拓に努め、顧客ニーズを的確に把握し、魅力ある製品を開発しながら、生産性及び顧客サービスの向上を図り、当社並びに当社製品への信頼を得るための体制を確立してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、中長期的な業績見込みにおける売上収益、EBITDA、自己資本利益率を重要な経営指標として位置付けております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 製品開発の拡充による用途拡大、グローバル市場への展開、グローバルブランドの確立

 ポリウレタンレザーに求められる機能やデザインは、その用途によって異なります。特にハイエンドのレザーに対しては、様々な機能と最先端のデザインが求められます。当社とUf社は、製品開発において従前より協力関係を築いておりましたが、事業統合によって顧客ニーズの直接的な製品開発への反映と量産への展開がより迅速に行える体制となり、品質に対する要求水準が高い自動車、航空機等の分野における製品用途を拡大させております。地域面では、東京、ニューヨーク、ロンドンの3拠点から、当社製品をUf社のブランド名でグローバルに展開しております。特に自動車や航空機は事業そのものがグローバル化しており、製品のグローバル展開は当該分野における採用に貢献するものと考えます。ハイエンドレザーとして製品用途の拡大とグローバル市場への展開により、事業統合の最大の目的であるグローバルブランドとしての地位の確立が可能になります。グローバルブランドとして認知されることは、製品の持つ高い機能性、優れたデザイン性、そして品質の安定性がブランドにより担保され、新規の顧客や新しい用途における採用に大きく貢献するものと考えております。

 

(4)会社の対処すべき課題

①売上基盤の分散・拡大

 当社グループは、売上の7割程度を北米で計上しており、米国の政治・経済状況の変動に極めて大きな影響を受けています。このように特定の地域や用途、顧客に起因するリスクの影響を低下させるため、北米以外の地域を開拓したり、北米においても当社グループがほとんど参入出来ていない分野に進出することによって、売上基盤の分散・拡大を図る必要があります。近年は、好調な航空機向けにおいて、欧州・アジアパシフィック系航空会社との取引を増加させたり、欧州の家具市場に本格進出するために、技術的課題の解決に向けて試作を重ねています。また、北米家具市場においても、主力のオフィス向けだけではなく、住宅向け市場にも進出しました。

②製品開発力の強化

 顧客からの製品の機能や品質に関する要求は益々高度化しており、新製品開発や既存品改良のスピードアップが求められています。当社グループの製造機能を担う第一化成㈱では、製造現場との連携強化による開発のスピードアップや品質向上を企図して、工場に併設するかたちで研究開発拠点を再編しました。これにより研究開発スペースも拡張され、研究開発人員数のボトルネックが解消されています。また、サンプル製作のリードタイムを短縮することで、マーケティング活動も加速してまいります。

③サステナビリティ(持続可能性)の重視

 当社は「サステナビリティの重視」を経営理念の一つとして掲げ、バイオ・リサイクル原料の使用促進による“製品のサステナブル化”だけではなく、千代田工場において二酸化炭素排出量の低減を目指して水素ボイラーを導入したり、工場内で使用した水の60%を再利用する仕組みを導入して“製造プロセスのサステナブル化”にも努めています。これら動きをさらに加速させるとともに、当社製品のブランド価値として収益力の強化にも結び付けてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

 当社グループは、企業が将来にわたって成長し繁栄していくためには、自社だけではなく自社を取り巻く社会全体が豊かで持続的であることが必要であり、そのためには重要な社会の構成員として社会課題を解決するための取組みを進めることが重要であると考えています。

 その意思表明として、「サステナビリティを重視し、社会へ貢献する」をグループ経営理念の一つとして掲げています。

 

①ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関する各重点分野における課題解決を進めるため、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。当委員会は、取締役であるチーフ・サステナビリティ・オフィサーを委員長とし、各関連部門の執行責任者がメンバーとなって、サステナビリティ推進に関する基本方針の策定・各領域における重要課題への対応方針・目標・推進計画の立案、活動の進捗統括と評価を行います。各メンバーは当委員会で決定した方針・目標に基づき、それぞれの所属部門において計画を実行に移していきます。

 当委員会の活動状況及び直面している課題については、当社及び各子会社の幹部が参加するGroup Management Committeeで報告され、特に重要な課題については取締役会で議論され、その決定事項は当委員会の活動方針及び中期経営計画の方針・施策・財務目標等にも反映されます。また、ISO14001の環境マネジメントシステムの仕組みを通じても、経営陣が当委員会の活動を管理・監督を行っております。

 当社取締役の報酬は基本報酬(固定報酬)及びインセンティブ報酬で構成されており、インセンティブ報酬の一部にサステナビリティ推進における成果が反映されています。

 

②戦略

 当社グループでは、サステナビリティを推進するにあたり、顧客、取引先、株主、従業員や地域住民といった全てのステークホルダーからの要請に応えるべく、5つの“P”で表現される重点分野を設定し、それぞれにおけるマテリアリティを特定しています。そして、各マテリアリティに対応する個別テーマを設定し、KPIや目標を定めて様々な取組みを進めています。

 

ウルトラファブリックスグループにおけるサステナビリティ推進の重点分野

0102010_001.png

 

 また、当社グループでは、TCFD提言に基づいて気候変動が事業に及ぼしうるリスク及び機会を把握するため、シナリオ分析を実施しています。本分析では、温度帯が異なる複数のシナリオ(世界観)を想定し、各シナリオ下で想定されるリスク・機会を特定しています。特定されたリスク・機会については定性的な分析を行い、それぞれに対する対応策を整理することで、いかなる将来の世界においても当社グループの事業継続が可能となるよう努めています。

 

 想定したシナリオとしては、脱炭素社会への移行が進む2℃未満シナリオと、自然災害の激甚化が進む世界を想定した4℃シナリオを用い、短中長期における当社グループの戦略への影響を分析しています。

 

0102010_002.png

 

上記のシナリオを用い、脱炭素社会への移行に伴い発生しうる移行リスク及び機会、ならびに気温上昇の進行や異常気象の頻発により生じうる物理リスク及び機会を整理しています。

 

移行リスクのうち財務影響が大きいリスクとしては、脱炭素社会への移行に伴う原材料価格の上昇に加え、低炭素製品が顧客に選好されることによる従来製品の売上減少が想定されます。

一方で、アニマルフリー、軽量、長寿命といった特性を有する素材に対する需要の高まりや、低炭素製品の販売機会の拡大により、環境配慮製品の需要増加が見込まれます。

これらへの対応として、バイオ素材やリサイクル素材の活用・転換を進めるとともに、さらなる軽量化及び耐久性の向上、ならびに低炭素製品の開発を加速させることで、リスクの低減と機会の拡大を推進してまいります。

 

物理リスクにおいては、異常気象による自社拠点・設備の損壊やサプライチェーンの寸断に加え、慢性的な気候変動に起因する原材料・エネルギーコストの上昇及び設備・人的生産性の低下により、生産能力の低下や収益悪化が想定されます。これらのリスクに対し、事業継続計画(BCP)の策定・運用を徹底するとともに、複数調達先による安定調達体制の構築を進めることで、供給網の寸断や価格高騰への耐性を高め、安定的な製品供給の維持を図ってまいります。

 

0102010_003.png

 

0102010_004.png

 

 今後は、リスク及び機会の財務影響について定量的な分析を行い、情報開示の充実に努めてまいります。

 

③リスク管理

 当社グループは気候変動に関するリスクを重要なリスクの1つとして位置付け、サステナビリティ委員会においてリスク・機会の特定、評価、対応策や予防措置を議論・検討しています。

 総合的にリスク管理を専門に担当する部署は設けていませんが、当社グループの経営成績、株価ならびに財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクの一つとして、その他リスクと同様に気候変動関連リスクを特定及び評価をしております。

 対応が必要だと判断されたリスクについては、各担当にて、必要に応じ規則・ガイドラインの制定、研修の実施、マニュアルの作成・配布等を行っております。緊急事態については、直ちに情報共有を行い、生じたリスクに速やかに対応できるように対応責任部署を定める体制となっております。

 

④指標及び目標

 当社グループは洗い出したリスクと機会を管理する指標として以下4つのKPIを設定し、目標を策定することで当社の気候変動に対する取り組みの進捗を管理しています。

 

GHG排出量の削減:

炭素税の導入や排出量取引制度によるコスト増加リスクへの対応として、GHG排出量(SCOPE1・SCOPE2)を2030年度までに2021年度比42%に削減する目標を設定しています。2023年度には「SBT for SMEs(中小企業向けSBT)」の認定を取得しました。Scope 3につきましてもサプライチェーン全体の排出量を算定し、削減に努めてまいります。

 

再生可能/リサイクル製品の開発:

低炭素製品を選好する市場ニーズの高まりや、既存製品の売上減少リスクを回避するため、2030年度までに50%以上の製品を再生可能/リサイクル原料を使用した製品とする目標を策定しています。今後も低炭素製品需要の獲得に向け、対応を強化していきます。

 

水使用量の削減:

干ばつ等による水不足が引き起こす操業停止リスクを低減するため、2025年度までに2020年度比で原単位当たりでの水使用量を20%削減する目標を設定しています。気候変動や水資源保全の観点からも、効率的な水の利用を促進していきます。

 

 

廃棄率:

製造工程で生じる廃棄物の処理コスト増加リスクへの対応として、製造から販売の過程で発生した販売不適合品や返品された製品の生産量に対する比率を3%以下に維持する目標を設定しています。資源循環の観点からも、生産計画の最適化によって原材料・資材類の使用効率を高めていきます。

 

0102010_005.png

 

0102010_006.png

 

0102010_007.png

 

 

 なお、2025年度の達成状況につきましては、2026年5月末までには当社HPにて開示予定です。

https://www.ultrafabricshd.co.jp/sustainability/ufg-sustainability/materiality/

https://www.ultrafabricshd.co.jp/sustainability/environment/climate-change/

 

 

(2)人的資本

①戦略

 当社の事業戦略である、「プレミア市場を主戦場とし、販売においては市場・地域を多角化する一方で、生産能力を拡大し、生産性を向上すること」及び「社会的責任でもあり、顧客要求でもあるサステナビリティを一層重視した経営を行うこと」を支えるための重要な資産として、当社グループでは優秀な人材の獲得と継続的な能力発揮を実現し、社員にとって安全で働き甲斐のある職場を提供してまいります。

 また、日本を中心とした製造、米国の販売子会社及びその英国子会社による販売、というグローバルな事業構造を支えるための、多様な人材による事業運営を目指します。

 

②指標及び目標

上記を実現するため、当社グループでは以下のような指標に対して目標を定め、定期的なモニタリングを行って状態を確認するとともに適時適切なアクションを行ってまいります。

(当目標値は当面のものとし、2027年には見直しを行います。)

指標

対象

目標

2025年末

時点実績

役員中の女性比率

連結ベース

提出会社

国内連結子会社

20以上

18

22%

9%

管理職中の女性比率

連結ベース

提出会社

国内連結子会社

25以上

32

8%

18%

従業員中の女性比率

連結ベース

提出会社

国内連結子会社

30

30

8%

16%

④退職率

提出会社

国内連結子会社

10%以下/年

0%

2%

⑤労働災害発生件数

提出会社

国内連結子会社

0件/年

0件

5件

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価ならびに財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、下記記載のリスク項目は当社事業に関するすべてのリスクを網羅したものではありません。また、本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 海外売上高と為替相場の変動及び税金について 影響度:大、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループの最近2連結会計年度における海外売上比率は、前連結会計年度98.5%、当連結会計年度98.6%となっており、当社グループの業績は為替変動の影響を受けると共に、連結財務諸表作成において在外子会社の貸借対照表及び損益計算書は円換算されるため、為替相場の変動の影響を受けます。当社グループは、デリバティブを活用したヘッジ取引により為替相場の変動を軽減する対策を講じてはおりますが、為替レートが急激に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、販売単価の見直しや受注の増減に伴って移転価格税制等の国際税務リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定の仕入先からの仕入割合が高いことについて 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループは、原材料である基布や樹脂等を特定の仕入先に依存している場合があります。当社グループではこうした特定仕入先との関係を密接に保ちながら、安定的な調達に努めております。需要の急増による原材料不足や天災地変、品質問題、特定仕入先の政策変更や倒産・経営破綻・合併等により調達に重大な支障をきたした場合や仕入価格が高騰した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品開発について 影響度:大、発生可能性:低、発生時期:短期

 当社グループは、研究開発による新製品の開発や顧客要求への対応等が常に求められております。そのため、当社グループの収益の変動にかかわらず、製品開発のための投資を常に継続する必要があります。その一方で、開発された高品質・高付加価値製品より、アジア圏の各メーカーが当社グループの製品と同様な品質で、より安い価格の製品を安定供給するようになった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 製品における欠陥の発生 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループの製品については、確立された品質管理体制により高機能・高品質を備えたポリウレタンレザーを市場に供給しております。しかしながら、製品に欠陥が発生したことにより顧客から賠償費用等の多額のコストが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、協力企業に生産を委託した場合も当社グループの製品と同程度の品質が要求されるため、技術指導や検査体制を増強し、上記リスクを回避する必要があります。

 

(5) 災害の発生について 影響度:大、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし

 当社グループにおける事業を取り巻く環境として、地震、台風、火災、戦争、感染症等の災害が発生し、当社グループや取引先企業が被害を受けた場合、グループ拠点の事業活動に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 生産設備について

 ① 法的規制 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループの製品についての法的規制はありませんが、設備及び生産活動において地盤沈下監視、VOC(揮発性有機化合物)排出規制、有機物排出規制、省エネルギー法による燃料消費量管理、危険物取扱関連等のさまざまな法的規制・行政指導を受けており、今後、これらの法規制が強化された場合、設備投資や関連費用の増加が見込まれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 ② 製造拠点の稼働 影響度:中、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし

 当社グループでは、営業部門からの需要動向や原材料の調達状況を踏まえ、生産計画を策定のうえ、製造設備

の稼働を実施しております。さらに計画的な保全計画を策定実施し安定稼働に取り組んでおりますが、製造設備

のトラブル等により生産が停止した場合には、製品供給がされず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響

を及ぼす可能性があります。

 ③ エネルギー供給について 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループの製品は、埼玉県行田市、群馬県邑楽町、及び群馬県千代田町の国内3拠点で生産を行っております。このため、各拠点生産設備における災害の発生時に、停電又はその他の事象により製造機器の損傷又は材料調達先に壊滅的な被害が生じた場合、操業が停止し、生産・出荷活動が停止する可能性があります。また、今後発生する災害を要因として電気ガス等のエネルギー供給において総量規制など使用制限がなされた場合には、当社の生産活動において著しい影響を受ける可能性があります。

 

 ④ 人材の確保と技術伝承 影響度:中、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし

 当社グループの製品は、高度な技術等専門知識及び経験を有する社員により製造・開発されております。しかしながら何らかの要因により雇用が流動化し人材が流出・流入した場合、技術・知識及び経験を伝承するためのある期間にわたり教育と訓練を行うことができず、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑤ 固定資産の投資 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループでは、各製造拠点から提出され、予算編成の過程での検討手続きを経た上で作成された設備投資

計画に基づき、工場の建物や製造設備、工具器具備品に至るまで生産活動の維持・向上に必要な固定資産の投資

を計画的かつ継続的に行っておりますが、何らかの要因により当該固定資産の投資がスケジュールどおりに完了

しなかった場合、生産計画に影響を及ぼすため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性が

あります。

 

(7) のれん等の減損について 影響度:中、発生可能性:大、発生時期:特定時期なし

 当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれん及び商標権を連結財政状態計算書に計上しております。当該のれん及び商標権については将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等によりのれん及び商標権の評価額が帳簿価額より下落した場合に、当該のれん及び商標権について減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 在庫リスクについて 影響度:中、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし

 当社グループは、販売計画に基づく原材料の発注及び計画生産を行っております。また、顧客のニーズに合わせて出荷できるよう寄託倉庫に商品を保管しており、欠品が生じないよう努力しております。しかしながら、販売計画と実績との乖離が生じ、余剰在庫や滞留在庫が残った場合には、結果として評価損等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 特定の顧客への依存度について 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループは、特定の顧客から一定規模の売上が計上され、一定の顧客への依存度が高まることが想定できます。この場合、当該顧客からの受注動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 原材料・燃料・輸送等の価格変動の影響について 影響度:中、発生可能性:大、発生時期:短期

 当社グループの生産活動にあたっては、種々の原材料、部品、燃料、包装資材等を国内外から調達し、商品を生産しております。これら原材料・燃料・輸送等の価格変動に対しましては、生産効率化等で吸収を図っております。しかしながら、昨今の地域紛争の緊迫化や予期できない自然災害や事故等を始めとする地政学リスクの高まりによるサプライチェーンへの大きな影響、仕入先の経営状態悪化による部品の供給制限や製造中止、市場での需要増加による供給制限等が生じて、原材料・燃料・輸送等のコストがさらに上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。その対応策として、当社グループでは、市場動向については日常から調達先の情報収集に努め、前倒しで確保する等、安定調達に努めるとともに、一部販売商品の値上げや、輸送費の一部を顧客に負担していただくなどの対策を講じております。

 

(11) 金利変動について 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社は、運転資金及び設備資金について主に金融機関からの借入れにより資金調達をおこなっております。金利が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。その対応策として、長期の資金調達においては、金利変動リスクをヘッジするために金利スワップ取引を行って、金利変動リスクを最小限にとどめております。また、当社グループが借入契約の財務制限条項に抵触した場合は、金利の上昇を請求されたり期限の利益を喪失したりする可能性があり、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。

 

(12) 合弁事業のリスク 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループは、事業拡大や収益力の向上を目的とし、外部企業との間で業務提携や合弁等を行う可能性があります。しかしながら、これらの合弁事業は、合弁先を取り巻く経営環境の変化により、様々な不確実性を伴うため、当社グループの経営成績及び事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 情報セキュリティに関するリスク 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループは、取引先の情報や、当社の技術情報など様々な機密情報を保有しております。これらの情報の保護及び適切な管理のため、情報セキュリティに関する方針・規程の整備、従業員に対する教育・訓練の実施、セキュリティ機器及び不正な挙動を検知する技術の導入など、リスク低減に取り組んでおります。しかしながら、コンピューターウイルスによる感染、サイバー攻撃を含む外部からの不正アクセス、災害等により情報システムの停止や情報漏洩が発生した場合には、事業活動への支障や信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 関税政策について 影響度:低、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし

 当社グループは、日本に生産拠点を持ち、米国の営業拠点を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。このため、米国の関税政策の変更によって税率が大幅に変動した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのリスク軽減のため、関税動向や規制変更を常に注視し、必要に応じて取引形態・サプライチェーンの見直しや販売価格への適切な転嫁を行うことにより、事業への影響の低減を図っています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績

 当連結会計年度の米国経済は、追加関税によるコスト増やインフレの再燃、雇用情勢の軟化といった数々のリスクに直面いたしました。しかしながら、生成AI関連の設備投資や底堅い個人消費が景気の下支え役を果たしたことで、深刻な景気後退は回避しています。今後の見通しにつきましては、減税や緩和的な金融政策による経済の活性化が期待される一方で、米国の通商・外交政策がもたらす世界経済や地政学リスクへの影響、ならびに為替相場の変動を注視していく必要があります。

 このような状況下、顧客層が広がり続けている民間航空機向けの成長が、内装材の需要減の影響があった自動車向けと、関税や高金利による経済的影響を受けた家具向け及びビジネスジェット向けの弱さを相殺し、全体として前年比で増収となりました。しかしながら、アウトソーシング生産の増加、新工場の稼働、及び原材料費やエネルギー費用の上昇で製造単価が上昇し、人件費等の増加や合弁事業の持分法損失の影響もあり、利益においては前年同期を大幅に下回りました。

 この結果、2025年12月期の売上収益は205億53百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益は16億21百万円(同42.1%減)、税引前当期利益は11億73百万円(同48.4%減)、当期利益は7億86百万円(同52.1%減)となりました。

 

 用途別の売上収益の概況は、次のとおりです。

①家具用

 主力であるコントラクト家具向け及びディーラー向けは堅調だったものの、米国経済の不確実性の高まりによる市場低迷でヘルスケア向け及びホテル・レストラン向け等は減少しました。家具向け全体の売上は前年比で微減となりました。

 この結果、家具用の売上収益は56億17百万円(同0.7%減)となりました。

 

②自動車用

 シート用素材向けは主要顧客の生産車種変更の影響で横這いとなり、シフトブーツ等の小型部品向けは車両需要が弱くて減少しました。自動車向け全体の売上は前年を下回りました。

 この結果、自動車用の売上収益は81億36百万円(同3.0%減)となりました。

 

③航空機用

 関税影響の見極めからビジネスジェット向けは減少したものの、多数の航空会社による広範な製品への需要に支えられて民間航空機向けが引き続き好調でした。航空機向け全体の売上は前年を大きく上回りました。

 この結果、航空機用の売上収益は37億12百万円(同17.4%増)となりました。

 

④その他

 その他事業分野には、RV・手袋・船舶・トラック用などが含まれます。新型車両向けの需要が強いトラック向けが好調で、高金利や関税影響によるRV及び船舶向けの落ち込みを相殺し、その他向け全体は前年並みとなりました。

 この結果、その他の売上収益は30億87百万円(同0.0%減)となりました。

 

 

② 財政状態

 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ5億36百万円減少し、384億68百万円となりました。これは主に、棚卸資産の増加及び関連会社への出資があったものの、有利子負債の返済及び配当金の支払いにより現預金が減少及び為替相場が前期末と比べ円高に推移した影響により外貨建ての無形資産及びのれんが減少したことによるものです。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ7億8百万円減少し、208億62百万円となりました。これは主に、繰延税金負債の増加があったものの有利子負債の返済、リース負債及び未払法人所得税等の減少があったことによるものです。

 資本につきましては、前連結会計年度末に比べ1億72百万円増加し、176億6百万円となりました。これは主に配当金を支払い、外国為替相場が前期末に比べ円高に推移した影響により在外子会社の換算金額が減少したものの、当期利益の計上による利益剰余金の増加及び自己株式の減少があったことによるものです。

 

③ キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億68百万円減少し、22億57百万円(前年同期比17.2%減)となりました。これは主に税引前当期利益の計上、減価償却費の計上、運転資金及び設備投資資金としての長期借入れが増加したものの、棚卸資産の増加、有形固定資産の取得、関連会社への出資、借入金の返済及び配当金の支払いがあったことによるものです。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は29億80百万円(同18.2%減)となりました。これは主に税引前当期利益の計上、減価償却費及び償却費の計上及び営業債務及びその他の債務の増加があったものの棚卸資産の増加、利息及び法人所得税の支払額があったことによるものです。

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は20億17百万円(同29.8%減)となりました。これは主に新工場建設に関連する有形固定資産の取得及び関連会社への出資によるものです。

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は13億97百万円(同6.3%減)となりました。これは主に短期の運転資金及び設備投資資金として長期借入金の収入があったものの、長期借入金の返済及び配当金の支払いがあったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当社グループはポリウレタンレザーの専門メーカーであり、当該事業以外の異なる事業を営んでおりません。

 当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

用途別の名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

前年同期比(%)

ポリウレタンレザー(百万円)

6,897

92.8

 (注)金額は販売価格によっております。

 b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。

用途別の名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

ポリウレタンレザー(百万円)

22,077

110.5

4,489

151.4

 (注)金額は販売価格によっております。

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

用途別の名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

前年同期比(%)

ポリウレタンレザー(百万円)

20,553

101.3

 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

当連結会計年度

(自  2025年1月1日

至  2025年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Saltillo Lamination S.A de C.V

3,446

17.0

3,552

17.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは単一事業のため、経営成績数値は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。

当連結会計年度の業績は以下の要因により実現いたしました。

売上収益

顧客層が広がり続けている民間航空機向けの成長が、内装材の需要減の影響があった自動車向けと、関税や高金利による経済的影響を受けた家具向け及びビジネスジェット向けの弱さを相殺し、全体として前年比で増収となりました。

・不確実性の高まりによる市場低迷でヘルスケア向けとホテル・レストラン向けを中心に家具用は販売減

・オフィス家具向け及び家具ディラー向けは堅調

・自動車向けシート素材は主要顧客向けの生産車種変更の影響で横這い

・自動車向けスモールパーツは車両需要減の影響で販売減

・関税影響の見極めからビジネスジェット向けは販売減

・広範な航空会社及び製品需要に支えられて民間航空各社は好調を継続

・高金利と関税影響でRV向けと船舶向けは低迷

・新型車両向けの需要が強くトラック向けは販売増

営業利益及び税引前当期利益

アウトソーシング生産の増加、新工場の稼働、及び原材料費やエネルギー費用の上昇で製造単価が上昇し、人件費等の増加や合弁事業の持分法損失の影響もあり、前期比で大幅な減益となりました。

・アウトソーシング製品仕入れ費用の増加

・人件費や燃料費の高騰などに起因する原材料単価の上昇

・千代田工場の稼働で減価償却費やエネルギー費用等の固定費が増加したことにより製造原価が上昇

・人員増による人件費の増加

・顧客関連対応費用、旅費交通費、株式報酬費用、広告宣伝費の減少

・合弁事業の持分法損失の増加

当期利益

日米間の利益割合が変更になり実効税率も上昇したため、前期比で減益となりました。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ5億36百万円減少し、384億68百万円となりました。これは主に、棚卸資産の増加及び関連会社への出資があったものの、有利子負債の返済及び配当金の支払いにより現預金が減少及び為替相場が前期末と比べ円高に推移した影響により外貨建ての無形資産及びのれんが減少したことによるものです。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ7億8百万円減少し、208億62百万円となりました。これは主に、繰延税金負債の増加があったものの有利子負債の返済、リース負債及び未払法人所得税等の減少があったことによるものです。

 資本につきましては、前連結会計年度末に比べ1億72百万円増加し、176億6百万円となりました。これは主に配当金を支払い、外国為替相場が前期末に比べ円高に推移した影響により在外子会社の換算金額が減少したものの、当期利益の計上による利益剰余金の増加及び自己株式の減少があったことによるものです。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により多様化する顧客ニーズに対応した設備投資を行うためのキャッシュ・フローの獲得を進めております。

当社グループは設備投資に必要な資金については自己資金の利用とともに、必要に応じて銀行借入金により調達しております。

資金の流動性については、金融機関との間に結んでいる当座貸越契約を活用することにより当連結会計年度に保有している22億57百万円の現金及び現金同等物を確保し、資金需要にタイムリーに対応ができる状況を維持しております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

当社グループは2025年2月に公表した中期経営計画における2025年目標を売上収益225億円、営業利益29億円、当期利益15億円、EBITDA 50億円としておりましたが、2025年8月に売上収益209億円、営業利益15億円、当期利益6億円、EBITDA33億円に修正しました。

これに対し2025年の通期業績は売上収益205億53百万円、営業利益16億21百万円、当期利益は7億86百万円、EBITDA 35億07百万円となり、ほぼ修正目標通りの着地となりました。主な要因は② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容に記載のとおりです。

2025年度の業績及び経営環境の変化を踏まえ、2026年2月に中期経営計画のローリングを公表しました。2028年の目標を売上収益274億円、営業利益35億円、当期利益23億円、EBITDA 53億円と掲げ、目標達成に向けて①売上基盤の分散・拡大 ②製品開発力の強化 ③収益性の回復 ④サステナビリティの推進 を進めてまいります。

 

5【重要な契約等】

連結子会社に係るローン契約に付される財務上の特約

当社の連結子会社は下記金融機関3行との間で千代田新工場の建設資金の調達を目的としたシンジケートローン契約を締結しており、その内容は次のとおりであります。

連結子会社の名称

第一化成株式会社

住所

東京都八王子市明神町3丁目20番6号八王子ファーストスクエアビル6階

代表者の氏名

代表取締役 尾城紳治

契約締結日

2024年10月30日

相手方の属性

金融機関

期末残高

5,500百万円

借入期間

15年

担保の内容

不動産

特約の内容

財務制限条項

・連結の財政状態計算書上の資本の部の金額を直前の決算期末日における連結の財政状態計算書上の資本の部の金額の75%以上に維持させること。

・連結の損益計算書に示される当期損益が2期連続損失にならないようにさせること。

なお、2024年4月1日前に締結した財務上の特約が付された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

6【研究開発活動】

研究開発の目的は日々変化する顧客の要求に応え得る新製品を継続的に市場に提供することで、当社グループの維持・発展を確実にすることにあります。本目的を達成するために当社では「ISO9001」に基づく開発プロセスを構築し運用しておりましたが、車載製品開発を進めるにあたり、「IATF16949」に基づく開発プロセスの整備を行いました。これらの開発プロセスには経営陣をはじめ、営業・技術・製造・品質保証各部門の責任者が参加することで開発業務の効率化をはかっております。

開発業務は当社グループ内各社技術部門、商品開発部門が当該事業に従事しており、当連結会計年度のグループ全体の研究開発費の総額は341百万円であります。各部門は新製品の性能評価に必要な試験、測定機器を所有し、相互の情報交換を密にすることで業務の効率化をはかっております。

それぞれの用途に求められる性能の実現をはかるため、新素材の採用、使用原材料の改質を積極的に行うとともに、加工方法及び性能評価法についてさらなる高度な技術を身につけることが今後の研究開発業務を推進するうえで重要な課題となっております。

なお、2020年度に「ISO14001」の認証を取得し、企業活動が環境に及ぼす負荷を適切に管理し成長と環境保全を両立する経営をグループ全体で推進していることから今後も環境配慮型商品の研究開発や製造プロセスの継続的な改善を通じた事業の環境負荷低減を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。