文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、社名を「株式会社T.S.I(Terminalcare Support Institute)」=「終末期ケアの支援機関」としております。「愛ある日々のお手伝い」を当社グループの経営理念に掲げ、経営理念の浸透、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底を図り、これらを理解し実現できる管理者の育成、当社グループの経営理念に共感できる介護スタッフの育成を通じて、より質の高い介護サービスを提供するため取り組んでおります。また、長期的なビジョンとしては、全国47都道府県に事業を展開することも視野に入れ、さらなる事業規模の拡大を目指してまいります。
当社グループは、経営理念を最も重視し、以下の経営理念及び指針のもと、介護を必要とする方々やその家族が安心・安全に生活できるよう運営を行っております。
① 経営理念
「愛ある日々のお手伝い」
私たちは、いつもお客様とその家族や友人のやすらぎと幸福を願います。
老いて、病にあっても、他の人を思いやり、関心をむけられる愛ある日々を過ごせるようにお手伝いをします。
② 指針
・ 私は、お客様の幸福を願います。お客様の立場に立ち、お客様を理解しようと努力します。
・ 私は、より良いケアが出来る様に学習をします。お客様から学び続ける姿勢を持ち続けます。
・ 私は多くの人々に喜ばれる仕事が出来たかどうか、日々自分の行動や言動を振り返ります。
常に心のコントロールを心がけ、愛をもって仕事をします。
・ 私はお客様の心に寄り添い、真のニーズを発見し幸福を広げていきます。
常に心と身体のバランスを意識して、お客様の幸福に繋がるケアを目指します。
(2)経営戦略等
当社グループは、介護運営会社である当社と、サービス付き高齢者向け住宅の建築を行う連結子会社(株式会社北山住宅販売)による、設計・建築から運営までの一気通貫したサービス提供によって、各地域でのドミナント展開を進めてまいりました。
また、当社は自社の営業部隊を持ち、新規拠点開設時には各地で経験を積んだ営業部隊を投入し、紹介会社等の力を借りず自社で顧客を獲得できるよう、地域との関係性づくりに注力しております。また、当社は拠点開設当初から積極的に告知活動を行い、顧客の紹介元であるケアマネージャーやソーシャルワーカーとの関係づくりに努めております。具体的には、紹介を受けた入居者の様子を定期的に報告することによって、ケアマネージャーやソーシャルワーカー等、協力者への情報共有を続けております。また、当社が運営する施設以外のサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム、介護老人保健施設などでの受け入れ困難な方についても相談を受け、可能な限り受け入れを行っております。これらの活動の結果、現在は開設後1年以上経過した拠点の平均稼働率は96.5%(第16期連結会計年度末時点)であります。
土地オーナーが施主となって建物を建築する場合においても、当社の上場企業としての信用力により、完成後に一括借上げを行うことが可能となっております。また、オーナーが建築費用のファイナンスができない場合においても、当社が開設予定候補地域で土地を買い付け、サービス付き高齢者向け住宅を建築し、事業運営することや、他の事業者に売却することが可能となっております。
2023年より、訪問看護事業所併設モデルの新規開設を行い、1棟あたりの付加価値及び収益性の向上に注力してまいりました。2025年12月末時点では、4棟を展開しております。2026年以降、関東やドミナント形成エリアで複数の新規開設も決定しており、今後も大型拠点では訪問看護事業併設で開設を進め、1棟あたりの収益性の向上と付加価値の向上を図ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長による企業価値の向上を目的として、業績の拡大に向けて重要な指標となる毎年の新規開設居室数、並びに収益力の向上及び経営の効率化において重要な指標となる売上高経常利益率を経営上の目標の達成状況を判断するための重要な指標と位置づけ、各経営課題の改善に取り組んでおります。新規開設居室数は、年間150室の増床を目標としています。
また、当社グループは、サービス付き高齢者向け住宅の運営においては、各部門の適正な運営の数値化を図って指導し、経営の安定化を図っております。そのため、訪問介護の利用単価(訪問介護の年間売上額÷年間の延べ賃貸借数)、稼働率(介護居室賃貸借契約数÷総提供可能介護居室数)、人件費率(労務費÷介護収入(介護保険関連収入+サービス付き高齢者向け住宅における生活支援関連収入))、医療居室割合(医療居室÷全居室)についても経営上の重要指標と認識しております。
(4)経営環境
当社グループが所属する国内の介護業界におきましては、2024年4月には3年に1度の介護報酬改定、6月には診療報酬改定が行われた中で、新たに加算を取得するなどの対応を進めてまいりました。高齢化がさらに進むことで介護サービスの需要は高まっております。一方で、供給面では、ホームヘルパーの有効求人倍率が過去最高となり、2025年度は、訪問介護事業所が過去最高の倒産や事業所廃止件数を記録するなど、特に企業体力に制約のある中小事業者には厳しい状況が続いております。当社では、2024年6月から新設された「介護職員等処遇改善加算」を取得し、また会社としてのベースアップや管理職の処遇の見直しも継続して実施するなど、事業所の管理者を中心とした還元の強化と、職員からの紹介手当の拡充や自社ホームページ経由での採用強化を実施し、人材確保と定着のための環境を整備することに努め、一定の成果を出すことができております。
65歳以上の高齢者人口は2025年9月15日時点推計で3,619万人、65歳以上の高齢者のみの単独世帯、いわゆる独居老人の世帯数は903万世帯、要介護者と同居している全世帯のうち、要介護者と介護者の双方が65歳以上の世帯、いわゆる老老介護世帯の割合は63.5%となっております(出典:「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」(総務省統計局)令和7年9月14日、「2024年 国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省))。また、要介護(要支援)認定者数は、2025年12月には736.0万人となっており、介護需要はますます高まる見込みです(出典:「介護保険事業状況報告の概要(令和7年12月分暫定版)(厚生労働省))。
そのような中でも、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の供給割合は令和5年度時点で2.9%に留まり(政府目標:令和12年度に4.0%)、供給が需要に追い付かない状況が続いており、今後さらに需給ギャップが広がった場合、多くの独居高齢者が住まいを確保できなくなることが予見されます。(出典:国土交通省「令和6年度 政策チェックアップ評価書」令和7年8月)
上記のような環境が予想される中、当社は、「愛ある日々のお手伝い」を経営理念とし、高齢者が終末期まで暮らせる住居と介護サービスを提供してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新規拠点数の確保
当社グループでは、継続的に新規拠点を開設し、運営棟数を増加させていくことが業績拡大のための課題であると認識しております。新規拠点の開設が決まれば、当社の営業部隊を投入して稼働率を高めていくことは、過去実績からも可能であると考えており、まずは新規拠点開設を行っていくことが重要であると考えております。
株式会社北山住宅販売での毎年の安定的な受注に加え、他社との提携も模索し、新規拠点の開設及び運営棟数の増加に努めてまいります。
②人材の確保と従業員育成
今後、さらなる事業規模拡大を図る上では、主任ケアマネージャー、サービス提供責任者や施設長などの拠点責任者及び介護有資格者の適時適切な採用及び配置が求められ、人材確保がますます重要な課題となってまいります。
現在、育成部門も兼ねた新規開拓部隊の創設、介護スタッフの待遇改善、資格取得の助成制度の導入や、全国転勤可能な社員の募集強化、拠点の統廃合の検討等を行っており、引き続き、全国規模での新規拠点開設を見据えた人員体制づくりに努めてまいります。
③リスク管理・コンプライアンスの徹底、スタッフ教育の強化
介護業界においては、リスク管理・コンプライアンスの徹底とスタッフ教育が最重要課題の一つであります。高齢者虐待という痛ましい事件や不祥事を絶対に起こさないために、「リスク・コンプライアンス委員会」におけるリスクの抽出や適切な対応策の検討、介護技術主任による虐待防止研修をはじめとした各種研修の実施等、リスク管理・コンプライアンスの徹底に向けた対策とスタッフ教育の強化は、引き続き実施してまいります。
④内部管理体制の強化
質の高いサービスを提供するためには社員・スタッフ1人1人の意識向上を図ること、また安定的に事業を拡大するためには内部管理体制のさらなる強化が必要不可欠であると考えております。今後も引き続き、内部通報制度の運用や、内部監査実施等によりコーポレート・ガバナンスを強化するとともに、情報セキュリティ、労務管理、事故防止をはじめとするコンプライアンスを含めた内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献することは企業の社会的責任の一環であると認識しております。それら経営上の重要課題や各部門の業務上の課題とその執行状況等については、社長定例報告会で協議しております。あわせて、サステナビリティに関するリスク及び機会を監視・管理するため、リスク・コンプライアンス委員会を設置しております。これらの協議内容については取締役会へ報告され、取締役会において審議・決定を行っております。
(2)戦略
当社の営む介護サービスは、入居者やそのご家族等の利用者が安心して生活できる場の提供がなによりも重要となります。利用者に寄り添った介護サービスの提供は、当社の競争力向上に不可欠であり、人材こそが競争力の源泉であるとの認識から、サステナビリティ関連の中でも、特に多様なスキル・経験を持った人材が活躍できるよう採用、人材育成及び人事制度を中心とする社内環境整備を重視しております。
かかる認識の下、当社グループでは採用、人材育成及び人事制度に関して、以下の方針を定めております。
①採用
当社の理念を理解し、入居者に寄り添った適切な介護サービスを提供するためには、社員の理念への共感度及び理念に合致した行動はもちろんのこと、エリアマネージャー、施設長をはじめとする他の介護スタッフとも適切なコミュニケーションをとり、相互に協力して職務を遂行していく必要があります。採用に当たっては、原則としてエリア単位で必要人員採用の要否を判断し、採用を行っています。採用の判断を行うエリアマネージャーに対しては、週一回開催されるエリアマネージャー報告会を通じて、各エリアの課題を共有しております。その課題解決に必要なスタッフの素養・能力等を総合的に判断して、採用活動を行っております。
②人材育成及び人事制度
当社では、OJTによる介護職員の技能習得の他、採用時の理念&オリエンテーション研修、年に2回の人事考課と面談、7年でエリアマネージャーを目指してほしいとの考えから始めた7年プラン研修等を通じて、従業員への当社の経営理念の浸透やスキルの習得に努めるとともに、従業員のキャリアアップを図っております。
また、当社の人事考課は、会社ないし部門・拠点の業務の有効性及び効率性の向上と、従業員の能力向上に資することを目的に、担当業務及び職責ごとの到達目標と現時点のギャップを図る評価基準を定めております。かかる評価基準に基づき半年に一度 、評価及び面談を行うことで、翌評価期間における業務目標を定めております。
(3)リスク管理
当社グループでは、リスク・コンプライアンス委員会を原則として四半期に一度、必要に応じて臨時で開催することとしております。同委員会では、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、事業への影響を評価・管理します。重要と認識された機会については、社長定例報告会を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。また、企業内外の経営環境の変化及びそれに伴う業績変動リスクや当社に求められる社会的役割への対応といった当社グループ全体のリスクと、各部門・役職員の業務執行レベルのリスクのうち当社の事業遂行に重要な影響を与える可能性のあるリスクについて網羅的に把握するとともに、その発生可能性と影響度、発生した場合の対応について協議・決定をしております。
(4)指標及び目標
人材の多様性確保を含む人材育成、社内環境整備に関する指標及び目標とその実績は以下の通りです。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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全労働者 |
格差の縮小 |
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正規雇用労働者 |
格差の縮小 |
88.1% |
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非正規雇用労働者 |
格差の縮小 |
85.9% |
(注)1.今期は対象者が5名であります。
2.当該指標に関する目標及び実績は、連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、当社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)人員の確保について
当社グループが事業規模を拡大していくためには、新エリアへの進出を続けていく必要がありますが、新エリアへ進出するためには、管理者、現場の介護スタッフを確保する必要があります。介護業界は慢性的に人手不足といわれ、有効求人倍率も高い状況にあります(2025年12 月の介護サービスの有効求人倍率は4.10倍。全職業平均は1.17倍。出典:「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」(厚生労働省))。
そのため、当社は、介護スタッフの待遇改善、全国転勤や全国の宿泊出張可能な社員の確保に取り組んでおります。また、経験の浅い介護スタッフでも安心して継続して働けるように、定期的な教育・研修の場を設けて、スタッフ定着率の向上に努め、未経験の無資格者に対しても、雇用後、資格取得支援を行い戦力化を図っております。2025年は拠点運営をデジタル化し効率化するための自社開発システム「CareMaster」の改善を重ねてまいりました。このシステムが本格稼働することで、業務の明確化や平準化、従業員の教育コストの低下や定着率向上に貢献します。その他にも、当社では新エリアで1拠点目の新規開設後、近隣で近い時期に複数拠点を開設するドミナント展開を行うことでオープニングスタッフを中心に人員をエリア単位で充足させ、その中から次期管理者候補を発掘し、次の開設へ繋げていくなど、ドミナント展開を行いながら人員確保におけるリスクをコントロールしております。2019年4月から新卒採用を開始し、2025年には高卒採用も開始、実際の入社も実現しました。中途採用者のみに頼らない中長期的な人材育成にも取り組んでおります。
しかしながら、十分に介護スタッフを確保できず、人員不足によって新規拠点の開設時期が遅れることや、開設後に入居受け入れを止める事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該リスクは、エリアや拠点展開先の地域によって程度に差はありますが、基本的には1拠点単位で発生するリスクであります。また、現時点では、求人活動及びその状況によって、近隣拠点からの応援体制によりカバーすることが可能であり、当該リスクへの対応策に取り組んでおります。
(2)法改正について
訪問介護事業、居宅介護支援事業は介護保険法に、訪問看護事業は健康保険法等に基づき事業を行っております。介護報酬は3年ごとに改定されます。次回改定は2027年4月となっております。また、診療報酬は2年ごとに改定されます。次回改定は2026年6月となっております。
当社で訪問介護事業で現在取得している「介護職員等処遇改善加算」は従業員の処遇改善に直結しております。2024年4月の改正では処遇改善加算は拡充された一方で、訪問介護の基本報酬が減額とされ、同一建物減算の拡充が図られるなど、一部当社事業に影響を及ぼす決定が行われました。これらへの対策として、新たな加算の取得や訪問看護事業の拡大による収益源の分散で対応を行ってまいりました。将来の改定において、処遇改善加算関係や基本報酬の大幅減額が実施される場合、新たな減算が開始される場合、介護保険サービスの利用方法に制限がかけられる場合、利用者の自己負担増によりサービス利用控えが発生する場合、新たな規制が発生した場合や人員基準変更等で新たな有資格者の雇用が義務付けられる場合など、改正の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクは当社の介護事業の売上の約56%を占める介護保険収入に関連するものであることから、当社グループ全体の業績に影響を与えますが、当社では保険以外のサービス付き高齢者向け住宅に関する売上の確保や、2023年からは訪問看護事業開始による診療報酬計上による分散化によってリスク低減を図っております。また、当社は一定の規模に成長してきたことで、自社開発システム「CareMaster」も活用し、効率的な運営体制を取っていくことで、今後も継続してリスクの低減に取り組んでまいります。
(3)食中毒や感染症について
当社の運営する建物内では、日ごろから、換気・手洗い・手指消毒の励行等の感染防止対策をとっておりますが、外部からの訪問者によって、新型コロナウイルス、インフルエンザやノロウイルス等を持ち込まれてしまい「アンジェス」において利用者や従業員の間で集団感染が発生する可能性があります。また、当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅においては、利用者に対し食事を提供しておりますが、厨房の整理・整頓及び食材の安心・安全な調達・調理に取り組んでいるものの、万が一、喫食された利用者の中から食中毒が発生した場合や、集団感染が広がった場合には、営業停止等の行政処分や顧客離れ等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクは、事業への影響としては、1拠点単位の収益に影響を及ぼすものであります。万一、当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅で入居者や職員にクラスターや集団感染が発生した場合は、その拠点については、終息するまでの一定期間、売上が減少する可能性があります。
なお、当該リスクに対して、当社では、訪問介護部・訪問看護部による感染予防のための研修、全社統一の感染予防対策をとるなど、これら感染症対策については既に可能な限りの予防策を講じております。
(4)事業のための指定等について
当社が行っている訪問介護事業、居宅介護支援事業は、介護保険法に基づく介護サービス、健康保険法に基づく訪問看護サービスが中心であり、それらの法及び関連諸法令の規制を受けます。サービスを行うには、サービス毎に都道府県等自治体の指定を受ける必要があります。事業の運営を続けていく上では、常時、運営基準・設備基準・人員基準等の各種基準を充足しておく必要があります。また、サービス付き高齢者向け住宅の登録・更新にも要件があります。
これらが遵守できていないと行政に判断された場合、介護報酬や診療報酬の返還又は減額、新規受け入れ停止、最も厳しい処分としては指定取消が行われる可能性があります。当社では、新しい事象や疑義が生じた際には適宜行政に確認を行うことで、当社の誤認を最小化することや、内部監査での確認、各部門上長による書類の確認、定期的な研修等で法令遵守に注力しておりますが、行政によって法や基準への判断・解釈が異なる、いわゆる「ローカルルール」が存在するため、当社で実施するリスクコントロールが機能せず、運営に不備があり何らかの指摘や指導を受けることとなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的な各サービスと根拠法令、主な指定・登録取消事由については下記の一覧をご参照下さい。
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サービス名 |
所管官庁等 |
根拠法令等 |
有効期間 |
主な指定・登録 取消事由 |
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訪問介護 |
厚生労働省 |
・介護保険法 都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となります。 |
6年間 |
介護保険法第77条(指定の取消し等) |
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訪問看護 |
厚生労働省 |
・健康保険法 地方厚生局が事業の指定権者となります。 |
6年間 |
健康保険法第95条 (指定訪問看護事業者の指定の取消し) |
|
訪問看護 |
厚生労働省 |
・介護保険法 都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となります。 |
6年間 |
介護保険法第77条(指定の取消し等) |
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居宅介護支援 |
厚生労働省 |
・介護保険法 都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となります。 なお、居宅介護支援については、2018年4月以降の指定権者は市区町村になっております。 |
6年間 |
介護保険法第84条(指定の取消し等) |
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介護予防・ 日常生活支援 |
厚生労働省 |
・介護保険法 市区町村が事業の指定権者になります。 |
6年間 |
介護保険法第115条の45の9 (指定事業者の指定の取消し等) |
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サービス付き高齢者向け住宅 |
国土交通省 |
・高齢者住まい法 都道府県、政令指定都市及び中核市が登録先となります。 |
5年間 |
高齢者住まい法第26条 (登録の取消し) |
また、不動産事業に係る許認可は以下のとおりであります。
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許認可等の名称 |
有効期間 |
規制法令 |
主な免許・登録等取消事由 |
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特定建設業(建築工事業許可) |
京都府知事(特-4)第34856号 2022年5月1日~2027年4月30日 |
建設業法 |
第29条 |
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宅地建物取引業(免許) |
国土交通大臣(6)第6098号 2025年12月5日~2030年12月4日 |
宅地建物取引業法 |
第66条 |
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一級建築士事務所(登録) |
京都府知事登録第03136号 2025年7月3日~2030年7月2日 |
建築士法 |
第26条 |
なお、当社では、これまで行政処分を受けた事実はなく、これらのリスクコントロールに取り組んでまいりましたが、行政から何らかの指導を受ける事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他の法改正について
当社は、従業員数が多く24時間365日運営を行う労働集約型の事業形態であり、「労働基準法」の改正による影響を強く受けるものであります。また、高齢者住宅事業に関しては、関連法令が「介護保険法」、「高齢者住まい法」、「老人福祉法」、「健康保険法」、「消防法」、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」等の多岐にわたります。行政から何らかの指導を受ける事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競合について
日本において高齢者数は増え続けており、介護関連ビジネス市場は今後も拡大が予測されております。また、サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の住居の供給確保のため、期間が限定された建築への補助金も導入されており、有望事業と目されており、住宅型有料老人ホームも含め、今後も、競合他社の増加が続くと予想されます。当社が拠点開設したエリアで、このような新規参入と既存事業者の施設増設による競合が激化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)顧客が高齢者であることについて
当社の顧客は、主として要介護認定、要支援認定を受けている高齢者であり、例えば、入居者の一人に急病による入院、急逝、居室内での転倒骨折による入院や、要介護度の変化による特養への転居などが発生した場合、当該入居者へ一時的にサービス提供が行えなくなり、入院であれば退院まで、退去であれば次の顧客のサービス利用開始までの間の売上が発生しなくなる場合があります。これらの事態については、過年度の発生状況を考慮に入れた事業計画を策定しておりますが、想定以上に多くの事態が重なった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)訴訟リスクについて
当社は、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。今後も、細心の注意を払いリスク管理体制の整備と改善に努めてまいりますが、当社が主とする事業である介護事業においては、どれだけの注意を払っても介護事故や医療事故は一定の確率で発生します。当社で加入している「包括職業賠償責任保険」にて対応可能と考えてはおりますが、万が一、介護中の事故による死亡事故等が発生し、遺族による損害賠償請求が提訴された場合には、社会的な評価の低下、訴訟に係る費用の発生、事業の全部又は一部の継続が困難になる等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)自然災害について
当社は、京都府、滋賀県、岡山県、静岡県、兵庫県、愛知県、岐阜県、栃木県、東京都でドミナント戦略による拠点展開を行っております。有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、万が一、特定の地域で大規模な地震、台風等の災害により、当社の運営する建物や従業員及び利用者が損害を被った場合、また子会社が保有する建物に大規模な修繕が必要となり多額の費用が必要となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報管理及び個人情報の漏洩について
当社は事業を運営するにあたり、利用者あるいはその家族の重要な個人情報を取り扱っており、管理部門においては経営情報等の内部情報を保有しております。当社は、個人情報をはじめとした情報の適正な取得及び厳重な管理のために、各種規程や研修等を通じて、情報漏洩の防止に取り組んでおります。パソコンの管理にあたっては、ウイルス対策ソフトによる保護を実施するほか、一部の部門及び一部の役職者を除き、原則としてノートパソコンなどの電子機器の持ち出しを禁止しております。また、パソコンや各種システムには起動時のパスワード管理を実施しており、第三者が容易に起動させることができない設定となっております。しかしながら、万が一、システム等から個人情報が外部に漏洩する等のトラブルが発生した場合、損害賠償請求や信用力の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)テナントの賃貸借契約について
当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅は、オーナーが建設する物件を当社が一括借り上げして、入居者に転貸するサブリース契約による方式、株式会社JPMCがオーナーから一括借り上げを行い、当社が介護運営会社としてテナントで入る方式の2方式があります。当社が一括借り上げを行う場合、オーナーとの賃貸借契約期間は基本的に25年間となっております。この間は安定的かつ継続的に事業を運営できるメリットがある反面、解約には一定の制約があるため、稼働率が著しく低下した場合や、近隣の賃貸住宅の家賃相場が下落し、当社の募集賃料にも何らかの影響が及んだ場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、解約不能期間を経過したのちには、何らかの理由により、オーナー側から賃貸借契約書の規定に基づき賃貸解除を申し出られる可能性もあります。そうなった場合、当社の運営棟数が減少する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、リースに関する会計基準の変更は、当社の借上物件や運営物件についての該当の有無により、建物部分に係る残リース相当額の貸借対照表への計上に伴う財務比率の悪化や、計上したリース資産の減損処理による利益の減少又は損失及びそれに伴う財務数値の大幅な変動が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)特定経営者への依存について
当社の創業者であり代表取締役社長である北山忠雄は、当社グループの経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。役員への情報共有や権限委譲を進める等、組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由で同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)風評等の影響について
当社では、経営理念と指針を最も重要なものと位置づけ、理念研修、介護研修、人事考課等、様々な機会を通じて従業員への経営理念等の浸透に努めております。また、利用者本人に加え、その家族、地域の介護事業者、行政、近隣の医療機関等とも密に連携し、交流を図っていることが業績向上にとって重要なものであると認識しております。従業員教育や内部監査等で細心の注意を払い、施設及び事業の運営をしておりますが、従業員の不祥事等何らかの事象が発生したり、当社に関する不利益な情報及び風評が広まった場合には、利用者及びその家族、行政、医療機関等からの評判・評価が落ち、入居紹介が止まるなどの事態により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)有利子負債について
当連結会計年度末時点における有利子負債残高は35億78百万円、有利子負債依存度は61.6%となっております。当社グループでは、当連結会計年度末時点において「アンジェス」を11棟保有しており、その資金は長期借入金でまかなっております。現在の建築原価の高騰や、リースに関する会計基準の変更を見据えて従来のような積極的な販売から、現在は自社保有をメインとする方針としております。今後、リースに関する会計基準の適用に伴うリース負債の計上や自社保有物件での新規拠点の開設により、有利子負債の残高や比率が上昇していく見通しであります。ただし、借入を実施して保有することとした新規案件に関しても、当社の取締役会審議を経て、中長期的な収益を見込むことができ、戦略的にも意義ある新規拠点開設を進めていくための借入の増加でありますが、今後のマクロ経済動向や日本銀行の金融政策の変更等により市場金利が上昇した場合、支払利息が増加するほか、新規開設に向けた資金調達コストが上昇し、事業展開スピードが減速する可能性があります。なお、財務制限条項付きの借入はありません。
(15)新規拠点の開設、受注について
当社グループは、自社グループのみならず、広く新規拠点開設のための情報を収集し、常に新規案件のための情報を入手しておりますが、利用者がいる限り、一度開設すると簡単には撤退できないことから、開設の可否判断については、社内規程に基づき慎重に見極めております。現在は、株式会社北山住宅販売を通じて土地を購入し、同社が建築を行い、中長期的に保有を行う、または、当社が土地オーナーより建築請負をした物件を当社が借り上げるという事業スキームにより拠点数を増やしていく方針ではありますが、新規拠点の開設については、オーナーの意向、融資を実施する金融機関の動向等にも影響されることから、新規拠点の開設・受注ができない、又は、新規拠点数が計画よりも下回って推移する可能性があり、将来の運営棟数が当社の目標よりも下回った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)サービス付き高齢者向け住宅建築補助金の廃止・制度変更について
サービス付き高齢者向け住宅に関しては、本書提出日現在、建築費の約1割が補助金として建築主に交付される政策的優遇措置が取られておりますが、これは毎年予算編成によって上限や継続が判断されます。将来、本補助金が廃止・制度変更となった場合、進行中の案件が一部、建築主の方針で中止となるリスクがあります。しかし当社グループの建築においては、本補助金が廃止・制度変更となった場合でも、大手ハウスメーカー等と比較しても受注価格が安価なため、影響は限定的であると考えているほか、サービス付き高齢者向け住宅の提案から住宅型有料老人ホームへの提案へと切り替えること等の対応で、リスク回避をすることが可能であると考えております。しかしながら、本補助金の廃止・制度変更が発生した場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)建築請負工事の期ずれについて
当社グループの株式会社北山住宅販売は、主としてサービス付き高齢者向け住宅の建築及び自社物件の「アンジェス」の建築等を行っております。建築における売上計上は、工事の進捗度に応じて行っております。建築工事については、予期できない理由により工期の延長等があった場合、売上計上時期が遅れる場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)新規拠点の単一年度への開設集中について
当社グループは、拠点数を増やして事業を拡大するビジネスモデルをとっております。新規拠点を開設する際には、一定の期間は費用先行となる赤字期間が生じることとなります。そのため、単一年度に多数の拠点の開設が重なった場合は業績の下押し圧力となり、その年度の当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)固定資産の減損について
当社グループは、業績動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生することがあり、その場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。減損処理が発生しないよう拠点単位での収益管理を行い、施設長に収支の責任を持たせ、収益性が悪化している拠点については積極的に対策を講じますが、万が一、不採算拠点の増加や閉鎖が集中した場合や、また、当社グループが保有する「アンジェス」の減損処理が必要となり多額の減損損失が発生した場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)支配株主との関係について
当社の支配株主である北山忠雄は、当社の創業者であり代表取締役社長であります。本書提出日現在、北山忠雄並びに同氏の二親等内の親族の所有株式数を含めると発行済株式総数の61.6%を所有しております。
北山忠雄は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しておりますが、何らかの事情によりこれらの当社株式が売却され、同氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(21)物価高騰に関するリスク
当社は自社グループで設計から建築まで一気通貫で提供し、建築原価を他社よりも相対的に低く建物を建築できることが強みでありますが、建築資材や職人の人件費高騰により、当社が自社保有を行う場合であっても、取得原価が過去の取得原価と比較して増加する可能性があります。
また、介護運営にあたっても、インフレによって人件費、食材費、その他運営を維持するための各種コストが上昇する場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(22)特定技能外国人(介護)の受入れ拡大に関するリスク
当社グループは、深刻化する介護人材不足への対応および多様な人材の確保を目的として、2025年の制度改正により訪問介護での就労が解禁された「特定技能外国人(介護)」の積極的な受入れを開始しております(2025年12月末時点18名、最終的には50名規模まで受入れ拡大を予定)。
しかしながら、訪問介護はご入居者様の居室における「1対1」のサービス提供が基本となります。特に当社が注力するターミナルケア(看取り)においては、ご入居者様の微細な体調変化への気づきや、ご家族様との繊細なコミュニケーションが求められます。言語の壁や文化・生活習慣の違いに起因するミスコミュニケーションが発生した場合、重大な介護事故やご入居者様・ご家族様からのクレーム、それに伴う当社の信用低下や損害賠償に繋がる可能性があります。
また、昨今の急激な為替変動(円安)や、他業種・都市部との人材獲得競争の激化、あるいは出入国管理政策の変更等により、想定以上の早期離職や外国人雇用維持のコスト増加が発生した場合、採用・育成に投じたコストが回収できず、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(23)その他のリスクについて
上記のほか、外部からの犯罪行為、SNSへのネガティブな書き込み等が発生することで、社会的信頼が失墜し、その対応のためのコストの発生により、当社グループの業績又は株価に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的なインフレ圧力の緩和が進む一方で、米国を中心とした金融政策の動向や地政学的リスクの長期化などを背景に、依然として先行き不透明な状況が継続いたしました。国内においては、物価上昇率は前年と比べて落ち着きを見せたものの、高水準で推移しており、日銀による金融正常化の進展に伴う金利上昇も相まって、企業経営を取り巻く環境は引き続き慎重な判断が求められる状況となりました。
介護業界におきましては、2024年4月に実施された介護報酬改定および同年6月の診療報酬改定を受け、事業運営の高度化・効率化が一層求められる局面となりました。高齢者人口の増加に伴い介護サービス需要は中長期的に拡大が見込まれる一方で、慢性的な人材不足や人件費の上昇、物価高によるコスト増加などにより、特に中小事業者を中心に厳しい経営環境が続いております。訪問介護事業所の倒産件数が3年連続で過去最高を更新するなど、業界全体で再編・淘汰が進行しつつあります。
このような環境下、当社グループは、安定的な事業運営と中長期的な成長を両立させるべく、人的投資および事業基盤の強化を最重要課題として取り組んでまいりました。具体的には、「介護職員等処遇改善加算」の取得をはじめ、ベースアップや管理職層の処遇見直しを継続的に実施するとともに、紹介制度の拡充や自社ホームページ経由の採用強化等により、人材の確保および定着に一定の成果を上げることができました。さらに、2025年4月より解禁された特定技能外国人材の訪問介護事業所への受け入れについても、早期に対応を進め、2025年12月末時点で18名を採用し、現在も積極的な採用を続けております。また今期より新卒採用の幅を広げ高卒採用を開始しました。実際に入社も始まっており、業界の最大の課題である人材確保に対して積極的な取り組みを続けてまいりました。
事業展開の面では、当社の主力である介護事業において、サービス付き高齢者向け住宅の新規開設を継続的に実施しております。当連結会計年度においては、「アンジェス八王子」「アンジェス高尾」「アンジェス宇都宮御幸本町」の3棟(125室)を新規開設し、期末時点で36棟1,210室を運営しております。36棟1,124室(※)の全社稼働率は96.5%、オープン1年経過後拠点では稼働率が96.5%となっており、新拠点も早期立ち上がりを見せ、全社的に高稼働を維持しております。
(※)「アンジェス彦根河瀬」「アンジェス宇都宮砥上」「アンジェス八王子」「アンジェス宇都宮御幸本町」の訪問看護利用者を想定した医療居室部分86室については、従来からの目標である稼働率97.0%という高稼働率を前提とした事業ではないことから、全社の介護居室稼働率の1,124室を分母としております。
また、2023年より開始した訪問看護事業が本格化し、今後は基本的に新規開設時には看護併設型で開設を行う基盤が整いました。2025年12月末時点では4事業所を運営し、収益力の強化及び介護保険からの収益分散を着実に実現しつつあります。また、生産性向上のために開発した自社システム(ケア現場管理システム『CareMaster』)も本格運用を開始し、業務効率化による競争力強化を図っております。
なお、当連結会計年度より、固定資産に係る控除対象外消費税等の会計処理についての変更を行っており、前連結会計年度については、遡及適用後の数値で比較分析を行っています。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
ⅰ.資産
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ9億83百万円増加し、58億7百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ1億83百万円増加し、19億44百万円となりました。これは主に、現金及び預金が54百万円、売掛金及び契約資産が98百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ8億円増加し、38億62百万円となりました。これは主に、拠点増加、拠点開設用地の取得及び工事の進捗等による建物及び構築物(純額)が9億18百万円増加したことに対し、建設仮勘定が2億1百万円減少したこと等によるものであります。
ⅱ.負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ8億97百万円増加し、43億92百万円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ4億68百万円減少し、13億91百万円となりました。これは主に、未払費用が65百万円増加したことに対し、短期借入金が6億62百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ13億66百万円増加し、30億円となりました。これは主に、長期借入金が13億60百万円増加したこと等によるものであります。
ⅲ.純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ86百万円増加し、14億14百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益81百万円により利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は、48億86百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は40百万円(前年同期比73.0%減)、経常利益は1億38百万円(前年同期比27.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は81百万円(前年同期比34.6%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
ⅰ.介護事業
介護事業におきましては、当連結会計年度の売上高は48億23百万円、セグメント利益は1億7百万円となりました。これは主に、当連結会計年度に開設した「アンジェス八王子」、「アンジェス高尾」及び「アンジェス宇都宮御幸本町」が増収に寄与したことによります。ただし、新規拠点開設に伴う人件費、経費負担の増加により、セグメント利益は減少しております。
その結果、売上高は前連結会計年度と比較して6億63百万円(前年同期比16.0%増)の増収、セグメント利益は29百万円(前年同期比21.3%減)の減益となりました。
ⅱ.不動産事業
不動産事業におきましては、当連結会計年度の売上高は62百万円、セグメント損失は37百万円となりました。これは1件の請負工事によるものです。また、費用については、建築原価及び人件費の高騰等により増加しております。
その結果、売上高は前連結会計年度と比較して4億85百万円(前年同期比88.5%減)の減収、セグメント損失は77百万円の減益(前年同期は39百万円のセグメント利益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて50百万円増加し、11億68百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、2億87百万円(前年同期は3億4百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1億38百万円、減価償却費1億73百万円の増加要因に対し、売上債権及び契約資産の増加額98百万円の減少要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、10億7百万円(前年同期は11億3百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出9億78百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は、7億71百万円(前年同期は5億45百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入15億43百万円、短期借入金の純増減額6億62百万円及び長期借入金の返済による支出1億9百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の不動産事業の建築請負業務における受注実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
不動産事業 |
17,883 |
△96.2 |
165,390 |
△21.4 |
|
合計 |
17,883 |
△96.2 |
165,390 |
△21.4 |
(注)上記の業務以外については、受注実績の記載になじまないため、記載をしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
介護事業 |
4,823,218 |
16.0 |
|
不動産事業 |
62,993 |
△88.5 |
|
合計 |
4,886,212 |
3.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
滋賀県国民健康保険団体連合会 |
608,130 |
12.9 |
650,021 |
13.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、固定資産に係る控除対象外消費税等の会計処理についての変更を行っており、前連結会計年度については、遡及適用後の数値で比較分析を行っています。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りが必要であり、これらの見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は48億86百万円(前連結会計年度は47億7百万円)となりました。介護事業におきましては、当連結会計年度に開設した「アンジェス八王子」、「アンジェス高尾」及び「アンジェス宇都宮御幸本町」が増収に寄与いたしました。
不動産事業におきましては、当連結会計年度に1件の請負工事があったものの、工事の進捗としてはまだ初期段階のため、工事売上高は減収となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は42億51百万円(前連結会計年度は40億48百万円)となりました。これは主に、拠点及び入居者数の増加に伴う労務費の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は6億34百万円(前連結会計年度は6億59百万円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は5億94百万円(前連結会計年度は5億8百万円)となりました。この結果、営業利益は40百万円(前連結会計年度は1億50百万円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は1億54百万円(前連結会計年度は71百万円)となりました。これは主に、補助金収入の増加によるものであります。営業外費用は56百万円(前連結会計年度は30百万円)となりました。この結果、経常利益は1億38百万円(前連結会計年度は1億91百万円)となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度及び前連結会計年度において特別利益及び特別損失の計上はありませんでした。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等は56百万円(前連結会計年度は65百万円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は81百万円(前連結会計年度は1億25百万円)となりました。
c.キャッシュ・フローに関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、自社保有物件の新規拠点開設時の土地・建物等取得のための設備資金、運転資金、拠点開設の際の初期費用であります。新規拠点の土地・建物等取得のための設備資金については長期借入金で、運転資金、拠点開設の際の初期費用は自己資金及び短期借入金で調達することを基本としております。運転資金のうち主なものは、売上原価に計上している拠点従業員の労務費等であります。なお、当社グループは当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は11億68百万円であり十分な資金流動性を有していると判断しております。
⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社グループは、新規開設居室数、売上高経常利益率、訪問介護の利用単価、稼働率及び人件費率を経営成績に影響を与える重要な経営指標として捉えております。
a.新規開設居室数
当連結会計年度における新規開設居室数は125室(前連結会計年度は56室)となりました。目標の新規開設居室数150室を下回ったのは、2024年、2025年の2年間は、訪問看護併設型のハイブリッドモデルの確立、関東エリアの立ち上げ、外国人採用に注力していたためです。看護併設型の拠点は、従来のアンジェスよりも売上高や収益性が高くなり、仮に新規開設居室数が少なくなった場合にも事業成長を見込め、目標通り150室の新規開設を進めた場合は従来目標よりも高成長を狙えることから、本事業確立に注力してまいりました。
新規拠点を開設し運営居室数を増やすことが当社グループの業績拡大に重要であることから、新規開設居室数を重要な経営指標として捉えており、毎年は150室の開設を目標としております。なお、2026年、2027年の新規開設予定数は既に306室となります。
b.売上高経常利益率
当連結会計年度における売上高経常利益率は2.8%(前連結会計年度は4.1%)となりました。介護事業は堅調に進めた一方で、不動産事業は減収となり、当社グループ全体として売上高経常利益率は低下したものの、概ね予算通りの着地となりました。
当社の事業は労働集約型であり、助成金等を活用した営業外収益が計上されることが多く、また、介護従事者への処遇改善の一時金を、会社が給与や賞与で支給し、県などからはほぼ同額を補助金として受領することがあります。この処理を行うことで、粗利益と営業利益は減少し、経常利益ではほぼ会社損益への影響は相殺される処理が発生することがあります。その他、主として連結子会社が自社物件を保有しており営業外費用として利息が発生していることを踏まえ、売上高経常利益率を重要な経営指標として捉えております。
c.訪問介護の利用単価
当連結会計年度における訪問介護の利用単価は177,004円(前連結会計年度は175,422円)となりました。前年同期比で単価が上昇した要因は、当社のほぼ全事業所で特定事業所加算(Ⅰ)を取得しており、また、医療居室が増えてくる中で、要介護度の高い重度の利用者の受入が増えていることから、2024年4月の介護報酬改定は当社にとってはマイナス改定となりましたが、訪問介護単価は今年度もプラス成長を維持しました。訪問介護の利用単価は、訪問介護の年間売上額÷年間の延べ賃貸借数で計算しております。
介護事業の売上の約47%が訪問介護収入であり、この売上額について、年度毎や拠点毎の単価の推移を見ていくことが当社グループにとって重要であると考えていることから、訪問介護の利用単価を重要な経営指標として捉えております。
d.稼働率
当連結会計年度における開設後1年経過した拠点の平均稼働率は96.5%(前連結会計年度末は96.2%)と、前年比で0.3ポイント改善しました。毎年当社の新拠点が増え続け、各エリアでは競合が算入してくる中でも、全社平均稼働率が96%~97%の間で毎年継続して推移しております。当社ではどの拠点も看取りまで行う介護運営を実施し、入居者の紹介元に対して継続的にご挨拶回りを行っており、各地での地道な営業活動を続けておりますが、この当社の特徴である営業活動の成果を図る上で重視しております。稼働率は、「賃貸借契約数÷総提供可能居室数」で算出しております。
稼働率が売上に直結し、利益を上げるための重要なポイントであることから、稼働率を重要な経営指標として捉えております。
e.人件費率
当連結会計年度における人件費率は70.1%(前連結会計年度は69.4%)と、前年比で0.7ポイント増加しております。訪問介護単価の上昇に処遇改善加算の影響があったことと連動した形での上昇となっております。介護職員処遇改善加算の制度は、会計上売上高として計上され、その後原価で賃金給料等として充当されます。粗利益額としては変わらないものの、2024年に処遇改善加算の加算率がアップしたことで、売上アップとなり、そのうち処遇改善加算による売上アップ相当分と同額程度の人件費が上昇していることで、人件費率が高まる方向に進みました。人件費率は、労務費÷介護収入(介護保険収入+サービス付き高齢者向け住宅事業の生活支援費売上)で算出しております。
当社の事業は労働集約型であり、効率的に人件費が売上を生んでいることが経営上重要であることから、人件費率を重要な経営指標として捉えております。
f.医療居室数(割合)
当連結会計年度における医療居室数は86室、医療居室割合は7.1%です。(前期比較無し)
当社グループで、より重度の方や終末期の看取りニーズに広くお応えする体制構築と、事業の高収益化を両立させるため、今期から当指標を新たに追加いたしました。医療居室数は、医療対応型の拠点において医療対応入居者を受け入れるための居室総数を、医療居室割合は、「医療居室総数÷総提供可能居室数」で算出しております。
訪問看護ステーションを併設した「医療併設型」の展開を進めることで、当社グループの強みである終末期ケアをより多くの方へ提供できる受け皿が拡大していることを示しており、また、従来の介護サービスに加え、相対的に粗利率の高い訪問看護サービス等の提供比率が高まることで、全社的な利益率の向上と高収益化の進捗状況を測るバロメーターとなることから、医療居室数(割合)を重要な経営指標として捉えております。
当社は、介護事業、不動産事業それぞれにおいて、株式会社JPMCのパートナー制度に加入しております。また、当社がサービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」シリーズを展開する上で、土地・建物について、当社が一括借上げを行う場合と、株式会社JPMCが一括借上げを行い、当社が転貸を受ける場合があります。
株式会社JPMCとの各契約の概要は次のとおりであります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約書名 |
契約期間 |
契約内容 |
解約に関する事項 |
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株式会社T.S.I |
株式会社JPMC |
JPMCふるさぽパートナー加入契約書 |
2012年4月1日から2017年3月31日 (それ以後は5年毎の自動更新) |
高齢者住宅を運営するにあたり「高齢者専用賃貸住宅一括借上システム」を当社が利用する権利の許諾 |
6ヶ月前申出で解約可能 ただし、当社運営の当該システム適用のサービス付き高齢者向け住宅の賃貸借契約期間中は、本契約は解約できない |
|
株式会社 北山住宅販売 |
株式会社JPMC |
JPMCシルバーパートナー加入契約書 |
2011年4月1日から2016年3月31日 (それ以後は5年毎の自動更新) |
「高齢者専用賃貸住宅一括借上システム」契約物件の建築を株式会社北山住宅販売が受注する権利の許諾 |
3ヶ月間の予告期間をもって解約を申し出ることで、解約可能 |
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株式会社T.S.I |
株式会社JPMC |
土地建物賃貸借契約書 (注) |
各引渡日から25年6ヶ月間 |
各「アンジェス」の転貸契約 |
6ヶ月前又は12ヶ月前申出で解約可能 |
(注)上記の「土地建物賃貸借契約書」を結んでいる拠点(「アンジェス」)は、本書提出日現在で「中庄」「彦根城」「北畝」「浜松中沢」「長田」「宇治木幡」「姫路」「西焼津」「一宮奥町」「相模原」「みよし」の11拠点であります。解約時期は契約時期によって異なります。
該当事項はありません。