文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが入手している情報に基づいて判断したものであります。
脱炭素に向けた世界的規模の潮流は大きくは変わらず、再生可能エネルギー供給は急伸する見込みですが、一方でAIの需要増加に伴うデータセンター増設等に起因する電力需要増加により世界的なエネルギー需要も増加する見込みであり、石油・ガスは今後も世界にとって必要不可欠なエネルギーとしてあり続けると考えております。足元で堅調に推移する石油・ガス需要の下、安定したエネルギー供給を維持することは依然として重要な課題であり、特に当社の競争力を活かせる超大水深及び大水深油田・ガス田は今後も高いニーズが期待され、FPSO事業開発に引き続き注力していく方針であります。また同時に、世界的課題である気候変動に対応する中で、エネルギー・トランジションに対する現実解を積極的に提案・発信し、事業のさらなる展開を進めてまいります。
当社は、2024年2月に、2024年から始まる3年間を期間とする中期経営計画2024-2026『イノベーションで持続可能な未来を拓く』を発表しました。
当社を取り巻く事業環境や加速する世界的な脱炭素の流れを踏まえ、全体としてまず収益力の強化を掲げ、その上で事業面においては、中核事業であるFPSO事業の脱炭素化の推進、新事業の開拓・育成を行い、並行して人的資本を含めた事業基盤の強化を進める計画を策定いたしました。

当社グループの業績は、各種取組みの効果により中期経営計画策定時の想定を大きく上回って収益力が向上し、中期経営計画の最終年度目標値として掲げた純利益(175百万米ドル)を2024年に2年前倒しで達成しました。事業環境を踏まえて2025年2月に財務目標の見直しを行い、2026年度目標純利益(300百万米ドル)を再設定いたしましたが、2025年度は再設定した純利益も上回り、中期経営計画の2年目として順調に進捗しております。これに加え、FPSO事業の脱炭素化、新規事業の開拓・育成、ガバナンス・内部統制の体制強化を含めた事業基盤の強化に取り組んでおり、残りの中期経営計画期間中に着実に推進していく予定であります。
① 収益力の強化
2023年に受注した2件の大型FPSO建造プロジェクトが当初想定より高い進捗が見込まれることに加え、操業中の既存船の稼働が総じて好調であることや金利収入の増加により、コロナ禍以降の最高益を達成しました。2025年はGato do Matoプロジェクト(ブラジル)とHammerheadプロジェクト(ガイアナ)の2件を受注し、収益力の強化に貢献しております。
また、数年前には一部建造工事における費用超過に加え、ブラジルで稼働するFPSO等の追加修繕費用の発生等により赤字決算が継続した時期もありましたが、本経験で得た教訓を着実に事業運営に反映し取り組むことを徹底しております。同観点から、FPSO事業の建造工事や操業を通じてデータを蓄積し、AIを始めとしたデジタルソリューションの活用を通じて生産性を向上させ、また、契約満了を迎えるFPSOについて滞りなく退役を実現させることでデコミッショニングに関する専門ノウハウを獲得するなど、経験値を活かした新たな付加価値創出及び競争力向上に資する施策も実施しております。また、FPSO事業で得た知見を土台として、外部に向けたデジタルソリューションの提供を拡大させております。今後も優良顧客との関係を一層強化し、引き続き優良な新規案件の受注、並びに、省人化や効率化と安全性向上を両立できるデジタルの力を最大限に活かし、更なるアセット・マネジメントの強化を追求してまいります。
② 戦略的な経営資源の配分と獲得
当社の優位性や業界内ポジションを改めて整理し、石油・ガス市場動向や気候変動等外部環境を踏まえ、経営資源を優先的に配分するプロジェクトや事業を選別し、また人的資本や外部パートナーシップ等新たな経営資源の戦略的な獲得に向けた取組みを継続して実施しております。
③ FPSO脱炭素化の推進
将来のFPSO事業のための次世代船の開発を推進し、FPSO事業の脱炭素化に向け、Carbon Capture & Storage (CCS)技術を有する事業者の選定、FPSOへの燃料電池搭載に向けたパイロットプラントの設計・製造に向けた取り組みを開始するなど、脱炭素化に資する新技術の開発や検証を行っております。CCSを始めとする脱炭素化技術や新事業開発に向けて、研究開発活動を促進させてまいります。
④ 新事業具現化への布石
当社のオフショアの知見と長年の経験に裏打ちされたプロジェクト遂行力を梃子に、フローティングソリューションやデジタルソリューションを活用した新事業開発を加速させ、次世代の収益の柱を確立することにより、持続的な収益基盤の拡大を推進してまいります。
また、当社は革新的な研究開発活動を展開しており、2025年1月にFPSOで生産されるガスからアンモニアを製造するブルーアンモニアFPSOの基本設計承認を米国船級協会より取得、2025年7月に陸上での組み立てが容易で迅速な建造・据付を可能とする浮体式洋上風力発電システム「i-TLP™2」(イノベーティブ緊張係留式プラットフォーム)の基本設計承認を米国船級協会から取得、また2025年9月に液化二酸化炭素を洋上で一時的に受け入れ、海底井戸に圧入するFloating Storage & Injection Unit (FSIU)の基本設計承認を米国及びフランス船級協会より取得いたしました。実用化には更なる改良が必要となりますが、持続可能な未来に向けた新事業開発を追求してまいります。
⑤ グループコラボレーションとシナジーの深化
当社のグローバルデータプラットフォームを通じてデータを収集・構造化し、当社のビジネスライフサイクル全体での活用を促進させております。人的資本経営の更なる推進に向けてワーキンググループを立ち上げ、専門家の知見を活用して当社グループ全体の人材戦略の策定を推進しております。
⑥ サステナビリティ・グループガバナンスの向上
2025年6月に当社グループが目指す持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けた「価値創造ストーリー」を包括的に伝え、当社グループへの理解を深めていただくことを目的として、当社グループ初の統合報告書を発行いたしました。当社のサステナビリティ課題対応の為、サステナビリティ委員会を経営会議の諮問機関として配置し、重要テーマと位置付けた「気候変動」、「人権」、「人的資本・ダイバーシティ」の3分野それぞれのワーキンググループにて、ロードマップを作成しながら具体的な取組みを推進しております。
また、当社を取り巻く環境が一層複雑化する中、意思決定の質とスピードを両立させ、グループ全体の規律と自律をバランスよく確保すべく、現場・コーポレート・内部監査の各機能強化・連携により、グループガバナンスの実効性を高めてまいります。
(4) 中期経営計画における定量目標の再設定
上述の通り、2025年に中期経営計画の最終年度目標値として再設定した純利益を2025年に再度達成したことから、これらの業績動向を踏まえ、中期経営計画の最終年度である2026年の数値目標を上方修正し、新たな目標値として親会社の所有者に帰属する当期利益:370百万米ドル、調整後EBITDA:450百万米ドルを公表しております。
(1) サステナビリティ共通
当社は重要なサステナビリティ課題として6つのマテリアリティを特定しております。これらのマテリアリティはその特性から「社会問題の解決」「価値創造」「経営基盤の強化」に分類されます。
これらのマテリアリティを当社グループの事業戦略と結び付け、組織と人材の両面から経営基盤を強化して、当社グループならではの価値を創造し、持続可能なエネルギー供給と気候変動対応というグローバルな社会課題の解決に貢献してまいります。

当社はサステナビリティ課題に関連した活動をグループ一丸となって企画・推進し、同時にそれらの管理・評価を行うことを目的とした「サステナビリティ委員会」を経営会議の諮問機関として設置しております。同委員会は副社長執行役員(副社長執行役員を定めないときは経営企画担当執行役員)を委員長、主要子会社の社長/CEO、経営企画及び人事担当執行役員等を委員として構成されており、経営会議に対し報告・提言を行い、取締役会に対しても適宜報告しております。

当社は2025年度には7回のサステナビリティ委員会を開催し、重要テーマである「気候変動」、「人権」、「人的資本/ダイバーシティ」の各ワーキンググループで検討及び実行したアクションを中心に議論を行いました。
経営上の重要課題の一つであるサステナビリティに関する基本方針や重要事項は、サステナビリティ委員会での議論を経て、経営会議及び取締役会に報告しております。
② リスク管理
当社では、「サステナビリティ委員会規程」に基づき、サステナビリティ委員会が当社グループのサステナビリティ課題のリスクと機会の評価を定期的に行うこととしております。具体的には、マテリアリティの特定のプロセスの中で当社に関するサステナビリティ課題をリストアップし、各課題の重要度について当社とステークホルダーの両方の観点から評価した上で、重要度の高い課題についてリスクの分類と機会の特定を行い、それらの発現可能性やビジネスへの影響度を評価することとしております。また、社内での議論やビジネスパートナーからのヒアリング及び外部有識者との対話による示唆を基に、経営レベルでの議論を踏まえて、マテリアリティを定期的に見直すこととしております。さらに、委員会の職務を遂行するために設置される各ワーキンググループは、リスクと機会の分析及び再評価を行い、委員会を支援することとしております。
(2) 気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)
当社は2023年4月にTCFD提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づいて、複数のシナリオを用いた気候変動リスク及び機会の特定や事業インパクトの評価等を行い、それらへの対策とともに
① ガバナンス
(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンスをご参照ください。サステナビリティ委員会の重要テーマの一つとして「気候変動」を位置付け、ワーキンググループを設置して対応しております。
② リスク管理
気候変動のリスクと機会の評価は継続的なプロセスであり、気候変動がもたらすリスクを特定し管理することが重要です。当社では、潜在的なリスクと機会を整理するために、TCFD提言に基づいて事業に対する初期的な検証・評価を行いました。
(a) シナリオの選択と世界観
1.5°Cシナリオの2050年時点での世界観として、炭素規制他の政策が拡大し再生可能エネルギー(再エネ)や低炭素技術への投資が進展した、再エネと低炭素が強く確立された世界と想定しました。
(b) 移行リスク
政策や規制の変更、技術の進歩、消費者嗜好の変化といった、低炭素経済への移行に伴ってリスクが発生します。また、移行リスクは、市場における需要、資源の供給力及びコスト、並びに競争環境の変化を通じて、事業に影響を与える可能性があります。
(c) 物理的リスク
異常気象、海面上昇、熱波等、気候変動による物理的な影響から発生するリスクが挙げられます。これらの物理的リスクは、サプライチェーンや操業中の地域社会を通じて、直接または間接的に当社の事業やバリューチェーンの多方面に影響を及ぼす恐れがあります。
(d) 機会
気候変動の緩和と適応に向けた取り組みは事業機会も創出します。当社事業において見込まれる機会としては、再エネ市場における新しい事業機会の開拓、化石燃料から排出されるGHG削減のための炭素回収・貯留技術に基づく事業の持続可能性向上等が考えられます。
(e) 想定される事業へのインパクト
上記分析を踏まえ、当社は1.5°Cシナリオにおけるリスクと機会についての事業へのインパクトの初期評価を行い、既存の市場が停滞する一方で、脱炭素技術の開発と新規市場の創出による事業拡大が見込まれると評価しております。この評価は当社の初期的な評価であり、今後も更なる評価を継続して行っていく予定です。特に、今後関連した情報やデータが更新または入手可能となった際には、当該シナリオにおける結果と紐づいている不確実性を再評価する必要性が出てくることが考えられます。
③ 戦略
当社は半世紀に渡りエネルギーの安定供給に貢献してまいりました。今後は未来への架け橋となるべく、エネルギーの「安定的」かつ「持続可能」な供給に取り組むとともに、当社の強みとコンピテンシーを活用し、エネルギー・トランジションにおける以下2つの重要な役割を担ってまいります。
A) FPSOからのGHG排出量を低減しつつ、FPSOによる石油・ガスの安定供給に継続的に貢献
B) クリーンエネルギーの提供に貢献するため、事業モデルの進化を加速


④ 指標及び目標
当社は透明性を持って気候変動に対する取り組みを進めるために、以下のように具体的な指標と目標を設定しております。
1. FPSOからの炭素排出原単位
・「FPSOからの炭素排出原単位」※1を戦略的なKPIの1つとして設定し、大幅な削減(70~90%)に向けて取り組んでまいります。
※1 炭化水素の生産あたりで排出される二酸化炭素換算値(トン)
2. 2050年ネットゼロに向けた道筋
FPSOの脱炭素化やその他新規事業開発といった上記の戦略を進め、2050年「ネットゼロ」※2 達成に向けて取り組んでまいります。
・スコープ1及びスコープ2でのGHG排出量を2030年までにゼロにすることを目標としております。
・スコープ3の排出量についてもFPSOの脱炭素化やその他新規事業開発といった戦略を進め、2050年「ネットゼロ」 達成に向けて取り組んでまいります。

※2 当社のスコープ1、 スコープ2 及びスコープ(Category 13 - リース資産のみ)排出を削減の対象とし、その残存量については新規事業によるGHG排出量削減を削減貢献としてオフセット
(3) 人的資本への対応
当社は「人材が競争力の源泉である」との考えに基づき、グループ全体の従業員の力を結集し、ビジョンとして掲げているとおり「海洋と人が調和しながら共生共栄できる社会」の実現を目指しております。また中期経営計画2024-2026では、FPSOの脱炭素化や新事業具現化とともに、成長と変革の礎となる人的資本への投資を積極的に行うことを掲げており、人的資本経営に向けた方針を再整理しました。具体的な人的資本に関する取組みとしては、事業戦略の実現に必要な人材を充足させること、そして人材が最大限価値発揮できるよう、グループ経営の基盤づくりや多様で働きやすい環境づくりを進めてまいります。

① ガバナンス
(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンスをご参照ください。サステナビリティ委員会の重要テーマの一つとして「人的資本」を位置付け、ワーキンググループを設置して対応しております。
② リスク管理
(1)サステナビリティ共通 ②リスク管理をご参照ください。
③ 戦略
当社は、経営リソースを戦略的に配分することで、コア事業であるFPSOで収益力を強化しながら、新事業を創出し、持続可能なビジネスモデルを構築することを目指しております。この事業戦略を実現するためには、それぞれの事業領域で課題を解決する優秀な人材が充足しており、各人材が最大限に価値を発揮することが不可欠であり、人的資本戦略として、人材の確保、活躍促進を推進してまいります。
Ⅰ.人材ポートフォリオの充足
事業戦略の達成に向けて、人材確保が必要な領域を大きく3つに整理しております。
1. FPSO事業の拡大
FPSO事業において収益力の強化や脱炭素に取り組む領域
2. 新事業の創出
浮体式洋上風力・デジタル・代替エネルギー・その他の潜在的新事業を具現化していく領域
3. グループ経営基盤の構築
戦略的な経営資源の配分や、グループコラボレーション・シナジーの進化、サステナビリティ・グローバルガバナンスの向上に取り組む領域
上記領域における人材を確保・育成に向け、3つの取組みを推進いたします。
・安定的な人材確保と付加価値向上に向けた人材育成
安定的に人材を確保し、より幅広い経験・知見を兼ね備えた人材を育成していく必要があると考えております。事業特性や業界特性上、当社の人材の流動性は高く、一層安定的に人材を確保するために、労働条件やキャリア機会を整備し、社内外の人材にとって魅力的な環境を整えてまいります。また、人材育成施策としてグループ共通のトレーニング施策拡充などを通して、より幅広い社員に育成やキャリア機会を提供し、人材のスキル・経験を向上させることに取り組んでまいります。
・新事業の拡大に向けた人材育成
新事業創出に向けてFPSO事業と新事業開発の知見を兼ね備えた人材育成が必要であると考えております。デジタル事業においては、研修等を通じた人材育成を進めつつ、2025年1月に新事業開発グループを設置し、現有人材で新事業開発に携わってきた社内人材を集結させ、さらに拡充しております。新たな事業機会の発見と事業化に向けた戦略と方針の策定と実行を通じ、従来のFPSO事業部門と連携して、バランス感覚の優れた人材を育成してまいります。
・グループ経営の基盤を作るリーダーの育成強化
企業価値の最大化に向けて、各国拠点の事業特性を踏まえつつ、グループとして、あるべき姿の設定及び変革に向けた戦略的判断を担うリーダー人材を育成する必要があると考えております。グローバル共通の枠組みで中長期的に経営幹部候補となるリーダーの発掘・育成を行うほか、リーダー人材の長期的な活躍を促進するための環境を整備してまいります。
Ⅱ. グループ一体となった事業推進のための基盤整備
各国拠点の自律性を確保しつつ、グループシナジーを生み出す経営体制を整えていくには、グループ全体で共通の指針に基づいた事業運営が必要であると考えております。そのため、共通するバリューの浸透をさらに強化し、各拠点・従業員が同じ方向性で業務を遂行する体制を構築しております。
<具体的な施策>
コア・バリュー浸透のためのトレーニングの実施
コア・バリュー「OCEAN」に基づく文化を醸成するために、各要素を体現できるようなトレーニング施策や、チームワーク向上を実現させるコミュニケーションスキルの強化等を推進しております。また、グループ全体でのバリュー浸透に向け、経営層の思いを従業員に伝えるコミュニケーション施策、各拠点においてワークショップ等を実施しております。
Ⅲ. 多様で働きやすい職場環境づくり
当社では、多様な視点により生まれる新たな発想が競争力のさらなる強化につながると考えております。属性にとらわれず、広く優秀な人材を獲得し、多様な人材が安心して働ける職場風土を醸成することを目指しております。
<具体的な施策>
社内コミュニケーションの強化(国内)
風通しが良く、どのような属性の人でも安心して働けるインクルーシブ・カルチャーが根付いた職場風土の醸成に向け、上司・部下間、あるいは社内組織間のコミュニケーションの促進や、経営トップ層と従業員との交流の場を創出するなど、双方向性のコミュニケーション強化を行っております。
柔軟な働き方の整備(国内)
従業員の就労ニーズが多様化する中、働き方の柔軟性を高めるための施策として、自宅からのテレワークを可とするハイブリッド型の就業制度の継続や、フレックスタイム制の拡充(コアタイムの短縮、育児・介護短時間勤務者への適用)などを実施しております。
女性・外国籍・中途採用(国内)
・女性従業員:東京本社では、オフショア等に赴くエンジニアを除いた女性比率が同業種における水準と同等となるよう女性の採用を強化しております。また、女性従業員が中長期的に当社で活躍できる環境づくりのため、関連法を踏まえて「育児と仕事の両立支援」に取り組んでおります。
・外国籍従業員:グローバルでビジネスを展開する当社では、拠点ごとに、国籍によらない従業員一人ひとりの能力、成果を踏まえた育成・登用を行っております。
・中途採用:当社では新卒採用/中途採用の入社形態に関わらず、従業員一人ひとりの能力、成果を踏まえた育成・登用を行っております。
(女性従業員に関する指標)
(注)提出会社を対象。オフショア等に赴くエンジニアを除く
④ 人材育成に関する方針
当社が既存事業でも新規事業でも安定的に価値を出し続けていくためには、常にアンテナを高く張り、どのような状況にも適応し続け、持続可能な組織であり続けることが必要だと考えております。当社では、そのような組織を創り出す人材を育てるべく、人材育成を推進しようと考えております。
具体的には、Core Values「OCEAN」に基づく文化醸成のため、その要素である「Care」「Empowered」「Agile」を体現できるようなトレーニング施策や、チームワークを向上させ「One Team」を実現するためのコミュニケーションスキルの強化、企業人の根幹となる「iNtegrity」の強化等を推進しようと考えております。また、グループ全体をグローバルに率いていく人材を育成すべく、次世代リーダー候補の育成施策の強化にも着手しております。
⑤ 健康と安全に関する方針
当社は、従業員の健康・安全を確保し、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境を提供することを、企業としての重要な責務の一つと考えています。すべての役職員、コントラクター、ベンダーは、当社の労働安全衛生に関するポリシーおよび手順を理解し、遵守することが求められます。特に、洋上でFPSOやFSO等の操業に従事する従業員については、閉鎖的な環境での生活・就労となる特殊性を踏まえ、その健康と安全の確保に十分配慮します。
当社グループは、従業員の健康と安全の確保を目的とした「健康安全宣言」を策定し、その実現に向けて各拠点でHSSE Committee(環境安全衛生委員会)を組織し活動しています。東京本社の環境安全衛生委員会では、統括環境安全衛生管理者(HSSE担当執行役員)、産業医、衛生管理者、労働者代表が委員となり、従業員の健康増進・安全確保、労働災害の防止、環境保護活動の推進等に取り組んでいます。
また、IOGP(石油・ガス上流分野の安全・環境・技術のベストプラクティスや指標を策定・共有する世界的業界団体)が推奨するHOP(Human and Organizational Performance)アプローチをグループ全体に浸透させ、心理的安全性を確保することでパフォーマンスおよび安全性の一層の向上を図っています。その一環として、HSSEリーダーシップ・ワークショップを毎年各地域で実施しています。
さらに、災害ゼロを目標に、過去に発生したインシデントの傾向分析に基づく「飛来・落下」などのHSSEアウェアネス・キャンペーンをグループ全体で定期的に実施し、安全文化の醸成を推進しています。あわせて、日常業務においても定例会議の冒頭に「CARE Moment(Safety Moment)」としてHSSEに関する話題を取り上げることを徹底し、継続的な気づきと学習を促進しています。
⑥ 指標及び目標
当社は、現時点では数値目標は定めないものの、Monitoring Metricsを設定し、グループ全体での新規採用者数、離職率、エンゲージメントスコア、研修参加状況等をモニタリングしております。
(4) 人権への対応
当社は、グローバルな事業活動において、人権の尊重が不可欠であると考えており、世界各国の国際的な人権基準を尊重しております。ステークホルダーに対する責務を果たすため、すべての人々の尊重、人権の保護に取り組んでおります。
また世界各国でビジネスを展開するにあたり、人権への配慮が不可欠であると考え、人権に関する方針を定め、性別や国籍による差別を行わないことや、児童労働・強制労働を禁止することを規定しております。
① ガバナンス
(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンスをご参照ください。サステナビリティ委員会の重要テーマの一つとして「人権」を位置付け、ワーキンググループを設置して対応しております。
② リスク管理
(1)サステナビリティ共通 ②リスク管理をご参照ください。
なお、人権に関しては外部専門家を起用し、各種国際規範を踏まえた当社の人権への取組みに対する分析及び評価を実施しております。引き続きサステナビリティ委員会及びワーキンググループの主導により、当社サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスの実施等、取引先と協働して当社内プロセス構築の取組みを進めてまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
<特に重要なリスク>
(1) 不透明な世界情勢による影響
また、昨今の世界情勢による地政学リスクの高まりを踏まえ、経済安全保障、エネルギー安全保障、関税強化、米中摩擦等の観点から当社サプライチェーンに影響し得る要因が様々にありますが、過度に一極集中しないサプライチェーンの構築が必要と認識し、リスク分散のために主要サブコンの多角化を図っております。当該影響は顧客にも及ぶことから、顧客と連携・協力してこれらリスクの低減に努めております。
技術の進歩と共に、海洋油田の探査が超大水深海域に拡大していることを背景として、浮体式海洋石油・ガス生産設備のニーズは拡大しており、また、脱炭素に向けた世界的な潮流は今後も継続する一方でエネルギー需要も増加する見込みであり、石油・ガス需要は堅調に推移すると考え、当社は引き続きFPSO事業開発に取り組んでいく方針であります。
しかしながら、原油価格の低迷が長期化するとオイルメジャーによる新規プロジェクト開発が遅延するため、当社グループもプロジェクトの受注が一時的に減少するといった影響を受ける可能性があります。
(3) アセット・インテグリティの低下
当社グループが石油開発会社に提供しているFPSO等のリース、チャーター及びオペレーションに関わるサービスは、契約期間が長期にわたり、安定した収入を期待できる事業である一方で、2000年代に受注した初期のFPSOの経年劣化が急速に進み、安全性の確保を最優先で対応した結果、想定外の操業率の低下やアセット・インテグリティの維持・強化費用の負担を余儀なくされておりました。直近の数年間アセット・インテグリティの改善に集中的に取り組んだ結果、初期のFPSOの状況も改善し、また順次チャーター期間の終了を迎えていくことから、このような喫緊の課題は徐々に解決されつつあるものの、引き続き当社グループの最重要課題として捉えており、一層のアセット・マネジメントの強化に努め、収益力の向上に繋げてまいります。
(4) 価格変動リスク
ロシアによるウクライナ侵攻や中東地域における衝突、米国新政権の貿易政策の影響等、世界情勢はより不透明性を増し、インフレ、為替等価格変動要因に大きく作用し、当社グループのFPSO事業に負の影響をもたらす可能性があります。これら価格変動リスクは顧客との契約で一定程度ヘッジされており、為替については客先からの入金や主要サプライヤーへの支払いを米ドルにて決済することでリスク低減に努めております。また、資機材の調達先の多様化、要求仕様の標準化による納期短縮、コスト削減を図っております。
(5) 化石燃料需要の減少
先述のとおり、石油・ガス需要は引き続き堅調に推移する見込みですが、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが進み、長期的には石油開発企業の化石燃料関連への投資抑制や事業内容の変更により、需要が漸減していく可能性があります。当社グループは中期経営計画の中で、洋上風力発電や代替エネルギー事業における当社独自の浮体式構造及び係留技術の開発を推進することを目標に掲げております。しかしながら、事業環境の変化に対し当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)新規受注におけるリスク
昨今はFPSOの大型化・複雑化により、Hullの新造・改造を問わず、従前より存在する完工遅延・コスト増加・性能未達等のリスク対応の難易度が高まることに加え、建造能力を有する造船所が限定されることによる集中リスクへの対応が一層求められております。また、近年は海外の大手造船所がFPSO設計・建造案件の入札に参加するなど、競争環境が変化してきておりますが、当社は長年に亘り設計・建造から操業までライフサイクル・バリューの最大化に貢献しており、この経験に裏打ちされた専門性を競合優位性のひとつと位置付けております。
<その他の重要なリスク>
(1) 大規模災害について
当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、危機発生時の対応体制や対応指針をまとめたグループ危機管理ガイドラインを策定しております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、FPSO等の建造工事、リース、チャーター及びオペレーションといった当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(業績等の概要)
当連結会計年度における世界経済は、当社グループが事業展開している主要地域ではインフレ率の低下と段階的な利下げが進み、景気は総じて底堅く推移した一方、米国の関税措置、中国の構造調整や中東・東欧をめぐる地政学リスクへの懸念があり、先行き不透明な情勢が続きました。
原油価格は、1月に米英によるロシアの石油輸出への制裁強化やEUによる段階的輸入停止計画を背景に一時1バレル80米ドル台まで上昇しました。その後、米国による相互関税の発表等を受け、世界の原油需要減少への懸念が広がり下落に転じ、イラン・イスラエル間の戦闘激化等により一時的に1バレル70米ドル台後半まで上昇する局面があったものの、OPECプラスによる自主的減産の解消、世界経済の減速懸念、米国の増産などを背景に供給過剰見通しが強まり、概ね1バレル50米ドル台後半から70米ドルのレンジで推移しました。
脱炭素の流れと並存しつつ、安定したエネルギー供給を維持することは依然重要な課題であり、石油会社による深海油ガス田開発は将来的にも十分な埋蔵量が確認され、併せてコスト競争力に優れた領域として継続して進められております。当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業、特に当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトに対する需要も堅調に推移しております。
こうした状況のもと、当社グループの当期経営成績は、Shell plc.(本社:英国)の子会社であるShell Brasil Petróleo Ltda社が開発を進めるブラジル沖合Gato do Matoフィールド(現Orcaフィールド)向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注及びExxonMobil Guyana Limited社による南米ガイアナStabroek鉱区Hammerheadフィールド向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注などにより、受注高は9,263,552千米ドル(前年比646.6%増)となり、受注残高についても18,588,729千米ドル(前年比43.6%増)となりました。
売上収益及び利益面では、FPSO建造プロジェクトの順調な進捗による売上収益及び売上総利益の計上により、売上収益は4,581,232千米ドル(前年比9.4%増)となり、持分法による投資利益133,695千米ドル(前年比13.2%減)を加えた営業利益は437,607千米ドル(前年比35.5%増)となりました。
また、建造工事の前受金による現金及び現金同等物の増加に伴い利息収入が増加したことに加え、持分法適用会社向け貸付金に対する損失評価引当金戻入益を計上したことにより金融収益が増加し、親会社の所有者に帰属する当期利益は360,677千米ドル(前年比63.6%増)となりました。
当社グループの事業は、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスの提供を中心としたほぼ単一の事業を展開しているため、セグメント別の事業等の記載は省略しております。
(2) 財政状態について
当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び現金同等物並びに営業債権及びその他の債権の増加により、前連結会計年度末から265,921千米ドル増加し、4,762,572千米ドルとなりました。
負債合計は、主に社債及び借入金の減少により、前連結会計年度末から9,653千米ドル減少し、3,288,529千米ドルとなりました。
資本合計は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末から275,574千米ドル増加し、1,474,043千米ドルとなりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末から73,673千米ドル増加し1,326,950千米ドルとなりました。各キャッシュ・フローの概況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて316,854千米ドル減少し、244,035千米ドルの収入となりました。これは主にFPSO等の建造工事に関わる売上債権の回収時期と買掛金の支払時期のバランスによる変動であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に持分法で会計処理されている投資の清算による収入13,827千米ドルにより、5,535千米ドルの収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出95,626千米ドル及び配当金の支払による支出99,727千米ドルにより、194,243千米ドルの支出となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しており、以下の各項目は当社グループ全体の実績を記載しております。
(注)1 上記の金額は、FPSO、FSO及びTLPの設計・建造・据付並びにその他の工事に係る完成工事高であります。
2 金額は、販売価格によっております。
主な顧客の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(注)1 該当年度において売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
2 当社の直接の販売先の主な顧客は上記の記載のとおりですが、当社の持分法適用会社が行うチャーター事業の最大顧客はPetrobras Brasileiro S.A.であり、チャーター事業収入全体の約半分程度を占めております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績に重要な影響を与える要因
第2「事業の状況」における1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び3「事業等のリスク」に記載しているとおりであります。
(2) 経営成績に関する分析
① 受注の状況
Shell plc.(本社:英国)の子会社であるShell Brasil Petróleo Ltda社が開発を進めるブラジル沖合Gato do Matoフィールド(現Orcaフィールド)向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注及びExxonMobil Guyana Limited社による南米ガイアナStabroek鉱区Hammerheadフィールド向けFPSO建造工事及びオペレーション&メンテナンス契約の新規受注などにより9,263,552千米ドルの受注高となりました。受注残高は、前連結会計年度末から5,644,394千米ドル増加し、18,588,729千米ドルとなりました。また、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、5,032,394千米ドルとなりました。
② 売上収益の状況
売上収益は、主にFPSO等の建造工事の進捗とチャーター及びオペレーションサービスの提供により、4,581,232千米ドルとなりました。
③ 営業損益の状況
営業損益は、売上総利益の増加により、437,607千米ドルの営業利益となりました。
④ 当期損益の状況
当期損益は、建造工事の前受金による現金及び現金同等物の増加に伴い利息収入が増加したことに加え、持分法適用会社向け貸付金に対する損失評価引当金戻入益を計上したことにより金融収益が増加し、410,675千米ドルの当期利益となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期損益の状況
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、360,677千米ドルの利益となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源
当社グループの資金の源泉は、主に営業活動からのキャッシュ・フローと外部からの借入となりますが、FPSO等の建造工事においては、工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれにより当該建造工事に関わる債権債務が一時的に大きく変動し、営業キャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループではこれらの建造工事に関わる債権と債務のバランスを案件毎に管理することで資金効率の向上に努めております。また、当社グループは、「CMS預貸制度(キャッシュ・マネジメント・システム)」によりグループ内で資金融通を行うことで資金効率を高めております。
② 建造工事期間における資金負担
FPSO等を客先に売り渡すプロジェクトの場合、建造工事に要する費用は工事の進行度合いに応じて前受金にて回収しているため、当社グループでは運転資金の調達を必要としません。一方、リース及びチャータープロジェクトの場合、当社グループと海運会社及び総合商社等が合弁で設立する事業会社が建造工事の発注者となるため、当社グループには事業会社に対する出資比率に相当する建造工事費用の負担が生じます。
当社グループは、建造工事期間における必要資金を、主に当社の債務保証によって関係会社が借り入れる方法によって調達しております。
③ 総リスク額の管理
当社グループでは、建造工事費用にかかる関係会社での借入金を、チャーター開始後に、プロジェクトファイナンスによる調達へ切り替えております。それによって当社における大型プロジェクトのための長期かつ多額の資金負担と債務保証が不要となり、プロジェクト個々のリスクを軽減する効果をもたらします。
当社グループでは、プロジェクトファイナンスを活用すると共に、海運会社及び総合商社などの事業パートナーをプロジェクトに招聘する等の方策により、総リスク額をコントロールして事業を展開する方針であります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、それぞれ合理的な方法により、会計上の見積りを行なっており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表注記」、「2. 作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用」及び「3. 重要性がある会計方針」に記載しております。
当社グループの経営上の重要な契約は、以下のとおりであります。
(業務提携契約)
(1) 契約の概要
(2) 合意の目的
当社の事業基盤・競争力の強化に加え、株式会社商船三井及び三井物産株式会社との資本関係の安定化を通じ、当社並びに両社の企業価値の向上を目的としております。
(3) 取締役会における検討状況その他の当該提出会社における当該合意に係る意思決定に至る過程
2023年4月28日開催の当社臨時取締役会において、慎重に検討・審議を行い、株式会社商船三井との業務提携契約の締結を決議しております。また、2010年2月26日開催の当社臨時取締役会において、慎重に検討・審議を行い、三井物産株式会社との業務提携契約の締結を決議しております。
(4) 当該合意が当社の企業統治に及ぼす影響
本合意は、取締役候補者に関する協議・推薦の枠組みを定めるものですが、最終的な選任決定は、指名・報酬委員会の審議を経て、当社取締役会及び株主総会の権限に基づいて行われます。このため、当社の企業統治に与える影響は限定的であり、重大な影響を及ぼすものではありません。
(社債発行に付される財務上の特約)
当社グループが発行した社債には財務制限条項が付されております。当該契約の内容等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等「連結財務諸表 注記事項」」の注記「15. 社債及び借入金」に記載しているため、記載を省略しております。
なお、当該社債の発行主体である当社連結子会社の情報は以下のとおりであります。
当社グループでは、中期経営計画 2024-2026「イノベーションで持続可能な未来を拓く」の実現に向け、①FPSOによる社会への石油エネルギーの安定供給と、その際に発生する温室効果ガスの削減の両立、②石油やガスの代替エネルギー社会への橋渡しをテーマに革新的な研究開発活動を展開しております。
① FPSOによる社会への石油エネルギーの安定供給と、その際に発生する温室効果ガスの削減の両立
当社グループが設計・建造・据付(EPCI)並びにリース・オペレーションを行うFPSOから、エネルギー資源を安全かつ安定的に社会へ供給し続けること、同時にFPSOのライフサイクルを通じた温室効果ガス(GHG)排出を削減することを両立させ、脱炭素社会に向けた過渡期における化石燃料需要を支え、エネルギー・トランジションの実現に寄与するべく、研究開発を実施しております。
安定的に稼働する高いアセット・インテグリティのFPSOを建造すべく、 EPCI分野では、Computer Vision, Large Language Model, Vision Language Model, Agentic RAGといった最新のAI/アプローチを組み合わせたAIチャットボットの開発・導入による過去の技術資産を活用した設計上の意思決定の迅速化・高度化、シミュレーションやデータ処理の自動化、エンタープライズデータ基盤の活用によるEPCI工程の品質・生産性の向上や工程管理の高度化など、設計・建造段階における効率化や、それに伴うヒューマンエラーの低減に取り組んでおります。オペレーションにおいては安定的・安全な操業のため、火気工事を伴わない船体補修法であるCFRP補修手法など、洋上の環境においても適用が容易な補修技術の開発・評価を行うとともに、限られた洋上人員での効率的な設備保全を実現すべく、無人小型潜水艇や自立型無人潜水機によるダイバー作業の代替、板厚測定ドローンやロボットを活用したクリーニング作業など、ロボット技術による高所・閉所等の危険作業の代替を進めております。さらに、グループ会社のShape社と共同で、アセット・インテグリティを維持するための効果的なメンテナンスを実現すべくコンディション・ベースド・メンテナンス(CBM)やプレディクティブ・メンテナンス(PdM)等に関する研究開発、AIを用いた安全リスク評価の効率化に関する研究開発を行っております。
FPSOにおける原油生産に伴う温室効果ガス (GHG) 排出量の削減においては、主要なGHG発生源である発電機からの排出低減を目的に、Shape社と共同で、デジタルツインとAIを用いた運転の最適化ソリューションを既存FPSOの操業に導入している他、高発電効率を実現するコンバインドサイクル発電モジュールを実用化し、本年度に生産開始したFPSO Bacalhauで運転を開始しております。さらなる排出低減を目指し、発電機排ガスからCO2を抽出する燃焼後カーボンキャプチャー(PCC)技術の開発を実施しております。PCC技術については、陸上で実績のあるPCCシステムのFPSO搭載に向けた技術評価に加え、洋上環境により適した革新的PCC技術のパイロットプラントのFPSO搭載に向けた研究開発を進めております。加えて、ガスタービンやボイラーといった従来型の発電機を代替する低GHG排出の発電手段についても、将来の実用化・FPSOへの搭載に向けた研究開発を行っており、固体酸化物燃料電池については、FPSO上への搭載に向けてパイロットプラントの設計・製作を開始しております 。フレアの削減については、クローズドフレアシステムの既存プラットフォームへの搭載や、予知運転により機械の異常停止低減を支援するデジタルツールの開発に向けた活動を進めております。ベントや漏洩ガスについても、ロボット技術を用いた検出自動化等を通じた排出削減を研究開発活動の対象として実施しております。
② 石油やガスの代替エネルギー社会への橋渡し
当社グループはエネルギー・トランジションにおける現実解に貢献すべく、一足飛びにグリーンソリューションのみを追求するのではなく、将来の代替エネルギー社会への着実な移行に不可欠なソリューションの実現を目指して研究活動を実施しております。主力産業である海洋油田開発の周辺領域での知見を獲得し、FPSOのEPCI及びオペレーションから得た知見や当社の技術資産と組み合わせることで、当社独自の実現可能なソリューションを追求しております。
また、当社の強みであるTLP型浮体技術と係留技術を組み合わせた発電単価競争力のあるTLP型洋上風力発電設備・変電設備の開発や、タレット型係留設備を採用した浮体式液化CO2貯蔵・注入ユニット(FSIU)の開発を実施し、i-TLP™2及びFSIUにて船級協会より基本設計承認を取得しております。さらに、浮体式原子力発電を実現するための浮体・送電設備の開発や、油井水や海水からのリチウム回収設備といった新規ソリューション開発に向けた取り組みも実施しております。
当連結会計年度におけるこれらの研究開発に係る金額は
なお、当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しております。