当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
経営理念として以下のとおり、ミッション及びビジョンを策定し、再生医療の発展に貢献してまいります。
「ミッション」:細胞の力で、世界に笑顔と希望を提供します。
「ビジョン」:私たちは細胞シート工学を基盤に新たな医療の未来を創造します。
(2)目標とする経営指標
当社は、再生医療支援事業及び細胞シート再生医療事業を展開しておりますが、現時点においては継続的な利益計上には至っておりません。
再生医療支援事業においては、国内外の販売代理店網を活用し、細胞培養器材の販売拡大を図ることで、安定的な売上基盤の構築に努めております。
また、細胞シート再生医療事業においては、主力パイプラインの研究開発を着実に推進し、早期の売上計上開始を目指すとともに、新規パイプライン候補の導入についても継続的に検討しております。
当社は、これらの施策を通じて売上高の持続的な成長を実現し、早期の安定的な黒字化を達成することを中長期的な最重要経営課題としております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
① 再生医療支援事業に関する経営環境及び対処すべき課題
再生医療支援事業の最大の課題は、対象顧客層における当社細胞培養器材の認知度を高め、売上高の拡大に繋げることであります。当社は、現在国内外の販売代理店及び自社による販促活動を通じて認知度向上に取り組んでおりますが、特に海外においては依然として市場拡大の余地が大きいと認識しております。このため、海外における新規販売代理店の開拓は喫緊の課題として位置づけ、積極的に推進してまいります。
また、顧客ニーズに即した製品ラインナップの拡充も重要な課題であります。操作性の向上を目的とした新しい器材形態の開発や、培養する細胞の特性に応じた器材の培養表面の最適化など顧客から多様な要望が寄せられており、当社ではこれらを踏まえた具体的な製品開発を進めております。
加えて、従来は研究開発用途を主としてきた製品構成を見直し、臨床研究段階や再生医療製品の製品化においても利用可能な製品の開発を重要課題として取り組んでおります。
さらに、製造コストの引き下げ及び生産体制・生産能力の充実・拡大も重要な課題であります。市販製品については大日本印刷株式会社への製造委託により安定供給を確保しつつ、研究用細胞の大量培養を目的とした新たな市場への対応や海外売上の拡大に備え、さらなる生産体制及び生産能力の強化を図ってまいります。
② 細胞シート再生医療事業に関する経営環境及び対処すべき課題
(a) 細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化
当社の使命である、日本発・世界初の革新的な再生医療技術「細胞シート工学」を基盤とした細胞シート再生医療の世界的普及を実現するためには、当社細胞シート再生医療第1号製品を日本において早期に事業化することが不可欠であります。
当社は、国内において細胞シート再生医療製品パイプラインの開発を自社主導で推進し、製造販売承認取得を目指しております。現在、同種軟骨細胞シートの第3相試験である治験が開始されており、計画に沿って進行しております。今後は、製造体制及び販売体制の確立を通じて事業化段階をさらに前進させるとともに、他社との提携も視野に入れ、細胞シート再生医療事業の拡大を図ってまいります。
(b) 細胞培養施設の運営
再生医療における細胞の培養には、バイオクリーンルームを備えた細胞培養施設が不可欠であります。当社は2016年に当該施設(細胞培養センター)を設置し、2014年11月施行の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準拠した設備運営を行っております。現在は、安定的な維持管理を前提にしつつ、さらなる機能向上を目指した施設運営に取り組んでおります。
(c) 細胞シート培養技術者の育成
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の施行により、企業による医療機関からの臨床用細胞の培養の受託が可能となりました。これにより、細胞培養施設を所有していない、あるいは人的リソースの不足により十分に施設を活用できていない大学病院や医療機関などから臨床用細胞シートの製造を受託する機会が拡大しており、当社にとっては営業収益を拡大する機会となります。
一方で、臨床用細胞シートの培養を適正かつ安全に行うには、十分な教育を受けた細胞培養技術者の確保・育成が必要不可欠であり、さらに高度な技能を有する技術者の育成は製品品質の向上にも直結します。当社は、これまで培ってきた細胞シート培養の経験及びノウハウを基盤とし、加えて日本再生医療学会の臨床培養士制度に基づく臨床培養士資格の取得を積極的に推進することで、細胞シート培養技術者の育成を継続的に進めてまいります。
③ 事業推進に必要な経営資源・インフラに関する経営環境及び対処すべき課題
(a) 事業資金の確保
当社では、研究開発活動の進展に伴い、運転資金、研究開発投資及び設備投資等に係る資金需要の増加を見込んでおります。これまで第三者割当増資や公募増資等を実施してまいりましたが、今後はエクイティ・ファイナンスに加え、事業提携の実現による開発中品目の上市前の収益化(一時金の獲得等)、国をはじめとする公的補助金の活用、金融機関からの借入など、多様な手段を組み合わせて資金需要に対応してまいります。引き続き資金調達手段の多角化を通じて財務基盤の強化を図る方針であります。
(b) 人材の採用・育成
再生医療等製品の研究開発には高度かつ多様な専門性を有する人材が不可欠であります。特に細胞シート再生医療は工学・細胞生物学・化学などの学際分野にまたがることから多様な専門人材の採用及び育成が重要な課題となります。また、国内にとどまらず、グローバルに活躍できる人材の確保・育成にも注力してまいります。
加えて組織規模の拡大及び多様化に対応したガバナンス体制の整備、従業員支援の充実、教育の質的向上にも継続的に取り組んでまいります。
(4)中長期的な経営戦略
当社は、経営の基本方針のもと、使命の着実な遂行と持続的成長の実現を目指し、外部環境の変化に適切に対応しながら、以下の施策を推進してまいります。
●日本において、同種軟骨細胞シートの早期製造販売承認申請を目指す。
●日本発の細胞シート工学の世界展開を加速するため、事業提携を積極的に推進し、収益基盤の拡大を図る。
●再生医療支援製品の新製品開発を進めるとともに、研究用細胞の大量培養を目的とした新市場への製品供給及び海外売上拡大に対応するため、生産体制・生産能力の充実・強化を図る。
●受託製造及びコンサルティング事業を推進し、収益機会の多様化・拡大を図る。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、経営理念であるミッション「細胞の力で、世界に笑顔と希望を提供します」、ビジョン「私たちは細胞シート工学を基盤に新たな医療の未来を創造します」の下、「技術革新と創造性を発揮し、質の高い優れた製品とサービスの提供を通じ、人々の健康と福祉に貢献する」ことを使命として再生医療支援事業及び細胞シート再生医療事業を展開しております。
これらの事業は国連で定められたSDGs(持続可能な開発目標)「17の目標」「3 全ての人に健康と福祉を」に通じるものです。
気候変動をはじめとする環境問題は、社会・企業活動に様々な影響を与えており、これらの課題への対応を経営の重要事項として捉え、様々な側面から持続可能な社会の実現に向けて「気候変動関連課題」へ取り組んでいきます。
本書提出日現在において、当社に影響を与えると考えられるリスク・機会のうち、サステナビリティ関連課題の特定や抽出は行っておらず、必要に応じて具体的な検討を行います。
(1)ガバナンス
当社は、経営会議においてリスクや重要課題に関する活動を検討・管理・推進し、環境問題等のサステナビリティに関する課題の特定、対応策の検討等について取り組んでいます。
当社は、医療機関等との関係の透明性に関する指針に基づき、医療機関等への資金提供に関する情報を取りまとめ、公開しております。
(2)戦略
当社は、本書提出日現在においてはリスクの特定、機会への対処等を経営戦略として取り組んでおりませんが、今後、具体的な課題の特定、抽出を行い、必要に応じて対応策を取り組んでいきます。
①人材育成方針
当社の持続的成長や事業価値の向上において、人材は最も重要な経営資源であると考えております。再生医療等製品の研究開発には様々な専門スキルを有する人材が必要であり、特に細胞シート再生医療は工学・細胞生物学・化学などの学際分野に属することから、ジェンダーレスで多様性ある専門人材の採用・育成を積極的に行ってまいります。また、日本国内のみならずグローバルで活躍できる人材の採用・育成にも注力する方針です。今後も組織規模の拡大・多様化に対応した会社組織としてのガバナンス、従業員サポート、教育の質的向上にも尽力してまいります。
②社内環境整備方針
当社はフレックスタイム制度や在宅勤務制度により、柔軟な働き方を推奨し、ワークライフバランスを実現しやすい社内環境を構築しております。今後も継続して環境整備をはじめとした取組を推進してまいります。
(3)リスク管理
当社は、社内外の様々なリスクを包括的にかつ適切に管理・運営するための経営会議を設置し、定期的に開催しています。
サステナビリティに関する項目についても、事務局を設置し推進していますが、本書提出日現在において重要課題となるリスクは取り上げておりません。
(4)指標及び目標
以下は、当社の事業展開その他に関連してリスク要因となり得る主な事項を記載しております。当社は、これらのリスクを認識し、発生の回避及び発生時の適切な対応に努めておりますが、すべてのリスクを回避できる保証はありません。また、以下の記載は当社に関連するすべてのリスクを網羅するものではありませんので、ご留意ください。
なお、本項における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 再生医療支援事業・細胞シート再生医療事業の双方に共通するリスク
(a) 知的財産権に関するリスク
当社は研究開発活動等に必要な各種知的財産権を保有し、または適法に実施許諾を受けているものと認識しております。事業に必要な特許については、原則として自社での取得を基本方針としており、各再生医療パイプラインに関する基幹特許については当社を出願人として出願しております。あわせて、周辺特許の出願を通じて特許網の拡充を進めております。
しかしながら、出願中特許が登録に至らない可能性や、事業に必要な特許を確保できない可能性があります。また、重要なノウハウについては秘密保持契約の締結等により管理しておりますが、第三者が同様または類似のノウハウを独自に開発・取得する可能性を排除することはできません。
これらの事象が生じた場合、当社の事業戦略、経営成績、外部企業との提携関係、さらには財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、重要な知的財産権については、関連特許の出願状況等を定期的にモニタリングし、問題が顕在化する前に対応できる体制を整備しております。また、継続的な新規特許の出願により、知的財産基盤の強化に努めております。
(b) 技術革新に伴う競合リスク
当社は、細胞シート工学を基盤技術として、細胞シート再生医療等製品及び再生医療支援製品の研究開発を推進しております。現時点で再生医療分野へ本格参入している企業は限定的であるものの、研究開発を進めつつ参入を検討している潜在的競合企業は少なくないと認識しております。
また、本分野は技術進歩のスピードが速く、後発製品が先発製品を上回る機能を有する可能性があり、今後競争が一層激化することが想定されます。競合企業の中には、技術力、財務基盤、製品機能、販売力等において当社より優位にある企業が存在する可能性があります。
このような競争環境の下、当社は早期の事業化及び収益化を目指しておりますが、競争の激化により、計画どおりの収益を確保できない可能性があります。
(c) 製造物責任に関するリスク
医薬品・医療機器及び再生医療等製品の設計、開発、製造ならびに販売には、製造物責任に基づく損害賠償リスクが存在しております。当社は、細胞培養器材の一部について製造物責任保険を付保しておりますが、当社が最終的に負担すべき賠償額を全額補填できる保証はありません。
当社製品の欠陥等に起因する事故、当社が開発した細胞シート再生医療等製品による健康被害、または治験、製造又は人道的使用に関する説明、営業・販売活動における不適切な対応が発生した場合、当社が製造物責任を負う可能性があり、事業及び財務状況に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、当社に過失が認められない場合であっても、損害賠償請求等の提起自体により、企業イメージや製品に対する信頼が毀損し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(d) 研究開発活動に由来するリスク
当社は研究開発型企業として、産学連携のもと大学との共同研究や治験を進めております。また、細胞シート再生医療事業及び再生医療支援事業はいずれも新規性の高い事業であることから、社内の多くの部門が研究開発に関与しており、事業予算に占める研究開発費の割合は高水準にあります。
しかしながら、研究開発が計画どおりに進展する保証はなく、期待する成果が得られない場合には、当社の事業戦略、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、細胞シート再生医療事業及び再生医療支援事業は、製品化までに長期間を要するほか、細胞シート再生医療事業における治験承認や製造販売承認等の薬事承認プロセスには不確実性が伴います。研究開発期間が想定を超えて長期化した場合や追加的な費用負担が発生した場合には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(e) ビジネスモデルに由来するリスク
ⅰ)大学及び研究機関等との関係に由来するリスク
当社は、東京女子医科大学及び東海大学をはじめとする大学・研究機関との連携を通じて、研究開発の推進及び事業基盤の強化を図っております。具体的には、大学教員と顧問契約に基づく技術指導の受領や、大学・研究機関との共同研究等を実施しております。
しかしながら、大学教員と企業との関係は法令や各大学の規程等の影響を受ける可能性があり、また、国立大学の独立行政法人化以降、大学における知的財産権の管理方針も変化しております。その結果、当社の想定どおりに共同研究の実施や権利の譲受等が進まない可能性があります。
これらが生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ)提携に関するリスク
当社の事業計画には、外部企業との提携関係を前提とする事項が含まれております。これらの提携には、既に契約を締結しているものに加え、今後締結を予定しているものが含まれます。
既存の提携については、提携先の事情等により契約が終了または条件変更となる可能性があります。また、将来の締結については、想定する時期または条件で契約を締結できない可能性があります。
これらの事象が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 再生医療支援事業に関するリスク
当社は現在、販売代理店を通じて国内外においてUpCellをはじめとする各種細胞培養器材を販売しております。当社の再生医療支援事業に係る製品の多くは、これまでに例のない新規性の高い製品であり、高い付加価値を有する一方で、販売価格も相対的に高水準に設定しております。
このため、市場環境や顧客動向等の影響により、販売数量が事業計画どおりに伸長しない可能性があります。また、販売促進等を目的として価格引き下げを実施した場合には、収益性が低下する可能性があります。
さらに、当社は温度応答性細胞培養器材の生産能力増強や製造コスト低減、新製品の研究開発に取り組んでおりますが、これらの施策が当社の事業計画及び経営成績に与える影響には不確実性を伴います。これらの要因が顕在化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 細胞シート再生医療事業に関するリスク
(a) 先端医療に関する事業であることに由来するリスク
再生医療は、世界的に見て未だ本格的な普及段階には至っておらず、特に国内においては、これまで特定の医師・医療機関を中心とした高度医療技術として限定的に臨床応用が行われてきた経緯があります。
このような状況の背景には、最先端医療に特有の課題及び不確実性が存在します。再生医療の基盤となる学問・技術は急速に進展しており、再生医療等製品に関する研究開発も加速度的に進んでいることから、安全性・有効性等に関する新たな知見が継続的に蓄積されています。
当社の基盤技術である細胞シート工学は新規性の高い再生医療技術ですが、急速な技術革新により競合技術が優位性を有する場合や、想定していなかった副作用等が顕在化する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(b) 法規制改正・政府推進政策等の変化に由来するリスク
再生医療等製品に関連する法規制は、技術革新の進展や社会的要請の変化に応じて、今後追加、改正又は見直しが行われる可能性があります。
例えば、法令や各種ガイドラインの改正により、従来使用が認められていた原材料が制限または禁止される可能性があります。また、当社の想定どおりの内容で製造販売承認を取得できない、又は承認取得までに想定以上の期間を要する可能性があります。
さらに、世界的な医療費抑制の動向等を背景として、当社が想定する水準を下回る薬価または保険償還価格が設定される可能性があります。
これらの事象が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(c) 事業基盤の整備・確立に係るリスク
細胞シート再生医療事業は、未だ十分に確立された事業基盤が存在しない分野であり、その構築過程において固有のリスクを伴います。本事業を長期的に持続可能な事業構造とするためには、製造・販売・流通・情報提供体制等の整備に加え、関連法制度や業界全体のインフラ整備など、当社のみならず行政機関や関係企業等との連携を要する社会的基盤の拡充も必要となります。
当社は再生医療等製品の製造企業として、安定的な製品供給体制の確立に向けた取り組みを進めておりますが、製造原価の低減による適切な利益水準の確保、医療機関に対する適切な情報提供を行うためのマーケティング・販売体制の構築、製造販売開始後の安全対策及びフォローアップ体制の整備など、多くの課題が存在します。これらの取り組みには相当の時間及び資金を要します。
また、市場の形成及び拡大が当社の想定どおりに進展する保証はありません。当社は豊富な業界経験を有する人材を確保し、事業基盤の確立に努めておりますが、これらの基盤整備が計画どおりに進まない場合には、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(d) ヒト又は動物由来の原材料の使用に関するリスク
再生医療等製品は、ヒト細胞及び組織を利用する特性上、これらに由来する感染症等のリスクを完全に排除することはできません。
また、原材料や製造工程で使用する培地等に動物由来原料を用いる場合には、未知のウイルスその他病原体による影響が生じる可能性があります。
このように、ヒト又は動物由来材料(その一部を含みます。)を使用し、これらが患者の体内に移植されることに伴う安全性上のリスクが存在します。これらの事象が生じた場合には、当社の事業及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社に過失が認められない場合であっても、当該事象に起因する社会的評価の低下や業界全体に対する信頼の毀損が生じた場合には、当社製品の販売等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 財務状況に由来するリスク
(a) マイナスの利益剰余金を計上していることに由来するリスク
当社は研究開発活動を中心とする事業段階にあり、細胞シート再生医療等製品の本格的な販売開始までの間は、多額の研究開発費用が先行して発生する状況にあります。その結果、当事業年度末において利益剰余金△1,104,101千円を計上しております。
当社は、将来的な利益拡大を目指しておりますが、事業が想定どおりに進展せず、継続的に当期純利益を計上できない可能性があります。その場合、利益剰余金が正の残高に転換するまでに相当の時間を要する可能性があり、財務体質の改善が遅延するリスクがあります。
(b) 税務上の繰越欠損金に関するリスク
当社は税務上の繰越欠損金を有しております。今後、事業計画の進展に伴い課税所得が発生し、繰越欠損金の控除が行われなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税の負担が生じます。
この結果、当期純利益又は当期純損失及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(c) 資金繰り及び資金調達に関するリスク
当社は研究開発活動を推進していることから、営業キャッシュ・フローは継続してマイナスとなっております。今後も事業の進展に伴い、運転資金、研究開発投資及び設備投資等に係る資金需要が発生する見込みです。
当社は、これまで第三者割当増資や公募増資等により資金調達を実施してまいりました。今後も、エクイティ・ファイナンスの活用、事業提携の推進による開発中品目の上市前収益(契約一時金等)の獲得、国をはじめとする公的助成金・補助金の活用など、多様な手段により必要資金の確保を図る方針です。
しかしながら、これらの資金調達が想定どおりに実行できない場合や、売上収入、提携一時金及び公的助成金・補助金等を十分に確保できない場合には、資金繰りに支障が生じ、当社の事業活動及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、将来エクイティ・ファイナンスを実施した場合には、発行済株式数の増加により1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
(d) 配当政策に関するリスク
当社は設立以来、配当を実施しておりません。
当社は研究開発活動を継続的に推進する必要があることから、当面は内部留保の充実を図り、研究開発資金の確保を優先する方針です。
当社は株主への利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、今後の経営成績及び財政状態を総合的に勘案のうえ、配当の実施を検討してまいります。しかしながら、事業の進捗状況等によっては、配当の実施までに相当の期間を要する可能性があります。
⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク
当社はストック・オプション制度を導入しており、2017年8月10日開催の取締役会において会社法第236条、第238条及び第240条の規定に基づき新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合には、発行済株式数の増加により1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、優秀な人材確保及び動機付けを目的として、今後も同様のインセンティブ制度を継続または新たに導入する可能性があります。その場合にも、新株予約権の行使により1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
⑥ 人材及び組織に関するリスク
(a) 特定の人材への依存に由来するリスク
当社は、特定の人材に過度に依存しない組織体制の構築を進めております。しかしながら、重要な役職員が退任、長期離脱その他の事由により業務を継続できなくなった場合には、業務遂行や意思決定に支障が生じ、当社の事業展開及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(b) 人材の確保及び育成に関するリスク
当社の事業は、経営陣及び各部門の責任者・専門人材の能力に大きく依存しております。そのため、優秀な人材の確保及び育成に努めておりますが、必要な人材を適時に確保できない場合や、計画どおりに育成が進まない場合には、事業推進力の低下等により、当社の事業展開及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(c) 小規模組織であることに由来するリスク
当社は比較的小規模な組織体制で事業を運営しており、内部管理体制も現状の規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大に伴い、組織体制及び内部管理体制の一層の強化を図る方針ですが、事業拡大に応じた適切な体制整備が遅れた場合には、業務効率の低下や内部統制上の課題が生じる可能性があります。
また、人員増強に伴う人件費の増加が収益の伸長を上回った場合には、経営効率が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 訴訟について
当社は国内外において事業を展開しており、今後、訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があります。重要な訴訟等が提起された場合や、これにより事業活動に制限が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は2024年2月6日付で、三顧股份有限公司(MetaTech(AP)Inc.)より、契約上の地位確認等請求に係る訴訟を提起されております(訴状送達日、2024年3月7日)。当社は、2023年12月18日付で三顧股份有限公司(MetaTech(AP)Inc.)に対し、独占的事業提携契約の条項に則り、締結済みの全ての契約関係を解消した旨を通知しておりますが、三顧股份有限公司(MetaTech(AP)Inc.)は、訴状において当該契約関係の解消の無効を主張し、契約当事者としての地位の確認を求めております。
当社は、三顧股份有限公司(MetaTech(AP)Inc.)の主張とは法的見解を異にしており、当該訴訟において適切に対応してまいります。現時点では本件が当社の財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であると判断しておりますが、今後の訴訟の進展及び結果によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 継続企業の前提に関する重要事象等
当社の当事業年度末の手元資金(現金及び預金)の残高は1,318,909千円となっておりますが、2025年11月20日開示「第三者割当による第25回新株予約権(行使価額修正条項付)」に係る発行及び行使が始まっており、2026年1月においては、402,805千円の資金調達を行っていること及び未行使新株予約権も相当数残っていることから、財務基盤については当面の資金繰りに支障はないものと判断しております。
一方で、事業面においては細胞シート再生医療事業の重要課題である当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化に向けた具体的な道筋を示すまでには至っておらず、当社は、当事業年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると判断しております。
当社は当該状況の解消を図るべく、以下の施策に取り組んでまいります。
当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化の実現及び事業提携の推進による収益機会の獲得
当社は、今後、同種軟骨細胞シートの開発を推進し、当社細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化を実現すること、また、事業提携先の開拓を通じて、更なる収益機会を獲得していくことで当該状況の解消を図ってまいります。
(1)財政状態及び経営成績の概要
①財政状態
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて790,702千円減少し、1,521,516千円となりました。これは、現金及び預金が815,389千円、売掛金が30,296千円減少したことなどによるものであります。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べて13,458千円増加し、134,323千円となりました。これは、保証金の増加によりその他の資産が15,000千円増加したことなどによるものであります。
この結果、当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて777,244千円減少し、1,655,840千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べて144,991千円増加し、248,136千円となりました。これは、未払金が146,572千円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べて27,412千円減少し、139,323千円となりました。これは、長期借入金が27,504千円減少したことなどによるものであります。
この結果、当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて117,578千円増加し、387,459千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて894,823千円減少し、1,268,381千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ104,027千円増加した一方で、当期純損失を1,104,101千円計上したことなどによるものであります。
なお、2025年3月25日開催の定時株主総会の決議により、2025年5月2日付で資本金667,087千円、資本準備金1,798,967千円をそれぞれ減少しその他資本剰余金に振替え、振替後のその他資本剰余金2,466,054千円の全額を繰越利益剰余金に振替えることにより欠損填補に充当しております。
②経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、外需の関税コストによる悪影響の顕在化が見られたものの内需の人手不足を背景とした賃金上昇による個人消費の回復などの要因から、底堅さを維持し、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、国際情勢不安、関税の影響及び円安の進行による物価上昇など、景気動向については、いまだ予断を許さない状況が続いております。
当社はこのような環境の下、コスト削減による財務体質の改善と安定的な財務基盤の確立を図りつつ、再生医療支援事業及び細胞シート再生医療事業における活動を推進いたしました。
この結果、当事業年度における売上高は83,678千円(前事業年度比56.7%の減少)、営業損失は1,046,127千円(前事業年度比199,749千円の増加)、経常損失は1,051,813千円(前事業年度比204,137千円の増加)、当期純損失は1,104,101千円(前事業年度比244,260千円の増加)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(a)再生医療支援事業(細胞培養器材、製造受託など)
細胞培養器材事業では、国内市場への取り組みとして器材製品の拡販に向けた既存代理店との更なる協業強化を進め、プロモーション活動として日本再生医療学会、日本薬学会、日本毒性学会、日本培養食料学会に当社ブースを出展し、情報収集及び器材製品の積極的な販売促進活動を行いました。また、海外市場においては米国における研究機関の予算が大幅に削減されるなど研究環境の急激な変化、ならびに欧州や中東などにおいて継続する地政学的な混乱などの影響により売上高は前事業年度比で大幅に減少いたしました。引き続き主要販売代理店からの売上情報等の収集分析などにより、慎重な判断のもと積極的に既存製品の販売拡大を目指すとともに、顧客ニーズ、市場動向に合致した新製品開発のための研究開発にも注力し、新規の顧客を獲得できるよう努めてまいります。
再生医療受託事業では、再生医療等安全性確保法に基づく特定細胞加工物製造許可及び薬機法に基づく再生医療等製品製造業許可を取得した細胞培養センター(CPC)において、主に細胞シートの製造を受託しております。当事業年度においては、地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立多摩北部医療センター(以下、「多摩北部医療センター」という。)が、再生医療の実施に必要な提供計画を厚生労働省に提出する際に、関連書類の作成支援など自由診療開始に必要な手続きの支援を行いました。また、2025年8月に、株式会社NPT(以下、「NPT」という。)とNPTが再生医療等製品として開発を進める、食道がんを対象とした個別化樹状細胞ワクチンの治験製品の製造受託に向けた技術開示等に係る契約を締結し、当該契約に係る売上を一部計上いたしました。引き続き、医療機関や企業からの受託案件の獲得に注力するとともに、再生医療CDMO(開発・製造受託機関)としての活動を積極的にアピールすることで、新規の受託案件の獲得にも注力してまいります。
以上のような結果、当事業年度における売上高は81,803千円(前事業年度比110,255千円の減少)、営業損失は104,789千円(前事業年度比84,253千円の増加)となりました。
(b)細胞シート再生医療事業
細胞シート再生医療事業では、同種軟骨細胞シートの再生医療等製品の自社開発を中心とする研究開発を継続して推進しております。
同種軟骨細胞シートは、2023年9月20日に、同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の第3相試験の治験届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、治験審査委員会(IRB)を経て、各治験実施施設との契約を締結し、各治験実施施設において手術を行える体制を整えてまいりました。その後、2024年9月25日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の治験開始時期に関するお知らせ」のとおり、東海大学と治験の進展に応じたマイルストンの支払金額等について交渉を行った結果、2025年3月24日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の治験開始に関するお知らせ」のとおり東海大学と合意し、2025年10月9日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)第3相試験における症例登録に関するお知らせ」のとおり第1例目の症例が登録されました。また、治験実施施設の追加を行い、2025年10月10日にjRCTにて情報を更新いたしました。現在、当該第3相試験は計画に従い進行しております。また、2025年11月28日には当社主催の「第4回細胞シート工学イノベーションフォーラム」を開催いたしました。社外からの参加者は100名を超え、「細胞シート工学」の認知拡大につながる機会となり、盛況のうちに終了しました。
事業提携活動については、事業化の加速、また将来の同種軟骨細胞シートの販売に向けて、引き続き複数の企業との提携に向けた協議を積極的に進めております。
以上のような活動の結果、売上高は1,875千円(前事業年度比657千円の増加)、営業損失は722,979千円(前事業年度比127,457千円の増加)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べて815,389千円減少し、1,318,909千円となりました。当事業年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動に使用した資金は、988,976千円(前事業年度比122,872千円の支出増)となりました。これは、税引前当期純損失を1,101,811千円計上したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動に使用した資金は、26,717千円(前事業年度比8,350千円の支出増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出26,229千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は、200,304千円(前事業年度比655,174千円の獲得減)となりました。これは、長期借入金の返済による支出10,834千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入207,698千円などによるものであります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
⑤生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
|
セグメント |
当事業年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
再生医療支援事業(千円) |
50,299 |
65.8 |
|
細胞シート再生医療事業(千円) |
435 |
1,905.5 |
|
合計(千円) |
50,735 |
66.4 |
(b)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(c)販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメント |
当事業年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
再生医療支援事業(千円) |
81,803 |
42.6 |
|
細胞シート再生医療事業(千円) |
1,875 |
154.0 |
|
合計(千円) |
83,678 |
43.3 |
(注)1 最近2事業年度の主要な輸出先及び輸出販売高ならびに割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は販売実績に対する輸出高の割合であります。
|
輸出先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
欧州 |
146,736 |
99.7 |
32,739 |
100.0 |
|
アジア |
387 |
0.3 |
- |
- |
|
合計 |
147,123 (76.1%) |
100.0 |
32,739 (39.1%) |
100.0 |
2 最近2事業年度の主要な販売先及び販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Thermo Fisher Scientific Inc. |
146,736 |
75.9 |
32,739 |
39.1 |
|
フナコシ(株) |
30,127 |
15.6 |
30,396 |
36.3 |
|
(株)NPT |
- |
- |
13,964 |
16.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は、次のとおりであります。なお、将来に関する事項は当事業年度末日現在において判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。将来の実際の結果は、これらと大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。
①財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて790,702千円減少し、1,521,516千円となりました。これは、現金及び預金が815,389千円、売掛金が30,296千円減少したことなどによるものです。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べて13,458千円増加し、134,323千円となりました。これは、保証金の増加により、その他の資産が15,000千円増加したことなどによるものです。
この結果、当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて777,244千円減少し、1,655,840千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べて144,991千円増加し、248,136千円となりました。これは、未払金が146,572千円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べて27,412千円減少し、139,323千円となりました。これは、長期借入金が27,504千円減少したことなどによるものであります。
この結果、当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて117,578千円増加し、387,459千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて894,823千円減少し、1,268,381千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ104,027千円増加した一方で、当期純損失を1,104,101千円計上したことなどによるものであります。
なお、2025年3月25日開催の定時株主総会の決議により、2025年5月2日付で資本金667,087千円、資本準備金1,798,967千円をそれぞれ減少しその他資本剰余金に振替え、振替後のその他資本剰余金2,466,054千円の全額を繰越利益剰余金に振替えることにより欠損填補に充当しております。
②経営成績の分析
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
細胞培養器材事業では、国内市場への取り組みとして器材製品の拡販に向けた既存代理店との更なる協業強化を進め、プロモーション活動として日本再生医療学会、日本薬学会、日本毒性学会、日本培養食料学会に当社ブースを出展し、情報収集及び器材製品の積極的な販売促進活動を行いました。また、海外市場においては米国における研究機関の予算が大幅に削減されるなど研究環境の急激な変化、ならびに欧州や中東などにおいて継続する地政学的な混乱などの影響により売上高は前事業年度比で大幅に減少いたしました。引き続き主要販売代理店からの売上情報等の収集分析などにより、慎重な判断のもと、既存製品の販売拡大を図るとともに、顧客ニーズ、市場動向に合致した新製品開発のための研究開発にも注力し、新規の顧客を獲得できるよう努めてまいります。
再生医療受託事業では、再生医療等安全性確保法に基づく特定細胞加工物製造許可及び薬機法に基づく再生医療等製品製造業許可を取得した細胞培養センター(CPC)において、主に細胞シートの製造を受託しております。当事業年度においては、地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立多摩北部医療センター(以下、「多摩北部医療センター」という。)が、再生医療の実施に必要な提供計画を厚生労働省に提出する際に、関連書類の作成支援など自由診療開始に必要な手続の支援を行いました。また、2025年8月に、株式会社NPT(以下、「NPT」という。)とNPTが再生医療等製品として開発を進める、食道がんを対象とした個別化樹状細胞ワクチンの治験製品の製造受託に向けた技術開示等に係る契約を締結し、当該契約に係る売上を一部計上いたしました。引き続き、医療機関や企業からの受託案件の獲得に注力するとともに、再生医療CDMO(開発・製造受託機関)としての活動内容の周知を図ることで、新規の受託案件の獲得にも注力してまいります。
以上のような結果、当事業年度における売上高は81,803千円(前事業年度比110,255千円の減少)、営業損失は104,789千円(前事業年度比84,253千円の増加)となりました。
細胞シート再生医療事業では、同種軟骨細胞シートの再生医療等製品の自社開発を中心とする研究開発を継続して推進しております。
同種軟骨細胞シートは、2023年9月20日に、同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の第3相試験の治験届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、治験審査委員会(IRB)を経て、各治験実施施設との契約を締結し、各治験実施施設において手術を行える体制を整えてきました。その後、2024年9月25日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の治験開始時期に関するお知らせ」のとおり、東海大学と治験の進展に応じたマイルストンの支払金額等について交渉を行った結果、2025年3月24日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の治験開始に関するお知らせ」のとおり東海大学と合意し、2025年10月9日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)第3相試験における症例登録に関するお知らせ」のとおり第1例目の症例が登録されました。また、治験実施施設の追加を行い、2025年10月10日にjRCTにて情報を更新いたしました。現在、当該第3相試験は計画に従い進行しております。また、2025年11月28日には当社主催の「第4回細胞シート工学イノベーションフォーラム」を開催いたしました。社外からの参加者は100名を超え、「細胞シート工学」の認知拡大につながる機会となり、盛況のうちに終了しました。
事業提携活動については、事業化の加速、また将来の同種軟骨細胞シートの販売に向けて、引き続き複数の企業との提携に向けた協議を積極的に進めております。
以上のような活動の結果、売上高は1,875千円(前事業年度比657千円の増加)、営業損失は722,979千円(前事業年度比127,457千円の増加)となりました。
③キャッシュ・フローの分析
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べて815,389千円減少し、1,318,909千円となりました。当事業年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動に使用した資金は、988,976千円(前事業年度比122,872千円の支出増)となりました。これは、税引前当期純損失を1,101,811千円計上したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動に使用した資金は、26,717千円(前事業年度比8,350千円の支出増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出26,229千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は、200,304千円(前事業年度比655,174千円の獲得減)となりました。これは、長期借入金の返済による支出10,834千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入207,698千円などによるものであります。
④資本の財源及び資金の流動性
当社は、細胞シート再生医療の実現に向けた研究開発投資を引き続き推進してまいります。これに必要となる資金につきましては、現預金を充当するとともに、公的補助金の活用やエクイティ・ファイナンスを含む各種資金調達手段を適切に組み合わせ、機動的かつ安定的な資金確保に努める方針であります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、日本発の革新的再生医療技術である細胞シート工学を基盤として、各種細胞シート再生医療等製品の開発を進め、その世界的な普及を目指しております。
細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる「細胞シート」を生体外で作製することを可能とする再生医療基盤技術であります。本技術を用いた細胞シート再生医療については、これまでに様々な組織再生を対象とした臨床研究が実施されており、ヒト患者治療における安全性及び有効性を示唆する科学的知見が蓄積されつつあります。
また、「医薬品医療機器等法(旧薬事法)」及び「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の施行により、日本における再生医療を取り巻く制度環境は大きく変化し、再生医療等製品の産業化が進展しております。当社は、これらの外部環境の変化を踏まえ、事業計画の着実な推進に努めてまいります。
⑥経営戦略の現状・問題認識と今後の方針について
上述⑤のような状況の中、当社は、日本における再生医療を取り巻く制度環境の変化を事業機会と捉え、以下の施策を着実に推進してまいります。
●日本において、同種軟骨細胞シートの早期製造販売承認申請を目指す。
●日本発の細胞シート工学の世界展開を加速するため、事業提携を積極的に推進し、収益基盤の拡大を図る。
●再生医療支援製品の新製品開発を進めるとともに、研究用細胞の大量培養を目的とした新市場への製品供給及び海外売上拡大に対応するため、生産体制・生産能力の充実・強化を図る。
●受託製造及びコンサルティング事業を推進し、収益機会の多様化・拡大を図る。
当社の経営上の重要な契約は次のとおりであります。
(1)再生医療支援事業に関する販売代理店契約・販売契約
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契約相手 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
フナコシ株式会社 |
販売代理店基本契約書 |
温度応答性細胞培養器材、超低付着性細胞培養器材の日本国内における独占的販売を認める基本契約 |
2019年9月1日から1年間(1年毎の自動更新) |
|
Nunc A/S(Thermo Fisher Scientific) |
Amendment No.1 to DISTRIBUTION AGREEMENT |
温度応答性細胞培養器材、超低付着性細胞培養器材及び細胞シート回収用支持体の一部の国・地域以外における独占的販売を認める基本契約の有効期間を2025年6月30日まで延長する契約 |
2011年5月13日から2025年6月30日まで(原契約であるDISTRIBUTION AGREEMENTの有効期間、但し1年毎の自動更新) |
(2)細胞培養器材 製造委託基本契約
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契約相手 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
大日本印刷株式会社
|
器材製造委託基本契約書
|
温度応答性細胞培養器材及び超低付着性細胞培養器材の製造委託に関する基本条件を定める契約。 |
2020年8月1日から2021年12月31日まで(但し1年毎の自動更新規定有り) |
(3)角膜再生上皮シート製造・販売提携契約
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契約相手 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
Teva Pharmaceutical Industries Ltd. (Teva) |
Distribution Agreement |
イスラエル(ヨルダン川西岸を含む)における角膜再生上皮シートの独占的販売、及び売上高に応じて定められた比率に基づく対価のTevaによる支払い |
2007年12月31日から、左記の国内で角膜再生上皮シートが上市された日より10年を経過した日まで |
|
Orphan Australia Pty Ltd(Orphan) |
Definitive Agreement |
オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、マレーシア、シンガポールにおけるOrphanによる角膜再生上皮シートの独占的製造及び販売、販売単価及び年間売上額に応じて定められた比率による両社での利益の按分 |
2008年1月21日から、左記5カ国で最も遅く角膜再生上皮シートが上市された国の導入日より15年経過した日まで |
(4)主な共同研究契約
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契約相手 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
学校法人東京女子医科大学 |
共同研究契約書
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細胞シート工学の実用化に向けた共同研究の実施 |
2025年4月1日から2026年3月31日まで |
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株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング |
共同研究開発基本契約書 |
当社の保有する細胞シート工学の技術・ノウハウなどを活用した次世代再生医療等製品及びサービスならびにビジネスモデルの共同開発の実施 |
2009年10月30日から3年間(1年毎の自動更新) |
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国立大学法人 北海道大学 |
共同研究契約書 |
中枢神経損傷に対する細胞シートの開発・応用研究の共同実施に関する契約 |
2025年10月1日から2026年9月30日まで |
(5)その他の重要な契約
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契約相手 |
契約書名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
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リヨン国立病院(HCL) |
AGREEMENT BETWEEN HOSPICES CIVILS DE LYON AND CELLSEED INC. |
HCLによる欧州GMPに対応する施設の完成、毎年一定数の角膜再生上皮シートの生産、フランスを除く販売地域を対象とした製造委託先への技術移転等の履行保証及び当社による上記施設の工事に対する支援金の支払い |
2009年12月28日から、左記施設の完成日より10年経過する日まで
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MetaTech (AP) Inc. TU,YUAN-KUN、WU,CHUN-LUNG、HONOUR FAST DEVELOPING CO.,LTD、CHEN,TSUNG-CHI、TSNENG-JEN-FA、KAO-FANG‐CHEN、HUANG,LI-CHIN、KAO-CHIA-WEN、HSIEH,YI-YU、CHU,HUAI-CHIH |
Joint Venture Agreement |
台湾における合弁会社設立に関する基本的事項を定める契約。 |
2020年1月30日から契約解除まで
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国立研究開発法人 国立成育医療研究センター |
検体の採取・提供に関する契約書 |
商業利用に対応した多指(趾)症手術切除検体の軟骨再生シートの事業化に向けた安定的供給に関する契約 |
2022年7月1日から2023年6月30日まで(1年毎の更新規定有り) |
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国立研究開発法人 国立成育医療研究センター |
覚書 |
検体の採取・提供に関する契約書の有効期間(2022年7月1日から2023年6月30日まで)を延長する契約 |
2022年7月1日から2026年6月30日まで(原契約である検体の採取・提供に関する契約書の有効期間) |
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バークレイズ・バンク・ピーエルシー |
第25回新株予約権 第三者割当契約証書 |
第25回新株予約権のバークレイズ・バンク・ピーエルシーへの第三者割当に関し、発行要項を含む諸条件を定める契約 |
2025年12月8日から契約解除まで |
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当事業年度における研究開発費は
セグメント別の研究開発活動の状況は、以下のとおりであります。
(1)再生医療支援事業
再生医療支援事業の細胞培養器材事業においては、事業基盤の強化を目的として、顧客ニーズを踏まえた新規器材及び特注製品の研究開発に取り組みました。今後も、市場動向及び顧客要望に即した新製品の開発を推進してまいります。
これらの結果、当事業年度における当セグメントの研究開発費は
(2)細胞シート再生医療事業
細胞シート再生医療事業では、同種軟骨細胞シートの再生医療等製品化に向けた自社開発を中心に研究開発を継続しております。
同種軟骨細胞シート(CLS2901C)については、2023年9月20日に第3相試験に係る治験計画届書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、治験審査委員会(IRB)の審査を経て、各治験実施施設との契約締結及び手術実施体制の整備を進めてまいりました。
その後、2024年9月25日開示「同種軟骨細胞シートの治験開始時期に関するお知らせ」のとおり、東海大学との間で、治験の進展に応じたマイルストン支払金額について交渉を行った結果、2025年3月24日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の治験開始に関するお知らせ」のとおり東海大学と合意し、2025年10月9日開示「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)第3相試験における症例登録に関するお知らせ」のとおり第1例目の症例が登録されました。
また、事業化の加速及び将来的な販売体制構築を見据え、複数の企業との事業提携及び共同研究契約の締結に向けた協議を継続しております。
これらの結果、当事業年度における当セグメントの研究開発費は