第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

・ミッション「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」

ICT(情報通信技術)は今この時もあらゆる場所へ活用範囲を広げ、その用途や役割を変化させ続けています。影響力や重要性も高まるなか、ICTになにを求めるかを今一度考えることが重要であると認識しております。ICTに仕事を奪われるのではなく、生みだされた時間でいかに「協創」を生みだすか。これこそがドリーム・アーツが考える、ICT本来の役割です。ICTだけではできない、人間だけではできない。ドリーム・アーツはそうした難題の解決を、ICTと「協創」でお手伝いしてまいります。

 

 ・スローガン「協創力を究めよ Peak the Arts of Co-creation」

創業以来「Arts of Communication」をスローガンに掲げてきましたが、「協創」こそが我々ドリーム・アーツ自身の存在意義であると再定義しました。人間がもつ知性の根源的・根本的な活動であるコミュニケーションから生み出される「協創」を、自らが究め続けてまいります。

 

・ビジョン「BD(ビッグ・ドーナツ)市場のリーディングカンパニーを目指す」

BD(ビッグ・ドーナツ)は当社グループの造語です。「ビッグ」は当社グループがターゲットとする国内の従業員1,000名以上の大企業約3,700社を指します。「ドーナツ」は、企業内システムに対する比喩であり、ERPなどのミッションクリティカルな基幹系システムを取り囲むように配置されている現場部門向けのシステム領域を指します。

現在、BD領域のシステムは、ERPのカスタマイズで対応することが主流となっていると認識しております。その開発と運用は、システムインテグレーターによって請負われており、企業は多額の投資を余儀なくされ、激しく変化するビジネス環境への対応を難しいものにしていると考えております。

近年、多様なSaaS(経費精算、請求書管理、契約・法務、顧客管理、マーケティングオートメーション、ビジネスインテリジェンス等)が普及し、BD領域の投資効率は徐々に向上しておりますが、各社固有の業務プロセスには対応することができず、大企業のデジタル化を遅らせる大きな要因となっているものと想定しております。今後BD領域はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進における核心的な領域となるため、予算配分の見直しが進み、投資が急拡大すると予想しております。

当社グループは、BD(ビッグ・ドーナツ)市場のリーディングカンパニーとして、大企業の投資効率の向上と業務デジタル化を推進し、現場で働く人々や組織の生産性を高め、より多くの付加価値を生み出す「協創」環境の創造に貢献してまいりたいと考えております。

 

・バリュー「DA Values」

当社グループは「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」というミッションの実現に向け、行動指針としてDA Valuesを定義しております。DA Valuesは創業以来、その時々の環境や状況に合わせて再考し、アップデートを重ねてきた当社の根幹を支える理念でもあります。役職員がDA Valuesを意識し日々の業務に取り組むよう、継続して周知徹底してまいります。

 

・圧倒的な当事者意識

・自律とリーダーシップ

・挑戦と変革

・機会の本質

・やりぬく忍耐と勇気

・建設的対立

 

(2)経営環境

日本経済は「失われた30年」と呼ばれる長期停滞を経て、社会全体の仕組みが大きく変革する転換期にあります。インターネット、スマートフォン、クラウド、AI、マイナンバー認証という五つの潮流が同時並行で進展し、社会・産業構造全体のデジタル化を後押しする基盤が急速に整いつつあります。特に、新型コロナウイルス感染症の拡大は、経営層から現場の従業員に至るまでDXの必要性に対する認識を一気に高め、長年定着してきた紙・押印・メール・Excelを前提とした業務慣行を見直す契機となりました。また、国家がデジタルネットワークを活用して個人のオンライン本人確認を可能にするマイナンバー認証の普及は、日本独自の制度基盤として社会的な変革をさらに加速させております。

一方、このような追い風があるにもかかわらず、我が国は依然として深刻な構造問題に直面しております。少子高齢化の進行による労働人口の減少は、生産性向上を目的としたデジタル技術の活用を不可欠なものとしております。企業を取り巻く環境は、デジタル化の進展に伴う破壊的イノベーションが絶えず発生しており、DXを通じて安定的かつ持続的な収益基盤を確立することが企業経営にとって喫緊の課題となっております。加えて、コロナ禍に端を発した働き方・価値観の変化を受け、組織全体の意識統一や従業員エンゲージメントの向上も、企業競争力を左右する重要なテーマとなっております。

さらに、DX推進の鍵を握る国内のIT産業は、産業構造上の根本的な課題を抱えています。「DX レポート2」(2020年12月)でも指摘されているとおり、多くの IT ベンダーは依然として受託開発中心のビジネスモデルに依存しており、開発費が労働量に比例する労働集約型構造から脱却できておりません。その結果、IT ベンダー側は生産性向上が自らの収益減少につながるというジレンマを抱え、企業側はレガシーシステムや属人化した業務がデジタル化の阻害要因として残り続けるという課題が顕在化しております。このように、日本社会はデジタル化の追い風と構造的課題が併存する局面にあり、企業には単なるIT活用に止まらず、組織・業務・文化を含めた全社的な変革を継続的に進めることが求められていると考えております。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2025調査」によれば、日本企業の85.1%がDX推進に必要な人材の不足に直面しており、欧米諸国と比較しても人材確保の難易度が極めて高い状況となっております。DXを加速するためには、基幹システム(ERP を含む)の刷新、データ活用基盤の整備、業務プロセス全般のデジタル化が不可欠とされております。しかしながら、多くの企業では依然として外部ITベンダーへの依存度が高く、内製化の遅れに起因する技術継承の停滞やシステム刷新の遅延が課題として顕在化しております。さらに、国内ではIT人材そのものが構造的に不足しており、みずほ情報総研株式会社「IT人材需給に関する調査」(2019年3月)では、2030年時点でIT人材需要が158万人に達する一方、供給は113万人にとどまり、約45万人の需給ギャップが生じると試算されております。また、民間企業の最新予測では2040年に約73.3万人のIT人材が不足するとの試算も発表されており、長期的にIT人材の確保が企業経営における重要課題となっています。

 

 

大企業の社内システムに目を向けると、ERPなどの基幹システムのブラックボックス化が進み、データ活用による環境変化への対応が難しい状況にあります。また、IT予算の9割が既存システムの保守に充てられ、新たなビジネスモデルに変革するためのシステム開発が進まないだけでなく、IT人材不足によるシステムトラブルやデータ滅失の危険性を抱える状況となっております。

こうした状況を受け、前述の「DXレポート2」(2020年12月)では、DXを実現するためのフレームワークが示され、DXの目的である「ビジネスモデルのデジタル化」を成功させるには、基盤システムの刷新、業務のデジタル化、製品・サービスのデジタル化を段階的に進めていく必要性が指摘されました。

大企業がDXを推進するためには、まず非競争領域である基幹システムを刷新し、コストダウンを図るとともに、業務データのデジタル化や、社内外にまたがる業務プロセスのデジタル化を実現するといった情報基盤の整備を急ぐ必要があることも指摘されております。

このように、大企業では基幹システム刷新・業務プロセスデジタル化・人材確保など多面的な課題が山積するなか、生成AIの急速な進展が新たな機会とリスクの双方をもたらしています。DXを持続的に推進するためには、生成AIを単体の技術として捉えるのではなく、組織・データ・IT基盤全体の整備と一体で活用することが重要であると認識しております。

 

 

(3)経営戦略

このような経営環境の下、当社グループは『デジタルの民主化』を基本戦略に掲げ、ITスペシャリストだけでなく、ITの専門知識を持たない現場部門のビジネス系人材を巻き込みながら、業務システムの内製化を通じてDXを推進する新しい“あたりまえ”を社会に広げることを目指しております。 

 

(中期経営計画のスローガン)

“IT業界の「あたりまえ」が変わる”

大企業のシステム開発におけるノーコード時代の到来とともに、「SmartDB®」をデファクトスタンダードへ”

 

当社グループが提供するSaaSプロダクト「SmartDB®」は、プログラミング不要のノーコード開発ツールであり、直感的な操作により非IT人材による業務アプリケーション開発を可能にすることを目指しております。これにより、深刻化するIT人材不足をビジネス系人材の活用によって補い、大企業の業務デジタル化を支援してまいります。

また、ノーコード開発ツールは、業務に精通した現場担当者自身がシステム開発を推進することで、要件定義や仕様設計などのプロセスを短縮し、生産性を向上させる効果が期待できます。さらに、現場部門が主体的に業務デジタル化を進めることで、従来手つかずであったアナログ業務のデジタル化が促され、DXに向けた企業文化・組織風土の変革にもつながるものと考えております。

「SmartDB®」はノーコード開発ツールでありながら、受託開発にも劣らない高度な機能を備えていることから、単純なデータベースやワークフローのみならず、ERPフロントシステムや基幹業務のサブシステムなど、ミッションクリティカル領域の周辺システムとしても幅広く活用できると認識しております。従来システムインテグレーターが担ってきた、「BD(ビッグ・ドーナツ)」領域のシステムを、ノーコードを活用した現場主導の開発・運用へシフトすることで、顧客の投資効率向上と変化への対応力強化を支援してまいります。当社は複数の製品・サービスを展開しておりますが、現在は「SmartDB®」を主力製品かつ成長ドライバーとして位置づけ、BD領域の業務デジタル化支援を通じた顧客基盤の拡大を目指してまいります。

 

(「SmartDB®」が導入企業にもたらす効果)

 

内  容

1.高速な業務デジタル化

システムを利用する部門・担当者自身が開発することにより、工数・期間・コストの圧縮が見込める。

2.環境変化への対応力向上

外部のベンダーに依存せずシステムの変更・改修ができるため、環境変化に応じて素早く対応する体制の構築が見込める。

3.包括的なセキュリティ

データ、ファイル単位でのきめ細かいアクセス制限が可能であり、機密性の高い業務のデジタル化の実現を見込める。

4.運用負荷の低減

システムの運用にIT人材を充てる必要が無いため、運用負荷の軽減が見込める。

5.企業文化・風土の改革

現場部門スタッフが自らシステム開発を行うことで、組織内のデジタルに対するリテラシー向上が見込める。

 

 

当社グループが基本戦略に掲げる「デジタルの民主化」の社会的浸透を図るため、「SmartDB®」導入企業における先進的な取り組みや成果を積極的に発信してまいります。また、「SmartDB®」の認知拡大に向け、自社主催イベントの開催や外部イベントへの出展、各種メディアを活用したプロモーション活動を推進し、市場における理解促進に取り組んでまいります。さらに、「デジタルの民主化」を推進するためには、いくつかの重要成功要因(CSF)が存在すると認識しております。当社グループは、特に以下の5つを重点領域として取り組んでまいります。

 

① MCSA(※)(Mission Critical System Aid):ERPフロント領域での活用促進

MCSAとは、ERP等の基幹システム(会計・人事・販売管理など)に隣接し、現場部門が日々の業務を遂行するために必要となる各種業務プロセスや処理ロジック(ERPフロント領域)を、ノーコード開発基盤「SmartDB®」で構築・運用する取り組みを指します。従来はERPの個別カスタマイズによって実現していた現場業務の仕組みを内製化することで、制度改正や業務変更への迅速かつ柔軟な対応を可能とし、現場・IT部門双方の負荷軽減と業務デジタル化のスピード向上に寄与することを目指しております。

MCSA領域での活用を一層拡大することで、多くの顧客企業が外部委託に依存してきた複雑かつ難易度の高い業務領域についても内製化を促し、企業のDX基盤としての「SmartDB®」の価値をより深く浸透させていくことを重要成功要因と捉えております。基幹システムと密接に関わる重要業務のデジタル化をSmartDB®上で実現することで、顧客企業との長期的な利用関係が強化され、当社におけるLTV(顧客生涯価値)の向上にも寄与するものと考えております。

 

(※)MCSA (Mission Critical System Aid)

 当社の掲げる「ミッションクリティカル領域のシステムを支える」というコンセプトのこと。基幹システムと密接に連携しながら現場業務を遂行するために必要となるワークフロー、稟議申請、仕訳伝票、債権債務管理、経費管理、予算管理、マスタ管理、工数管理、取引先管理、プロジェクト管理などを指します。Support(サポート)ではなくAid(エイド)という表現を使用している理由は、Aidという言葉が「困難な状況にある人や組織を実践的に助ける」という意味を含むためであり、当社の「BD領域の業務デジタル化」に取り組む姿勢を示してます。

 

 グローバル・コネクト:日本企業の海外拠点における業務デジタル化促進

 日本企業のグローバル展開が拡大するなか、国内本社と海外拠点を一体で運営できる業務基盤の整備が重要性を増しています。当社は、海外拠点でも「SmartDB®」を活用できるよう機能拡張を進め、海外DXを支援するソリューションとして提供してまいります。海外展開においては、多言語対応に加え、時差を考慮した運用体制、GDPRをはじめとする各国法規制への準拠、グローバル基準のセキュリティ対策など、日本企業に共通する課題が存在します。当社はこれらに一貫して対応可能な業務プラットフォームの提供を通じ、国内本社と海外拠点をシームレスにつなぐグローバルな業務デジタル化基盤の実現を目指してまいります。

 

 

(グローバル・コネクトにおける機能・オプション群)

機能・オプション群

内  容

マルチLanguage

AI翻訳による20か国以上への多言語対応(20ヵ国以上)

AI翻訳ロボット

業務プロセスから呼び出される専門家ロボット

申請書など「SmartDB®」のフォームに入力されたテキストを自動翻訳

規約確認機能

EU一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)など各国の法規制に対応した規約同意を収集

マルチGATEセキュリティ

各拠点からのアクセス経路を識別し、ユーザーに応じたデータの閲覧・編集権限を付与(国内外問わず)

無停止運用

24時間365日無停止のサービス提供

 

 

 

 DAPA(DreamArts Practical AI):実践・実務・実用的なAI活用構想

 DAPA(DreamArts Practical AI)は、生成AIを単独のツールとして活用するのではなく、業務プロセスの中に自然に組み込み、人と協働しながら実務を支援することを目的としたAI活用戦略です。近年、RAG(※1)やAIエージェントといった技術が注目を集める一方で、精度への過度な期待やガバナンス不全、運用コストの増大により、多くの企業でPoC(※2)に止まり、実業務への定着に至らない可能性が指摘されています。DAPAでは、現時点でAIに求められる役割を「完全な自律性」ではなく、人の判断を前提にチェック、補助、提案を行うパートナーと位置付けています。

 「SmartDB®」に蓄積されたデータベースや業務フローを活かし、業務プロセスにAIを組み込むことで、起案、入力確認、専門家レビュー、承認といった一連の業務プロセスの各段階において、入力補助(自動入力)、複雑な法規制などのチェック、過去事例の参照、確認ポイントの提案など、より実用的なAI活用を実現します。また、SmartDB®の特長であるノーコード・市民開発の仕組みと組み合わせることで、AIの専門知識がなくても業務に精通した現場部門自らがAI活用を継続的に設計・改善できる環境を提供します。これにより、業務効率化と品質向上の両立を図るとともに、企業の意思決定とパフォーマンスを加速させることができると考えております。

 

(※1)RAG(Retrieval-Augmented Generation)は「検索」と「生成」を組み合わせることで、大規模言語モデル(LLM)に最新情報や専門知識を与え、より正確な回答を可能にする自然言語処理(NLP)アプローチのこと。

 

(※2)PoC(Proof of Concept)とは、新しいアイデアや技術、システムの「実現可能性」を検証するために、最小限の機能やスケールで試作・試行するアプローチのこと

 

④ PLG(Product-led Growth)

 PLG(Product-led Growth)は、プロダクトそのものを成長エンジンとし、顧客獲得・エンゲージメント・利用拡大(アップセル)を通じて継続的な収益成長を実現する取り組みです。当社グループでは成長ドライバーである「SmartDB®」の特長を活かし、導入しやすさ、段階的な拡張性、豊富なオプションを軸としたPLG戦略を推進しております。具体的には、スモールスタートが可能な価格設計により、特定業務や部門単位の導入を容易にし、利用を通じて業務改善効果を実感していただくことを想定しております。その後、利用ユーザー数や対象業務の拡大に合わせてライセンスを段階的に拡張できるモデルを採用しており、顧客企業の成長やDXの進展と連動した収益拡大を図ります。

 さらに、基幹業務への展開、社外システムとの連携、AI機能の活用など、顧客の成熟度やニーズに応じた各種オプション機能を提供することでアップセルを促進しております。これにより、初期導入から全社展開、さらにはミッションクリティカルな業務領域への拡張まで、顧客企業との長期的な関係性を強化し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指してまいります。また、PLGはMCSAやDAPAといった当社の主要戦略とも連動しており、プロダクト価値の向上と収益基盤の拡大を支える重要成功要因のひとつと位置付けております。

 

⑤ EC2(External Capability & Capacity)

 EC2とは、「デジタルの民主化」に必要な推進体制・支援体制を強化するため、社外リソースを拡充する取り組みを指します。当社は市民開発者の育成や戦略パートナーとの連携を強化し、「SmartDB®」の活用促進を支える推進・支援体制の拡充を図っております。市民開発者の育成においては、ノーコード開発基盤「SmartDB®」の認定資格制度(SmartDB Certified Specialist)の普及を推進し、役割に応じた体系的なスキル獲得を支援しております。これにより、現場主導の業務改善と内製化を促進し、IT人材不足の解消と持続的なDXの実現に貢献します。

 また、コンサルティング企業やシステムインテグレーターとの連携を強化することで、市民開発の伴走支援に加え、基幹系システムの刷新や全社規模のDXといった高度な専門性を要する領域においても、「SmartDB®」の価値を最大限に引き出す体制を整備しております。さらに、ユーザーコミュニティの活性化にも注力しております。定期的なユーザー会の開催や活用事例を表彰するアワードなどを通じて、成功事例や知見の共有・横展開を促進し、ユーザー同士が学び合うエコシステムの形成を目指しております。当社内部のリソースだけでなく、外部の能力・リソースを柔軟に取り込むことで、「デジタルの民主化」を強力に推進してまいります。

 

 

「SmartDB®」のライセンス体系は、利用ユーザー数に応じた「ユーザーライセンス」、データベース数に応じた「バインダーライセンス」、追加機能を利用するための「オプションライセンス」で構成されています。これらのライセンスを組み合わせることで、全社一括導入だけでなく、部門単位などの小規模グループから利用開始する選択肢を提供します。段階的にユーザーや適用業務を増やすことで、初期投資リスクを抑えながら業務デジタル化推進が可能になると考えております。また、導入後も継続してサポートや活用事例などの情報提供を行い、他部門への横展開だけでなく、海外拠点や関連会社に至るまで、企業グループ全体での利用拡大を図ります。

 

(「SmartDB®」のライセンス体系)

名称

内容

ユーザーライセンス

利用ユーザー数に応じて課金

バインダーライセンス

アプリケーションのデータを格納するデータベース。データベース数に応じて課金

オプションライセンス

他社SaaS連携オプション、API利用オプション、タイムスタンプ利用オプション、検証環境利用オプションなど

 

 

また、「SmartDB®」の利用形態は、現場の一般的な業務をデジタル化する領域(非MCSA)と、ミッションクリティカルシステム周辺領域(MCSA)での利用に分けることができると考えております。いずれの形態で利用を開始しても、同一環境において他の利用形態に展開することで、高い投資対効果の実現を目指してまいります。

 

 

(「SmartDB®」の利用形態の種類と利用例)

 

 

 

 

非MCSA

(現場の一般的な業務)

MCSA

Mission Critical System Aid

(ミッションクリティカルシステムの周辺領域)

部門導入

(QSS)

部門データベース、部門ワークフローなど

商品開発管理、設計工程管理、予算実績管理などの現場基幹業務システム

全社導入

(CLLコア)

人事・総務系申請システムなど

契約管理システムやERPフロントシステムなど

企業グループ導入

(CLLワイド)

稟議やワークフローなどの標準的な利用形態

グループの間接部門業務を集約するシェアードサービス基盤など

 

 

(「SmartDB®」の導入支援パターン)

導入支援パターン

内容

完全自走型

当社の提供する初期オンボーディング(3か月間)支援のみで市民開発を推進しシステムの内製化を実現するパターン

伴走協働型

当社の提供する初期オンボーディングに加え、特定の業務アプリケーション開発を当社もしくは当社のパートナー企業が支援するパターン

請負型

ERPフロントシステムなどのアプリケーション開発や他システム連携の難易度が高い場合などにおいて、当社もしくは当社のパートナー企業がプロジェクトとして請負うパターン

 

「SmartDB®」の導入に際しては、顧客企業における体制面の整備状況や、SmartDB®を利用して実現したいシステムの要件に応じて、上記の支援パターンを選択することができます。完全自走型でスタートした場合でも、活用度合の進展状況に応じて追加的な支援が必要になった場合は、伴走協働型もしくは請負型が追加的に選択されるケースがあるものと考えております。

 

当社グループは、当面の間「SmartDB®」の導入によって顧客との関係性を深め、経営改革・業務改革における「協創パートナー」としての地位確立を目指してまいります。また、さらに深く広い範囲での価値提供を行うため、2022年より製品間の機能的な連携を高める社内プロジェクト「スクラム作戦」を開始いたしました。本プロジェクトでは、SaaSプロダクト(SmartDB®、InsuiteX®、Shopらん®)間のユーザー管理・権限設定の共有化や、APIを介したデータ連携の高度化に取り組んでおります。

今後は「SmartDB®」を軸として、社内ポータル構築ツール「InsuiteX®」、チェーンストア特化型情報共有ツール「Shopらん®」、特定顧客向け開発運用一体型クラウドサービス「DCR(DX Custom Resolution)」の追加導入を図り、顧客の生産性向上や「協創」環境の創造に貢献しながら、収益の拡大を追求してまいります。

 

(4)市場規模

主力製品である「SmartDB®」は「ノーコード開発ツール」に属しておりますが、当該製品の2026年度の市場規模は968億円と予測されており、年率13.7%の成長が見込まれております。(株式会社アイ・ティ・アール:ローコード・ノーコード開発市場2025)

また「SmartDB®」はERPフロントシステムとしての活用も可能であり、当該市場の規模は2024年度で1,461億円、2028年度には3,632億円に成長すると予測されております。(デロイトトーマツミック研究所:ERPフロントソリューション市場の実態と展望2025年度版)

「SmartDB®」はSaaSとして分類されるサービスであり、国内SaaS市場の2026年の規模は2兆6,028億円と見込まれております。(株式会社富士キメラ総研:ソフトウェアビジネス新市場2025年版)

 

「SmartDB®」はこれらの市場に止まらず、受託開発にも引けを取らない高度な機能を備えていると認識しており、受託開発市場8兆7,673億円(総務省情報流通行政局 経済産業省大臣官房調査統計グループ「情報通信業 基本調査結果2022年3月29日」)という市場へのアクセスも可能であると考えております。

なお、「SmartDB®」の提供価格から算出した市場規模は3,220億円と推計しております。これは、当社のターゲットである1,000名以上の大企業3,722社に就業する従業員数1,342万人(総務省統計局;経済センサス令和6年調査)に、SmartDB®と他製品をセットで利用した場合の想定金額(一人当たり月額2千円)を乗じて算出したものです。

 

(5)競合環境

「SmartDB®」が属するノーコード・ローコード開発市場には、複数の競合製品が存在しております。しかし、当社以外の国内ベンダーの製品は、主に中小企業をターゲットとしており、大企業の高度な要求を満たすだけの機能的網羅性が十分ではないと認識しております。一方、海外ベンダーの製品は、日本特有の組織構造、意思決定プロセスへの対応などが標準機能として提供されておらず、システムインテグレーターによる追加開発や高額な導入サービスが必要となるケースが多いものと考えております。これらと比較して当社のプロダクトは、機能的網羅性および投資効率の面で優位性があると考えております。また、豊富な導入実績に基づく業務ノウハウに基づき、付加価値の高い導入・活用コンサルティングを提供できる点も強みであると認識しております。

 

 

さらに、ノーコードとローコードは名称こそ類似しておりますが、その本質は異なります。ローコードはIT専門家向けの開発支援ツールでありプログラミング知識が前提となるのに対し、ノーコードは非エンジニア(市民開発者)でも業務アプリを開発・改善できる仕組みであり、業務部門が主体となるDX内製化を実現するものです。なかでも「SmartDB®」は2004年の企画段階から完全ノーコードを設計思想としており、その成熟度と一貫性は他の製品と一線を画すものと考えております。

また、近年はAIが注目を集め、業務効率化に対する期待が高まっておりますが、精度、ガバナンス、セキュリティなどの課題から業務適用が難しいケースも多いと認識しております。当社は現時点でAIの役割を、人の判断を前提としてチェック・補助・提案を行う「パートナー」と位置付けています。AIを単独のツールとしてではなく、業務プロセスの中に組み込み、人と協働しながら実務を支援する考え方を重視しています。「SmartDB®」に蓄積されたデータや業務フローを基盤としてAIを活用することで、業務効率化と品質向上の両立を図り、企業の意思決定とパフォーマンスを加速させることが可能であると考えております。

 

 

(6)ビジネスモデルの変革

当社グループは、設立当初の1999年から、独立系ソフトウェアベンダーとして、自社開発パッケージソフトウェアの販売を行ってまいりました。近年になり、ようやく大企業におけるクラウド利用が進展してきたため、2018年12月にパッケージソフトウェアの新規販売を停止し、SaaSプロダクト(SmartDB®、InsuiteX®)を提供するクラウドサービスベンダーへの転換を図りました。

ビジネスモデルをパッケージソフトウェア型からクラウドサービス型へ転換するにあたっては、収益モデルの変更と、新たな組織能力を確保するための投資を必要とします。売上面では、ソフトウェアを販売した時点で全額計上する方式から、毎月一定額を回収する月額利用料方式に変更となり、成長が一時的に鈍化します。一方、プロダクトをSaaS型に適合するための開発や、顧客への導入支援や利活用促進をおこなうカスタマーサクセスチームの新設などが必要となり、コストの増加を招くこととなります。そのため、2020年12月期から2期間にわたり赤字を計上いたしましたが、粘り強くビジネスモデルの転換に取り組んだ結果、2022年12月期には再び利益を計上できる状況となっております。

各事業の売上高および総売上高に占めるクラウド事業売上比率およびストック売上比率の推移は以下の通りです。

 

 

(セグメント別売上構成の推移)                             (単位:千円)

 

内訳

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

2025年12月

ストック売上

クラウド事業

1,706,239

2,319,222

3,127,016

3,891,219

4,468,787

オンプレミス事業

632,746

575,560

551,365

536,795

478,410

小計

2,338,985

2,894,782

3,678,382

4,428,014

4,947,197

スポット売上

オンプレミス事業

23,184

23,319

46,070

21,598

46,622

プロフェッショナルサービス事業

576,689

752,205

715,603

584,242

660,263

小計

599,873

775,524

761,673

605,840

706,886

合計

2,938,859

3,670,307

4,440,056

5,033,855

5,654,084

 

(全社売上に占める割合)                                 

 

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

2025年12月

ストック売上比率

 

(うちクラウド事業比率)

79.6%

 

(58.1%)

78.9%

 

(63.2%)

82.8%

 

(70.4%)

88.0%

 

(77.3%)

87.5%

 

(79.0%)

 

(注)ストック売上はクラウド事業売上とオンプレミス事業のソフトウェアメンテナンス売上の合計値を総売上高で除して算出しております。クラウド事業売上比率は、SaaSプロダクト「SmartDB®」、「InsuiteX®」、「Shopらん®」及び「DCR」の売上合計値を総売上高で除して算出しております。

 

(7)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、成長性、収益性、キャッシュフローの観点から、売上高成長率、売上総利益率および営業キャッシュフローに影響を与える前受収益(※)残高を重視しております。特に成長指標の核となる売上高においては、総売上高に占めるストック売上高比率に加え、クラウド事業の売上高成長率、導入企業数、平均月額利用料、売上継続率を重視しております。

(※)前受収益は連結財務諸表上において契約負債に含めて表示しております。

 

(8)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①優秀な人材の確保と育成

 当社グループの持続的な成長には、優秀な人材の確保と育成が不可欠であると認識しております。新卒採用およびキャリア採用の双方を強化するとともに、採用活動を全社的な取り組みと位置づけた「全社採用」を推進し、プロダクト開発、サービス運用、カスタマーサクセス、フィールドセールス、マーケティングなどの主要職種において、地方拠点を含め積極的な採用活動を展開してまいります。また、2025年12月期に導入した株式報酬制度を活用し、従業員のエンゲージメント向上を図るとともに、教育・研修制度や評価制度の充実を通じて既存社員の能力向上にも取り組んでまいります。

 

 

②製品競争力の向上

 当社グループの持続的成長には、提供価値の中核をなすクラウドサービスの競争力強化が不可欠です。定期的な開発プロセスの見直しに加え、子会社・業務委託先の活用、各種AIツールの導入による生産性向上を通じて、開発スピードと品質の一層の向上に取り組んでまいります。また、当社クラウドサービスは大企業を主要ターゲットとしていることから、大規模利用に耐えうるパフォーマンス向上や機能拡張を進めるとともに、顧客企業内での自律的な利用拡大を促進する機能開発にも注力してまいります。さらに、急速に発展する生成AI技術を組み込んだ機能開発を進め、顧客企業の意思決定および業務効率化に資する機能強化を推進してまいります。今後も積極的な開発投資を継続し、製品競争力の強化を通じて収益機会の拡大に努めてまいります。

 

 

 

③導入事例、活用実績を通じた当社グループの認知度向上

 当社グループの持続的な成長には、対象市場における認知度向上が不可欠です。特に、当社が有する豊富な業務デジタル化事例や、経営改革・業務改革の成功事例を積極的に発信することで、顧客の「協創パートナー」として第一に選ばれるコーポレートブランドの確立を目指してまいります。また、当社が提供する各種クラウドサービスについても、デジタルマーケティング、イベント出展、既存顧客向けの年次大型イベントなどを通じて、認知度の向上を図ってまいります。加えて、導入検討に関与する主要な意思決定層や次世代リーダー層を意識したターゲットプロモーションを展開し、中長期的な顧客基盤の拡大につなげてまいります。

 

 

④仕組み・仕掛けの整備

当社グループの製品・サービスをより多くの顧客に提供するためには、「仕組み・仕掛け」の整備が重要となります。例えば、より多くの業務デジタル化人材を創出するための「SmartDB®」の認定資格制度や、高度なシステム要件に対応するためのAPIおよびSDK(Software Development Kit)の整備、顧客同士の情報交換を活性化するためのコミュニティ形成、また、購入しやすく投資対効果を検討しやすい価格・ライセンス体系の整備などが挙げられます。

また、開発、営業、マーケティングなどの組織運営における各種業務においても、「仕組み・仕掛け」化を推進することにより、業務品質を保ちつつ生産性を高め、人的資源の投入量に依存しない形での収益向上を目指してまいります。

 

⑤戦略パートナーの拡大

当社グループのSaaSプロダクトは、導入企業数および適用業務数から見て、いわゆる「キャズム」(※)を超えた状況となっております。

これまでは、直接販売によって顧客基盤を拡充してまいりましたが、今後の本格的な普及にあたっては、戦略パートナーの拡大が必要となります。現在パートナーの種別は以下の3種類に区分しております。

 

・クラウドソーシング(人材派遣業およびクラウドワーカー)

SmartDB®上でアプリケーション開発を行うことができる人材の創出

・クラウドインテグレーター(システムインテグレーター)

 SmartDB®を開発基盤として利用

・ソリューションプロバイダー(事業会社およびコンサルティング企業)

 SmartDB®上で業種固有プロセスをテンプレート化し、自社ソリューションとして提供

 

上記に示したとおり、人材派遣業やクラウドワーカー、システムインテグレーター、事業会社、コンサルティング企業など、様々な企業で構成されたパートナー制度を確立し、多様なニーズに合致した付加価値の提供を可能とすることを重視しております。なかでも、システムインテグレーターはDXの基盤となる基幹系システムの刷新プロジェクトを請負うことが多いため、「SmartDB®」の活用による投資効率の向上を図り、顧客のIT予算最適化に貢献するよう積極的な働きかけを行ってまいります。

当社が基本戦略として推進する「デジタルの民主化」は、非IT人材による市民開発に止まらず、国内IT産業の課題である多重下請構造やウォーターフォール開発による受託開発型ビジネスの変革を狙うものでもあります。上記の多様なパートナーが、顧客や元請けベンダーと主従関係を結ぶのではなく、水平的な「協創パートナー」となることで、大企業システムの在り方を大きく変え、クラウド時代にふさわしい開発・運用体制の構築とDXの推進に貢献してまいります。

(※)キャズム

マーケティング・コンサルタントのジェフリー・ムーア氏が提唱したマーケティング理論「キャズム理論」の基本コンセプト。技術進化の激しい「ハイテク業界」の製品を普及させるためには、イノベーター、アーリーアダプターと称される技術選好者が属する初期市場と、マジョリティと称される大多数の消費者が属するメインストリーム市場の間に存在する深い溝(キャズム)を超える必要があるとするもの。

 

⑥顧客コミュニティの形成

 顧客基盤をより強固なものとするためには、自社企画イベントの開催やユーザー会の運営を通じて、顧客コミュニティを継続的に活性化していくことが重要であると考えております。顧客が保有する業務デジタル化のノウハウを相互に共有できるコミュニケーション基盤を構築し、質の高い顧客コミュニティの形成を目指してまいります。また、定期的なユーザー会の開催や優れた活用事例を表彰するアワードの実施などを通じて、市民開発における成功事例や知見の蓄積・横展開を促進し、顧客企業同士が学び合いながら継続的に価値を創出できるエコシステムの構築を進めてまいります。

 

 

 

⑦新サービスの開発

 「SmartDB®」で拡充した顧客基盤に対して、より多面的な付加価値提供を行うためには、新サービスの開発が必要となります。特定顧客向け開発運用一体型クラウドサービスDCR(DX Custom Resolution)の提供を通じて探索した市場・顧客ニーズに基づき、SaaSラインナップの拡充を推進してまいります。

 

⑧情報管理体制の強化

当社グループが提供するサービスは、個人情報を含む顧客情報を取り扱っており、これらの情報管理は重要課題と位置付けております。個人情報保護方針等の社内規程の整備および運用の徹底、ISMS認証に基づく業務オペレーションの確立および運用、社内研修の実施などを通じ、一層のセキュリティ強化を進めてまいります。

 

⑨財務基盤の強化

当社グループは、クラウドサービスの開発および顧客基盤拡充を重視しており、今後も積極的に投資を行っていく方針であるため、財務基盤の強化が必要となります。直接金融、間接金融を活用し、資本市場とのコミュニケーションを深め、事業展開に見合った財務基盤の強化を図ってまいります。

 

⑩高いキャッシュ創出力を活かしたM&A機会の模索

 当社グループは、ホリゾンタルSaaSにおける前受金モデルにより、売上計上に先立って現金を受領できるキャッシュフロー構造を構築しております。この仕組みによる高いキャッシュ創出力と継続的な利益成長の相乗効果により、安定的なキャッシュフローを維持しております。これにより、外部資金へ過度に依存することなく、持続的な成長投資を実行できる財務基盤を有しております。

 当社グループが提供する価値は、「SmartDB®」の導入支援や活用促進にとどまらず、基幹フロント領域での業務変革支援やAI機能を活用した高度なコンサルティングなど、多様化・高度化しています。こうした需要の拡大に迅速かつ的確に対応するため、当社の財務基盤を活かし、プロダクトラインナップの拡充やキャパシティ強化を目的としたM&A機会の模索を進めてまいります。

 

⑪生成AI技術進展に向けた対応

生成AI技術の急速な発展に伴い、当社を取り巻く事業環境・競争環境は日々変化し、複雑化しております。このような認識のもと、当社サービスへのAI機能の実装を通して、機能高度化および付加価値向上を図ってまいります。また、社内業務においてもAI活用を推進し、開発・営業・管理部門等における生産性向上および業務効率化を通じて、収益性の改善と競争優位性の強化に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」というミッションを掲げ、ターゲット顧客である大企業を通じて日本のデジタルトランスフォーメーションをアップデートすべく事業を推進しております。

当社グループにとってのサステナビリティは、1996年の起業時に掲げた「設立の趣意」に根差しております。私たちは「設立の趣意」として掲げた起業時の志を決して失わず、その実現に向けてたゆまぬ歩みを進めてまいります。

 

(設立の趣意) 

①「情報共有」と「対話」を重視した、独創的かつ高品質なソリューションとサービスの提供により、社会の発展に貢献する

 

②多様な人・才能・アイデアを結集し、新たな価値を創造し続ける社会組織となる

 

③時間・距離/国境・性別・国籍や身体的障害等、あらゆる既成障害に束縛されない、職場及び雇用環境を実現する

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、健全性を維持しながら企業価値を継続的に向上させるため、コーポレート・ガバナンス体制の構築とさらなる高度化に取り組んでおります。サステナビリティに関する考え方や取組みについて本部長会議にて協議を行うほか、重要なものについては取締役会へ報告し、必要に応じて協議を行っております。

また、当社グループを取り巻く環境や業務、各種取引における潜在的なリスクを正しく認識し、適切に管理・対処することを重要な経営課題と捉え、そのリスク評価および管理機能の強化に努めております。また、コンプライアンス、個人情報保護、情報セキュリティの面でも継続的な改善に努め、研修等を通じて従業員への周知徹底を図っております。

 

(2)プロダクト及びサービスに関する戦略

・労働人口の減少、IT人材不足への対応

我が国では労働人口の減少およびIT人材不足という社会的な問題を抱えており、デジタル化への遅れが顕著となっております。当社グループは、非IT人材による市民開発(デジタルの民主化)を実現するノーコード開発ツールの提供を行っており、市民開発による業務デジタル化を推進することで、顧客の業務効率および生産性向上を図り、人材減少に耐え得る持続的な社会の発展に貢献してまいります。

 

・業務デジタル化推進による多様な働き方の実現

当社グループは、業務デジタル化を推進するためのツールを提供しております。業務デジタル化は、リモートワークの推進を通じて、組織内で働く人々の多様な働き方の実現に欠かせない基盤となります。様々なライフステージに応じた柔軟な働き方を実現することで、顧客企業の持続的な成長に貢献してまいります。

 

・ペーパーレス推進による環境負荷の軽減

当社グループは、紙ベースのアナログな業務オペレーションをデジタル化(電子データで閲覧・伝達・保存)するツールを提供しております。業務デジタル化ツールの提供を通じ、紙の利用を削減することで、原料である木材の消費を抑制し、環境負荷の軽減に貢献してまいります。

 

 

(3)人材の育成及び社内環境整備に関する戦略

 ・DA Valuesの浸透による強力な企業文化の形成

当社グループでは、「DA Values」を定め、全社員が業務・行動の指針として共有するとともに、人事評価制度の基軸としております。「DA Values」浸透により形成された企業文化は、果敢な挑戦と相互協力による困難の克服につながり、当社グループの根源的価値である「協創」を体現するとともに、模倣困難性の基盤となっております。社員一人ひとりが「DA Values」に基づき業務に取り組むことで、顧客の真のパートナーとして成長し、事業の持続的発展を実現してまいります。

 

・働きがいの醸成と好循環による模倣困難性の強化

当社グループは、働きがいのある職場づくりを人的資本経営の重要な柱とし、エンゲージメントの把握・改善に努めております。デジタルの民主化の普及に携わる使命感が組織へのエンゲージメントを高め、社会・顧客への貢献実感が自己肯定感を育み、好循環が処遇改善と人材投資に還元されております。難易度の高い課題への挑戦で蓄積した知恵は製品・カスタマーサクセスに結実し、他社に対する模倣困難性を形成しており、この好循環が模倣困難性を継続的に強化する構造となっております。

 

・人材育成

当社グループは、「プロフェッショナルが集い切磋琢磨し、環境変化に素早く対応できる協創集団」を目指し、多様な背景を持つ人材の採用と育成に注力しております。プロフェッショナルとして身につけるべき重要な能力を「DAルーツ(企業文化の理解と共感)」「抽象化力」「人間関係力(リーダーシップ、チームビルディング)」「実務能力(知識や技能)」の4つと定義し、多彩な教育研修を通じた能力開発を行っております。

 

・社内環境整備及び多様な働き方の実現

当社グループは、従業員のパフォーマンス発揮に向け、生産性の高いオフィス環境の整備に努めております。またフルフレックス制およびリモートワークの導入や、出産・育児・介護休業制度、各種資格取得支援などを用意し、多様なライフスタイルやライフイベントに合わせて活躍できるような環境を整備しております。また、全社員が参加する全社ミーティングの開催や、オンライン社内報の発行、懇親会費用の補助制度といった施策を通じ、社内コミュニケーションの活性化を図っております。

 

(4)リスク管理

当社グループは、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループのサステナビリティに関する事項を含むリスクの特定及び評価やモニタリングを行っております。四半期毎に定期開催しており、代表取締役社長、各本部長および常勤監査役が参加し、リスクの重大性の検討を行い、取締役会へ報告する体制を構築しております。

 

(5)プロダクト及びサービスの戦略に関する指標及び目標

プロダクト及びサービスの戦略に関する指標につきましては、当社が提供するツールの普及が該当すると考えております。社会にインパクトを与えうる普及レベルとして年間利用料100億円をマイルストーンとして定め、早期に達成できるようグループの総力を挙げて取り組んでおります。足許の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析」をご参照ください。

 

(6)人材の育成及び社内環境整備の戦略に関する指標及び目標

人的資本等に関する戦略につきましては、性別に関係なく多様な才能が活かされているか、ライフイベントに応じた柔軟な働く環境が提供できているかといった点を重視し、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異を重視しております。足許の状況につきましては「第1 企業の概況 5 従業員の状況」をご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが独自に判断したものであり、将来において発生する可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。また当社グループにとっては必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項については記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社グループの経営状況、将来の事業についての判断及び当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 

① クラウド市場の展望について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

当社グループは、クラウド型業務デジタルツールである「SmartDB®」「InsuiteX®」「Shopらん®」をSaaS形態によりサービス提供しております。当社グループが事業を展開するクラウド市場は急速な成長を続けており、この市場成長傾向は今後も継続するものと見込んでおります。しかしながら、経済情勢や景気動向の変化による企業の情報化投資の抑制や、新たな法規制の導入、技術革新の停滞等の要因によりクラウド市場の成長が鈍化するような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合他社の動向について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

当社グループが事業を展開する国内SaaS市場は、競合企業が複数存在しており、クラウド市場の普及を背景に、規模の大小を問わず競合企業の新規参入が予測されます。これら競合他社の中には、当社グループに比べ大きな資本力や技術力、販売力等の経営資源及び顧客基盤等を保有している企業が含まれます。当社グループでは、製品開発力の強化や継続的な製品改修・サービス品質の向上等により顧客企業との良好な取引関係の維持等に積極的に取り組み、価格だけでなく付加価値で対抗できるブランディングを図っておりますが、競合企業のサービス力の向上や新規参入による価格競争の激化により当社の競争力が相対的に低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術革新への対応について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

当社グループが属するIT業界は、技術革新の進歩が速く、それに呼応する形で新たな製品・サービスが逐次登場しております。当社グループは多様化する顧客ニーズに応えるべく、最新の技術動向や環境変化を注視し、新たな技術に対応したソフトウェアやサービスの提供ができるよう、AI活用の新構想「DAPA(DreamArts Practical AI)」の推進を含め、AI技術を活用した製品・サービスの開発、改良及び高度化に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが予期しない技術革新等によりインターネット環境に急激な変化があり、技術の進歩に起因するビジネス環境の変化に当社が適切に対応できない場合や新たな技術要素への投資が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害、事故等について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

近年、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化が予測されていることを踏まえて、当社グループでは、地震・台風等の自然災害や火災・停電等の事故に備え「大規模災害時事業継続計画」を策定し役職員に周知するとともに避難訓練への参加やテレワークの環境整備等のリスク管理体制を整備しております。しかしながら、想定を超える自然災害・事故等が発生し通信設備の損壊や電力供給の制限等が発生した場合には当社グループの事業活動が大きく制限される可能性があります。また、当社グループが直接被災せずとも顧客企業の事業活動抑制につながる場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤ 海外子会社について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)

当社グループは、中国大連市に連結子会社を設立し、当社製品の開発・テスト・サポート業務の一部を担っております。当社グループでは、中国国内の政治情勢・経済情勢等を適時調査し、当該子会社との情報交換を緊密に行うとともに、現地の会計事務所・法律事務所と連携し適切に対応しておりますが、当社が委託している業務に係る法規制等が成立・改正された場合やテロ、クーデター、紛争、暴動、戦争その他の社会的・政治的混乱等の発生により現地の治安状態が悪化した場合、事業運営に支障が生じる可能性があります。さらに、自然災害や伝染病などの発生、急激な為替変動や為替制限なども、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 事業拡大に係る先行投資について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)

当社グループでは、より多くの新規顧客の獲得を目指し、知名度や信頼度の向上のための広報・プロモーション活動の一環として、オンラインセミナーの開催やイベント展示会への出展等を積極的に行っております。今後も費用対効果を見極めつつ、顧客獲得のためのマーケティングコストを効率的に投下して、売上高の拡大及び収益性の向上に向けた取り組みを行っていきますが、各種マーケティング・PR活動等の効果が期待通り得られない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 既存ユーザー企業の継続率及び単価向上について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)

当社グループのクラウドサービスは、サービス料金を使用期間やユーザー数等に応じて定期定額契約として課金することで継続的な収益を得るビジネスモデルであるサブスクリプション型のリカーリングレベニューモデルであることから、当社グループの継続的な成長には、新規顧客の獲得に加え、既存顧客の解約防止及び単価向上が重要であると認識しております。当社グループでは、最適なマーケティング活動及び販売戦略の立案・遂行に注力するとともに、製品開発力の強化や継続的な製品改修・サービス品質の向上等に取り組んでおります。しかしながら、経済情勢や市場環境の悪化等による顧客企業のIT投資抑制等が生じた場合や、新規・追加契約が想定通り進まない場合、想定を超える解約が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 人材獲得及び育成について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)

当社グループは、継続的な業績拡大と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、優秀な人材の採用、育成及び定着を継続的に実施することが必要不可欠であると認識しております。当社グループでは、積極的な採用活動に加え、研修カリキュラムの充実や公正で透明性の高い人事評価制度の運営、リモートワーク・フルフレックス制度など多様な働き方に対応した施策の推進等により引き続き優秀な人材の採用、育成及び定着を継続していく方針でありますが、必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合、人材の流出が生じた場合及び当社グループが求める人材の育成ができなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 契約不適合責任について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)

当社グループでは、システム開発やクラウド移行支援サービスを業務委託の契約形態により提供しています。当社グループでは、想定される難易度及び工数に基づき見積書を作成し、適正な利益率を確保したうえで受注するとともに、顧客責任者や関係者と定期的な会議を実施し、要員管理、進捗管理、予実管理、品質管理等の徹底に努め、十分なテストを行った上で成果物を納品しております。しかしながら、請負契約の案件で予期せぬ不具合の発生等により工数が大幅に増加した場合や、当社グループが契約不適合責任及び損害賠償責任の追及を受け、業務過誤賠償責任保険の上限額を超えた賠償責任を負うことになった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑩ システム・ネットワーク障害について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

当社グループが顧客に提供している各サービスは、クラウドという特性上、インターネットを経由して行われており、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社グループでは、企業向けクラウドプラットフォームとして信頼されているAmazon Web Services社やMicrosoft社が提供するクラウドプラットフォーム上に各サービスを構築するとともにバックアップ管理の冗長化やセキュリティ対策の強化を行い、各サービスの安定的かつセキュアな運用体制を取っております。加えて、24時間365日稼働のクラウド監視センターを設置し、各サービスが適切に利用できる状況か常時監視、障害発生時には定められた手順に基づき復旧作業を実行する等の管理運用を行っております。しかしながら、自然災害や事故、プログラム不良、不正アクセス、その他何らかの要因により大規模なシステム障害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 仕入先の動向について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

当社グループが顧客に提供している各サービスは、企業向けクラウドプラットフォームとして信頼されているMicrosoft Azure、Amazon Web Services、FJcloud-V(ニフクラ)を用いて構築しており、複数のクラウドプラットフォームを分散・併用することで特定の環境に依存しない状態の維持に努めております。しかしながら、各クラウドプラットフォーム製品における市場規模の縮小や大幅な仕様変更、経営戦略の変更がある場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 経営成績の季節変動(顕在化の可能性:小、時期:常時、影響度:小)

当社グループが顧客に提供している各サービスは、導入企業において事業年度等に合わせて新規導入・追加発注される傾向があること等から、当社の売上高は各導入企業における年度末に増加する傾向があります。過年度における当社四半期業績について過度の偏重等は生じておりませんが、上記売上増加の傾向は今後も継続すると認識しております。また、当社グループでは受注管理の徹底を推進しておりますが、導入企業の業務その他の要因により期ずれが生じる可能性があることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 

⑬ 知的財産の保護及び侵害等について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

当社グループでは、提供する各種サービスに係る特許権や商標権を取得しており、今後も積極的に知的財産権の保護に努めるとともに、当社グループの役職員による第三者の知的財産権の侵害が発生しないよう、啓蒙活動及び社内管理体制の強化に取り組んでおります。また当社グループでは、提供する各種サービスが第三者の知的財産権を侵害していないか外部の専門家と連携し可能な範囲で調査を実施しております。しかしながら、第三者の知的財産権の状況を正確に調査・把握することは困難であり、知的財産権侵害とされた場合、その訴訟の内容及び結果や損害賠償の金額によっては、当社グループの財政状態及び経営成績や企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 個人情報・秘密情報の管理について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:大)

当社グループは事業を推進していく中で、取引先企業における個人情報や秘密情報等の情報資産を扱う機会があります。当社では、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の第三者認証を受けるとともに、情報セキュリティに関する規程の策定や役職員に対する定期的な教育の実施、コンピュータ等の情報機器やネットワーク等の情報通信設備に対するセキュリティ管理の徹底、外部委託先との秘密保持契約の締結等を行い、また包括的なセキュリティの原理・原則である「ドリーム・アーツセキュリティ憲章」の制定や社長直轄の統括組織として「セキュリティ委員会」の設置を行い、当社グループからの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃等の不正な手段による外部アクセス、役職員及び外部委託先の過誤、自然災害の発生等によりこれらの情報資産が外部に流出した場合、これらに起因して損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起される可能性があり、その訴訟の内容及び結果や損害賠償の金額によっては、当社グループの財政状態及び経営成績や企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑮ 法的規制について(顕在化の可能性:小、時期:常時、影響度:中)

本書提出日現在において、当社グループが事業を展開する際に障害となるような法的規制はないと認識しており、当社グループでは「個人情報の保護に関する法律」や「中小受託取引適正化法」など一般的に適用される法的規制を遵守して事業を運営しております。しかしながら、当社グループの事業に関連する法的規制等が新設、改正、又は解釈の変更等がなされた場合、当社グループの現在又は将来における事業活動が制約を受ける可能性やコストの増加をもたらす可能性があり、その規模によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 訴訟について(顕在化の可能性:小、時期:常時、影響度:大)

当社グループは、本書提出日現在において、重大な訴訟を提起されている事実はございません。当社グループでは、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図ることを目的にコンプライアンスに関する規程を整備し、法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、役職員に対して定期的にコンプライアンス研修を実施する等により、取引先、従業員、その他第三者との関係において訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、事業活動を行う中で、当社グループが提供するサービス・システムに不具合・障害が生じた場合や受託開発した成果物に契約不適合が生じた場合、第三者からの不正アクセス等により情報流出した場合等の不測の事態が発生した場合には、これらに起因して損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起される可能性があり、その訴訟の内容及び結果や損害賠償の金額によっては、当社グループの財政状態及び経営成績や企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑰ 内部管理体制の強化について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)

当社グループの従業員は293名(2025年12月31日時点)であり、内部管理体制は企業規模に応じた人員となっておりますが、当社グループが事業を拡大し継続的に成長し続けるためには、企業規模の拡大に合わせた内部管理体制の強化が不可欠であります。当社グループは、今後の事業拡大に応じて人員増強を図るとともに人材育成に注力し、内部管理体制の一層の強化、充実を図っていく方針ではありますが、当初計画を超えて事業が成長し体制構築が追い付かない場合や、新たな人材の確保及び育成が順調に進まない場合並びに人材の流出が生じた場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑱ 特定人物への依存について(顕在化の可能性:小、時期:常時、影響度:中)

当社の創業者であり代表取締役社長を務めている山本孝昭は、当社グループの経営方針や事業戦略等の決定及び遂行において重要な役割を果たしております。当社グループは、人材の採用・育成、取締役会・本部長会議等における役員及び執行役員の情報共有や経営組織の強化、業務分掌等に取り組んでおり、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの事情により同氏に不測の事態が生じた場合や退任せざるを得ない事情が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在、同氏及び同氏の資産管理会社は当社株式の33.1%を保有しております。

 

⑲ 配当政策について(顕在化の可能性:中、時期:常時、影響度:中)

当社グループは、株主への利益還元を重要な経営課題と位置付け、将来の成長投資及び経営体制の強化に必要な内部留保を確保しつつ、年1回の期末配当を継続的に実施していくことを基本方針としており、当事業年度については、当事業年度の業績及び今後の経営環境、将来の成長投資等を総合的に勘案し、1株あたり60円00銭といたしました。株主利益の最大化と事業成長投資及び財務基盤強化に向けた内部留保とのバランスを図るため、今期は配当性向20~30%を目途に、来期以降は配当性向30%を目安とした累進配当を導入し前年実績の水準に対して維持もしくは増配を行うことを基本方針としておりますが、事業環境の急激な変化により業績低迷等が生じた場合には安定的な配当を行うことができなくなる可能性があります。

 

⑳ 当社株式の流動性について(顕在化の可能性:中、発生時期:短期、影響度:中)

2025年12月末日現在、当社株式についての、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は34.45%となっております。現時点では上場維持基準に抵触する水準ではなく、今後は新株予約権の行使による流通株式数の増加等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 固定資産の減損(顕在化の可能性:小、発生時期:常時、影響度:中)

当社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減額した当該金額を減損損失として計上することとなります。このため、当該資産又は資産グループの経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社の事業および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況の概要

 当社グループは「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」という企業理念のもと、先進的なテクノロジーに基づくSaaS(注1)などの提供を通じ、大企業の生産性向上を支援しております。 

 当連結会計年度における我が国経済は、依然として物価高騰が続き、家計の実質負担が増加するなど厳しい環境にありますが、企業収益の底堅さや一部業種の堅調な投資活動などに支えられ、全体としては緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方で、国際的な金利・為替動向の不安定化や地政学リスクに伴う資源価格の変動、さらには中国を中心とした団体旅行客の減少によるインバウンド需要の伸び悩みなど、先行きには不透明感が残る状況が続いております。

 当社グループが属する国内のIT業界は、受託開発を中心としたビジネスモデルやIT人材の不足・偏在といった課題を抱えており、大企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する際の大きな障害となっております。独立行政法人情報処理推進機構が2025年6月26日に公開した「DX動向2025」によれば、日本企業の85.1%がDX推進人材の不足を抱えており、欧米と比較しても人材難が際立つ状況にあります。DX加速に向けては、基幹システム(ERP を含む)の刷新、データ活用基盤の整備、業務プロセス全般のデジタル化が不可欠です。しかしながら、多くの企業では依然として外部ITベンダーへの依存度が高く、内製化の遅れにより技術継承やシステム刷新が十分に進まないという課題も浮き彫りになっております。

 このような環境のもと、当社グループは「デジタルの民主化」というコンセプトを掲げ、ノーコード開発(注2)ツール「SmartDB®」を成長ドライバーとして事業を推進しております。「SmartDB®」はITの専門知識を持たない現場部門の人材が業務アプリケーションを開発する「市民開発」(注3)のための環境を提供します。そのため、受託開発に比べコストを抑え、迅速な業務デジタル化を実現できます。さらに、他社SaaSとの連携や高度なセキュリティ機能を備えた多彩なオプションを用意しており、ERPフロントシステム(注4)などの高度な領域での導入が進んでおります。これらの対応により、顧客の多様なニーズに応え、アップセル(注5)の強化を図っております。

 さらに、当社グループは社内ポータル(注6)構築ツール「InsuiteX®」及びチェーンストア特化型情報共有ツール「Shopらん®」を提供しており、「SmartDB®」との連携強化を通じて、ワークフロー・情報共有・ナレッジ管理を統合したデジタルワークプレイス環境の構築を推進しております。これにより、クロスセル(注7)を促進するとともに、顧客の組織全体におけるデジタル活用価値の向上を目指しております。

 当連結会計年度におきましては、大企業を中心とした業務デジタル化ニーズの高まりを背景に、「SmartDB®」を擁するクラウド事業が成長を牽引いたしました。新規商談の創出に向けた広告宣伝活動を強化するとともに、既存顧客への利活用支援を通じたアップセル獲得にも注力してまいりました。また、大規模なユーザー会を開催し、顧客企業同士が実践的なDX推進の知見を共有できる場を提供したことで、ノーコード開発による全社的なDX推進や、業務改革の広がりを後押しする結果につながっております。さらに、認定資格制度の本格普及を進め、市民開発者の裾野を拡大し、現場主導の業務デジタル化が推進される環境づくりに努めました。プロダクト開発の面では、「SmartDB®」へのAI技術の組込みを本格化し、企業・組織の意思決定をサポートする機能の開発を進めてまいりました。あわせて、パフォーマンス向上やオプション機能の拡充を継続し、基盤としての信頼性と利便性の向上を図っております。さらに、オンプレミス(注8)環境で利用中の顧客に対しては、クラウド環境への移行提案を積極的に行い、クラウド事業のさらなる成長につながる案件創出に努めてまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,654,084千円(前年同期比12.3%増)、営業利益974,657千円(前年同期比26.0%増)、経常利益1,073,386千円(前年同期比40.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、大企業向け賃上げ促進税制に基づく税額控除32,744千円を受け、757,535千円(前年同期比37.4%増)となりました。

 

<クラウド事業>

1.ホリゾンタルSaaS(注9)

 当社グループは、業界業種を問わないホリゾンタルSaaSとして「SmartDB®」及び「InsuiteX®」を提供しております。

 多様化する働き方や労働生産性向上の取り組みを背景に、大企業の業務デジタル化ニーズが高まる一方で、IT人材不足が深刻化しております。こうした状況を踏まえ、当社グループでは、ノーコード開発ツール「SmartDB®」を軸とした積極的なマーケティング活動を展開し、「デジタルの民主化」及び「市民開発」というコンセプトの浸透に努めております。

 当連結会計年度におきましては、各種イベントの主催や展示会への出展を通じて「SmartDB®」の販促を強化してまいりました。開発面では、ERPフロントシステムとしての活用や、複雑な業務プロセスのデジタル化を促進するための機能拡張に加え、AI技術を組み込んだ意思決定サポート機能の開発を進めております。また、海外拠点での利用拡大を見据え、多言語対応や国・拠点別に利用範囲を制御できるアクセス制限機能の強化にも取り組み、セキュリティと利便性の両立を意識した開発投資を行ってまいりました。また、社内ポータル構築ツール「InsuiteX®」については、ビジョンやパーパスの浸透、組織エンゲージメント(注10)の強化、企業カルチャーの刷新といった経営課題を重視する顧客にフォーカスし、提案活動を展開してまいりました。

 この結果、当連結会計年度のホリゾンタルSaaSの売上高は、3,503,609千円(前年同期比19.7%増)となりました。また、当連結会計年度末時点のMRR(月額利用料)は319,688千円(前年同期比50,958千円増)、契約企業数は195社(前年同期比34社増)となりました。

 

2.バーティカルSaaS(注11)

 当社グループは、チェーンストア業界に特化したバーティカルSaaSとして「Shopらん®」を提供しております。(販売パートナー企業である(株)ネクスウェイは、「Shopらん®」と同一のサービスを「店舗matic®」(テンポ・マティック)という別ブランドで販売しております。)

 チェーンストアを展開する物販・飲食業界は、人手不足による供給制約の問題を抱えており、業務オペレーションの品質向上がこれまで以上に求められています。当社グループが提供する「Shopらん®」は、チェーンストアに特有の課題を解決するために設計されており、本部からの情報伝達、店舗における業務指示の徹底、タイムリーな現場情報の収集、店舗間における成功事例の共有をサポートします。

 当連結会計年度におきましては、上半期の大型展示会で獲得したリードへの提案活動に注力してまいりました。開発面では、ユーザーインターフェイスの改善、パフォーマンス向上に向けた基盤強化などを進めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度のバーティカルSaaSの売上高は、783,730千円(前年同期比0.1%減)となりました。また、当連結会計年度末時点のMRR(月額利用料)は65,003千円(前年同期比1,308千円減)、契約企業数は170社(前年同期比7社増)となりました。

 

3.DCR(DX Custom Resolution)

 当社グループは、特定顧客の個別要件に基づくシステムを開発し、クラウド基盤上での運用を行いながら継続的な機能拡張を行う開発運用型のサービス「DCR」を提供しております。

 当連結会計年度におきましては、提供システムのセキュリティ向上と安定運用に注力してまいりました。

 この結果、当連結会計年度のDCRの売上高は、181,448千円(前年同期比0.8%増)となりました。また、当連結会計年度末時点のMRR(月額利用料)は14,814千円(前年同期比136千円減)、契約企業数は3社(前年同期比変動なし)となっております。

 以上の結果、当連結会計年度におけるクラウド事業のセグメント売上高は4,468,787千円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益は1,806,533千円(前年同期比20.4%増)となりました。

 

 

<オンプレミス事業>

 当社グループは、ノーコード開発ツール「SmartDB®」及び社内ポータル構築ツール「Insuite®」のパッケージソフトウェア(注12)ライセンス及びソフトウェアメンテナンスを提供しております。

 パッケージソフトウェアはオンプレミス環境での利用を前提としておりますが、現在新規の利用はSaaSに限定しております。そのため、当該事業の売上は、SaaS提供開始以前の既存顧客にのみ基づいております。

 当連結会計年度におきましては、一部の顧客からライセンス受注があったものの、クラウド環境への移行などに伴いソフトウェアメンテナンスの解約が進みました。

 以上の結果、当連結会計年度におけるオンプレミス事業のセグメント売上高は525,032千円(前年同期比6.0%減)、セグメント利益は235,860千円(前年同期比3.0%増)となりました。

 

<プロフェッショナルサービス事業>

 当社グループは、SaaSプロダクト及びDCR(DX Custom Resolution)サービス、並びにパッケージライセンスの活用促進を図るため、導入・利活用コンサルティングや、プラグインソフトウェア(注13)開発などのプロフェッショナルサービスを提供しております。

 当連結会計年度においては、「SmartDB®」の導入支援プロジェクトに加え、DCRの機能拡張や、既存顧客向けプラグインソフトウェアの改修など、多様な開発・支援サービスプロジェクトを受注いたしました。また、オンプレミス環境で利用中の顧客に対しては、クラウド基盤への移行プロジェクトを推進し、利用環境の刷新と、将来的なクラウド活用の拡大につながる取り組みを強化しております。

 以上の結果、当連結会計年度におけるプロフェッショナルサービス事業のセグメント売上高は660,263千円(前年同期比13.0%増)、セグメント利益は115,168千円(前年同期比114.5%増)となりました。

 

 

(注1)SaaS(Software as a Service)

 「Software as a Service」の略称。クラウド上に構築されたソフトウェア・アプリケーションをインターネット経由で利用するサービス。従来のようにパッケージソフトウェアを購入し、ハードウェアにインストールするなどの必要はなく、インターネットでアクセスするだけで利用できる仕組み。

(注2)ノーコード開発

 アプリケーション開発に必須であったプログラミング言語によるソースコードをパーツとしてビジュアル化し、欲しいパーツを直感的に配置していくことで開発することができるツールを利用した開発のこと。

(注3)市民開発

 プログラミングなしにアプリケーションを開発することができるツールの導入を前提とし、ITの専門知識がない現場部門の従業員が主導して業務デジタル化を推進する開発スタイルのこと。当該スタイルで開発する従業員を市民開発者(シチズンディベロッパー)という。

(注4)ERPフロントシステム

 ERPなどの基幹系システムのフロントに位置し、基幹系システムと密接なデータ連携を必要とする経理・財務・人事・給与・法務などの周辺システムのこと。主に現場社員が利用し、ERPパッケージの標準機能だけではカバーしきれない周辺業務、例えば見積作成、経費精算、各種申請業務などを担う。

(注5)アップセル

 現在利用中のプロダクト(またはサービス)において、より多くの人数・業務で利用してもらう、もしくはより高いグレードのプロダクト(またはサービスへ)への移行を促す営業手法のこと。

(注6)社内ポータル

 自社内に散在する情報を集約し、アクセスを容易にするための入口として構築されたWebサイトのこと。情報共有によるコミュニケーションの活性化を図るほか、社内で使われている各種アプリケーションを統合する機能を持ち、業務効率化を促進するためにも使われる。

(注7)クロスセル

 現在利用中のプロダクト(またはサービス)に関連させて他のプロダクトの導入を促す営業手法のこと。

(注8)オンプレミス(on-premises)

 プレミス(premise)は「構内」「店内」などの意味。サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設内に設置して運用すること。

(注9)ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS)

 業界を問わず特定の部門や機能に特化したSaaSのこと。企業組織に共通する業務課題を解決するために利用される。

(注10)組織エンゲージメント

 会社組織と従業員の間で互いに信頼関係があり、きずなを感じている状態またはその指標。企業理念が従業員に浸透しており、事業計画などの目標や方向性に共感していることが重要となる。

(注11)バーティカルSaaS(Vertical SaaS)

 特定の業界に特化したSaaSのこと。業界特有の業務課題を解決するために利用される。

(注12)パッケージソフトウェア

 既製品として販売されているソフトウェア製品。または、物理的な記憶媒体に記録され、箱などに梱包されて販売されるソフトウェア製品。

(注13)プラグインソフトウェア(plug-in software)

 あるアプリケーションソフトウェアの機能を拡張するソフトウェアを指す。 個別に追加してバージョンアップが可能で、不要になればアプリケーションに影響を与えることなく削除できる。

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は5,311,986千円となり、前連結会計年度末に比べ、582,383千円増加しました。これは主に現金及び預金の増加571,532千円によるものであり、クラウド事業にかかる契約負債の増加が主な要因となっております。クラウド事業では、契約開始時に一定期間の利用料を前払いで受領し、契約期間に応じて均等に収益を認識しており、未履行の部分については契約負債として計上しております。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は2,395,738千円となり、前連結会計年度末に比べ、25,381千円減少しました。これは主に、社債の償還による減少300,000千円、契約負債の増加128,062千円、課税所得の増加に伴う未払法人税等の増加89,067千円、資産除去債務の増加28,340千円によるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は2,916,247千円となり、前連結会計年度末に比べ、607,765千円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加602,679千円によるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,122,722千円となり、前連結会計年度末に比べ571,532千円増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果得られた資金は1,091,613千円(前年同期は1,001,480千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,073,386千円の計上、減価償却費200,752千円の計上、法人税等の支払額249,232千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は71,470千円(前年同期は201,756千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出31,898千円、自社利用ソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出244,721千円、保険積立金の解約による収入250,893千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は454,989千円(前年同期は77,581千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払154,822千円、社債の償還による支出300,000千円があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループで行う事業は、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

当社グループで行う事業は、受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

クラウド事業

4,468,787

14.8

オンプレミス事業

525,032

△6.0

プロフェッショナルサービス事業

660,263

13.0

合計

5,654,084

12.3

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、5,654,084千円(前連結会計年度比12.3%増)となりました。セグメント別の売上高については以下のとおりです。

 

クラウド事業:当事業セグメントは、ホリゾンタルSaaS、バーティカルSaaSおよびDCR(DX Custom Resolution)の利用料で構成されております。当連結会計年度においては、Web上のプロモーションやイベント出展などのマーケティング活動を通じて新規顧客開拓を積極化したこと、既存顧客に対する利用促進活動を通じてアップセルに努めたことなどから、当セグメントの売上高は4,468,787千円(前連結会計年度比14.8%増)となりました。

 

オンプレミス事業:当事業セグメントでは、自社開発アプリケーションソフトウェアのパッケージライセンスおよびソフトウェアメンテナンスの提供を行っております。当連結会計年度においては、SaaSへの移行促進に伴い、ソフトウェアメンテナンスの解約等が進んだ結果、当セグメントの売上高は525,032千円(前連結会計年度比6.0%減)となりました。

 

プロフェッショナルサービス事業:当事業セグメントでは、自社開発アプリケーションソフトウェアおよびSaaSにかかる導入支援などの役務提供を行っております。当連結会計年度においては、「SmartDB®」の導入支援プロジェクトに加え、DCRの機能拡張や、既存顧客向けプラグインソフトウェアの改修など、多様な開発・支援サービスプロジェクトを推進した結果、当セグメントの売上高は660,263千円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。

 

(営業費用および営業利益)

当連結会計年度の売上原価及び販売費及び一般管理費を合算した営業費用は4,679,426千円(前連結会計年度比9.8%増)となりました。これは主にクラウド事業売上高の増加に伴う通信費(インフラコスト)の増加や昇給及び人員増に伴う人件費等の増加によるものであります。この結果、営業利益は974,657千円(前連結会計年度比26.0%増)となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

当連結会計年度において、保険解約返戻金96,809千円や受取利息7,919千円等により営業外収益が107,255千円、また為替差損7,328千円を計上し、営業外費用が8,527千円となりました。この結果、経常利益は1,073,386千円(前連結会計年度比40.0%増)となりました。

 

(特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における、特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税、住民税及び事業税は、大企業賃上げ促進税制に基づく税額控除32,744千円を受け、333,193千円となりました。また、法人税等調整額は△17,342千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は757,535千円(前連結会計年度比37.4%増)となりました。

 

 

② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの事業運営にあたり必要な運転資金の多くは、人件費、通信費(インフラコスト)、広告宣伝費等の営業費用であります。当該運転資金は、自己資金を中心に、必要に応じて借入調達することを基本方針としておりますが、今後の積極的な広告宣伝活動や、人的資本への投資によりエクイティファイナンスの活用を検討する予定です。

なお、第30期連結会計年度末において、現金及び現金同等物は4,122,722千円であり、十分な資金の流動性を確保しております。

 

③重要な会計方針及び見積

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

 

④経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

当社グループでは、主な経営指標として売上高成長率、売上高総利益率および営業キャッシュフローに影響を与える前受収益残高を重視しております。特に成長指標の核となる売上高については、総売上高に占めるストック売上高の比率に加え、クラウド事業の売上高成長率、導入企業数、平均月額利用料、売上継続率を重視しております。なお、連結財務諸表上において前受収益は契約負債に含めて表示しております。

第30期連結会計年度における各指標の前年同期比の増減率および四半期実績推移は以下のとおりであり、引続き対処すべき経営課題の改善を進め、経営成績の向上を図って参ります。

 

(主な経営指標)

 

2024年12月

(前連結会計年度実績)

2025年12月

(当連結会計年度実績)

前年同期比増減率

売上高(千円)

5,033,855

5,654,084

12.3

 %

売上総利益(千円)

2,872,896

3,532,397

23.0

 %

売上高総利益率

57.1%

62.5%

5.4

 %

前受収益残高(千円)

1,273,053

1,401,115

10.1

 %

 

 

第30期連結会計年度における売上高は前年比12.3%増となりました。オンプレミス事業の解約やクラウドサービスへの移行などによる減少を、クラウド事業の伸長が補う形となっております。売上総利益は前年比23.0%増となりました。クラウド事業の売上が大幅に伸びたことが要因となっております。前受収益残高は前年比10.1%の増加となりました。クラウド事業の伸長に伴い、月額利用料の前受収益が増加したことが要因となっております。

 

(ストック売上高比率)

 

2024年12月

(前連結会計年度実績)

2025年12月

(当連結会計年度実績)

前年同期比増減率

ストック売上高(千円)

4,428,014

4,947,197

11.7 %

ストック売上高比率

88.0%

87.5%

△0.5 %

 

(注)ストック売上高は、クラウド事業売上高と、オンプレミス事業に含まれるパッケージライセンスにかかるメンテナンス売上高等を合算したものであります。ストック売上高比率は、総売上高に占めるストック売上高の割合です。

 

第30期連結会計年度におけるストック売上高比率は87.5%となり、前連結会計年度に引き続き安定した売上構成を維持しております。今後は、新規顧客の増加にともない、導入支援サービス等プロフェッショナルサービス事業への需要が増すことで、ストック売上高比率の低下を招く可能性があります。引き続きバランスの良い売上構成を目指してまいります。

 

 

(クラウド事業:ホリゾンタルSaaS)

 

2024年12月

(前連結会計年度実績)

2025年12月

(当連結会計年度実績)

前年同期比増減率

売上高(千円)

2,926,865

3,503,609

19.7 %

導入企業社数

161

195

21.1 %

平均月額利用料(千円)

1,669

1,639

△1.8 %

売上継続率

117.5%

109.8%

△7.7 %

修正売上継続率

117.5%

109.8%

△7.7 %

 

(注)1 ホリゾンタルSaaSは、「SmartDB®」と「InsuiteX®」のクラウドサービスで構成されています。売上継続率(Net Retention Rate)は、1年前の課金ユーザーにかかる月額利用料の変化率として算出しております。(例:2020年12月時点の課金ユーザーの月額利用料合計と、当該ユーザーの2021年12月の月額利用料合計の変化率)

2 売上継続率は、特定のオンプレミスユーザーにおけるクラウド移行プロジェクトにおいて、複数月にわたる移行作業・導入支援期間の利用料を、2021年12月に一括計上した影響が含まれており、修正売上継続率はその影響額を控除しております。

 

第30期連結会計年度におけるホリゾンタルSaaSの売上高成長率は19.7%となり、売上高は順調に伸びております。導入企業数は前年比21.1%増の195社となりました。オンラインイベント等のマーケティング施策を実施し新規顧客開拓に注力した結果、導入企業数は順調に推移しております。一方、平均月額利用料は前年比1.8%減少し1,639千円となりました。また、修正売上継続率は109.8%と堅調に推移いたしました。これは剪定戦略(注)による一部解約によるものです。今後も継続して積極的な利活用促進を図り、解約を抑制しつつ、アップセルを強化してまいります。なお、ホリゾンタルSaaSの売上高および売上成長率の大部分はSmartDB®が占めており、本セグメントの成長を牽引しております。

 

(注)「剪定(せんてい)戦略」とは、果樹や庭木の「剪定」(より多くの果実を実らせる、または美しい樹形を保つため、風通しを良くしたり根への負担を軽減する目的で余分な枝を切り落とすこと)になぞらえ、将来の負荷を軽減するために、一部顧客に対して最新プラットフォームへの移行を促進したり、技術的負債になり得る機能の削減に取り組むこと。

 

(ホリゾンタルSaaS四半期実績推移)

連結会計年度

四半期

売上高(千円)(注)1

売上高成長率

導入社数

(注)2

平均月額利用料

(千円)(注)3

売上継続率

(注)4

2021年12月

Q1

218,222

+55.9%

49

1,487

101.1%

 

Q2

226,305

+52.4%

52

1,484

115.8%

 

Q3

244,014

+51.3%

59

1,395

116.5%

 

Q4

304,174

+46.8%

75

1,731

99.0%

2022年12月

Q1

326,921

+49.8%

81

1,400

105.2%

 

Q2

360,609

+59.3%

93

1,354

107.9%

 

Q3

386,638

+58.4%

95

1,373

108.0%

 

Q4

432,483

+42.2%

99

1,518

91.2%

2023年12月

Q1

490,724

+50.1%

109

1,535

123.4%

 

Q2

536,115

+48.7%

119

1,535

125.1%

 

Q3

569,841

+47.4%

124

1,566

127.0%

 

Q4

610,664

+41.2%

140

1,483

123.3%

2024年12月

Q1

658,974

+34.3%

145

1,545

116.9%

 

Q2

715,312

+33.4%

155

1,579

117.9%

 

Q3

754,300

+32.4%

158

1,605

114.4%

 

Q4

798,277

+30.7%

161

1,669

117.5%

2025年12月

Q1

830,188

+26.0%

168

1,689

116.7%

 

Q2

850,541

+18.9%

173

1,656

111.1%

 

Q3

887,427

+17.6%

182

1,662

109.7%

 

Q4

935,451

+17.2%

195

1,639

109.8%

 

(注)1 SmartDB®とInsuiteX®のクラウドサービス利用料の四半期合計額です。

   2 各四半期の最終月において課金が発生している社数をカウントしています。

3 各四半期の最終月における月額利用料を導入社数で除して算出しています。
2021年Q4の利用料増加は、オンプレミスユーザークラウド移行プロジェクトにおいて、複数月にわたる移行作業・導入支援期間の利用料を一括計上したことによるものです。

4 前年同四半期最終月の課金ユーザーにかかる月額利用料の当四半期における変化率。NRR(Net Revenue Retention)
2022年Q4の売上継続率が大きく減少している要因は、算出の起点となる2021年12月に、特定のオンプレミスユーザーにおけるクラウド移行プロジェクトにおいて、複数月にわたる移行作業・導入支援期間の利用料を一括計上した影響が含まれており、影響額を控除した修正売上継続率は114.2%となります。

 

(クラウド事業:バーティカルSaaS)

 

2024年12月

(前連結会計年度実績)

2025年12月

(当連結会計年度実績)

前年同期比増減率

売上高(千円)

784,263

783,730

△0.1 %

導入企業社数

163

170

4.3 %

平均月額利用料(千円)

406

382

△5.9 %

売上継続率

95.8%

96.0%

0.2 %

 

(注)バーティカルSaaSは、「Shopらん®」と「店舗matic®」(株式会社ネクスウェイ経由で提供する「Shopらん®」の別ブランド)で構成されています。売上継続率(Net Retention Rate)は、1年前の課金ユーザーにかかる月額利用料の変化率として算出しております。(例:2020年12月時点の課金ユーザーの月額利用料合計と、当該ユーザーの2021年12月の月額利用料合計の変化率)

 

第30期連結会計年度におけるバーティカルSaaSの売上高成長率は△0.1%となりました。「Shopらん®」はチェーンストア業界向けのサービスであり、コロナ禍の影響は少なくありませんでしたが、2022年12月期以降復調の兆しを見せております。流通小売業界向けのイベントに出展するなどのマーケティング活動を通じて、新規開拓活動を展開した結果、導入企業数は順調に推移しました。一方、新規顧客の小型化、既存顧客の一部解約により平均月額利用料は前年同期比5.9%減の382千円となりました。また、導入企業数は前年同期比4.3%増の170社、売上継続率は96.0%となりました。コロナ禍を脱し、積極的なIT投資を行う顧客が増加する傾向にあると認識しており、今後は店舗運営の生産性向上に資する機能拡張、オプションの提供などを通じ、各指標の向上を図ってまいります。

 

 

(バーティカルSaaS四半期実績推移)

連結会計年度

四半期

売上高(千円)

(注)1

売上高成長率

導入社数

(注)2

平均月額利用料

(千円)(注)3

売上継続率

(注)4

2021年12月

Q1

149,086

+6.9%

153

328

102.5%

 

Q2

141,586

+5.1%

155

306

95.5%

 

Q3

144,008

△0.1%

160

301

95.3%

 

Q4

151,102

+1.8%

163

310

94.2%

2022年12月

Q1

152,486

+2.3%

165

310

94.8%

 

Q2

155,927

+10.1%

167

314

101.0%

 

Q3

163,297

+13.4%

171

327

102.5%

 

Q4

170,761

+13.0%

170

337

104.8%

2023年12月

Q1

175,310

+15.0%

169

353

109.6%

 

Q2

184,915

+18.6%

174

359

108.4%

 

Q3

189,235

+15.9%

174

365

109.3%

 

Q4

194,559

+13.9%

174

374

107.7%

2024年12月

Q1

196,180

+11.9%

169

385

102.7%

 

Q2

193,290

+4.5%

163

395

100.1%

 

Q3

193,602

+2.3%

162

401

98.3%

 

Q4

201,189

+3.4%

163

406

95.8%

2025年12月

Q1

195,688

△0.3%

163

397

96.2%

 

Q2

195,046

+0.9%

164

398

95.9%

 

Q3

199,321

+3.0%

167

398

95.9%

 

Q4

193,673

△3.7%

170

382

96.0%

 

(注)1 Shopらん®利用料の四半期合計額です。

   2 各四半期の最終月において課金が発生している社数をカウントしています。

   3 各四半期の最終月における月額利用料を導入社数で除して算出しています。

4 前年同四半期最終月の課金ユーザーにかかる月額利用料の当四半期における変化率。NRR(Net Revenue Retention)

 

5 【重要な契約等】

 

相手先の名称

相手先の所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

株式会社ネクスウェイ

東京都江東区

2007年10月15日

契約締結日から3年間

以後1年毎の自動更新

SaaSベースモジュールの供給(注)

 

(注)SaaSベースモジュールとは、当社SaaSプロダクト「Shopらん®」を指しております。本契約において株式会社ネクスウェイは、同社が保有する商標「店舗matic®」を用いて「Shopらん®」を販売することができること、及び販売した金額の一定割合をサービス供給の対価として当社に支払うことを約しております。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、既存製品・サービスの機能拡張や改善改良を重視しており、製品競争力の向上につながる研究開発活動を継続的に行っております。セグメント別の研究開発活動の概要は以下のとおりです。なお、当連結会計年度においては研究開発費として特に計上すべき金額はありません。

 

(1)クラウド事業

最新のインターネット技術、クラウド基盤およびソフトウェア開発関連技術に関する研究開発活動に取り組んでおります。

 

(2)オンプレミス事業

当セグメントは研究開発活動を行っておりません。

 

(3)プロフェッショナルサービス事業

最新のインターネット技術、クラウド基盤およびソフトウェア開発関連技術に関する研究開発活動に取り組んでおります。