第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、組込みソフトウェア技術をコアコンピタンスとしてグループを拡大・発展させるため、2011年11月に経営理念としての『eSOL Spirit』を制定しております。

 

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(2)当社グループの現状の認識について

当社グループの主たる事業である組込みソフトウェア事業は、「私たちは世界の人々のためのサイバーフィジカル社会を実現するワールドクラスのフルスタックエンジニアリング企業である」をビジョンとして掲げております。今後、実現していくサイバー空間とフィジカル空間(実世界)が一体化するサイバーフィジカル社会において、フィジカル側の基盤技術として、産業横断的に利用される技術です。電子化が急速に進展する自動車業界では、SDV(Software-Defined Vehicle)が、乗用車を中心に注目されていますが、当社グループでは、SDVの「V」を自動車に限らず、広義のビークル(自動車、鉄道などの車両や船舶、航空機、ドローン、ロボットなど動くもの全て)と位置付けています。自動車を引き続き、メインターゲットとしつつ、さらに、広義の各種Vehicleシステムも並行して推進し、当事業の拡大を目指します。

一方のセンシングソリューション事業は、ハム・食肉や冷食メーカーや卸小売り等、事前発注を行わない商習慣市場に対して車載プリンタ、また、倉庫業等に対して常温/耐環境ハンディターミナルを提供してまいりました。車載プリンタの実質的な競合他社は認識しておりません。しかしながら、顧客市場の成熟化や流通システムの再編成等により、この市場は、今後の成長を見込むことが難しいと判断しております。今後は、耐環境技術等、既存技術を活かしつつ、組込みソフトウェア事業とのシナジーを見込みながら、自動販売機や移動販売等、コンピュータ化による効率化が見込める分野に各種センサーによるIoTシステムを提案し、当事業を成長させてまいります。

 

(3)当面の事業上及び財務上の対処すべき課題の内容

当社は、中期経営計画「eSOL Reborn 2030 – Strategic Business Plan」(2025年4月30日発表)を策定し、当社のビジョン「私たちは、世界の人々のための持続可能なサイバーフィジカル社会を実現するワールドクラスのフルスタックエンジニアリング企業です。」を実現するための課題認識としてのSWOT分析に基づき、分野ごとに11の戦略を立てて取り組んでおります。

① 目標実現のための課題認識(SWOT分析)

「顧客視点に立った個の力の統合とリーダーシップ強化」

1.

SO:

OEMのソフトウェアビジネス力+技術力の不足を補い、それらを強化するeSOLのソフトウェア知見

2.

SO:

より効率的なコンピューティング/ソフトウェアの需要拡大に効果的に対応するeSOLのFull Stackソフトウェア技術

3.

SO:

ハードウェアの進化に追従して進化するeSOLのOS技術

4.

SO:

社会のCPS化に対応するeSOLのCPS(組込みシステム)知見

5.

WO:

OEMによる自社開発の増加に伴い変化する顧客ニーズに対応できるシステム/顧客視点の不足

6.

WT:

新興国ベンダによる先進的かつ積極的なビジネス展開が活発化する中での控えめなビジネスアプローチ

7.

WT:

産業横断的なソフトウェアの共通化/プラットフォーム化が進む中、産業分野ごとの縦割りのエンジニアリングサービスビジネス

8.

WT:

日本の人口減少に伴う労働者数の減少により厳しくなる採用環境に対抗できる採用ブランド力

9.

WT:

ソフトウェア技術知見やアーキテクチャ知見が充分でない顧客に対しても先鋭的・科学的な提案力

10.

WT:

グローバル化とローカライズ、統合と特化のバランスを見据えた戦略とグローバル化

11.

WT:

安全・セキュリティ標準等による開発者の負荷増大に対応するeSOLの自動化、システムズエンジニアリング力、コミュニケーション力

 (注) S:強み(Strength)、W:弱み(Weakness)、O:機会(Opportunity)、T:脅威(Threat)

 

② 目標実現のための11の戦略(Core Strategies)

分野

戦略-Core Strategies

Product/Service Development

Ⅰ.Full Stack Engineering(FSE)によるカスタムプラットフォーム開発

Ⅱ.Open/Closed原則による「標準」の活用

Market Access

Ⅰ.SDVをターゲット

Ⅱ.ライセンスとサービスビジネスモデルの一体化

Ⅲ.eSOLブランドの強化

People/Organization

Ⅰ.ソフトウェア開発における品質管理(QM)の根幹化

Ⅱ.パートナーシップの事業基盤化

Ⅲ.人材(HR)の包括的かつ継続的成長を実現するシステム化

Ⅳ.トップマネージメントの先鋭化

Ⅴ.情報システムへのエンジニアリングアプローチ導入による業務効率向上

Ⅵ.攻めの資本政策の実践

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、持続可能な社会への貢献及び当社グループの持続的な成長の実現に向け、サステナビリティ課題への取組みが重要であるという認識のもと、グループ全体で取組んでおります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ推進と経営理念を結び付けたサステナビリティ方針として「経営理念である『eSOL Spirit』の実現に向けて、持続可能な社会への貢献を通じて、当社グループの持続的な成長を目指す」を策定し、「コンプライアンスとeSOL行動規範」にあるべき姿及び行動基準を定め、代表取締役社長CEO兼CTOを委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、リスク管理及び収益機会として全社的な体制を構築しております。実施内容については、定期的に取締役会及び経営会議が同委員会からの報告を受け、監督を行っております。

 

(2)戦略

 当社グループは、サステナビリティ課題への対応は企業価値に大きな影響を及ぼす重要な経営課題として認識しており、不確実な状況の変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。このような考えのもと、環境省が発行する「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ(2023年3月発行)」を参考に、サステナビリティ課題が事業に与える影響を評価し、関連するリスクの把握及び事業機会を整理いたしました。

① 移行リスク

イ.炭素税導入による操業コストの増加

ロ.省エネ規制強化または技術革新に伴う省エネ技術向上による省エネ設備の対応コストの増加

ハ.サステナビリティ課題への対応が不十分な場合の、ステークホルダーからのレピュテーション及びエンゲージメントの低下

② 物理的リスク

イ.気候変動による空調コスト及び電力消費量の増加

ロ.気候変動や自然災害の激甚化による、事業活動の遅延や停止の発生、事前対策及び復旧コストの増加

ハ.気候変動や自然災害の激甚化により、取引先に事業活動の遅延や停止が発生した場合の、事業活動の遅延及び収益の減少

ニ.干ばつの増加に伴う半導体の生産性低下により、半導体不足が深刻化した場合の、事業活動の遅延及び収益の減少

③ 機会

イ.地球環境及び産業構造の変化による、モビリティ・ロボティクス・医療機器等のコンピュータ化の加速

ロ.サステナビリティ課題の解決に貢献するコンピュータテクノロジーや防災に対する需要の増加

ハ.環境関連政策の促進による、持続可能な社会の実現に向けた、革新的な技術の開発や実証に関する助成金の受給

ニ.サステナブルな経営及び事業の推進による、ステークホルダーからのレピュテーション及びエンゲージメントの向上

 

<マテリアリティ/重要課題>

① 革新的なコンピュータテクノロジーによるイノベーション

② 事業を通じた社会課題の解決

③ 楽しいチャレンジを生きるワークライフの実現

④ ダイバーシティの推進

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

 

<人材育成方針及び社内環境整備方針>

 当社の持続的な成長のためには、ソフトウェアエンジニアの確保と育成が重要な課題であると認識しております。当社人材育成のコンセプト“Each employee is responsible for their career, eSOL supports it.”に基づき、「長期雇用を前提とした育成計画とする」、「会社への定着・組織コミットメントの向上の促進を、育成を通して実現する」、「社員一人ひとりのキャリア自律・自己啓発の後押しを重視し、一人ひとりが会社と共に成長する」ことを人材育成方針とし、「世界中で活躍する世界トップクラスのテクノロジーカンパニー」を担う人材の育成に注力しております。また、「年齢、人種、国籍、宗教、信条、性別、性的指向、性自認、障がい及び価値観、働き方等の多様性を互いに尊重し認め合う組織風土と、『楽しいチャレンジ』を生きることのできる環境を創る。」を基本理念とする社内環境整備方針のもと、待遇改善に加えて、多様な働き方に対応する枠組みの整備を継続的に行い、社内外より「働きがいのある魅力的な会社」として評価される企業を目指しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切に管理するため、サステナビリティ方針に基づき、ESGリスクも対象として危機管理規程等を定め、業務執行取締役等が中心となる経営会議メンバーを主な構成員としたグループ全体のリスク管理体制を構築しております。監査等委員会とは別に、代表取締役社長CEO兼CTOをトップに置き、管理本部長を対策実施責任者とする体制のもと、ESGリスクを含めた全社のリスク及び事業機会の識別・評価・管理を定期的に実施し、リスクの特性に応じてワーキンググループを組織することにより、事業環境の変化に適応するためのリスク管理の高度化に努めております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、サステナビリティ方針に基づき、「良き企業市民として企業活動と地球環境との調和を目指し、豊かな社会と環境の実現に貢献します。」を基本理念とする環境方針、並びに人材育成方針及び社内環境整備方針を制定し、次のとおり、取組んでおります。

 

<気候関連リスクに関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績>

 環境方針に基づき、事業活動が気候変動をはじめとした地球環境に与える影響を低減させるため、温室効果ガス排出量の削減施策の強化、省資源、省エネルギーの推進に努めております。環境管理責任者を定め、定期的に内部監査を実施するとともに、環境委員会にて計画や活動報告を行い、エネルギー使用の効率改善に取組んでおります。今後も、日本政府が表明している「2030年までに温室効果ガス46%削減(2013年度比)」並びに「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ」の達成に貢献することを目標として、努力してまいります。

指標の内容

前々事業年度実績

前事業年度実績

当事業年度実績

当社グループの業務活動におけるGHG総排出量/電気(t-CO2)(注)Scope2のみ対象

230.76

190.79

174.17

 

<人材育成方針及び社内環境整備方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績>

① 人材育成方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

 標記方針に基づき、「世界中で活躍する世界トップクラスのテクノロジーカンパニー」を担う人材の育成を指標及び目標として、次のとおり、取組んでおります。今後、数値目標の設定について、検討を進めてまいります。

指標の内容並びに当該指標を用いた目標

当事業年度実績

参考:カリキュラム(例)

「世界中で活躍する世界トップクラスのテクノロジーカンパニー」を担う人材の育成

ソフトウェアエンジニア

育成研修の合計受講者数

176(全9講座)

設計力(組込みソフトアーキテクチャ)研修、新入社員技術研修 等

リーダー育成研修の

合計受講者数

95(全7講座)

リーダーシップ研修、リーダー向けコミュニケーション研修 等

ビジネススキル研修の

合計受講者数

196(全16講座)

Language Arts、問題解決研修、プレゼンテーション研修 等

(注)全研修の年間合計時間は11,114.05時間、従業員一人当たりの年間平均受講時間は23.79時間であります。

 

② 社内環境整備方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

 標記方針に基づき、社内外から「働きがいのある魅力的な会社」と評価される企業となることを指標及び目標として、次のとおり、取組んでおります。今後、数値目標の設定について、検討を進めてまいります。

指標の内容並びに当該指標を用いた目標

当事業年度実績

社内外から「働きがいのある魅力的な会社」と評価される企業となるための働く環境の整備及び両立支援

離職率

8.8%(注)1

有給休暇取得率

77.8%(注)2

男性の育休取得率

100%

女性の育休取得率

100%

「ホワイト企業」認定(注)3

「プラチナ」認定済

「プラチナくるみん」取得(注)4

「プラチナくるみん」取得済

(注)1.厚生労働省 令和6年(2024年)雇用動向調査:情報通信業の平均離職率 10.2%

2.厚生労働省 令和7年(2025年)就労条件総合調査:情報通信業の平均取得率 66.9%

3.一般財団法人日本次世代企業普及機構による、企業のホワイト化を総合的に評価する認定制度

4.次世代育成支援対策推進法に基づく、厚生労働大臣による子育てサポート企業としての高水準の認定

 

 当社グループは、今後も、社会環境の変化に応じてあらゆるリスクと機会の把握に取組み、対応策のさらなる拡充をはかることにより、持続可能な社会への貢献を通じて、当社グループの持続的な成長を目指してまいります。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)人材の確保と人件費、外注費の高騰について

当社グループの事業継続及び拡大においては、更なる技術革新に対応しうる技術者の確保、また世界マーケットに当社製品を販売していくための営業部門や管理部門等の優秀な人材も充実させる必要があります。

当社グループでは、優秀な次世代経営幹部や従業員の採用等を進め、従業員の意識向上と組織の活性化をはかるとともに優秀な人材の定着をはかる方針であります。しかしながら、計画どおりの人材の採用、パートナーの確保が十分できない場合、または現在在籍している人材が流出するような場合、また、近年の採用難や働き方改革を背景にして人件費や外注費の高騰が起こった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(2)顧客の経営状態に関連するリスクについて

当社グループの組込みソフトウェア事業の顧客層は、自動車、産業機器、ロボット、医療機器、通信機器等、様々な産業分野に及んでおります。それら顧客企業の個別の経営状態の変動に関しては、多様な産業セクターへの営業活動を行ってその影響をできるだけ小さくするよう努力をしております。しかしながら大幅な為替変動や、グローバルな政策要因、地政学的要因等によって、それらの産業全体が業績に悪影響を被る場合があります。当社グループの組込みソフトウェア事業は、顧客企業の数年先の開発案件に対する受注が多く、数年先に向けた顧客企業の投資計画に影響を与えるほどの事象が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(3)自動車関連市場への売上の偏重トレンドについて

電子化が急速に進展する自動車業界では、SDV(Software-Defined Vehicle)への取組みなどにより、同市場は、今後も拡大していくと考えており、当社グループの最重点市場と位置付けていることから、当社グループの自動車関連市場との取引がより一層拡大していくと考えております。当社グループでは、SDVの「V」を自動車に限らず、広義のビークル(自動車、鉄道などの車両や船舶、航空機、ドローン、ロボットなど動くもの全て)と位置付けており、自動車市場を最重点市場としつつ、広義の各種Vehicleシステムも並行して推進し、事業の拡大を目指しておりますが、激しい自動車メーカー間、自動車部品メーカー間の競争の結果、もしくは何らかの要因によって、自動車関連市場全体の成長トレンドが減速、下降していった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(4)品質不良による損害賠償のリスクについて

組込みソフトウェア事業の自社製ソフトウェアとエンジニアリングサービス、センシングソリューション事業における車載プリンタやハンディターミナル等による物流関連ビジネスにおいて、品質不良による損害賠償が発生する可能性があります。特に、自動車・医療機器向け機器に対する損害賠償は甚大なものとなる可能性があります。当社グループは品質管理本部のもと、全社的な品質管理に努めており、当社納品先でも厳密なテストを実施しておりますが、万が一、当社グループの責による品質不良から損害賠償が発生し、当社の加入している業務過誤賠償責任保険(IT保険)及び生産物賠償責任保険(PL保険)では損害賠償額を十分にカバーできなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(5)その他訴訟等による賠償責任に関するリスクについて

当社グループが属する情報・通信の業界においては技術革新のスピードが速く、他社から知的財産権の侵害についての申し立てを受ける可能性は否定できません。また、当社グループが保有している個人情報や組込みソフトウェア開発に関する仕様等の情報が社外に流出するリスクが存在します。また、安全衛生等の労務上の問題により訴訟が発生する可能性があります。当社グループは、情報セキュリティ委員会を設置し、各種情報の管理体制を強化すると同時に、eラーニングによる従業員への教育等を行っております。また、労働安全や労働災害に関しても従業員のワークライフバランスを重視した経営を行っております。しかしながら、何らかの事由によって訴訟となる事案が発生し、当社が賠償を求められた場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(6)不採算プロジェクトの発生について

当社グループの組込みソフトウェア事業におけるエンジニアリングサービスやセンシングソリューション事業のプロジェクトで不採算プロジェクトが発生する可能性があります。不採算となる理由は、発注側の責任となるもの、当社側の責任となるものがあります。具体的には組込み機器メーカーの要求仕様変更や、ハードウェアの開発遅れ、開発した組込みソフトウェアの品質不良等があります。当社グループでは、エンジニアリングサービス案件は全てプロジェクトとして個別に品質管理、予算管理、スケジュール管理を実施しております。しかし、それにもかかわらず、発注側の責任によるものであって交渉しても十分な補償が得られない場合、また、当社グループのプロジェクト管理が十分でない場合、不採算プロジェクトが発生し、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(7)技術革新への対応に関するリスクについて

当社グループの組込みソフトウェア事業とセンシングソリューション事業のいずれも開発投資が発生します。コンピュータ技術の進歩は著しく、最新技術への対応の遅れは、ソフトウェア製品の陳腐化につながります。このため新規に開発したソフトウェア製品であっても、その直後からリビジョンアップ(機能維持)作業が必要となります。当社グループは、研究開発費用とリビジョンアップ費用の合計で売上高比10%程度を開発投資の基準としておりますが、近年、増加傾向にあります。当社グループの収益が投資額に見合うだけの利益を上げられない場合、あるいは当社の開発体制が技術革新のスピードに追い付けなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(8)センシングソリューション事業について

当該事業の物流関連ビジネスは、今後の成長を見込むことが難しいと考えられるため新たにセンサネットワーク関連ビジネスを主力とするよう事業の再編を行っております。IoTの成長が社会的にも想定されている一方で、様々な企業も参入し競争の激化が予想されます。センシングソリューション事業でも様々な引き合いを多くいただいてはおりますが、現時点では、リサーチ段階での販売にとどまっており、将来を安定化できるかは不透明な状況であります。将来的に、事業再編が想定どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(9)eSOL Europe S.A.S.について

当社は、2018年3月にフランスに連結子会社 eSOL Europe S.A.S.を設立いたしました。当面はコストセンターとの位置づけではありますが、将来的に海外売上高の拡大に貢献しない等、子会社運営が想定どおりいかない場合、投資に見合うだけの収益が得られなくなり、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(10)法令違反、法的規制に関するリスクについて

当社グループの事業において、税制や商取引、労働問題、知的財産権等、様々な法的規制を受けております。当社グループはコンプライアンス重視のもと、これら法規制やルールを遵守した経営を行っておりますが、万が一これら法規制、ルールを遵守できなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響をおよぼす可能性があります。

 

(11)自然災害や大規模な感染症等の発生に関する事項について

自然災害や大規模な感染症等の発生により、当社グループの事業拠点、従業員等に大きな被害や感染が生じた場合、または通信、交通機関等の社会インフラに棄損が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は6,315百万円となり、前連結会計年度末に比べて585百万円増加いたしました。これは主に売掛金が633百万円増加したことによるものであります。固定資産は1,876百万円となり、前連結会計年度末に比べて618百万円増加いたしました。これは主にのれんが444百万円、技術関連資産が123百万円それぞれ増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、8,192百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,204百万円増加いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は1,943百万円となり、前連結会計年度末に比べて197百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が74百万円、契約負債が47百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は343百万円となり、前連結会計年度末に比べて89百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が67百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は、2,286百万円となり、前連結会計年度末に比べて286百万円増加いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は5,906百万円となり、前連結会計年度末に比べて917百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が493百万円増加し、自己株式が359百万円減少したことによるものであります。

 

ロ.経営成績の状況

当連結会計年度における、当社グループの組込みソフトウェア事業の主要取引市場である自動車市場では、自動車が単なる移動手段ではなく、社会インフラの一部に変わりつつある中で、次世代のSoftware-Defined Vehicle(ソフトウェア定義型の自動車)の開発が急務であり、同市場は大きな変革期にあります。また、自動車や医療分野を中心に、安全技術への需要が高まっており、機能安全規格の認証取得が求められる傾向にあります。

このような環境の中、当社グループは自動車市場をメインターゲットと位置づけ、「フルスタックエンジニアリング」(注)を提供し、機能安全規格の認証取得を進め、さらに、当社製品に対する研究開発への投資を引き続き行ってまいりました。また、センシングソリューション事業がメインターゲットの1つとしている食肉市場並びに倉庫・物流業界に対し、車載プリンタ並びにハンディターミナルの拡販を進めました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高12,129百万円(前年同期比1.9%増)、前連結会計年度における一時的な自動車向けライセンス収入(ソフトウェア製商品)が当連結会計年度には発生しないこと、また、研究開発への投資により、営業利益815百万円(同26.8%減)、経常利益863百万円(同25.7%減)、法人税等の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益598百万円(同33.0%減)となりました。

 

(注)ソフトウェアシステムの基盤層であるOSから、ミドルウェア、プラットフォーム、アプリケーション、そしてツールとプロセスまでの全ての階層を統合してエンジニアリングを行うこと

 

 

各セグメントの経営成績は次のとおりであります。

(組込みソフトウェア事業)

当事業は、フルスタックエンジニアリングの提供として、幅広い分野における電子機器向けの自社製ソフトウェア製品リアルタイムOS(オペレーティング・システム)の開発・販売、エンジニアリングサービスを主に行っております。エンジニアリングサービスが大きく伸長したことから、売上高11,525百万円(前年同期比3.4%増)、上記の一時的な自動車向けライセンス収入(ソフトウェア製商品)がないこと、また、研究開発への投資により、セグメント利益808百万円(同11.2%減)となりました。

当セグメントの売上高の内訳としては、ソフトウェア製商品は1,652百万円(前年同期比28.3%減)、エンジニアリングサービス等は9,873百万円(同11.7%増)となりました。

 

(センシングソリューション事業)

当事業は、冷菓・冷凍食品市場、食肉市場及び物流市場において、車載プリンタやハンディターミナルの販売、センサネットワーク関連ビジネスを進めましたが、車載プリンタの販売が前期比で減少し、その結果、売上高603百万円(前年同期比0.2%増)及びセグメント利益6百万円(同81.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16百万円増加し、3,191百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末において営業活動の結果、獲得した資金は229百万円(前年同期に獲得した資金は1,100百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益869百万円の資金増加要因が売上債権の増加額589百万円の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末において投資活動の結果、使用した資金は108百万円(前年同期に使用した資金は29百万円)となりました。これは主に敷金及び保証金の差入れによる支出89百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出86百万円の資金減少要因が、定期預金の払戻による収入92百万円の資金増加要因を上回ったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末において財務活動の結果、使用した資金は111百万円(前年同期に使用した資金は1,287百万円)となりました。これは主に配当金の支払額104百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産及び仕入実績

当連結会計年度における生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

生産高及び仕入高(千円)

前年同期比(%)

組込みソフトウェア事業

10,773,412

102.4

センシングソリューション事業

448,768

124.1

合計

11,222,180

103.1

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、保守売上高に係る生産及び仕入実績は含まれておりません。

 

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

組込みソフトウェア事業

11,006,228

105.5

1,697,651

121.7

センシングソリューション事業

432,972

90.5

48,921

68.8

合計

11,439,200

104.8

1,746,573

119.2

(注)上記の金額には、保守売上高に係る受注高及び受注残高は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

組込みソフトウェア事業

11,525,964

103.5

センシングソリューション事業

603,858

100.2

合計

12,129,822

101.9

(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社デンソー

2,738,271

23.0

1,815,925

15.0

ソニー株式会社

1,599,630

13.4

1,497,308

12.3

本田技研工業株式会社

652,472

5.5

943,946

7.8

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 イ.財政状態の状況」をご参照下さい。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ221百万円増加し、12,129百万円(前年同期比1.9%増)となりました。これは主に、組込みソフトウェア事業において、自動車関連市場向けが増加したことによるものであります。なお、セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 ロ.経営成績の状況」をご参照下さい。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ931百万円増加し、8,432百万円(前年同期比12.4%増)となりました。これは主に、自動車関連市場の売上の増加に伴う外注費等の原価の増加等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の売上総利益は、3,697百万円(同16.1%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ411百万円減少し、2,882百万円(前年同期比12.5%減)となりました。これは主に、研究開発費の減少によるものであります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、815百万円(同26.8%減)となりました。

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ5百万円増加し、56百万円(前年同期比10.1%増)となりました。

当連結会計年度における営業外費用は、前連結会計年度に比べ6百万円増加し、7百万円(同425.7%増)となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、863百万円(同25.7%減)となりました。

(税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、869百万円(前年同期比24.8%減)となりました。

(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における法人税等は、税金等調整前当期純利益が減少したことにより、270百万円(前年同期比3.2%増)となりました。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、598百万円(同33.0%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

当社グループの属する組込みソフトウェア業界は、事業の特性から常に新しい技術が創出され技術革新が早い事業環境にあります。

このような環境の中で、常に環境の変化に適応した革新的な技術やサービスの提供が求められております。従いまして、研究開発投資について継続的に実施していくことが求められ、かつ、投下した研究開発投資等は比較的短期間のうちに成果に結実しなければならないものと認識しており、必然的に資金の循環は早くなるものと考えております。

今後につきましては、引き続き積極的に先行投資的な事業資金を投じていく方針であることから、現状の事業資金は、手元流動性の高い現金及び現金同等物として保持していく方針であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、該当事項はありません。

 

5【重要な契約等】

当社は、2025年8月8日開催の取締役会において、当社を株式交付親会社とし、株式会社KMCホールディングスを株式交付子会社とする株式交付(以下、「本株式交付」といいます。)を行うことを決議し、2025年10月1日付で本株式交付を実施し、全株式を取得しました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、IoT等、コンピュータ技術の著しい進化に追随するため、積極的に研究開発を進めております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は432百万円となっております。

 

(1)組込みソフトウェア事業

当セグメントの研究開発は、主に以下のような技術開発に向けて実施し、432百万円の研究開発費を計上しております。

① AUTOSAR OSの開発

欧州発の車載ソフトウェア規格であるAUTOSAR(Automotive Open System Architecture)規格に準拠した車載向けソフトウェアプラットフォームの開発を行っております。

 

② eMCOS/eMBPの開発

コンピュータの頭脳としてのCPUを複数搭載したコンピュータシステム向けのOSの開発を継続しております。コンピュータの性能向上技術としては、CPUを駆動するための周波数を早くするという手法が今まで一般的でしたが、現在では、複数のCPUを搭載する手法が主流となっており、今後はより多くのCPUが搭載されていくと考えられます。CPUの数が多くなると、新たな設計によるRTOSが必要となりますが、eMCOSはマルチコアからメニーコアまでスケーラブルな対応が可能となるよう設計されたRTOSであります。さらに、RTOS上のアプリケーションと、汎用のOS上のアプリケーションを同時に実行し、両者の統合をはかる技術の開発も進めております。また、マルチコア/メニーコア用の設計ツールeMBPの開発や標準化活動も継続しております。

 

③ 自動車向けAI応用技術eBRADの研究

自動車事故の低減や安全で快適な自動車の実現に、AI技術は不可欠であると考えております。当社では運転者個々の運転行動特性を学習してパーソナルな自動運転の判断モデルを生成するAIフレームワークeBRADの開発を行っております。この技術により、運転者や同乗者に違和感のない挙動と安心感を与えることが可能になると考えております。

 

(2)センシングソリューション事業

該当事項はありません。