当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、労働力人口が減少する時代において、ワークフローのDX化により社会・組織の変革を牽引するワークフローカンパニーです。人に依存した従来型の成長モデルから脱却し、仕組みとAIによる持続的な成長モデルへの転換を推進しております。
日本社会では、労働人口の減少により人材不足が常態化する一方で、企業内部には属人化したオペレーション、手作業、部門間の分断が依然として残存しております。これらは企業成長における品質低下やコスト増加の要因であり、単なる人員増強や個別アプリケーションの導入だけでは根本的な解決に至らないと考えております。当社は、こうした構造的な非効率を是正するために、業務プロセスそのものの「見える化」「標準化」「自動化」が不可欠であると考えております。
近年では、AIやノーコード技術の進化により、これまで人手に頼らざるを得なかった業務の自動化・最適化が現実的な選択肢となりつつあります。当社は、こうした技術革新を取り込み、ワークフローの「見える化」「標準化」「自動化」をさらに高度化することで、AIが業務を自律的に駆動する次のフェーズ(AX(注1)化)へと事業を発展させていく方針です。
私たちは、「事業の成長を人の数で解決しない」という理念のもと、AIと人が協働する新しい働き方を創造し、生産性向上と人間らしい働き方の両立を実現してまいります。
注1:AI Transformationの略。AI(人工知能)技術を活用して、業務プロセス・意思決定・ビジネスモデルを抜本的に変革し、生産性や価値創出のあり方を再定義すること。
(2)経営環境
当社が属する国内のSaaS市場は、DXへの取り組みの拡大を主要因として、年平均成長率(CAGR)10%以上で拡大し続けており(富士キメラ総研『ソフトウェアビジネス新市場 2024年版(2024年7月19日発刊)』)、主力プロダクトである「ferret One」と「formrun」も市場シェアを維持できれば、今後も堅調な成長が見込めると考えております。
また、我が国においては、少子高齢化に伴う労働力人口の減少が不可避の構造的な問題となっております。生産年齢人口は2032年、2043年にはそれぞれ7,000万人、6,000万人を割り、2060年前後には5,000万人を下回る等、今後数十年にわたり縮小が見込まれており、企業における労働生産性の向上は一層重要性を増しております(国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(令和5年』)。
こうした環境下において、単一機能の効率化を目的としたサービスではなく、業務プロセスを見える化・標準化した上で自動化を進め、限られた人材リソースを効率的に活用する仕組みが強く求められてくると当社では考えます。実際に、AIを活用したワークフロー自動化・統合管理の分野の世界的な需要が急速に拡大しており、TechNavio社の2025年7月の調査レポート「AI Workflow Orchestration Market Analysis, Size, and Forecast 2025-2029」によれば、同市場は2024年から2029年にかけて年平均約32%で成長し、約140億米ドルの拡大余地があるとされております。
当社のワークフロー事業は、こうした構造的な社会問題と世界的潮流の双方を背景に、持続的な成長が期待される領域であると考えております。
(3)経営戦略等
当社はこれまで、「ferret One」と「formrun」という2つのプロダクトを中心に事業を拡大してまいりました。今後も、既存事業の成長性・収益性をさらに高めるため、当社の競争上の差別化要因である①事業創出力、②生産性・組織運営力、③顧客基盤、④ナレッジマネジメント力、⑤誰でも扱えるプロダクト開発文化の5つを強化し、継続的な成長を実現してまいります。さらに、成長戦略として、オーガニック成長、コンパウンド戦略、既存大手顧客深耕という3つの柱を掲げ、持続的かつ複合的な成長を推進してまいります。
≪差別化要因≫
1 事業創出力
当社は創業以来、社会課題の変遷に応じて50を超える事業を展開してまいりました。この過程で培った課題起点の事業開発力、ならびに小さく生まれた事業を大きく成長させる組織運営力を強みとしております。これらの知見を活かし、既存事業の高度化だけでなく、AI時代における業務自動化需要の高まりに対応した新規事業開発を継続し、将来の収益基盤を創出してまいります。
2 生産性・組織運営力
当社は自社ワークフローツールおよびAIを活用することにより、社内の業務効率化を継続的に実現してまいりました。社内アンケートでは従業員の100%がAIを活用しており、約70%が自ら業務効率化のための自動ワークフローを構築しております。その結果、直近1年間(2024年12月31日時点から2025年12月31日時点)で一人当たり売上高(注2)は約20%改善しており、高い生産性を維持しております。今後もこの高効率な組織運営を強みに、収益性の向上と安定的な成長を目指します。
3 顧客基盤
当社は「ferret One」「formrun」を中心に、無料を含む累計50万ユーザー超、有料顧客では5,500社超の顧客基盤を保持しております。これらの顧客基盤は、フロントオフィスのデジタル化(DX)から業務自動化(AX)まで幅広く展開するうえで重要な資産であり、既存プロダクトのアップセル(注3)や新規プロダクトとのクロスセル(注4)による成長機会をもたらしております。
4 ナレッジマネジメント力
当社では、現場で得られる知識やノウハウを形式知化し、全社で共有する文化が確立されています。この文化が、生成AIやワークフロー自動化ツールを活用するうえで重要な基盤となり、顧客への価値提供力を高めるだけでなく、当社自身の業務効率化にも寄与しております。今後もナレッジベースの強化を進め、AI活用の高度化を図ってまいります。
5 誰でも扱えるプロダクト開発文化
当社は、日本企業の商習慣や業務特性に適合した「誰でも扱える」プロダクト開発文化を強みとしております。複雑さを排した直感的なUI、国内コンプライアンス要件に対応したセキュリティ設計、稟議・申請・権限管理といった日本特有のワークフローへの適合性を重視し、専門人材を必要とせず現場主導で運用できる点が特徴です。現場の声を迅速に反映する改善プロセスを通じて、使いやすさを実現しており、幅広い企業への普及を支える競争優位となっております。
≪成長戦略≫
当社は、上記要因を基盤として、以下の3つの成長戦略を推進してまいります。
1 オーガニック成長(顧客基盤の強化)
既存チャネルの最適化、新チャネルの開拓、DX文脈の業務効率化ニーズへの対応などにより、安定的な新規顧客獲得を継続してまいります。また、既存プロダクトにおけるAI機能強化や機能拡張を通じてアップセル機会を創出し、MRRの継続的な成長を図ってまいります。
2 コンパウンド戦略(既存顧客への新プロダクト連携提供)
当社は、創業以来50を超える事業を立ち上げてきた新規事業開発力を背景に、AIを活用した自律的なワークフロー自動化(AX化)を推進しております。その第一歩として、新規事業開発力を活かし、導入者自身が業務プロセスを設計できるワークフロー構築ツール「workrun」及び、高度なワークフロー構築が可能なAIプラットフォーム「AIBOW」の正式版の提供を2026年1月に開始しております。さらに、RAG(注5)技術を活用したAIチャットボットツール「askrun」の提供に向けて開発を進めております。これらの新サービス群により、複数ツールや部門をまたぐ業務の統合・自動化を実現し、あらゆる企業がAIと共に自律的に業務を進化させる環境を提供してまいります。
また、当社の強みは、こうした新規プロダクトを「ferret One」「formrun」が形成するフロントオフィスDX基盤と連携させ、複数プロダクトを共通基盤上で統合的に活用できる点にあります。AIが各ツール間のデータを接続し、自律的な判断を加えることで、部門横断のワークフローを一貫して最適化することが可能となります。これにより、顧客企業は業務効率化と成果創出の双方を同時に実現でき、当社としてもクロスセル・アップセルを通じた複合的な成長機会の拡大につながります。
3 既存大手顧客深耕による成長(高単価顧客の創出)
従業員数100名以上の企業の取引数が1,000社規模に到達しており、大企業向けの業務自動化ニーズの高まりを背景に、専任組織を設置し深耕を進めてまいります。2027年以降は、大手企業の業務横断的な課題に対し、AIワークフローを活用した高度な自動化提案を行うことで、高単価顧客の創出を進め、収益基盤をさらに強固なものにしてまいります。
注2:当社では、直近3カ月平均の売上高を、正社員および契約社員の直近3カ月平均の人数で割って算出。従業員一人あたりが創出する売上効率を示す。
注3:顧客に対して、現在利用している商品・サービスよりも上位グレードや高価格帯のプランを提案し、より高い価値提供と売上向上を図る取り組み。
注4:顧客が利用中の商品・サービスと相性の良い関連商材や追加サービスを提案し、顧客価値の拡大と取引額の増加を目指す取り組み。
注5:Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)の略。生成AIが回答を生成する際に、外部データベースやドキュメントから関連情報を検索(Retrieval)し、その情報を参照しながら生成(Generation)する手法で、精度向上・ハルシネーション(もっともらしい嘘)抑制・最新情報の反映を実現する。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は主に「ferret One」、「formrun」をサブスクリプションモデルで提供しているため、毎月経常的に得られる月額利用料の積み上がり状況の指標であるMRR(注1)の拡大を重要な経営指標としております。その達成状況を判断する上で、有料顧客(ユーザー)数、顧客(ユーザー)単価、解約率もモニタリングをしております。
注1:Monthly Recurring Revenueの略で、「月次経常収益」や「月間定期収益」のように、毎月繰り返し得ることのできる月額利用料を指します。formrun及びbookrunの月額利用料については、財務会計上は日次ベースで計上しておりますが、本資料では当該日次計上に関する決算調整前の管理会計上の数値である月額利用料を用いております。
重要な経営指標であるMRRの推移は以下のとおりであります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 提供するサービス、プロダクトの強化
当社が持続的に事業成長を実現するためには、既存サービス・プロダクトの付加価値向上が不可欠であると認識しております。そのため、研究開発や機能改善を継続的に行い、ユーザー体験を高めるとともに、業務効率化や成果最大化に直結するサービス品質の向上に取り組んでまいります。
② 優秀な人材の確保と育成
優秀な人材の確保・育成は、当社の競争力を維持・強化する上で最も重要な経営資源であります。採用にあたっては能力に加え、当社のコンピテンシーやミッション・ビジョンとの親和性を重視し、長期的に活躍できる人材を獲得してまいります。また、教育研修やキャリア開発の機会を拡充し、人材と組織が共に成長できる環境づくりを進めてまいります。
③ 企業認知度・サービスの知名度の向上
当社が提供するサービスの競争力を高めるためには、利便性や品質の向上に加え、サービス及び当社自体の認知度を拡大し、利用者基盤を広げていくことが重要であります。そのため、広告宣伝や広報活動を含むブランディング施策を強化し、顧客の獲得及び人材採用における魅力度向上を図ってまいります。
④ 経営体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、経営の公正性・透明性を確保しつつ、意思決定プロセスの高度化、内部管理体制の整備、事業運営の効率化を推進してまいります。
⑤ 財務上の課題
当社は、2025年12月期において、営業利益・経常利益ともに黒字を計上しており、本書提出日現在において対 処すべき財務上の重要課題はございません。ただし、今後の事業拡大に備えて、更なる内部留保資金の確保等に より、引き続き財務基盤の強化に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は「事業の成長を人の数で解決しない」を掲げるワークフローカンパニーとして、人手に依存する従来型の成長モデルから脱却し、仕組みとAIによる新しい成長モデルへの転換を推進します。「ワークフロー」の視点で業務を見える化・標準化・自動化し、日本社会が直面する本質的な生産性の問題に挑み続けます。事業の成長を人員増に頼らず、プロダクトの力で"働き方の生産性"を変革し、人がより創造的で人らしい仕事に情熱を注げる未来の実現に貢献してまいります。
その実現のために、当社は「
(2)リスク管理
当社は、「リスク管理規程」「コンプライアンス規程」に基づき、常勤取締役及び執行役員で構成されるコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、原則として毎月開催しております。同委員会では当社の事業活動に関連する潜在的なリスクの把握と当該リスクに対する各部門における対応状況について協議及び共有されております。また、重要な議題については、その状況を取締役会に報告することと定めております。
(3)戦略
当社は、サステナビリティに関する取組みを、事業活動に伴うリスクへの対応にとどまらず、中長期的な企業価値の向上につながる機会としても捉えております。特に、人的資本への投資及び情報管理体制の強化は、当社の競争力の向上及び持続的な成長に資する重要な機会であると認識しております。
<人的資本>
当社は、持続的な企業価値の向上を実現していくに当たり、「人材」を競争優位性の源泉の一つとして位置づけ、多様な人材がポテンシャルを発揮できる環境の整備を重要課題としております。性別や年齢、国籍などを問わず、多様性に富んだ優秀な人材の積極的な採用、リモートワークの促進、社内教育・社内研修等に取り組んでおります。引き続き従業員が能力を最大限発揮できる体制を構築し、優秀な人材の採用と併せて、優秀な人材の育成を進めてまいります。また、多様な人材の活躍を企業の成長につなげていく上では、全従業員へのミッション・ビジョン・バリューの理解・浸透を継続的に行っていくことが必須であり、人材育成上の最重要項目として実践しております。
<情報管理体制の強化>
当社は、顧客が保有する個人情報を含め様々な情報を預かっているため、当該情報管理を継続的に強化し続けることが重要であると考えております。そのため、外部の監査機関の監査を受け、ISMS認証を取得するといった対策を行っております。また、情報セキュリティ管理規程等に基づき管理を徹底するだけでなく、社内教育・社内研修の実施やシステムの整備等を継続して行っております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではなく、また、不確実性を内在していることから、実際の結果とは異なる可能性があります。記載された事項以外の予見できないリスクも存在いたします。このようなリスクが現実化した場合には、当社の事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、リスクの発生時期につきましては、合理的に予見することが困難であるため具体的には記載しておりません。
(1)市場環境について(発生可能性:低、影響度:大)
当社が属する国内のSaaS市場は、DXへの取り組みの拡大を主要因として、年平均成長率(CAGR)10%以上で拡大し続けており(富士キメラ総研『ソフトウェアビジネス新市場2024年版(2024年7月19日発刊)』)、主力プロダクトである「ferret One」と「formrun」も市場シェアを維持できれば、今後も堅調な成長が見込めると考えております。
我が国においては、労働力人口の減少が進行する中で、企業における労働生産性の向上が喫緊の課題となっております。これに伴い、業務プロセスのDXの需要は引き続き拡大しております。当社が主に展開する領域においても、部門ごとに分断されがちな業務プロセスを全体として統合・最適化する「業務プロセス全体のDX」への関心が高まっていると考えます。
このように、市場全体の需要は中長期的な成長が見込まれますが、国内外の経済情勢、企業のIT投資方針の変化、または景気動向の悪化等により、企業のデジタル関連投資やマーケティング支出が抑制される場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社では市場動向を日々注視しながら、適宜当社の経営戦略に織り込み柔軟に対 応できる体制構築に努めてまいります。
(2)競合他社の動向について(発生可能性:低、影響度:大)
当社の主力サービスである「ferret One」及び「formrun」については、それぞれの領域において独自の価値提供を行っており、一定の優位性を有していると認識しております。一方で、同様のサービスを提供する企業は既に存在しており、今後は新規参入の増加を含め、競争環境が一層激化する可能性があります。当社は、サービスの機能強化や利便性の向上、ブランド認知の拡大などを通じて他社との差別化を図る方針ですが、競合企業の営業方針、価格設定、提供する製品・サービス等の変化・強化により、当社が効果的な差別化を行えない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社では競争環境の変化を継続的に把握するとともに、顧客ニーズを踏まえたサービスの機能改善及び付加価値の向上に取り組み、競争力の維持・強化に努めてまいります。
(3)技術革新について(発生可能性:中、影響度:大)
当社の事業領域は、AIの進化に代表されるように技術革新が極めて早く、顧客ニーズも急速に変化しております。当社の競争優位を維持するためには、これらの変化に即応し、新技術を活用したサービス開発・提供を継続する必要があります。当社では、外部研修を含む人的投資を積極的に行い、技術動向の把握及び実務適用に努めております。しかしながら、開発リソースの制約や新技術の成熟度、法的・制度的な不確実性等により、AI技術の進展への対応が遅れた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に生成AI分野では、著作権や学習データの適法性・透明性、生成物の権利関係などに関する法的整理が進行中であり、将来的な規制強化等により、当社サービスの見直しを迫られる可能性があります。また、AIの出力結果の正確性や信頼性の確保、生成物の不適切利用に伴う信用リスクも存在します。当社では、AIの利用範囲と運用ガイドラインを整備し、顧問弁護士と連携したリスクモニタリング体制を構築することで、これらのリスクの低減を図っております。
(4)システム障害について(発生可能性:中、影響度:大)
当社事業は通信ネットワークやサーバー等のネットワーク機器の作動環境に依存しております。当社が構築しているコンピュータ・システムは、適切なセキュリティや保護手段を講じております。しかしながら、自然災害や不正アクセス、電力供給の制約又は停止等によって通信ネットワークの切断やネットワーク機器の障害が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定サービスへの依存について(発生可能性:中、影響度:大)
当社の売上高は現在、「ferret One」及び「formrun」という二つの主力プロダクトに大きく依存しております。当社はこれらのプロダクトにおいて、単体機能の強化やUI/UXの改善にとどまらず、フロント領域からバックオフィス領域に至るまでを対象としたワークフロー全体の最適化を実現するプロダクト開発を進めております。顧客の業務プロセス全体を支援する体制を整えることで、対象顧客層の拡大と競争力の向上を図っております。しかしながら、今後、競合サービスとの競争激化等により当該主力サービスの売上高が大幅に減少した場合には、特定サービスへの依存度が高いことから、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)新規プロダクトの開発・市場展開について(発生可能性:中、影響度:中)
当社は2026年1月に新規プロダクトとして導入者自身が業務プロセスを設計できるワークフロー構築ツール「workrun」、高度なワークフロー構築が可能なAIプラットフォーム「AIBOW」をリリースしております。また、AIチャットボットツール「askrun」もリリースに向けて開発を進めております。これらは既存プロダクトと親和性を有しておりますが、必ずしも同じ市場領域に限定されないため、顧客ニーズや需要動向について調査を継続している状況です。開発スケジュールの遅延、機能品質の不足等により、予定どおりのリリースや顧客獲得が進まず、採算性が確保できないなど、新規プロダクト特有の不確実性が存在します。当社は、開発マイルストーンの管理、先行導入や初期導入企業との共創等を通じてリスク低減に努めておりますが、新規プロダクト特有の不確実性を解消できない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法令について(発生可能性:低、影響度:中)
当社は、企業活動に関わる各種法令の規制を受けております。現在のところ、当社事業に対する各種法規制の強化等が行われるという認識はありませんが、顧問弁護士との連携により最新の法改正動向を把握し、外部研修の受講や社内研修の実施を通じて、法令順守体制の強化に努めてまいります。今後国内において新たにプライバシー関連法規の制定やインターネット関連事業者を規制する新たな法律等による法的規制の整備・強化がなされた場合、当社の業務が一部制約を受け、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報セキュリティ及び個人情報等の漏洩について(発生可能性:低、影響度:大)
当社が取得した個人情報については、外部漏洩や不正利用等の防止のため、情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理・保護しております。また、当社のセキュリティ体制として、プライバシーマーク及びISMS(ISO27001)を取得しており、定期的な脆弱性診断を行う等、セキュリティ改善活動を行っております。しかしながら、悪意あるハッキングやコンピューターウィルス等により、当社が保有する個人情報が漏洩、盗用等される可能性を完全に排除することは困難であります。当社が保有する個人情報が漏洩、盗用等されることとなった場合、当社の社会的信用が失われるとともに、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産権について(発生可能性:低、影響度:中)
当社は、当社の提供するサービスが第三者の技術・商標等の知的財産権を侵害しないように留意しており、開発段階において採用したビジネスモデルや技術等については、必要に応じて適切な調査を実施しております。当社は現在まで第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止めの請求を受けたことはありませんが、第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。このような場合、当社に対する訴訟等が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)特定人物への依存について(発生可能性:中、影響度:大)
当社の代表取締役である秋山勝は当社の創業者であり、創業以来代表取締役を務めており、当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社では同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、権限の移譲、人材の育成等体制の整備に努めております。しかしながら、何らかの理由により同人が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)人材の獲得及び育成について(発生可能性:中、影響度:中)
優秀な人材を確保することは当社の継続的な成長に必要不可欠なものと考えております。優れた能力であることはもちろん、当社で掲げているコンピテンシーとの親和性を重視した人材の選考を心がけており、企業文化やミッション・ビジョンを共有し、長期的に勤務できるような組織づくりを目指しております。また、社内の教育制度を強化することで、人材と企業とが共に成長していくことを目指してまいります。しかしながら、人材の育成・獲得が円滑に進まない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社では採用活動の強化及び教育・育成制度の充実を図るとともに、働きやすい職場環境の整備を通じて、人材の定着と能力向上に努めてまいります。
(12)内部管理体制の強化について(発生可能性:低、影響度:低)
当社は、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、適切な事業運営が行えず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社では事業規模や組織体制の変化に応じて、内部管理体制の継続的な見直し及び強化に努めてまいります。
(13)コンプライアンス体制について(発生可能性:低、影響度:中)
当社はコンプライアンス体制の強化に取り組んでいるものの、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社ではコンプライアンス意識の浸透を図るための教育及び体制整備を継続的に実施し、リスクの未然防止に努めてまいります。
(14)税務上の繰越欠損金について(発生可能性:中、影響度:中)
当社は、2025年12月期末時点で、税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておりません。今後当社の業績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合は、課税所得に対して通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課されることとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社では将来の課税負担を見据えつつ、安定的な収益基盤の構築及び財務状況の健全性維持に努めてまいります。
(15)配当政策について(発生可能性:低、影響度:低)
当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要な経営課題と位置づけておりますが、当面の間は内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当することが、株主に対する利益還元につながるものと考えております。将来的には、各事業年度の財政状態及び経営成績を勘案しながら株主に対して配当による利益還元を検討していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(16)ベンチャーキャピタル等の当社株式保有割合について(発生可能性:高、影響度:中)
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は5,903,895株であり、このうちベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下、「VC等」という。)が保有する株式数は548,146株と、当社株式の公募増資前の発行済株式総数に対する割合は9.3%となっております。一般に、VC等が未上場会社の株式を取得する場合、上場後に保有株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであり、当社の株式上場後において、VC等が保有する当社株式の一部または全部を市場にて売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
(17)調達資金の使途について(発生可能性:中、影響度:中)
公募増資による調達資金については、優秀な人材確保のための採用に加えて、積極的な教育・育成等の人員への投資、プロダクト開発への投資、及び広告宣伝費用に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。なお、市場環境の変化等により、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性が発生した場合には、速やかに変更について開示を行う予定であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末比125,276千円増加の1,163,530千円となりました。これは主に、事業活動の進捗に伴い前払費用が36,686千円増加、将来の課税所得の見込みを踏まえ繰延税金資産の回収可能性が高まったと判断したことにより繰延税金資産が82,599千円増加したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末比219,684千円減少の441,824千円となりました。これは主に、返済により長期借入金(1年内返済予定を含む)が255,752千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末比344,961千円増加の721,705千円となりました。これは主に、繰越利益剰余金が当期純利益により344,961千円増加したことによるものです。なお、2025年11月25日開催の臨時株主総会の決議に基づき、その他資本剰余金1,145,286千円を繰越剰余金に振り替え欠損補填を行いましたが、これによる純資産合計に変動はありません。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、個人消費は緩やかな回復基調を維持し、インバウンド需要も引き続き高水準で推移するなど、景気持ち直しの動きがみられました。一方で、米国を中心とした関税政策の継続や国際情勢の不確実性、資源価格の変動等を背景に、インフレ動向や世界的な景気減速リスクが依然として存在し、マクロ経済の先行きには不透明感が残る状況となっております。
また、日本の生産年齢人口(15~64歳)の減少が長期的に続いており、少子高齢化に伴う人手不足の深刻化が社会課題として一層顕在化しております。こうした環境下において、企業は競争力の確保に向けてデジタル化を加速させており、IT技術やAI技術を活用した業務効率化・生産性向上への投資は引き続き拡大しております。その結果、当社が属するソフトウエア業界の社会的役割と重要性はますます高まっております。
当社は創業以来、「問題解決の集団」として、企業がその強みに集中できる環境の実現を目指し、これまで50を超える事業を展開してまいりました。その中でも、マーケティング・営業・カスタマーサクセス等に代表されるフロントオフィス領域は、業務の属人化や情報分断が生じやすい分野であり、業務効率化に対するニーズが継続的に存在しております。
こうした課題認識のもと、当社は「事業の成長を人の数で解決しない」という考えのもと、フロントオフィス領域のDXを支援するプロダクトとして、「ferret One」および「formrun」を主軸に事業を展開しております。「ferret One」はWebサイトを起点としたBtoBマーケティングワークフローツール、「formrun」はフォームを起点に問い合わせ対応や営業活動等の業務を管理・運用するワークフローツールであり、いずれも企業活動における情報入力の起点を担い、取得した情報の管理・活用を支援しております。
ferret Oneにつきましては、営業およびサポート体制の整備や機能拡充を進める中で、既存顧客を中心とした利用範囲の拡大が進み、顧客単価の改善が見られました。formrunにつきましては、主要KPIである有料顧客(ユーザー)数が堅調に推移しており、高い成長を継続しております。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高は2,275,636千円(前期比24.93%増)、営業利益270,468千円(前事業年度は営業損失184,361千円)、経常利益264,652千円(同経常損失196,095千円)、当期純利益344,961千円(同当期純損失162,536千円)となりました。
なお、当社はワークフロー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は586,515千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は232,690千円(前年同期は257,654千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益による増加264,652千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は36,974千円(前年同期は使用なし)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出36,974千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は255,752千円(前年同期は72,777千円の使用)となりました。これは、長期借入金の返済による支出255,752千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりです。なお、当社はワークフロー事業の単一セグメントですが、販売実績を売上のサービス区分別に示すと、次のとおりであります。なお、総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載は省略しております。
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事業の名称 |
前事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
当事業年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) |
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販売高 (千円) |
販売高 (千円) |
前年同期比 (%) |
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サブスクリプション型サービス (注)1 |
1,415,067 |
1,746,746 |
123.44 |
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ソリューション型サービス (注)2 |
406,454 |
528,890 |
130.12 |
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合計 |
1,821,522 |
2,275,636 |
124.93 |
(注)1.クラウドで一定の期間にわたり、継続的に提供するサービス
2.初期導入に係る収益や一時的なスポットのサービス提供
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは繰延税金資産の回収可能性であります。将来の課税所得の見積りには将来売上高の成長率等が主要な仮定に含まれております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
当社の主要サービスは、継続的な収益を獲得することができるものであるため、有料顧客(ユーザー)数及び顧客単価を指標として重視しております。主力プロダクトであるferret One及びformrunは共に新規ユーザーの増加が解約による減少を上回っていることからユーザー数が積み上がっております。この結果、当事業年度の売上高は2,275,636千円(前期比24.93%増)となりました。
(売上原価及び売上総利益)
当事業年度の売上原価は451,110千円(前期比9.97%増)となりました。これは、顧客数の増加に伴い、外注費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は1,824,526千円(前期比29.28%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は1,554,057千円(前期比2.61%減)となりました。これは主に、広告宣伝費及び外注費を中心に費用の削減を行った結果によるものであります。この結果、営業利益は270,468千円(前年同期は営業損失184,361千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当事業年度の営業外収益は8,855千円(前期比120.52%増)、営業外費用は14,671千円(前期比6.84%減)となりました。主な内訳は助成金収入5,000千円(前期比303.23%増)、支払利息10,053千円(前期比34.48%減)となります。この結果、経常利益は264,652千円(前年同期は経常損失196,095千円)となりました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)
当事業年度の法人税等合計額は、繰延税金資産の計上等により△80,309千円となったため、当期純利益は344,961千円(前年同期は当期純損失162,536千円)となりました。
b.財政状態の分析
前述の(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況をご参照ください
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社は、事業運営上、必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社の運転資金需要の主なものは、サーバー利用料、広告宣伝費、人件費等であります。運転資金は自己資金、金融機関からの長期借入を基本としておりますが、必要に応じて株式市場から資金調達する方針であります。当事業年度の借入金の残高は177,600千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は586,515千円となっております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
該当事項はありません。
当事業年度における研究開発活動の金額は、20,060千円であります。
なお、当事業年度において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。