当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、ドローン、空飛ぶクルマといった新しい産業領域で空の産業革命を起こし、世界をリード出来る存在になり、世界で勝負すること、高いハードルを乗り越えリスクに挑戦することが当たり前であった、明治から昭和時代の精神を宿した日本社会を取り戻したいと考えております。
「Unlock “X” Dimensions」(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)をミッションとして、特に、若者をインスパイアし、世界でドローン社会を実現するためのプラットフォームの構築を目指しております。

また、社員の行動指針として、以下4つの「Terra Way」を掲げ、新産業で、世界で勝てる人財の育成支援を進めております。
1 Center Pin & Speed (センターピンとスピード)
2 Ownership & Grit (経営者意識とやりきる力)
3 Inspire & Inspired (インスパイア)
4 Challenge as Global NO.1 (志高く世界へ挑め)

(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、産業課題の解決に向けた機体活用の広がりと、それらを安全に運用するためのインフラ整備の両面において、構造的な拡大局面にあると認識しております。
当社グループの属するドローン業界は、ホビー・レジャー用途主導の草創期を経て、現在は広範な産業分野における社会実装の深化のフェーズへ突入しております。
・需要の拡大と多様化:建設業界における測量・自動マッピングや、農業分野における土壌解析・土地開拓など、実需に基づいた利用が急速に拡大しております。
・地政学リスクとサプライチェーンの再編:世界的な情勢不安を受け、防衛ドローンの重要性が再認識されるとともに、西側諸国を中心に脱中国製品への需要シフトが鮮明となっています。米国では国防権限法(NDAA)に基づく排除が厳格化され、日本国内においてもドローンが「特定重要物資」に指定されるなど、安全保障に立脚した国産機体への転換と公的支援が強力に推進されています。
ドローンソリューションの市場規模(注1)

(注1)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。いずれの年の数値も予測値であり、記載通りに推移することを保証するものではない。
2.ドローンソリューション市場は、ドローンを活用した各種サービスプロバイダーの事業収入(売上)を指し、当社グループのドローンソリューションセグメントも当該事業に所属するものと認識しております。
上述の市場見解により、各国政府はUTM導入の必要性を認識しており、欧州のU-space(注2)規制を筆頭にUTMの実装が各地域で進められております。
・欧州における先行的な法制化:欧州委員会は2023年に“U-Spaceに係る規制2021/664”を施行し、加盟している全27ヵ国にてUTMの実装が必須となりました。これは、ドローン運航を支えるサービスプロバイダーの役割を法的に定義した世界初の包括的枠組みであり、国際的な制度設計のリファレンスとなっています。
・グローバルな標準化の進展:欧州航空安全機関(EASA)等が提唱するUTMの運用ルールは、現在、アジア/中東を含む諸外国においても、ドローン活用の社会実装に向けた標準モデルとして採用・検討が進められています。
UTM市場規模の予測(注3)

(注2)欧州におけるドローンや空飛ぶクルマの運航管理システム
(注3)1.SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」を基に当社作成。グラフは予測値であり、記載通りに推移することを保証するものではない。
2.UTM市場はUTMに関わるソフトウェア・サービス提供企業の事業収入(売上)を指し、当社グループの運航管理セグメントも当該事業に所属するものと認識しております。
今後は、ドローンソリューションビジネスの本格普及に加え、ドローン配送等を中心に、ドローン機体の多頻度・高密度運航の世界的な拡大が期待されています。ドローン以外にも、空飛ぶクルマのOEMは多くの国で型式証明を取得に向けた動きが進んでおり、近い将来商用利用が見込まれています。空飛ぶクルマの世界市場は、2040年までに約1.5兆USDに成長すると予測(注4)されており、ドローンや空飛ぶクルマが飛び交う社会「低空域経済圏」は今後大きく成長していくものと当社グループでは考えています。
(注4)出典:Morgan Stanley, “Are Flying Car Preparing for Takeoff?
http://www.morganstanley.com/ideas/autonomous-aircraft
海外ではeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing)と呼ばれ、電動で飛行するヘリコプターのようなエアモビリティを指します。実現に向けて飛行規制や安全性含め様々な課題が存在しておりますが、米国や欧州を中心に運航開始・拡大に向け進んでいます。具体的には、米国では、ロサンゼルス五輪が開催される2028年に向けてFAA(連邦航空局)が空飛ぶクルマの運航拡大計画を発表しております。(注5) また、英国、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどを始め、多くの国が運航の実現に向けた計画を打ち出しています。
ドローン向けのUTMと密接に関わりがあり当社が注力している領域が、欧州や米国、中東、アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向けのUTM開発となります。既存のドローン向けのUTMは、機能的に空飛ぶクルマの飛行を完全にサポートできる仕様にはなっておらず、空飛ぶクルマ向けの運航管理システムは、より多様で複雑なものに成長すると考えています。
当社グループは、空飛ぶクルマ向けの運航管理技術を備えたプラットフォームの開発を通じて、空飛ぶクルマの産業拡大や社会実装に貢献していくとともに、グローバルにおいて持続可能で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指していきます。
(注5)参考:https://www.faa.gov/sites/faa.gov/files/AAM-I28-Implementation-Plan.pdf
上述した市場環境を踏まえ、当社グループではドローンソリューションセグメントと運航管理セグメントの2つのセグメントを通じて、ドローンソリューションによる産業課題の解決と、UTMの社会実装によるドローンや空飛ぶクルマが飛び交う低空域経済圏の構築を中長期的な事業構想としております。
低空域経済圏を構築し、エアモビリティ領域でのプラットフォーマーとしての立ち位置を確立するため、各セグメントにおいて以下の通り事業に取り組みます。
測量事業においては、サービス、ソフトウェアによる継続的な取引と顧客数の増加を背景に安定的なキャッシュ・フローを獲得しており、既に収益化している領域と認識しています。サウジアラビア等の新興国での事業立ち上げを通じ、中長期的な成長を維持いたします。
点検事業においては、石油タンク等における業界大手企業との継続的な取引をベースとしながら、FPSO案件の獲得、点検業務に特化したハードウェアの販売等を通じて新規顧客を獲得することを目指します。特に2024年に発売を発表した自社開発ハードウェア「Terra Xross 1」は市場からの引き合いが極めて強く、今後数年間の主要な成長ドライバーとなることを見込んでおります。
農業事業:2023年の事業譲受により参入いたしました。足元ではインドネシア子会社における火災事故の影響を慎重に見極めつつ、事業継続を図る方針です。
運航管理セグメントでは、障壁の高い黎明期から事業に参入することで現時点でも大きなプレゼンスを得ており、上述したU-Space規制に準拠したUTMの提供地域の拡大を見込んでいます。欧州で採用された基準がカナダとサウジアラビアのANSPで採用されている背景も鑑み、特に欧州や中東への拡大を見込んでおります。
また、ドローン市場の拡大によってドローンの飛行回数増加が期待されており、飛行回数に応じた従量課金収益も増加していることが考えられます。市場の拡大と提供地域の拡大を背景に、中長期的には加速度的な売上伸長を想定しております。
当社グループは、欧州や米州、中東、アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発に着手することを2024年4月に発表いたしました。
UTMの実装・運用実績が豊富な企業として、その実績を基に複数社が手を組んで空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発を手掛けるのは当社が認識する限り世界初であり、グローバルにおいて持続可能で安全なエコシステムとなる空のインフラの構築を目指し、2030年以降には空飛ぶクルマの航空管制システムの収益をアップサイドとして見込んでいます。
当社グループは、上記「(3) 経営戦略」に記載の経営戦略のもと、成長性及びキャッシュ・フロー創出を把握するために、売上高、営業利益及び調整後営業利益(注)を重要な経営指標と位置付け、各経営課題に取り組んでおります。また、営業利益及び当期純利益については、外部環境変化に対して経営をコントロールするための指標と位置付けるとともに、中長期的な拡大を目指しております。
(注)調整後営業利益
財務会計上の営業利益(GAAP、日本基準)に国内UTM事業に係る補助金収入(営業外収入)を加算したものであり、当グループの経営成績を理解する上で有用な情報と判断しております。国内UTM事業は、今後の本格的な事業立ち上げに向けて開発費が発生している状況にあり、当面は補助金を含めた収益管理の実施が適切であると考えております。
中長期的な経営戦略として、売上・利益の拡大を実現するために、重要課題である以下の項目に取組んでまいります。
① M&Aを活用した積極的な事業推進
当社グループの持続的な業容拡大のために、自立成長だけではなくM&Aによる成長は重要な課題であると考えて
おります。当社は、サービス開始以降、世界各国のドローンに関わるサービス、技術を有する企業を買収し、ノ
ウハウや情報、人脈などを獲得しながら事業拡大してまいりました。現在は測量、点検、農業、運航管理領域を
軸に日本から世界に向けて事業展開しておりますが、ドローンに関わる領域だけでなく、中長期的に産業革命に
繋がり企業価値の向上を目指せる他企業との協業、M&A等多様な戦略を用いて積極的に推進してまいります。ま
た、M&Aに関しては、競合企業を中心にソーシングし案件が具体化した際、デュー・デリジェンス、PMI(M&A後の
統合行為)を重点的に対応しながら着実に成果に結びつくよう取り組んでまいります。段階出資によってリスク
をミニマイズするとともに、ソリューション×地域の総合的な視点で有望なM&Aターゲットを選定し、企業間の技
術シナジー、他地域へのソリューション展開の円滑化など「テラ群戦略」を展開してまいります。
当社グループは、今後も事業領域を広げつつ、各事業の成長を目指していく上で、多様なバックグラウンドを
持つ優秀な人財を採用し続けることが不可欠であると考えております。採用においては優れた専門性のみなら
ず、当社グループの行動指針である「Terra Way」を体現できる人財が組織に大切であると考えており、役職員全
員が感謝の気持ちを忘れず、謙虚で常に学び続ける素養があるかなど、人間性を重視した人財採用を行っており
ます。それらを持ち合わせた優秀な人財を確保するために、人事考課制度の整備・運用及び採用活動の多様化に
努め、当社グループの成長速度に見合った、継続的な採用活動と研修活動を行ってまいります。
当社グループは国内連結子会社2社及び海外連結子会社8社、海外持分法適用会社1社により構成されたグル
ープ企業体制であります。持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の公正性・透明性を確保すると
ともに取締役会及び監査役会による内部統制の強化並びにコーポレートガバナンス・コードの基本原則に沿った
各種施策の実施、取締役会の実効性評価・分析・改善に継続的に取り組んでおります。様々なリスクをコントロ
ールするための内部管理体制の強化を行うとともに、今後も事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施
によるコンプライアンス体制の強化、監査役会による監査等を基軸とするコーポレート・ガバナンス機能の充実
等を図ってまいります。
当連結会計年度の当社グループの売上高は50%成長(前年比)しておりますが、2か年共に当期純損失を計上しております。主な要因は、先行的な体制拡大による販管費増、赤字事業の農業・UTMの通年化が影響し赤字となっており、各事業の成長により今後の黒字化を目指してまいります。
⑤ グローバルプラットフォーマーとしてのリスク
当社グループは、ドローンを通じた低空域経済圏のグローバルプラットフォーマーの実現を目指しており、
現在においても海外連結子会社及び海外持分法適用会社を有しております。国内のみでなく国外においてビジネ
スを展開することで、地政学リスクや為替リスク等、様々な潜在的リスクを抱えております。リスクのヘッジ
手段として、1エリアに子会社を集中させないことによる利益の分散や、段階的なM&Aの実施を行うことなどが
挙げられます。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、ドローン、空飛ぶクルマといった新しい産業領域で空の産業革命を起こし、世界をリード出来る存在になる事によって、世界で勝負すること、高いハードルを乗り越えリスクに挑戦することが当たり前であった明治から昭和時代の精神を宿した日本社会を取り戻すことを目標に掲げております。そして、「Unlock “X” Dimensions」(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)をミッションとして、世界の産業課題に対し持続可能なドローン社会の実現と、企業として持続的に成長することを目指しております。当社グループは、所属社員全員がGlobal Citizenshipの考え方のもと、地球環境とそこに暮らす人びとが持続可能であるために,未来世代も含めたあらゆる人々が,物心両面を豊かに安心して暮らすことができる社会を創りたいと考えております。
また、持続可能な社会の実現と企業として持続的に成長するために、ESGを価値観の軸に置き、社会、環境に配慮し、社会課題を改善する事業を行っております。
具体的には、インフラ建設時の測量作業や維持管理等の点検作業における少子高齢化による業界の人手不足、高所作業による事故発生などの様々な産業課題やニーズを把握し、日本国内外でドローンサービスの提供を行うことによって、安全性の向上や業務効率化を実現しております。また、当社連結子会社であるPT.Terra Drone Indonesia及びTerra Drone Agri SDN. BHD.では、パーム油の原料となるアブラヤシへの農薬散布事業において、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)認証取引先のみへのドローン農薬散布事業を行うことによって、従前まで人権侵害や過酷な労働状況が認められていた産業課題を改善し、業務の効率化や労働時間・負荷の軽減が実現されております。
取締役会はサステナビリティ関連のリスクの減少と収益機会を含む重要事項の決定と業務執行の監督について責任と権限を有しております。事業活動に関わる内容については各事業部の統括責任者が管轄事業に対するリスクの把握や分析を行い、人的資本をはじめ経営全般に亘る内容については経営管理部を主体として各事業部と連携をとりながらリスクをコントロールする体制となっております。
当社グループでは、短期的な事業リスクに加えて,中長期の時間軸で事業環境に変化を及ぼすサステナビリティ関連のリスクについても、当社グループに及ぼす影響を評価し、短期的な事業リスクに落とし込んで管理しております。内部監査担当、コーポレート部門、事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化し、重層的なリスク管理体制の中で管理しております。なお、リスク管理体制の詳細については、「
■人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
・人財戦略の基本的な考え方
当社は、日本発のベンチャー企業が世界で通用することをもう一度証明し世界市場で勝てる会社になることを前提に創業した企業です。現在も東京に本社を置きつつ、世界市場においてトップランカーとなり、持続可能で豊かな未来の実現のために、2030年に向けて売上収益の海外比率を高めてまいります。そのため、当社においては、グローバルに厳しい競争を勝ち抜き、経営目標・事業成長を達成するための、多様な人財基盤を構築することが、人財戦略の要諦になります。
■戦略
・求める人物像
企業Mission“Unlock X Dimension”の具現化と経営戦略の実現に向けて、コアバリューであるTerra Wayを体現し、志高く自己成長によって次の会社の成長に繋げ、新産業で世界を変える人財集団の形成を行いたいと考えております。今後日本市場において少子高齢化や人口減少が進むことや、世界市場におけるローカライズと事業成長を見据え、多国籍な人財の採用と育成を行ってまいります。
・人財育成方針と指標
当社は、グローバルで経営・事業戦略を実現するため、今後、プロダクト開発の強化と、新規事業の創出・M&Aの両輪での事業拡大が不可欠であり、グローバルベースでの人財ポートフォリオを形成していきます。
・目標
具体的には、直近3年において、既存事業の成長のための採用に加え、プロダクト開発の推進・新規事業の創出・M&AとPMIの推進をする人財(次世代経営人財8名、PMIに関わる専門人財7名、エンジニア10名)の育成または採用を計画しています。
その為、人財が成長するための機会として“テラの寺子屋”を提供したいと考えており、具体的には以下の制度方針が必要と考え整備を進めております。
・人財育成に関する取り組み
① 採用制度方針
・国籍を問わない採用で持続的な採用の実現
・採用単価の低減
・予算管理
・採用基準:Terra Wayをベースとした採用基準
・リファラルを通じた専門人財の採用
② 等級制度方針
・Terra Wayと世界を変える人財の育成に向け、等級別のミッション定義の導入、プロコースの導入
・Terra Wayと世界を変える人財の育成に向け、Terra Wayに基づく行動評価、フィードバックによる社員の成長の支援
・期待人財要件(Terra Way、専門スキル、パフォーマンス)に基づく表彰制度
④ 賃金制度方針
・等級別のミッションの遂行とTerra Wayの体現度合いに紐づく昇格を伴った基本給増額と、成果を反映する賞与により、評価制度に連動の上、自社で活躍する人財に報いる賃金制度を設計
⑤ 異動配置制度方針
・国内海外共通の人事制度、研修により、海外全体でタレントマネジメントの実施
・社内公募制度により、グループ間・部門間横断でのキャリアパス提供・人財育成の実施
⑥ 育成制度方針
・将来の経営層・幹部、グローバル人財の候補者をリストアップし育成計画の策定
・国内海外共にTerra Wayをベースとした期待役割から逆算した研修制度の実施
・マネジメント研修・オンボーディング研修
・測量士の資格取得支援制度
⑦ 組織方針
・HRBP機能(注1)の整備による、事業戦略と連動した組織改善のスピードとカルチャー浸透の向上
・カルチャーの浸透(全社総会やリーダーミーティングを通じた浸透Terra WayのOK・NG行動に基づくオンボーディングの実施)
・社員のエンゲージメントを高める施策(サーベイ、半期キックオフ等を通じた相互理解、カルチャー浸透の促進)
(注1)企業における人事機能の一つ。人事機能の中でも特に事業部門の経営者や責任者のパートナーとして事業成長を人と組織の面からサポートする役割を担う。
本書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
事業環境
(1)ドローンの安全性に対する社会的信用について(顕在化可能性:中 影響度:中 発生可能性のある時期:中期)
当社グループに限らず、ドローンに関する重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があります。当社グループでは、事故を起こさないよう、安全性第一に努めておりますが、万が一、当社グループの製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償、リコールによる支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。製品の信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業領域である産業用ドローン市場では、国内外において大きな成長が見込まれております。国内では政府の規制整備やガイドライン整備など積極的な姿勢を受け、2022年12月にはレベル4(無人地帯での目視外飛行)である目視外飛行許可申請のルールが明確化されております。今後も産業用ドローン市場の創出及び拡大が続くものと考えておりますが、今後日本国政府の方針転換などが行われた場合には、当社グループの主要な事業領域の成長が鈍化し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
国外でも同様に各海外子会社拠点国のドローン関連の法令の改正などが行われた場合には、展開事業領域の制限などが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ドローン産業は成長分野であると見做されており、従来他業種であった企業の参入が加速することによる競争激化が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当リスクについては、事業計画をモニタリングし、主に弁護士など専門家を通じた政府方針や関連法令のタイムリーな把握や国内だけに留まらない収益獲得エリアの分散化等によって対応を行っております。
当社グループはグローバル展開しており、海外子会社現地の法令又は法令解釈の変更等により、諸法令で要求される許認可等を新規取得する、または法令等を遵守する体制を構築する場合、追加の人財確保、その他のコンプライアンス関連のコストが必要になることが予想されます。今後の各国法規制の制定・改廃や当局の法令解釈の変更等が、当社グループの事業の範囲、業務遂行に必要となるコストや事業に関するリスクに変更を生じさせ、業績及び事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、予期せぬ自然災害や事故等に備えクラウドシステムの利用などトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループ所在地や拠点、子会社近辺において、大地震等の自然災害等が発生した場合、当社グループ設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生し、当社グループの事業及び業績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の流行によって被害を受けた場合は、販売や購買活動に直接的又は間接的に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは海外子会社各国においては現地通貨で資産・負債を保有しております。当社グループはグローバルで事業を行っており、米ドル及びユーロを中心とする為替レートの変動に伴う影響も受けます。また、当社グループの海外子会社の現地通貨建ての資産・負債等は、当社連結財務諸表作成の際に円換算されるため、財政状態は為替レートの変動による影響を受けます。連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用するレートによっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、為替相場の変動は中長期的には平準化されるものと考え、為替予約等は行っておりません。
(6)サイバー攻撃等による情報セキュリティリスクについて
(顕在化可能性:中 影響度:大 発生可能性のある時期:特定時期なし)
当社グループは、事業運営において情報システムおよびネットワークに大きく依存しており、これらを通じて各種業務の遂行および財務情報の管理を行っております。このため、不正アクセス、マルウェア感染、ランサムウェア攻撃、標的型攻撃メールその他のサイバー攻撃を受けた場合、重要情報の漏えい、データの毀損・改ざん、システム停止等の事態が発生する可能性があります。
このような事態が発生した場合、事業活動の停止や遅延、顧客・取引先への影響、対応コストの発生に加え、情報の信頼性低下や内部統制への影響等により、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報セキュリティ対策の強化、従業員教育および監視体制の整備等に努めておりますが、これらのリスクを完全に排除することはできません。
事業内容
当社は、今後の事業拡大等を目的として、M&Aも事業展開の選択肢として考えております。M&Aの実行前に想定されなかった事象がその実行後に判明あるいは発生した場合や、市場環境の変化等により事業展開が計画どおりに進まない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社はM&Aの実行に際してビジネス・法務・財務等に関する詳細なデュー・デリジェンスを行い、各種リスクの低減に努めるとともに、PMI(M&A後の統合行為)を重点的に対応しながら着実に成果に結びつくよう取り組んでおります。また、段階出資によってリスクをミニマイズするとともに、市場環境の変化については早期の情報収集を行っております。
当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害することのないように弁護士・弁理士等と連携し、啓蒙活動及び社内管理体制を強化しておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社グループが把握できないところで第三者が既に特許・著作権・その他知的財産を保有している可能性は否めません。また、今後当社グループの事業分野において第三者が当社グループより早く特許・著作権・その他知的財産を保護し、損害賠償又は使用差止等の請求を受けた場合は、当社の業績に何らかの影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業分野において、第三者が当社グループより早く特許権・著作権・その他知的財産権が認められ、当社が高額の対価、損害賠償、又は使用差止等の請求を受けた場合や、事業活動を行う中で、当社グループが提供するサービス・システムに不具合・障害が生じた場合や契約不適合が生じた場合など、予期せぬトラブルの発生等により訴訟を提起された場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事実が判明した場合に備え、弁護士・弁理士等と連携し解決に努める体制を整えております。
当社は、ドローン本体と本体に取り付けるレーザを販売しております。予期せぬトラブルにより万が一ドローンが墜落した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なおレーザが起因のトラブルに関しては当社が製造物責任を負うこととなっております。
(11) 外国為替及び外国貿易法について(顕在化可能性:低 影響度:中 発生可能性のある時期:特定時期なし)
当社は、国外へのドローン販売や保有ドローン修理目的の輸出を行っております。関税法上、「輸出」とは内国貨物を外国に向けて送り出すことと定められており、輸出の際の重要なコンプライアンスとして、安全保障貿易管理(所管:経済産業省)があります。安全保障貿易管理制度は、①リスト規制、②キャッチオール規制で構成されており、ドローンは、法令用語では無人航空機となりリスト規制品となります。予期せぬ法令の改正等によりドローンの輸出規制が強化された場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 仕入価格の高騰について(顕在化可能性:中 影響度:中 発生可能性のある時期:中期)
当社グループでは、特定の仕入先からでないと入手できない原材料はありませんが、材料、製品等は輸入品を使用し、為替等の変動によって一時的に当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 海外事業展開について(顕在化可能性:大 影響度:小 発生可能性のある時期:中期)
当社グループでは、海外での事業活動・グローバル展開を成長戦略の軸の一つとして積極的に行い、今後も中長期的な成長の実現を目指してまいります。特定地域への依存を避けることによってリスク低減を図るものの、国際情勢や各国特有の政治経済、売掛金の回収リスク、カントリーリスク等の問題発生によって、当社グループの事業の運営に影響が発生し、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)海外拠点等における事故発生およびそれに伴う財務報告・開示遅延リスクについて
(顕在化可能性:中 影響度:大 発生可能性のある時期:特定時期なし)
当社グループは、海外子会社を含む国内外の複数の拠点において事業活動を展開しております。これらの拠点において、火災、爆発、自然災害、設備事故その他の不測の事態が発生した場合、従業員の安全確保や事業活動の停止・遅延等の影響が生じる可能性があります。また、このような事態が発生した場合には、現地における事実関係の把握や関係当局への対応等に相当の時間を要することがあり、その結果として、決算・財務報告プロセスや監査手続に遅延が生じ、適時開示や有価証券報告書の提出等が期日どおりに行えない可能性があります。
当社グループは、安全管理体制の強化および内部統制の整備・運用に努めておりますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績、財政状態および社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。
組織体制
(15) 事業の拡大に応じた経営管理体制について(顕在化可能性:中 影響度:大 発生可能性のある時期:特定時期なし)
当社グループは、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定ですが、適切な人的・組織的な対応ができずに、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の事業拡大に向けて特に事業経験、技術力の高い人財の確保が必要となりますが、採用が計画どおり進まなかった場合、あるいは事業経験、技術力の高い人財が大量に流出した場合には、事業拡大の制約となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 人財の育成・確保について(顕在化可能性:中 影響度:大 発生可能性のある時期:特定時期なし)
当社グループは今後のさらなる事業拡大に向け、引き続き、人財の採用を積極的に進めていく予定であり、また処遇や勤労環境の改善等に継続的に取り組んでおります。わが国では、経済産業省が公表している「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」にも記載されている通り、国内の人的リソースの不足が見込まれている中、当社グループが、今後、運航管理事業の拡大に向けて十分な人財採用を実現できなかった場合、事業拡大の遅延等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 代表取締役社長の兼任について(顕在化可能性:低 影響度:中 発生可能性のある時期:中期)
当社代表取締役社長である德重徹は、Terra Charge株式会社(以下、TC社)の代表取締役社長を兼任しております。德重徹は、先ず次世代モビリティであるEV産業事業の創出のため2010年4月にTerra Motors株式会社(以下、TM社)を設立しましたが、同社の新規事業として開始したドローン事業をスピンアウトして当社を設立した経緯があります。その後TM社は、2024年2月に会社分割し、TM社の社名をTC社に変更しております。(会社分割により新設された会社がTM社の社名を継承しておりますが、德重徹は同社の役員に就いておりません)。TC社の代表取締役社長として業務を行っているため、業務時間や勤務場所の面でTC社にも割振りされる格好になりますが、基本的に当社での業務執行に高めの比重を充てております。なお、TC社における、德重徹の主な役割や業務内容等は以下の通りです。
①「EV充電事業」という新規事業の拡大・強化(販路開拓等)において、会社の顔として高い知名度と強い牽引力を持って事業を推進しております。
② ステークホルダーに対する信用力や責任性の訴求等、大手企業からの出資や融資を受ける事案等の重要局面に
あたっては、会社を代表する德重徹の信用力によって実現しております。
③ メディアや講演においても、代表者としての露出によって、企業価値の向上を行っていると考えており、社外
取締役の招聘や人財の採用においても、德重徹が代表している事が奏功しております。
TC社の代表取締役社長を德重徹が兼任していることに伴い、兼務の状況に関するモニタリング体制等は以下の通りです。
利益相反に係る意思決定は全て取締役会決議を行っており、当該決議に際しては、德重徹を除いた取締役4
名(うち社外取締役2名)によって意思決定を行うことにより、利益相反を防止する体制を構築しておりま
す。また、監査役監査において利益相反に係る事項をモニタリングする体制を構築しています。TC社と当社
は、德重徹が代表取締役社長を務めることを除いて現状TC社からも当社からも出資の状況はなく、事業取引
面、資金面、人員面等における関係は全く有しておらず、TC社との間で利益相反事項が生じる可能性は低いと
考えております。
当社では、業務分掌体制や業務執行を担う幹部陣等への権限委譲を適切に推し進めることで組織的な企業運
営体制を構築しており、TC社でも同様の体制を構築している旨確認しております。その結果、両社の代表取締
役社長固有の業務(取締役会出席、稟議決裁、投資家対応等)に与える影響は限定的であり、従前より德重徹
は代表取締役社長としての職務執行が十分に可能な状態にあります。また、今後も優秀な幹部人財の採用等に
より同様の体制を維持・継続していく方針です。しかしながら、優秀な幹部人財の維持・確保が想定どおりに
行えない等、現状の体制が維持できないような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可
能性があります。
(c) モニタリングの具体的なチェック項目
当社では、上記(a)や(b)の確認・検証を含めて、任意の指名・報酬委員会を設置し、「代表取締役社長兼務
体制に対するモニタリングのガイドライン」を定め、基本的に四半期に一度、また必要に応じて更にその頻度
を高める建付けで、兼務の状況についてモニタリングを行い、懸念・問題事項が発生した場合、速やかに委員
会を開催し、要改善を代表取締役社長へ提言する運用としております。また、次回委員会開催時に代表取締役
社長の活動状況に改善が見られなかった場合、指名・報酬委員会委員である独立社外取締役より、他社兼務体
制を解消すべき旨を代表取締役社長へ通知する事としております。
(18) 「Terra(テラ)」について(顕在化可能性:低 影響度:中 発生可能性のある時期:特定時期なし)
当社はTerra(テラ)を社名の冠に付しており、「テラ」の音や綴りは、德重徹がファウンダであるTerra Motors社、代表取締役社長であるTerra Charge社等と同じになります。当社事業は、各社と領域が異なり「テラグループ」の表現などを使用せず各社ともロゴを分け、Terra Motors社に関しては德重徹は経営に関与しておりません。万が一、Terra Motors社、Terra Charge社に起因して生じた財務内容、信用状況、業績等に関するマイナスイメージ等が発生した際、当社も同一視された場合には、レピュテーションリスクが生じるおそれがあります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 特定人物への依存について(顕在化可能性:中 影響度:中 発生可能性のある時期:中期)
当社の代表取締役である德重徹は、新規事業の推進や経営戦略の全般についての役割を担っております。具体的には、大手企業との業務提携や新規先との契約締結、また出資や融資を受ける事案等、重要局面にあたり会社を代表する德重徹の信用力や、メディアや講演における代表者としての露出による企業価値の向上、人財採用において、德重徹が代表取締役である事が奏功しております。その一方で当社は、特定の人物に依存しない体制を構築すべく、創業当時から、代表の德重徹から業務執行取締役2名及び執行役員らに対して裁量と責任が与えられ、確りと権限委譲がなされております。また、経営戦略の実行については、関係会社(子会社・関連会社)各社の経営陣に権限を委譲するなど組織体制の強化を図り、德重徹に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により德重徹の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 情報漏洩について(顕在化可能性:低 影響度:中 発生可能性のある時期:中期)
当社グループは、顧客や取引先に関する機密情報及び個人情報を有しております。これらの情報を守ることを重大な社会的責務と認識し、情報の適切な取扱い・管理・保護・維持に努めております。しかしながら、万が一、情報漏洩等の問題が発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償責任のために多額の費用負担が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについて、当社はISMS認証(ISO27001)を取得しており、情報セキュリティ体制の構築を図っております。
財務その他
(21) 固定資産の減損について(顕在化可能性:中 影響度:中 発生可能性のある時期:中期)
当社グループは、固定資産の時価が著しく低下した場合や事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会
計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能
性があります。
(22) 新株予約権行使による株式の希薄化について(顕在化可能性:大 影響度:小 発生可能性のある時期:短期)
当社グループでは、取締役、従業員等のインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は1,142,200株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計10,887,500株の10.49%に相当します。また今後においてもストック・オプション制度を活用していくことも考えられ、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
(23) M&Aに伴うのれんの減損に関するリスクについて(顕在化可能性:大 影響度:小 発生可能性のある時期:中期)
当社グループでは、事業規模の更なる拡大と機動性の確保を目指して、海外を含む将来性のある企業を積極的に買収し中長期的な成長の実現を目指してまいります。各国経営陣の判断により今後の成長が大きく期待できる企業を買収の対象とすることでリスク低減を図っているものの、黎明期市場の企業を買収することによるのれんの減損が当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(24) 配当政策について(顕在化可能性:中 影響度:小 発生可能性のある時期:中期)
当社グループは、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、設立以来、当事業年度を含め配当は実施しておりません。しかし、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく方針であります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
2026年1月期連結会計年度における流動資産は、4,625,792千円となり、前連結会計年度末に比べ1,559,744千円減少いたしました。主な変動要因は、現金及び預金2,126,630千円の減少、売掛金及び契約資産563,037千円の増加であります。固定資産は2,309,175千円となり、前連結会計年度末に比べ435,949千円減少いたしました。主な変動要因は、投資有価証券435,701千円の減少によるものです。
2026年1月期連結会計年度における流動負債は、1,691,374千円となり、前連結会計年度末に比べ516,145千円増加いたしました。主な変動要因は、買掛金及び契約負債166,361千円の増加、火災関連損失引当金233,271千円の増加であります。固定負債は234,971千円となり、前連結会計年度末に比べ375,481千円減少いたしました。主な変動要因は、長期借入金430,566千円の減少によるものです。
2026年1月期連結会計年度における純資産は、5,008,622千円となり、前連結会計年度末に比べ2,136,358千円減少しました。主な変動要因は、利益剰余金2,497,915千円の減少によるものです。
各セグメントの売上高の推移は下記のとおりになっております。
当連結会計年度(2025年2月1日~2026年1月31日)におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続くものの、円安の進行による輸入物価上昇や食料・光熱費を中心とした生活必需品価格の高騰が個人消費に下押し圧力を及ぼしています。また、米国における関税政策の影響、中国経済の成長鈍化、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の不安定化など、地政学リスクが引き続き国際経済の先行きを不透明にしています。特にロシア・ウクライナ戦争の継続により、戦争を含む様々な分野でドローン技術の活用が拡大しており、産業用ドローンへの関心や需要の高まりにも影響しています。
こうした状況の中、世界のドローン市場は物流、インフラ点検、農業などの分野で実用化が進み、商用・産業用ドローンの需要拡大が続いております。一方で、安全規制や飛行許可手続きの複雑化、米国関税による部品コスト上昇などが業界の成長に一定の制約を与えています。
このような経営環境の中、当社グループは、継続する世界経済の不透明感や地政学リスクに対応しつつ、ドローン技術の社会実装と事業基盤の強化に向けた取り組みを積極的に推進し測量分野においても進展がありました。
国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に、SLAM技術(注1)を用いた高精度ハンディ型レーザスキャナ「Terra SLAM RTK」が登録され、公共工事における新技術採用が促進されました。国内では「国際建設・測量展(CSPI‑EXPO2025)」への出展を通じ、屋内点検用ドローンや3次元点群データを活用したBIM/CIM(注2)対応ソリューションを紹介し、建設・測量市場における当社技術の価値を広く発信しました。また、社会インフラ点検分野においては、海外での実証・実装を着実に拡大しました。サウジアラビアではCCTV(注3)搭載のドローンを活用した下水道管内点検を実施し、従来の方法では困難であった状況下でもリアルタイムでの安全かつ効率的な点検を可能としました。また、プラント・インフラ向け点検会社とのMOU締結や、FPSO(注4)向け油槽内部点検の技術協力を通じて、商用運用に向けた体制整備を進めました。
次に、地域社会や業界との共創活動も積極的に展開しました。インドネシアでは現地パートナーとの連携により航空・観光インフラの安全管理支援を実施するとともに、教育機関との連携による次世代ドローン技術者育成にも取り組みました。さらに、当社の取り組みは社会的にも高く評価されました。
2025年8月に開催された「日本スタートアップ大賞2025」において、国土交通分野での先進的なドローン事業が評価され、国土交通大臣賞を受賞しました。測量・インフラ点検・農業ソリューションや運航管理システム(UTM)の社会的意義が認められたもので、当社事業の信頼性とブランド価値の向上につながっています。
一方で、事業運営上の重要な出来事として、2025年12月にインドネシア子会社で火災事故が発生しました。従業員の尊い命が失われ、一部設備や在庫にも被害が生じました。グループとしては被災者・ご遺族への支援、事故原因の調査、再発防止策の検討を迅速に行い、今後も安全確保とリスク管理体制の強化に努めてまいります。
このような取り組み・実績を通じ、当社グループは産業用ドローンを活用した社会課題解決を目指す「ドローンソリューションセグメント」と、ドローン運航管理システム(UTMプラットフォーム)による空のインフラ整備を推進する「運航管理セグメント」の2つのセグメントで構成され、各事業活動の成果や技術基盤の強化につなげています。
(ドローンソリューションセグメント)
当連結会計年度における当セグメントの業績は、2025年12月15日に適時開示した業績予想を上回る結果となりました。事業別の状況は以下のとおりです。
測量/災害復旧事業は、主に国内事業において、自治体によるハードウェア購入者への補助金支給が縮小したこと等が響き、売上高は前期を下回りました。
点検事業は、主力の点検サービスは堅調に推移いたしました。一方、自社開発の屋内点検用国産ドローン「Terra Xross 1」については、第2四半期から本格的な納品を開始いたしましたが、安定的な量産体制の構築に想定以上の期間を要しており、売上寄与は限定的となりました。
農業事業は、第1四半期は市況要因の影響により低調に推移しておりましたが、需要は徐々に回復し、第3四半期では前期を上回る結果となりました。また、第4四半期は2025年12月に発生した火災事故の影響による低迷を懸念しておりましたが、事故後のオペレーションが想定より円滑に進捗したため、予想を上回る着地となりました。
また、セグメント全体として、売上総利益は、測量/災害復旧事業の低調に加え、点検事業(オランダ子会社)における一部費用の販管費から売上原価への振り替え等が発生したことにより、前期比で減少いたしました。販売費及び一般管理費についても、体制拡大やM&Aに伴う販売費及び一般管理費の増加が発生しております。
以上の結果、当セグメントの売上高は4,162百万円、セグメント損失は434百万円となりました。
(運航管理セグメント)
当連結会計年度における当セグメントの業績は、2025年12月15日に開示した業績予想の範囲内に着地いたしました。
国内においては、前連結会計年度に続き、経済産業省による「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」で2件のプロジェクトが採択されました。また、開発案件の落札・受注もあり、売上高は前期を上回りました。
また、Unifly NVでは、2025年4月に欧州を中心にドローンの規制・安全・飛行前の許可承認の取得に関するアドバイザリー業務を行うEuroUSC Italia S.r.l.を連結子会社化いたしました。これにより、ドローン飛行における運航前のリスク評価から運航管理までを一気通貫で支援する統合プラットフォームの構築を目指しております。業績としては、業績計上の時期ずれの影響に加え、前期比での円安・ユーロ高の進行に伴う為替影響により、日本円換算時の損失額が拡大しております。
以上の結果、当セグメントの売上高は619百万円、セグメント損失は709百万円となりました。
上記の結果、当連結会計年度における売上高は4,782百万円、売上総利益は2,312百万円、営業損失は1,143百万円、経常損失は1,284百万円、税金等調整前当期純損失は2,823百万円となりました。法人税等合計が28百万円、非支配株主に帰属する当期純損失が344百万円となったため、親会社株主に帰属する当期純損失は2,497百万円となりました。
(注1)SLAM技術(Simultaneous Localization and Mapping):「自己位置推定(Localization)」と「環境地図作成(Mapping)」を同時に行う技術
(注2)BIM(Building Information Modeling)CIM(Construction Information Modeling / Management):
設計・施工・維持管理までを3次元モデルで一元管理する考え方・仕組み
(注3)Closed-Circuit Television(閉回路テレビ):特定の場所だけで映像を送受信する監視カメラシステム
(注4)Floating Production, Storage and Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,357,000千円減少し、1,788,633千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、716,459千円の減少となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失△2,823,642千円、売上債権の増加△265,031千円、棚卸資産の増加△255,717千円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,717,926千円の減少となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出△302,937千円、有形固定資産の取得による支出△875,912千円、エスクロー口座への振替による支出△331,023千円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,549千円の増加となりました。主な要因は、株式の発行による収入616,981千円、長期借入金の返済による支出△560,512千円、短期借入金の返済による支出△16,616千円であります。
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当社グループセグメント別の販売実績は以下のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
経営成績に特に重要な影響を与える要因については、以下のとおりであります。
当社グループに限らず、ドローンに関する重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があります。当社グループでは、事故を起こさないよう、安全性第一のドローンの実現に努めておりますが、万が一、当社グループの製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償、リコールによる支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。製品の信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症について、政府による緊急事態宣言の発令等により経済活動が抑制される状況は、今後減少していくものと予想しておりますが、当社従業員や顧客先、取引先において、一時的な新型コロナウイルス感染症の蔓延等により、事業活動の低下、サプライチェーンなどに影響が生じることも考えられ、影響の度合いによっては、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、世界的な半導体不足による、部材の供給の遅れや価格の高騰については、当社の機体生産に影響を与えており、今後も半導体を始めとする部材の供給不足や価格高等が継続する場合には、用途特化型機体の量産等及び当社の研究開発活動に影響を与え当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
その他経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金等により充当することとしております。
なお、当社グループの資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
当社グループは、ドローン、空飛ぶクルマといった新しい産業領域で空の産業革命を起こし、世界をリード出来る存在になりたいと考えており、世界で勝負すること、高いハードルを乗り越えリスクに挑戦することが当たり前であった、明治から昭和時代の精神を宿した日本社会を取り戻したいと考えております。
「Unlock “X” Dimensions」(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)をミッションとして、特に、若者をインスパイアし、世界でドローン社会を実現するためのプラットフォームの構築を目指しております。
この基本方針を踏まえ、ドローン機体の販売拡大及びシステムインテグレーション、ソリューション構築を通じたドローン機体の利用拡大による売上高の拡大を企図しております。経営者は、事業を拡大し、継続的な成長を実現するために様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、それらの課題に対応するため、常に事業環境についての情報を入手し、戦略の策定、顧客ニーズの把握、製品力の強化、企業規模の拡大に応じた内部管理体制・組織の整備を進め、企業価値のさらなる向上を目指して取り組んでおります。
なお、経営者の問題認識と今後の方針についての具体的な内容は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、成長性及びキャッシュ・フロー創出を把握するために、売上高、営業利益及び調整後営業利益(注1)を重要な経営指標と位置づけております。
各指標の推移は以下のとおりであります。
(注) 1.調整後営業利益
財務会計上の営業利益(GAAP、日本基準)に国内UTM事業に係る補助金収入(営業外収入)を加算したものであり、当グループの経営成績を理解する上で有用な情報と判断しております。国内UTM事業は、今後の本格的な事業立ち上げに向けて開発費が発生している状況にあり、当面は補助金を含めた収益管理の実施が適切であると考えております。
当社は、企業・株主間のガバナンスに関する合意及び株主保有株式の処分・買増し等に関する合意に該当する事項はありません。また、ローン契約及び社債に付される財務上の特約のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼすものもありません。
第10期連結会計年度の研究開発費の総額は
セグメント別の研究開発内容は以下のとおりになります。
主に、PT. Terra Drone Indonesiaでの研究開発活動となり総額は
PT. Terra Drone Indonesiaでは、ドローンハードウェア並びにドローン関連ソフトウェアの研究開発を行っております。具体的には、インドネシア国内の特定の地形の測量に対応しうるドローン及びドローン部品の改良に対する研究開発やデータ解析目的でのソフトウェア開発等が該当致します。
主に、Unifly NVでの研究開発活動であります。
Unifly NVで開発を行ったUTMシステムを各国の航空局が対応可能なものにコンフィグレーションを行っております。具体的には、国ごとに制定されているドローン規制の改定に応じたソフトウェアの更新や言語の変更など著しい改良を行う為の研究開発並びに製品開発活動が該当致します。
なお、当期連結会計年度では研究開発費の計上はありません。