世界の二次電池市場は、EV需要の一時的な減速によりEV向け電池の成長ペースはやや鈍化していますが、定置用蓄電池(ESS)など別用途への展開が期待されています。日本でも、車載用蓄電池の国内製造能力について、早期に100GWh規模を目指す方針が示されており、本格的な設備投資が計画されています。今後もEVの普及は着実に進んでいくものとみられており、再生エネルギーの拡大とともに市場は成長が続く見通しです。このような事業環境の中で事業を成長させていくには、事業規模を拡大させ企業価値を極大化していくことが投資家の皆様のご期待に応えるために重要なことであると考え、当社価値の指標をROIC(投下資本利益率)で示し、当社の付加価値について投資家様とのエンゲージメントに活用していくこととしています。
この目標を達成するために、当社グループでは以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の重要課題として取り組んでまいります。
1.事業上の対処すべき課題
① 顧客・製品の多様化
当社グループは、これまで限られた大手顧客からの受注が大きかったため、設備投資を積極的に行い、生産能力を振り向けざるを得ない状況が続いてきました。しかし、これまでの事業環境が大きく変化し需要の低迷が続いている状況にあり、顧客やアプリケーションの多様化が業績回復の最も重要な課題と位置付けています。
② 財政基盤の強化
当社グループは、メンブレン技術の研究開発を進化させることで事業を継続してまいりました。そのために、これからも多くの時間や多額の設備投資や研究開発投資が必要不可欠です。現在、当社グループの主要事業は厳しい環境に置かれていますが、将来の成長を確実なものにしていくため、長期的な視野に立ってこれらの投資が継続できるよう、財務基盤の強化に取り組んでまいります。
③ 生産性の向上
当社グループは、競争力を確保するために生産性の向上に取り組んでいます。特に製造コストで大きな割合を占める生産設備の改良や革新を通して製造コストを抑えることが、業績を回復させるための重要課題と位置付けています。
④ 株式上場維持
当社は、2026年1月期末を基準日とした事業年度の末日以前3か月間の流通株式時価総額が、9,506百万円となり、プライム市場の上場維持基準である10,000百万円を下回りました。そのため、2027年1月期は改善経過措置期間となりましたので、2026年4月10日に「上場維持基準への適合に向けた計画」を開示いたしました。
また、この経過措置期間は原則として1年間であり、2027年1月期末を基準日とした事業年度の末日以前3か月間の流通株式時価総額が10,000百万円を下回った場合は上場廃止となりますので、株式上場を確実に維持していくために、スタンダード市場への市場区分の変更もできるよう検討を進めてまいります。
⑤ 持続可能な成長に向けた取り組み
当社グループは、メンブレン技術を通して環境保全に役立つ製品を生み出し、社会に貢献していくことを経営理念としています。また、持続可能な成長のため、工場設備の省エネ化、廃棄物の管理及び従業員の労働環境などでもESG経営を推進しています。今後もこれらの取り組みは経営の重要課題として、一層配慮した会社経営を続けてまいります。
2.財務上の対処すべき課題
当社グループは、売上高の著しい減少及び継続的かつ重要な営業損失の計上により、当連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。
しかしながら、当社グループの資金面においては、当連結会計年度に営業活動によるキャッシュ・フローのプラスを計上しており、また、当連結会計年度末の手元資金の確保状況、今後の収支推移見込み、金融機関からの資金調達計画及びハンガリー政府からの補助金の受領の目途が立ったこと等を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
なお、当社は、新規顧客とのハイエンド車載用電池向けやESS案件の量産販売の準備を進めております。また、連結子会社であるWSKは、イオン交換膜事業における顧客との一部新規契約を締結し、来期以降においても新規契約及び既存交換需要を見込んでおります。さらに、セパレータ事業においても関連会社であるWCPの主要顧客であるSamsung SDI社との現状の協議においては2027年1月期第4四半期以降からの需要の回復を見込んでおります。
当社グループは、環境保全と社会貢献を経営理念とし、当社のメンブレン技術が環境にやさしく、社会に貢献していく製品を生み出していくことを事業の柱としています。また、生産拠点を世界に展開するうえで、グローバル社会の持続可能な成長は、当社の成長においても一層重要であると捉え、管理面においてESG経営への取り組みを促進していくことが必要不可欠であると認識しています。
そのため、まず生産拠点にESG委員会を設置し、ESG委員会を通じて、当社グループ全体のサステナビリティへの取組みを強化していきます。また、それに合わせ、グループ内でESGに関する啓蒙活動、グループ間での情報共有及び情報発信などを促進していくこととしています。
この方針のもと、以下のとおり、それぞれ具体的な取り組みを行っています。
当社グループは海外で二次電池用部材の製造、販売及び研究開発を行っています。そのため、製造拠点のある国ごとにESGマネジメントを行い、日本本社に報告する体制をとっています。そして、各拠点の取締役会、代表取締役、専任部署及びコワーキンググループが各役割を担っています。
取締役会は、ESGの視点を企業の意思決定に統合し、持続的な成長を達成するため、ESG委員会を設置し運営しています。ESG委員会は、ESG経営の基本方針・戦略の策定、中長期目標の設定、計画の実施状況の追跡、重大なリスクへの対応などを統括しています。ESG委員会の業務と決議は四半期ごとに取締役会に報告され、特定の問題について専門的な意見が必要な場合には、外部の専門家に相談するための規定が設けられています。
代表取締役は、専任部署が中心となって行うESGマネジメントの活動を管理監督する責任を負っています。また、事業運営に大きな影響を及ぼすと予想されるESG関連事案が生じた場合には、その事案を解決のために取締役会への議案提案などを行う役割を担っています。
各拠点の人事部門は、ESGの専任部署としてESGの推進に重要な役割を果たし、ESG活動の全般を統括しています。人事部門は各業務部門と協力し、温室効果ガス、エネルギー、人権、サプライチェーンなどの重要なESG課題に関連する潜在的リスクを低減するとともに、成果の追跡・管理しています。
コワーキンググループは、生産、品質、設備技術、環境・安全、研究開発、管理など各部門からの代表者で構成され、人事部門と連携してマテリアリティ評価やリスク管理の過程で生じる様々なサステナビリティに関するイニシアティブを担います。そして、事業活動から生じるこれら重大なESG課題は、部門間の連携を通じて解決され、この活動や成果は定期的にESG委員会に報告されます。
(1) 成長戦略
当社グループは環境保全を経営方針の一つに掲げて、保有しているメンブレンフィルム技術を生かして、エネルギー分野、環境分野、医療分野等に対して、環境保全に貢献できる製品の製造開発を進めています。現在は、リチウムイオン電池素材であるセパレータ(分離膜)とイオン交換膜を製品化しております。特にイオン交換膜の応用範囲が多岐にわたるため、イオン交換膜による水処理、グリーン水素、水素モビリティ、エネルギー貯蔵の分野で役立つ製品を提供していきます。
(2) 環境戦略
当社グループは、自然環境及び事業環境でのリスクを評価・特定し、環境への親和性を高めるための企業経営活性化、環境汚染予防及び継続的改善活動の推進、環境に優しい資源の使用及び資源リサイクルの向上、環境法規遵守及び環境基準の履行を環境方針と定めています。そして、水資源、大気、廃棄物、有害化学物質などによる環境的影響を最小限に抑え、気候変動およびカーボンニュートラルへの対応を図っています。そのため、製品全過程環境評価(LCA)を通じて、生産過程で生じる影響を把握・管理していくための改善を進めています。また、エネルギー効率を最大化することによってエネルギー使用量を改善し、社会と環境に貢献していくこととしています。
3.人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
(1)人事方針
当社グループは、コミュニケーション、オーナーシップ、チャレンジの3つのコアバリューを設定しています。このような資質は、変化の激しい環境下で会社が成長し成功するためには、社員にとって不可欠なものであると考え、このビジョンに沿って、これらの価値観を具現化する従業員を雇用し、育成するための戦略的な採用プロセスとトレーニングプログラムを運用しています。
(2)目標管理(MBO)
当社グループでは、年間事業計画や戦略的タスクをもとに、社員の定量的・定性的な目標を設定し、定期的に結果を評価しています。これらの目標は、さまざまな組織レベルでの相互作用を通じて設定され、内外の変化に応じて柔軟に調整されます。評価結果は、マテリアル・リターン、ジョブ・ローテーション、メンタリング、コーチングなどで生かされます。
(3)人材開発
当社グループでは、新入社員が新しい環境や役割に適応できるよう支援するための体系的な研修プログラムを支援しています。トレーニングでは、セパレータのプロセスや品質管理のほか、コミュニケーションや職場の安全などの必須スキルも含まれています。階層別リーダーシップ研修では、各職務レベルに応じて必要なコンピテンシーに合わせたリーダーシップ研修を実施しています。アシスタント・レベルまでの社員に対しては、役割認識、フォロワーシップ、報告スキル、紛争管理、ビジネスマナーなどの研修を実施しています。さらに、管理職以上の従業員に対しては、チームのリーダーシップ戦略、労務管理、組織の了解事項、従業員管理を対象とした戦略的・実践的なリーダーシップ研修を行っています。職務能力強化研修では、社員がそれぞれの役割に必要な知識・スキルを身につけるための研修を実施しています。セパレータの生産工程、品質向上、設備検証などの業務に関連した研修プログラムを通じて、事業への理解と専門性の強化を図っており、二次電池、蒸気技術、製品ライフサイクルマネジメント、製品開発・設計、新製品開発プロセス効率など、様々な分野で実践的な講演や演習を行いました。
(4)社内環境整備
当社グループでは、安全な職場環境をつくるために以下の安全衛生方針を定めています。
1.労働者の安全と健康を促進し、安全事故を防止します。
職場におけるあらゆる有害要因と危険要因を根源から排除し、従業員の生活の質を向上させます。
2.コミュニティ意識に基づいた健全経営を最優先します。
管理者は安全に対する結果責任を負い、すべての従業員は安全規則遵守を義務づけます。
3.安全衛生規則を遵守し、その有効性を定期的に監視することにより安全性を確保します。
安全方針の有効性を検証するために、安全衛生関連の法令を定期的に監視・見直します。
4.研修を通じて、自主的な安全管理システムと社内教育文化を確立します。
継続的な安全衛生教育を通じて、組織能力と安全意識を高めます。
この方針のもと、リスクアセスメント、改善分野の特定、是正処置のための予算配分、有害・有害要因を排除する活動、進捗状況のモニタリング、有効性の検証が含まれ、その後最高経営責任者によるレビューの体制を構築しています。また、安全事故の未然防止、危険予知、安全衛生管理などの活動を含む安全衛生マネジメントシステムについて、独立した第三者機関からISO 45001の認証を取得しています。
当社グループは、製造拠点のある韓国政府等から提供されるデータに基づき、製造活動等に影響を与える気候変動に関連する物理的リスク要因を特定しています。重大な物理的リスクとしては、大雨、台風、極端な気象現象、山火事、オゾン層破壊、感染症の拡大などが挙げられます。当社グループでは、これらのリスクによる潜在的な事業活動へのダメージを最小限に抑えるための対策を模索しました。また、物理的なリスクに加え、気候変動に関連する政策変更や市場動向が自社の事業活動に与える影響を精査しました。気候関連の規制、政策、業界の動向、技術開発、市場需要の変化の影響を分析しています。そして、対応戦略を確立することで、収益、コスト、資産価値の変化など、潜在的な財務的影響を最小限に抑えることを目指しています。一方、各国の温室効果ガス(GHG)排出規制、EUの電池規制、二次電池需要の動向などの主要分野をモニタリングし、製品の研究開発への投資を継続し、その技術力を強化する取り組みを通して、気候変動リスクを効果的に管理し、長期的な事業の安定性を確保していきます。
(リスク特定結果)
当社グループ工場で管理している主要項目及び各年度の実績は、下記のとおりです。
(目標と達成率)
環境マネジメント活動を効果的に推進するため、定量的な目標を設定し、その達成に向けた具体的な計画を策定していくこととしました。また、目標達成状況を追跡・管理し、継続的にモニタリングし、必要に応じて目標達成を確実にするために、速やかに是正措置を講じていきます。
(環境に関する指標一覧)
※関連会社も含むグループ全社の集計値です。
6.人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
当社グループでは、特に工場での災害や事故について、労働環境の安全性を向上させるために、2024年度データから以下のとおり中長期的な安全事故低減目標を設定し、「労働者による自主安全衛生マネジメントシステム」の構築を方針に掲げ、重大労働災害ゼロと設備操作の重大なミスを防止のための管理を行っていきます。
(人材育成・安全衛生に関する指標一覧)
※関連会社も含むグループ全社の集計値です。
また、2022年7月8日に制度改正が行われた女性活躍推進法により、日本本社での人材育成及び社内環境整備に関しては、「男女の賃金の格差」「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」及び「有給取得率」を指標として採用することとしています。当事業年度の実績と目標は以下のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① リチウムイオン二次電池用セパレータへの収益の依存について
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びイオン交換膜の製造・販売を主たる事業としており、当連結会計年度において、持分法適用関連会社であるWCPの売上高を単純合算したセパレータ事業の売上高は当社グループ(単純合算)の売上高の90.7%を占めています。当社グループが開発、製造、販売しているリチウムイオン二次電池用セパレータは国内外のESS(エナジー・ストレージ・システム)、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車(EV)、ハイブリッドカー(HEV)など多様な分野で使用されているリチウムイオン二次電池に利用されております。そのため、経済状況の悪化等を原因とした民生用ポータブル機器や輸送用機器などの需要が縮小した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社について
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータの製造・販売を事業としている企業と競合関係にあります。この業界は、大手企業が市場シェアの大半を占めているため、当社グループは後発企業として、それらの大手企業と競合することになると認識しております。既存競合各社は、概して当社グループより大きな顧客基盤を持ち、当社グループより豊富な財源、技術的資源及び人的資源を有しています。これらの当社グループに対する優位性により、競合他社が技術革新を進め、高性能な新製品を開発・販売した場合、または当社グループの製品よりも安価な製品を提供し、さらに自社製品をより効率的に販売促進した場合などにおいて、当社グループが十分な競争力を発揮できない事態となれば、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新とライフサイクルの短期化について
当社グループは、先端の生産技術を駆使した製品を販売しておりますが、近年、リチウムイオン二次電池産業全体の技術革新が加速化しており、リチウムイオン二次電池部材全体の性能改善が強く求められる傾向があります。当社グループは、今後もリチウムイオン二次電池用セパレータの超薄膜化や耐熱性向上の為の研究開発を強化する方針であります。
しかしながら、当社グループの予測よりも早く技術革新が起こった場合、新製品の販売開始時期が遅れ、また、既存製品が陳腐化することが想定され、その結果、市場での競争力を失い当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 製品の品質にかかるリスク
当社グループでは、高品質の製品を安定して供給する努力を継続しておりますが、設備等の不良や顧客要求の厳格化等により計画通りの品質や稼働率を達成できず、結果として販売単価や生産数量が下落する可能性があります。また、当社グループではIATF16949に基づいて厳格な品質管理を実施し、出荷製品につきましては細心の注意を払っております。しかし出荷製品の不具合により、製品回収や損害賠償、取引の停止等が発生する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 知的財産権について
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びイオン交換膜製造技術に関する特許を保有しており、今後も更なる研究開発を進め、必要に応じて特許を出願する方針であります。しかしながら、当社グループが現在出願している特許及び将来出願する特許の全てが登録されるとは限らず、当社グループの技術やノウハウを必ずしも適切に保護できるとは限りません。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように常に留意し、定期的に外部の弁護士・弁理士等を通じて調査をしておりますが、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より製造の差し止めや損害賠償などを請求される可能性があります。その場合、当社グループの経営陣が多大な時間と労力の投入を強いられ、弁護士費用等の費用が増加し、当社グループの評判が低下することにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 原材料及び燃料の価格変動に関するリスク
当社グループのリチウムイオン二次電池用セパレータの主原料であるポリオレフィンはナフサを原料にして製造されています。また、設備稼働に必要な水道光熱費等は原油価格の変動に影響を受けます。そのため、これらについて供給の逼迫や遅延、価格の高騰等が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 特定仕入先への依存に関するリスク
当社グループがリチウムイオン二次電池用セパレータの製造において購入する資材等には、仕入先や供給品の代替が困難なものや、少数特定の仕入先からしか調達できないものがあります。当社グループで使用する資材、部品、その他の機械・装置等が、現在十分確保されていると認識しておりますが、今後、特定の仕入先における経営悪化や天災等の事情により、供給の遅延・中断や供給不足が生じる可能性があります。当社では、代替調達先を用意する努力を継続しておりますが、その場合にも安定供給が可能であるという保証はありません。また、資材価格の値上りが生じた場合、資材の調達に多額の費用が必要となる可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 顧客の集中に関するリスク
当社グループの売上高は、分散化されつつあるものの、一部特定の企業によって占められており、当連結会計年度における売上高の51.5%を1社が占めております。今後も売上の多くを限られた数の顧客に依存することになると予測しております。かかる顧客が当社グループからの製品の購入を大幅に減らさないという保証はなく、また当社グループからの製品の購入を中止しないという保証もありません。そのため、かかる顧客による当社グループの製品の購入が減少した場合や、中止された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ カントリーリスクについて
当社グループ製品の100%は韓国で生産されております。また当社グループの海外売上高は、前連結会計年度において30,968百万円(海外売上高の割合99.7%)、当連結会計年度において3,551百万円(海外売上高の割合97.8%)であります。W-SCOPE KOREA CO.,LTD.は、販売先の現地におけるサービスを行うために、香港に子会社を設立しております。当社グループは今後も海外向けの販売を強化する計画であるため、地域展開と共に海外の子会社が増える可能性があります。したがって、顧客及び当社グループ会社が存在する国または地域の政治的、経済的情勢及び政府当局が課す法的な規制の影響またはテロ、戦争、感染症、自然災害その他の要因による社会的混乱により当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度末現在の韓国の法人税率は、2億ウォン以下分については10%、2億ウォン超過・200億ウォン以下分については20%、200億ウォン超過分については22%が適用されており、当連結会計年度末現在においてはW-SCOPE KOREA CO., LTD.は減免率による減免を享受することになっています。しかし、租税特例制限法上の減免税額の追徴事由が発生した場合、かかる優遇税制の適用期間の満了により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
最近2連結会計年度の販売地域別の売上高の内訳
⑩ 販売先が海外に集中しており、与信管理や取引先管理が十分に行われないリスク
当社グループはアジア及び欧米等の諸外国において主に事業展開しております。海外の国・地域においては商習慣の違いにより取引先との関係構築においても予想し得ないリスク等、予測不可能な事態が生じる可能性があります。当社グループでは、与信管理規程等各種規程を厳格に運用し、与信審査を十分に行い、特に中国市場におきましては、一部は販売協力会社を通じて販売し、また一部は前受金決済でのビジネスにより、売上債権等の未回収リスクの低減を図っております。しかし、予期しない事態により、取引先が不測の債務不履行等に陥り、当社グループが有する債権の回収が困難となる場合には、当社グループの業績等が悪影響を受ける可能性があります。
⑪ 為替変動の影響について
当社グループ製品は、韓国で生産され、世界各国で主に米ドル建で販売活動を行っており、為替レートの変動による影響を受けております。また子会社の外貨建ての利益、費用、資産及び負債の評価は為替レートの変動による影響を受けております。
事業活動において為替変動リスクを完全に排除することは困難でありますので、今後著しい為替変動があった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 設備投資にかかるリスク
当社グループは、これまで積極的に設備投資を行ってまいりましたが、今後の市場環境の急速な変化や、設備の立ち上げの遅延等により、投資決定時に比べ投資回収期間が長期化することで当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループが予定通りの増産計画が達成できなかった場合には、顧客の供給量に関する要求にこたえることができないなどの理由により、当社グループ製品の購入を減少させる又は中止させることで、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑬ 人材の確保と定着に関するリスク
当社グループは、製品を開発、製造し、製品についての顧客サポート及びマーケティングを行うため、これらの分野における経験を有する専門性の高い研究者及び装置の開発に熟知している技術者を中心に採用しなければなりません。また、韓国においては、専門性を有する人材はソウルへ一極集中傾向があり、経験者の採用に課題があります。
当社グループにおいても、主要な人材を採用及び確保できない場合、当社グループの事業運営が混乱し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 新規事業に関する投資リスク
当社グループでは、リチウムイオン電池用のセパレータの開発製造によって培ったメンブレンフィルムの生産技術を他の用途に転用すべく、新規事業として取り組んでいます。現在はメンブレンフィルムを淡水化フィルターなど工業用用途に使用する為のフィルムの開発を行っておりますが、これらが成果をもたらすという保証はなく、研究開発費用の支出の回収が困難となる可能性があります。
⑮ 特定の人物への依存について
当社グループの取締役はそれぞれ、経営、技術開発、マーケティング、営業戦略、製造戦略等当社グループの業務に関して専門的な知識・技術を有し重要な役割を果たしています。これらの者が当社を退職した場合や、病気等の事情で業務遂行が困難となった場合、後任者の選任に関し深刻な問題に直面する可能性があり、当社グループの事業展開及び経営成績に重要な影響が生じる可能性があります。
⑯ 法的規制等に関するリスク
当社グループが事業を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。当社グループは、こうした法令及び規制を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一当社グループに適用される規制に反することにより、当社グループに制裁金が課されたり、一定の事業活動が強制的に停止させられたりする場合や法令・規制違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利な結果が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 特徴的な組織構成について
当社グループはグローバルに事業を展開しており、日本本社のほか、韓国、香港に連結子会社を保有しております。その中でも、当社グループの製造拠点は韓国にあり特徴ある組織構成を構築しており、従業員は日本本社が6名、海外連結子会社が268名となっております。また当社は製造業として製造現場を最重要視し、日本本社の取締役7名のうち2名を韓国に駐在させております。
当社グループでは、今後の事業拡大に伴い人員の増強、内部管理体制の一層の充実に努め、複数の国で事業展開を行うにあたってのグループ全体のコミュニケーションの充実を図っていく方針でありますが、必要な人員が確保できない場合や内部管理体制の充実に適切かつ充分な対応ができない場合、国家間の通信手段の途絶等によりグループ全体のコミュニケーション等が迅速に行えないような場合には、当社グループにおけるガバナンスが発揮できなくなるおそれがあり、業務遂行及び事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。
⑱ 自然災害、操業上の事故に関するリスク
当社グループが事業を行っている国及び地域では、地震、台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。同様に火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点の設備等に大きな被害を受け、その一部または全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、生産設備において生じうる一定の損失を補償するために、当社グループの財産に対する損害及び製 造の中断をカバーするための保険に加入していますが、かかる保険は生じうる全ての損失や費用をカバーできない可能性があります。そのため自然災害、操業上の事故等により当社グループの制御できない事象により大きな損失を被った場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑲ ストック・オプションについて
当社は、新株予約権方式によるストック・オプション制度を採用しており、当連結会計年度末現在における潜在株式数は4,753,900株(第三者割当分1,199,900株含む)で、発行済株式総数58,025,700株に対する割合は、8.2%となります。当社は、当該制度が役員や従業員等の業績向上に対する意欲を持たせることを目的とした有効な制度であると認識しており、今後もストック・オプションの発行を実施する可能性があります。従いまして、当該新株予約権が行使された場合及び新たに発行・行使された場合には当社の株式価値は希薄化することになります。
⑳ 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、売上高の著しい減少及び継続的かつ重要な営業損失の計上により、当連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。
しかしながら、当社グループの資金面においては、当連結会計年度に営業活動によるキャッシュ・フローのプラスを計上しており、また、当連結会計年度末の手元資金の確保状況、今後の収支推移見込み、金融機関からの資金調達計画及びハンガリー政府からの補助金の受領の目途が立ったこと等を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
なお、当社は、新規顧客とのハイエンド車載用電池向けやESS案件の量産販売の準備を進めております。また、連結子会社であるWSKは、イオン交換膜事業における顧客との一部新規契約を締結し、来期以降においても新規契約及び既存交換需要を見込んでおります。さらに、セパレータ事業においても関連会社であるWCPの主要顧客であるSamsung SDI社との現状の協議においては2027年1月期第4四半期以降からの需要の回復を見込んでおります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度は、米国のトランプ政権による関税引き上げで国際貿易の分断化が進行し、ウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化が継続したことによる地政学リスクや、各国の政策の継続性が欠如し自国第一主義が台頭したことなどにより世界情勢の不確実性が一層高まり、世界経済は緩やかな減速傾向となりました。
このような状況において、当社グループの主力事業であるセパレータ事業では、リチウムイオン電池の需要を牽引してきたEV需要は中国では伸びているものの、当社の主力市場である欧州では、ウクライナ侵攻の長期化やエネルギー政策の影響などから、未だに需要の回復は見られませんでした。また、米国市場においては、今後の大型データセンターの需要増加を見込んで、電池メーカー各社がEV向けからESS向けに用途をシフトする動きがみられました。そのため、当社でも積極的な製品開発を進め新規案件の目途が立ってきたものの、本格的なESS電池向けの販売は2026年以降の見通しであるため、当連結会計年度の販売は総じて低調に推移しました。
また、当連結会計期間から当社グループの新しいセグメントとなったイオン交換膜事業は、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)の事業として昨年出荷が完了したPosco Argentina S.A.U.へのBPED Substack(イオン交換膜スタックモジュール)の交換需要に対する製品の製造が開始され、またPoscoグループへの新規案件として、鉱石から水酸化リチウムを精製するプラント向けの双極電気透析(BPED)モジュールの供給も始まりました。Poscoグループへの出荷は概ね順調に進みましたが、予算化していたその他の新規案件は取引先の設備投資が遅れているため契約締結が遅れており、出荷開始は未定となっています。
なお、当社グループの報告セグメントは従来「リチウムイオン二次電池用セパレータ」の単一セグメントでありましたが、第1四半期連結会計期間より、単一セグメントからセパレータ事業、イオン交換膜事業の区分に変更しております。
売上高に関しては、EV需要の停滞による販売数量減少の継続の影響やW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)が前第3四半期より連結子会社から持分法適用関連会社へ移行したことで、セパレータ事業の売上高は2,211百万円(前期比7.4%)となりました。また、イオン交換膜事業の売上高は、新規案件の開始がある一方で、受注に遅れが生じている案件もあることから1,419百万円(前期比106.3%)となり、連結売上高の合計は、3,630百万円(前期比11.7%)に留まり、27,416百万円の減少となりました(前期は31,047百万円)。
営業利益に関しては、売上高の減少に伴って、原材料費4,582百万円、水道光熱費3,049百万円、減価償却費3,616百万円、人件費4,424百万円それぞれ減少となりました。これは、電池需要が減少したことによりセパレータの出荷量が減少したことで生産量を抑えたことや、WCPの連結除外等により変動費・固定費が減少したことによるものです。これらにより、販売費及び一般管理費を含めた売上原価等の費用が前期比23,504百万円の減少となりました。これらの結果から、当連結会計年度の営業利益は前期比で3,911百万円減少し、4,919百万円の営業損失(前期は営業損失1,008百万円)となりました。
営業外収益は取引先の余剰在庫などに対する受取補償金150百万円などを計上しており、営業外費用としては米ドル建て債権債務で為替差損192百万円、支払利息238百万円、前第3四半期よりWCPが持分法適用関連会社となったことから、持分法による投資損失6,331百万円などを計上しております。
特別損失はW-SCOPE KOREA CO., LTD.において減損損失を579百万円、当社にてWCP株式を一部売却したことに伴い関係会社株式売却損を468百万円計上しており、結果として、税金等調整前当期純損失12,460百万円(前期は税金等調整前当期純損失3,239百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は12,465百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,713百万円)となりました。
当連結会計年度の平均為替レートにつきましては1米ドルが149.58円、1,000韓国ウォンが105.2円となりました。
当連結会計年度末における資産につきましては52,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,074百万円減少しました。また、負債につきましては11,071百万円となり前連結会計年度末に比べ666百万円増加、純資産につきましては40,933百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,741百万円の減少となりました。それぞれの主な要因は以下のとおりであります。
(資産)
流動資産につきましては3,863百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,898百万円の減少となりました。これは主として、営業未収入金が803百万円、短期貸付金が593百万円増加した一方で、売掛金が2,946百万円、棚卸資産が1,216百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては48,141百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,175百万円の減少となりました。これは主として、投資有価証券が3,718百万円、建設仮勘定が921百万円減少したことによるものであります。
(負債)
流動負債につきましては8,566百万円となり、前連結会計年度末に比べ74百万円の増加となりました。これは主として、短期借入金が834百万円減少した一方で、未払金が358百万円、買掛金が291百万円、1年内償還予定の社債が270百万円それぞれ増加したことによるものです。固定負債につきましては2,505百万円となり、前連結会計年度末に比べ592百万円の増加となりました。これは主として、長期借入金が374百万円、退職給付に係る負債が240百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産につきましては40,933百万円となり、前連結会計年度末と比べ8,741百万円の減少となりました。これは主として、為替換算調整勘定が3,289百万円増加した一方で、利益剰余金が12,465百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ9百万円増加し、271百万円となりました。なお、前期第3四半期より、連結子会社であったW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.が連結を外れて持分法適用関連会社になっております。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは745百万円の収入(前期は4,008百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失の計上12,460百万円、減価償却費の計上1,533百万円、減損損失の計上579百万円、持分法による投資損失の計上6,331百万円、売上債権の減少2,937百万円、棚卸資産の減少1,216百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは727百万円の支出(前期28,748百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定の売却による収入803百万円、関係会社株式の売却による収入250百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出1,135百万円、短期貸付けによる支出593百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは22百万円の収入(前期17,278百万円の収入)となりました。これは主として、短期借入金の返済による支出624百万円があった一方で、新株予約権の行使による新株の発行による収入423百万円、短期社債の発行による収入270百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
当社グループの製品は、販売先からの受注による受注生産ですが、生産から納入までの期間が極めて短いため、現実的には販売先からの月次あるいは四半期の購入計画情報を基に、過去の実績、生産能力を勘案した見込生産的な生産形態を採っており、受注高及び受注残高を算出することが困難でありますので、その記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度は、EV需要の停滞による電池需要が減少したことにより、当社も受注が大きく落ち込み、営業利益が前年同期比3,911百万円減少し、4,919百万円の営業損失となりました。そのため、当社価値の指標であるROIC(投下資本利益率)は、△1.55%から△10.06%に悪化しました。具体的には、イオン交換膜事業においては、一部案件の受注に遅れが生じているものの、新規案件の開始があったため、概ね前連結会計年度と同水準の売上高となりました。セパレータ事業においてはEV需要の停滞に伴い、販売数量減少の継続の影響により連結売上高が見込みを下回ったため、WCPが前第3四半期より連結子会社から持分法適用関連会社へ移行したことで変動費・固定費が減少したものの、人件費や減価償却費などの固定費を賄うための生産量が確保できなかったことが主な要因であります。
当社は、投資家の皆様の期待収益率を上回るROIC(5%以上を想定)を目標として取り組んでおります。2027年1月期連結会計年度も第3四半期まではこの需要傾向は続くと見られていますが、この機会に販売先や製品用途の多様化や新規事業の拡大に取り組んでいます。また、製造原価についても生産設備の生産効率化を進めて、価格競争力を強化する対策を行っています。そして、今後の世界的な電池需要の回復と新規事業への参入に合わせて業績回復を図ることで、ROICが改善していくものと見込んでいます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高)
当社グループの当連結会計年度は、当社の主力市場である欧州でウクライナ侵攻の長期化やエネルギー政策の影響などから、未だに需要の回復は見られませんでした。また、米国市場においては、今後の大型データセンターの需要増加を見込んで、電池メーカー各社がEV向けからESS向けに用途をシフトする動きがみられました。そのため、当社でも積極的な製品開発を進め新規案件の目途が立ってきたものの、本格的なESS電池向けの販売は2026年以降の見通しであるため、当連結会計年度の販売は総じて低調に推移しました。また、前中間連結会計期間まで連結子会社であったW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)が連結を外れて持分法適用関連会社になったため、当連結会計年度はWCPの売上高を加算できないことが影響し、車載向け売上高が740百万円となり前年同期比96.7%の減少となり、民生向けにおいても、その売上高は1,470百万円(イオン交換膜売上を除く)となり前年同期比80.1%減少となりました。新規事業であるイオン交換膜事業については、Poscoグループへの出荷は概ね順調に進みましたが、予算化していたその他の新規案件は取引先の設備投資が遅れているため契約締結が遅れており、出荷開始は未定となっているため、当連結会計年度で1,419百万円を売上計上しています。
その結果、当連結会計年度は売上高が3,630百万円となり、前年同期比27,416百万円(同88.3%減)の減収となりました。
(売上総利益)
当社グループの当連結会計年度は、3,974百万円の売上総損失(前年同期は売上総利益1,087百万円)となりました。
主な要因は、売上高減少に伴い固定費等を賄えなかったことによるものであります。
(販売費及び一般管理費並びに営業損益)
当社グループの当連結会計年度の販売費及び一般管理費は945百万円となりました。販売費及び一般管理費のうち主要なものは役員報酬110百万円、給与手当235百万円、支払手数料133百万円、支払報酬138百万円、運送費5百万円であります。
この結果、当連結会計年度の営業損失は4,919百万円(前年同期は営業損失1,008百万円)となりました。
(営業外損益及び経常損益)
当社グループの当連結会計年度の営業外収益は、主に受取利息5百万円、助成金収入114百万円により335百万円となり、営業外費用は、主に支払利息238百万円、持分法による投資損失6,331百万円により6,828百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常損失は11,412百万円(前年同期は経常損失3,239百万円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)
特別損失はW-SCOPE KOREA CO., LTD.において減損損失を579百万円、当社にてWCP株式を一部売却したことに伴い関係会社株式売却損を468百万円計上しており、結果として、税金等調整前当期純損失12,460百万円(前期は税金等調整前当期純損失3,239百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は12,465百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,713百万円)となりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社の資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、材料等の仕入や研究開発費用等であります。設備投資資金につきましては、株式市場及び金融機関からの長期借入金を基本としており、運転資金につきましては、金融機関からの短期借入金を基本としております。なお、当連結会計年度における借入金残高は7,876百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は271百万円となっております。
c. 経営戦略の現状と見通し
セパレータ事業においては、当社主力市場である欧州市場が未だ回復途上であり、EV需要の回復が待たれる状況が続いております。一方、ESS需要については、世界的にデータセンターの設備投資が続く中、急速に成長しています。当社では、既存顧客及び新規顧客とのESS用途新規案件が上期及び下期にそれぞれ量産供給を開始する予定です。2027年1月期においては、ESS向け販売はEV向けを上回る計画となります。
イオン交換膜事業では、POSCOグループからの受注は想定どおりに推移しているものの、その他の新規案件の受注に遅れが生じており、供給開始時期が不透明な状況となっているため、2027年1月期の業績見込みへの参入を見送りました。なお、今後の業績見込みはウクライナや中東の情勢により大きく影響を受ける状況が想定されます。
業績見通しの前提となる2027年1月期の平均為替レートにつきましては対1米ドル150円、対1米ドル1,400ウォンを想定しております。
2028年1月期以降についても、ウクライナや中東の情勢変化により、今後の需要やコストに大きな影響が生じる可能性はありますが、セパレータ事業では、欧州市場でのEV需要は徐々に回復していくものと想定しています。米国市場に関しては、EV需要の回復が不透明ながらESS用途の需要は大幅な拡大傾向にあります。そのため、電池メーカーも昨年から現地工場での生産品目をEV向けからデータセンター向けESS用電池への切替えを進め、当社でも当第3四半期から米国既存顧客向けにESS用セパレータの出荷が始まっており、顧客の増産計画に合わせ今後順調に出荷量を増やしていく見込みとなっています。また、その他の新規大型案件についても、取引開始の準備が想定どおり進んでおりESS用途の販売も大きな軸となり、従来の顧客へのESS案件と新規顧客へのESS案件の量産販売が順次開始されていく見込みとなっています。これらの案件が安定化する2028年1月期下期には、WSKとWCPの2工場のセパレータ設備の稼働率が大幅に回復する見込みです。また、イオン交換膜事業は、POSCOグループの2案件の安定成長に加え、受注が遅れている新規案件の取引も開始される見込みです。
(1) 土地の賃貸借に関する契約
(注) 賃借料減免事項は、契約日2005年11月より3年以内に外国人投資資金が30,000,000ドルを超えた場合、
土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または入居契約後に外国人投資家の持分が30%未満に変動する場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任があります。
上記の外国人投資契約に従って契約日以降の現在における累積投資額は30,000,000ドルを超過しており、外国人投資計画書上の条件は満たしている状態であります。
(2) 土地(第2工場用地)の賃貸借に関する契約
(注)賃借料減免事項は、2020年6月30日以内に外国人投資資金が8,498,361ドルを超えた場合、土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または入居契約後に外国人投資家の持分が30%未満に変動する場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任があります。
上記の外国人投資契約に従って契約日以降の現在における累積投資額は8,498,361ドルを超過しており、外国人投資計画書上の条件は満たしている状態であります。
(3) 土地(第3工場用地)の賃貸借に関する契約
(注)賃借料減免事項は、2021年10月20日以内に外国人投資資金が7,896,651ドルを超えた場合、土地の賃借料が減免されるというものであります。
入居契約申請の際に提出した工場設立事業契約書による外国人投資計画を履行しない場合または入居契約後に外国人投資家の持分が30%未満に変動する場合等には同契約は解除されることもあります。また、解除事由によって契約が解除される場合、これに対する損害賠償を請求することができず、復旧費用等に対して賠償責任があります。
上記の外国人投資契約に従って契約日以降の現在における累積投資額は7,896,651ドルを超過しており、外国人投資計画書上の条件は満たしている状態であります。
(4)土地の賃貸借に関する契約
忠州外国人投資地域入居契約につきましては、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.を連結の範囲から除外し、持分法適用関連会社としたことに伴い記載を削除しております。
(5)土地の賃貸借に関する契約
陰城外国人投資地域入居契約につきましては契約解除に伴い記載を削除しております。
当連結会計年度における研究開発活動及び研究成果は次のとおりであります。
当連結会計年度のセパレータ事業及びイオン交換膜事業における研究開発活動は、市場の新たなニーズに応えることのできるリチウムイオン二次電池用の次世代セパレータの開発、安定的な高品質製品の供給に資する生産設備の開発、イオン交換膜や新規素材の開発を目的として、日々活動しております。
また今後も引き続き、高品質なリチウムイオン二次電池用セパレータ、イオン交換膜などの新規素材及びその生産技術の開発に鋭意努力してまいります。
当社グループの研究開発活動は、連結子会社W-SCOPE KOREA CO.,LTD.に設置した研究所(構成メンバー35名)で行われています。
当社グループでは、リチウムイオン二次電池用セパレータ、イオン交換膜及びその他の新規素材などメンブレン技術を使用した各種製品開発を中心として、以下のような研究を行っております。
これらの研究開発活動により、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は