文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、金融サービスの提供を通じた持続的な成長を実現するため、当社グループの存在意義をOur Purpose「金融をもっと近くに。一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。」と定めています。本パーパスのもとで、小売業発の金融グループの強みである「生活者視点」に立ち、すべてのお客さまのライフステージや生活環境の変化に対応した金融サービスの提供を目指してまいります。
(2)目標とする経営指針
持続的な成長に向けて、収益力の強化及び資本効率の向上を図ることで、経営指標としてROE10.0%の水準の達成、維持を目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、世界的な政情不安の長期化、中国経済の成長鈍化、日本を除く各国における金融引き締め政策の継続及び金利水準の高止まりを背景とした景気下振れリスクなど、先行きの不透明な状況が継続しております。また、AIや量子コンピューティング等の技術進展に伴い、サイバー攻撃は一層高度化・巧妙化しており、金融機関として安全・安心なサービス提供体制の一層の強化が求められております。加えて、ブロックチェーン技術の進展や関連法制度の整備を背景に、当社グループの主要事業領域である決済事業においては、デジタル化が一段と加速しております。
国内においては、物価や賃金上昇の広がりを受け、経済の好循環が期待される一方で、お客さまの生活防衛意識は高く、消費行動や資産運用ニーズに影響を及ぼしております。また、政策金利の上昇により事業資金の調達コスト増加が見込まれるなど、金融商品の利益構造にも変化が生じております。
このような事業環境を踏まえ、当社グループは、2030年におけるありたい姿として「『金融をもっと近くに』する地域密着のグローバル企業」を掲げております。日本国内にとどまらず、アジア全体をマーケットとして捉え、各国においては地域密着型の金融サービスを展開し、小売発の金融会社として一人ひとりのお客さまに寄り添いながら、お客さまの抱える「不」を解決・解消することで、ありたい姿の実現に向けて取り組んでおります。
こうした方針のもと、当社グループは、2030年におけるありたい姿の実現に向け、2026年度から2030年度までの5年間を対象とする中期経営計画を策定しました。本中期経営計画(2026年度~2030年度)は、イオングループの強みを活かした国内外の小売接点と、金融データ、AIをはじめとしたデジタル技術を融合することで、決済から融資、資産形成等のさまざまな金融サービスをシームレスにつなぎ、展開するアジア各国で、顧客起点の金融サービスを通じた、持続的な成長と企業価値の実現を目指します。
また、成長戦略と構造改革を両輪に、重点戦略ごとに明確なKPIを設定し、その達成に向けた施策の着実な実行とモニタリングを通じ、収益力の強化と事業基盤の高度化を図ってまいります。
当社グループは、Our Purposeのもと、日本及びアジア各国のお客さまに対し、より革新的な金融サービスを提供することを目指し、以下の重点戦略を推進してまいります。
<稼ぐ力の発揮>
イオンの金融である強みを最大限に発揮し、国内外におけるイオングループとのシナジー最大化を図るとともに、小売データとAIを掛け合わせることで顧客理解を深め、提供価値の継続的な向上を図ってまいります。
(1)AEON Payによる顧客基盤拡大
国内においては、コード決済「AEON Pay」を決済手段にとどまらず、金融サービス展開の中核となるブランドに進化させてまいります。
クレジットカードや銀行口座等の、これまで分散していた顧客接点をAEON Payに集約するとともに、イオングループ各社や提携先等との連携強化、家族間の繋がり等による若年層を中心とした新たな顧客層へのアプローチを強化し、顧客基盤の着実な拡大を目指します。
これにより、AEON Payを起点とした顧客接点を強化し、次に続く金融サービス提供の基盤を構築してまいります。
(2)データ・AI活用による融資事業の強化
決済を通じて得られる購買や顧客情報等のデータを融合し、AI活用によりお客さま一人ひとりのニーズやタイミングにあった融資サービスを提供します。
これにより、決済から融資へのクロスセルを着実に拡大することに加え、イオングループの取引先や地域のサプライヤー等を対象とした法人向け融資についても展開を強化し、安定的な収益基盤の構築を進めてまいります。また、銀行を有する強みを活かし、お客さま預金による低コストな資金調達を背景に、収益性と競争力を両立する融資事業を実現してまいります。
(3)アジア重点国における「小売×金融×デジタル」事業モデルの確立
海外においては、高い経済成長が見込まれ、イオングループの店舗展開が進むマレーシア・ベトナム・カンボジアを重点国と位置付け、経営資源の集中により、各国の小売事業と金融を融合したアプリ起点での「小売×金融×デジタル」事業モデルの確立を図ります。
スマホアプリを軸に決済・融資等のサービスをデジタルでシームレスに連動させることで、各国の特性に応じた金融サービスを展開し、成長市場における持続的な収益拡大を目指します。特に、イオングループが海外戦略の重要国と位置付けるベトナムにおいては、スマホアプリを通じた与信機能を有する決済事業を開始し、イオングループとの連携強化を図るとともに、デジタルを起点とした顧客基盤及び取扱高の拡大による、新たな収益基盤の構築を図ってまいります。
<高効率経営への転換>
今般策定した新たな中期経営計画においては、成長戦略と同時に、従来の高コスト構造の抜本的な見直しを図ります。AI等を活用した業務効率化の徹底、商品・サービスの見直しによるコスト削減により、持続的な成長投資に振り向ける投資余力を創出してまいります。
・国内コスト構造改革
国内事業においては、本中期経営計画の前半となる2027年度末までに、商品・サービスの見直しを含む業務オペレーションの改善及び間接コストの抑制を通じた、コスト構造の抜本的な改革に取り組んでまいります。また、人に依存した業務プロセスからの脱却を進め、AIやデジタル技術を活用した与信・債権管理、コンタクトセンター等の顧客接点を含めた業務オペレーション等における業務効率化・高度化を推進することで、お客さまの体験価値向上と人時生産性の高い筋肉質な経営体制への転換を図ります。
これにより創出される投資余力を、AEON Payや海外重点国等の、将来の競争力強化につながる分野への投資に重点的に再配分し、持続的成長を支える事業基盤の構築を進めてまいります。
<安全・安心NO.1>
前中期経営計画期間(2021年度~2025年度)において、当社連結子会社への業務改善命令発出及びクレジットカード不正被害の拡大、海外子会社取得に係る過年度決算の修正等の重大事案が発生しました。これらの事案を重く受け止め、当社グループ全体でのリスク管理、コンプライアンス等のガバナンス強化を最重要課題と認識し、本中期経営計画では、コーポレート・ガバナンスの強化を、企業成長を下支えする前提条件と位置づけ、強固なコーポレート・ガバナンスの実現による「安全・安心No.1」を確立してまいります。
・強固なコーポレート・ガバナンスの実現
3線防衛を基本とした内部管理体制の高度化を進め、当社及び当社子会社のグループ全体の経営管理の実効性向上を図ります。リスク管理、コンプライアンス及び内部監査機能の連携を強化し、グループガバナンスの実効性向上による、健全で強靭な企業風土の構築を図ってまいります。
加えて、サイバーセキュリティ対策、不正利用防止、AML/CFT対応についても、AIの活用等による高度化により、リスクの予見精度を高め、未然防止を重視した管理体制の構築に取り組むことで、お客さまに安全・安心な金融サービスを提供してまいります。
これにより、持続的な成長投資を可能とする、レジリエントな企業基盤を構築いたします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
当社グループは、事業活動を通じて創出する経済価値と地域社会が享受する社会価値の双方が両立するサステナビリティ経営を推進するため、2021年に「AFSサステナビリティ基本方針」を策定しました。当社グループが、地域社会やお客さま、お取引先さまなどのステークホルダーとともに能動的、積極的にサステナビリティ活動を推進するための原則を定め、事業運営のすべての意思決定にサステナビリティの視点を取り込むとともに、自然環境や社会システムと一体となった長期的な価値創造を実践することを基本方針として定めています。
あわせて、中長期的に当社グループの事業活動に影響を及ぼす重要な社会課題(マテリアリティ)を「革新的な金融サービスを通じた幸せの追求」「人材の多様性と可能性の発揮」「レジリエントな経営基盤の確立」「気候変動等への対応」の4分類で明確化するとともに、これらの解決に向けた取組事項及び主要指標を設定・開示しています。
また、2023年には、当社グループの「存在意義」である「Our Purpose」を公表しています。イオングループの一員として「イオンの基本理念」、「イオングループ未来ビジョン」と「Our Purpose」のもと、従業員の一人ひとりがステークホルダーの皆さまの豊かな生活の実現に向けて主体的かつ自律的に行動し、社会課題の解決に取り組んでいます。2026年度から2030年度までを対象とする中期経営計画においては、ありたい姿として「『金融をもっと近くに』する地域密着のグローバル企業」を掲げ、金融を通じてお客さまの日常に寄り添いながら、持続可能な社会の実現に貢献する企業グループへの進化を目指しています。
(1)ガバナンス
当社は、取締役会からの委嘱を受けてサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティへの対応を欠かすことのできない経営上の重要な取り組みの一つであると認識しており、サステナビリティ課題の監督は取締役会が行い、執行管理と取締役会への報告はサステナビリティ委員会が実施しております。また、同委員会の委員長を代表取締役社長とすることで、サステナビリティ課題に全社的に取り組んでいます。
●取締役会
サステナビリティ基本方針の決定及び改定、並びに中長期及び年度活動計画の決定等、重要事項については、サステナビリティ委員会における審議を経た上で取締役会決議事項としています。取締役会は、サステナビリティに関する重要事項について報告を受け、関係者に必要な指示・監督を行っています。
●サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、企業としてのサステナビリティに関する戦略・方針を協議・検討し、具体的な目標や施策に係る実行計画の検討・審議を行うとともに、実行計画に基づき、当社グループによる取組やその進捗状況の継続的なモニタリング、フォローアップ(指導・助言)を行います。さらに、全社横断で課題へ対応するため、当社各部門並びに当社グループ各社による施策の実行を統括・支援するとともに、サステナビリティに関する事項を総合的・専門的に協議・検討します。また、サステナビリティに関する法規制やガイドライン等から動向を把握し、専門的な知識や知見を広げるため、外部講師による勉強会等も定期的に実施しています。
●サステナビリティ部会
実践に向けた具体的な目標や施策に係る実行計画について、当社グループ一体となって推進するため、サステナビリティ委員会下にサステナビリティ部会を設置しています。当社グループが提供する商品やサービスを通じ、お客さまや地域コミュニティと一体となったサステナビリティ活動を推進するとともに、当社及び当社グループ各社の役員をはじめ、従業員一人ひとりの意識を高め、主体性の発揮を促進してまいります。
(2)戦略
①人的資本・多様性に関する事項
当社グループは、イオングループの一員として、「人間尊重の経営」を推進しております。
そして、Our Purpose「金融をもっと近くに。一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。」の実現に向けては、多様な人材がそれぞれの能力、経験及び専門性を発揮し、変化する事業環境やお客さまニーズに対応しながら、継続的に価値を創出していくことが重要であると考えております。
こうした考え方のもと、当社グループは、マテリアリティの一つとして「人材の多様性と可能性の発揮」の実現に向け、従業員一人ひとりが能力を発揮し、事業戦略の実現に貢献する「全員活躍」を人的資本戦略の中核に位置づけております。その実現に向けては、必要な人材像及びスキルを明確化するとともに、一人ひとりの経験や専門性の可視化を通じた適材適所の配置、事業戦略を実現するための人材ポートフォリオの策定・運用、人材育成、エンゲージメント及びウェルビーイングの向上を含む社内環境整備、並びに意思決定層の多様化を進めることにより、人的資本の価値向上を目指しております。
(人材の多様性に関する考え方)
当社グループは、持続的な成長に向けて、従業員一人ひとりの多様な知見、経験及び価値観を活かし、組織として新たな価値を生み出していくことが重要であると考えております。
お客さまニーズや社会・市場環境が大きく変化するなか、属性の多様性に加え、多様な視点を事業及び商品・サービスに反映することが、競争力の向上につながるものと認識しております。
(人材の育成に関する考え方)
当社グループは、国籍、年齢、性別等にかかわらず、すべての従業員の個性、尊厳及び自律性を尊重し、仕事や学びを通じた成長機会の提供に努めております。
また、経営戦略の実現に向けては、人材ポートフォリオを踏まえ、安定的かつ高品質な業務遂行を支える人材に加え、業務改善を推進する人材、変化の先を見据えて構想し変革をけん引する人材、並びに金融・DX等の高度な専門性を有する人材の育成及び確保が重要であると認識しております。
この考え方のもと、学習機会の提供、公的資格の取得支援及びリスキリング等を通じて、従業員の能力開発を進めるとともに、労働市場から高度な専門性を有する人材を確保するため、専門職制度を導入し、中長期的な事業競争力の向上を図っております。
加えて、従業員のキャリア形成を支援するため、キャリア相談窓口の設置、グループ横断の社内公募及び挑戦機会の提供等を通じて、自ら学び、挑戦し、能力を発揮できる環境整備に取り組んでおります。
(社内環境整備に関する考え方)
当社グループは、「全員活躍」の実現に向けて、従業員一人ひとりが意欲を持って働き続けられるエンゲージメントの向上と、心身ともに健やかに働くことができるウェルビーイングの実現の両面から、社内環境を整備していくことが重要であると考えております。
このため、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の推進、育児及び介護との両立支援、連続休日の制度化、年次有給休暇の計画的付与等を通じて、ワークライフバランスの推進に取り組んでおります。
エンゲージメントについては、毎年実施するサーベイの結果に基づき、階層別、年齢別、部門別に分析を行っております。階層別分析により課題のある層を特定し、対応策の優先順位を明確化するとともに、部署別分析により課題が認められた部署に対しては、主管部門が伴走しながら具体的なアクションプランの策定を支援し、PDCAサイクルを通じた改善につなげております。
また、従業員のウェルビーイングの実現に向け、代表取締役を最高責任者、人事総務担当役員を執行責任者とする健康経営推進体制を整備し、サステナビリティ委員会において施策の審議及び決議を行う体制としております。加えて、健康経営戦略マップを策定し、KGI及びKPIに基づくPDCAサイクルを確立するとともに、健康経営度調査やストレスチェック等の結果を活用しながら、各年度施策の評価、次年度計画への反映及び実行につなげております。
当社並びに国内グループ5社(株式会社イオン銀行、イオン保険サービス株式会社、エー・シー・エス債権管理回収株式会社、イオン住宅ローンサービス株式会社、イオン少額短期保険株式会社)が「健康経営優良法人2026」に認定され、大規模法人部門のうち上位500法人が認定される「ホワイト500(2026)」に、株式会社イオン銀行及びイオン保険サービス株式会社が認定されております。
これらの取組を通じて、従業員一人ひとりが継続的に能力を発揮できる環境整備を進めるとともに、多様な価値観を尊重する風土の醸成及びハラスメントのない職場づくりを通じて、安心して働くことができる組織基盤の強化に取り組んでおります。
(意思決定層の多様化に関する考え方)
意思決定層における多様性の確保は、多面的な視点を経営判断や商品・サービス開発に反映し、企業価値の向上につながる重要な要素であると考えております。
とりわけ女性活躍の推進は重要なテーマの一つであり、女性比率の向上に加え、多様な経験や専門性を有する人材が意思決定に参画する環境づくりが重要であると考えております。
この考え方のもと、役員と女性管理職によるメンタリングプログラムの導入、今後のキャリア形成を考える女性従業員が多様なキャリアのあり方に触れ、視野を広げることを目的とした女性ネットワークの実施、女性管理職候補者を対象とした外部研修への派遣等を通じて、視座の向上、社内外のロールモデルとの接点創出及びネットワーク形成を支援しております。
②気候変動に関する事項
イオングループでは、気候変動問題に早くから取り組み、2040年をめどに店舗で排出するCO₂等を総量でゼロにすることを目指す「イオン脱炭素ビジョン」を掲げています。当社グループも本ビジョンに基づいた取組を推進するとともに、2021年11月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)へ賛同を表明し、マテリアリティで特定した「気候変動等への対応」の方針を明確化しています。
「気候変動等への対応」については、お客さまの生活や健康、地域経済並びに社会の発展に多大な影響を及ぼすことを認識し、脱炭素社会の構築に向けたガバナンスや戦略、目標設定を通じた強靭性確保に努めています。気候変動関連リスクのマネジメントの一環として、気候変動がもたらす当社グループ事業への影響評価を目的とした、「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つのシナリオによる気候変動関連リスク・機会のシナリオ分析を行っています。具体的には、気候変動に由来する中長期的なリスク項目を移行リスクと物理的リスク及び機会に整理し、各項目の当社グループへの影響を評価し、影響が大きいと考えられるものを「重大リスク/機会項目」としています。その後、各項目をその影響が及ぶと考えられる時間軸別に短期・中期・長期の枠組みで整理しています。
また、これらの分析結果を踏まえ、脱炭素社会への移行を新たな事業機会と捉え、環境配慮型商品・サービスの拡充や、温室効果ガス排出削減に資する取組の強化を通じて、中長期的な成長につなげることを検討しています。
気候変動に伴う重大リスクと機会項目と影響レベル
●移行リスク
移行リスクとは、気候変動政策及び規制や、技術開発、市場動向、市場における評価等の変化によって事業や財務に影響を及ぼすリスクを指します。脱炭素社会への移行にあたっては、炭素税の導入、再生可能エネルギーや電気自動車に対する優遇措置など法や規制の変化により、税負担やエネルギー価格の高騰、与信関係費用の増加や資金調達コストの増加による財務的な影響が考えられます。また、そのような中で気候変動を含むサステナビリティへの取組に消極的であると、市場からの信頼を失い企業価値が低下する恐れ等が考えられます。
●物理的リスク
物理的リスクとは、気候変動によってもたらされる災害等により、事業や資産に対する急性あるいは慢性的に影響を及ぼすリスクを指します。異常気象による洪水などによりお客さまや従業員の生活が損なわれるのみならず、店舗等の資産に直接的被害が生じる可能性があります。また、クレジットカードや銀行システムが寸断されるなど金融インフラサービスの維持が困難となり、その復旧・対策のためのコストが増加する恐れ等が考えられます。
●機会
脱炭素社会の実現にあたって、環境に対する意識の拡大や大規模な事業設備ニーズが生まれるものと考えられます。当社グループは、脱炭素関連設備や住宅への融資、リース等をはじめ、お客さまに対する環境負荷に配慮した新たな金融サービスの提供を通して事業機会が増大すると考えています。また、再生可能エネルギーの利用、低炭素素材への切り替え等により、当社グループ事業におけるコスト削減や収益増といった財務上の効果に繋げてまいります。
③顧客価値創出と経営基盤の強化に向けた取組
当社グループは、「『金融をもっと近くに』する地域密着のグローバル企業」という2030年におけるありたい姿の実現に向け、小売を起点とした顧客接点と金融・デジタル技術を融合させた革新的な金融サービスの提供に取り組んでおります。AEON Payを中核とした決済基盤の高度化や、購買データ・金融データを活用したAIによる顧客理解の深化を通じて、お客さま一人ひとりのニーズやライフステージに即した、利便性と包摂性の高い金融サービスを提供することで、地域社会における金融アクセスの向上と持続的な価値創出を目指しております。
また、こうした事業成長を持続可能なものとするためには、強固でレジリエントな経営基盤の確立が不可欠であると認識しております。コーポレート・ガバナンスの強化が企業成長を下支えする前提条件と位置づけ、3線防衛を基本とした内部管理体制の高度化を進めるとともに、全役職員に対してリスクマネジメント・コンプライアンス・内部統制の研修を実施するなど、グループ全体での経営管理の実効性向上を図り、健全かつ強靭な組織体制の構築に取り組んでまいります。
(3)リスク管理
当社は、当社グループが直面する様々なリスクについて、リスクカテゴリーごとに評価したリスクを可能な限り一貫した考え方に基づいて相対的に捉え、より確実かつ継続的な企業価値の向上に貢献することを目的とするリスク管理を推進しています。
当社は、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に努めており、当社グループのマテリアリティで特定しているとおり、「気候変動等への対応」を重要な位置づけとしています。
気候変動を含む多様なリスクについてリスクカテゴリーごとに評価し、リスク管理の高度化を進めています。この中で「リスク特定・評価」「コントロールの評価」「リスク評価」からなる一連のリスクマネジメントプロセスを構築しています。特定したリスク項目と機会項目を当社グループの事業計画に反映させるべく、サステナビリティ委員会の指示・監督のもと、サステナビリティ部会における議論を通じて事業部門への潜在的な影響の規模や範囲を評価することとしています。
(4)指標及び目標
①人的資本・多様性に関する事項
イオングループは、「国籍、年齢、性別、従業員区分を廃し、能力と成果に貫かれた人事」を人事の基本理念として共有しております。この考え方のもと、多様な人材が能力を発揮し、価値創造につなげていくことを重視しており、当社グループにおいては、人的資本・多様性に関する方針のうち、特に「意思決定層の多様化」及び「多様な人材が能力を発揮できる社内環境整備」の進捗を測る指標として、以下の目標を設定しております。
●女性管理職比率
意思決定層の多様化を進める指標として、部長職以上に占める女性比率の向上を目標としており、2030年度までに役員及び部長職それぞれに占める女性比率を30%とすることを目指しております。
●男性の子育て支援
男性の育児参画を促進することは、育児と仕事を両立しながら能力を発揮できる組織風土の醸成につながり、すべての従業員の継続的な活躍を支えるものと捉えております。
このため、男性の育児休業取得率の向上を目標としております。当社グループ(国内)における2025年度末の男性の育児休業取得率は98.5%であり、2026年度も継続して100%を目標としております。
②気候変動に関する事項
当社グループでは、気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理するために温室効果ガス(GHG)排出量の測定・把握を行っています。今後は、世界全体のGHG削減に貢献するべく、事業活動に伴う環境負荷の適切な削減目標と指標の設定を行ってまいります。
●当社グループにおける主な気候関連の指標
|
指標 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
前年差 |
|
|
グループ全体のGHG排出量(Scope1、2) |
14,455トン |
12,059トン ※1 |
10,846トン ※1 |
△1,213トン |
|
|
営業車に占めるハイブリッド自動車台数の割合 |
53.11% |
34.04% |
54.85% |
20.81% |
|
|
クレジットカード利用明細書 Web明細書 ※2 |
国内 |
85.12% |
85.92% |
86.62% |
0.70% |
|
海外 |
64.69% |
75.39% |
83.57% |
8.18% |
|
|
全体 |
78.48% |
82.08% |
85.58% |
3.51% |
|
●当社グループにおける温室効果ガス(GHG)排出量
(Scope1、2)
|
指標 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
前年差 |
|
Scope1(燃料消費による直接的排出) |
|
|
|
94トン |
|
Scope2(電気使用による間接的排出) |
|
|
|
△1,624トン |
|
Scope1、2 合計 |
|
※1 |
※1 |
△1,213トン |
(Scope3)
|
指標 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
前年差 |
|
|
クレジットカード紙明細による排出 ※2 |
国内 |
11,421トン |
11,184トン |
10,776トン |
△408トン |
|
海外 |
13,043トン |
11,242トン |
6,818トン |
△4,424トン |
|
|
全体 |
24,464トン |
22,426トン |
17,594トン |
△4,832トン |
|
|
プリンター使用に係る排出(上流・下流) |
370トン |
239トン |
268トン |
30トン |
|
|
データセンターの運営・維持に係る排出 ※3 |
4,534トン |
4,729トン |
4,550トン |
△179トン |
|
|
Scope3 合計 |
|
|
|
△4,981トン |
|
・当社グループでは、GHG排出量をGHGプロトコルのメソドロジーに則り算定しています。
※1AEON CREDIT SERVICE (M) BERHADにおけるオフセットを差し引いています。
※2本表※2の集計対象は、当社及び以下の連結子会社です。
AEON CREDIT SERVICE (ASIA) CO., LTD.、
AEON THANA SINSAP (THAILAND) PCL.
※3本表※3の集計対象は、当社、株式会社イオン銀行及びAEON CREDIT SERVICE (ASIA) CO., LTD.(2023年度から対象)です。
※4上記以外の集計対象は、当社、株式会社イオン銀行、イオン保険サービス株式会社、ACSリース株式会社(2026年2月1日付で当社に吸収合併)、エー・シー・エス債権管理回収株式会社、イオン住宅ローンサービス株式会社、イオン・アリアンツ生命保険株式会社、AEON CREDIT SERVICE (ASIA) CO., LTD.、AEON THANA SINSAP (THAILAND) PCL.及びAEON CREDIT SERVICE (M) BERHADです。
※5なお、以下の2社は、いずれも株式譲渡により当社の連結子会社から除外されていますが、当該事由を踏まえ、以下のとおり過年度実績分までを集計対象に含めています。
・イオンプロダクトファイナンス株式会社(現 株式会社オリコプロダクトファイナンス)2023年度実績分まで。
・イオン・アリアンツ生命保険株式会社(現 明治安田トラスト生命保険株式会社)2024年度実績分まで。
当社は、当社グループの事業等のリスクについて、リスク事象の発生可能性及びその経営への影響度を評価し、総合的に重要なリスクを特定しています。重要なリスクの所在及び対応方針については、リスク・コンプライアンス委員会での審議を経て、取締役会にて審議、決定を行います。年度毎のリスク管理実行計画の進捗状況については取締役会に報告を行います。
当社及び当社グループの事業等のリスクについて、投資者の投資判断上重要であると考えられるリスク事項を「特に重要なリスク」「重要なリスク」として以下に記載しています。
これらリスクについては、定期的にリスク・コンプライアンス委員会、及び取締役会に報告し、リスクが顕在したり、新しいリスク事象が発生した場合に適切に対応できるよう努めています。また、役職員のリスクカルチャーの醸成のため、継続的に教育を行い、3つのディフェンスラインを中心とした内部統制強化にも努めています。当社のリスク管理態勢については「4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 (二)リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。なお、本項における将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。また、当社グループの事業に関するすべてのリスクを網羅的に記述するものではありません。
■特に重要なリスク
|
リスクの概要 |
対応策 |
|
・重要なITプロジェクトに関するリスク 当社グループは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組や、基幹システムの更改等により、新商品やサービスの提供等を通じて競争優位の確立や他社との差別化に努めています。これら重要なITプロジェクトにおけるリリースの延期、実現機能の不足や品質の低下等が発生した場合、投資コストの超過等、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、開発計画、開発プロセス、品質への重層的なモニタリングの実施や、設計品質の確保、テストの網羅性を高めるためベンダーと相互牽制をしつつ、一体となって開発を行う態勢を整え、プロジェクトを推進しています。重要なITプロジェクトの進捗状況は月次で当社のリスク・コンプライアンス委員会に報告されます。また、リリースに際しては、あらゆるケースを想定して事前の検証を徹底し、万が一障害が発生した場合の体制整備に努めています。 |
|
・システムサービスの中断や誤作動 当社グループが提供する各種サービスにおいて、ITシステムの安定稼働は重要であり、必要不可欠です。システム上の不具合、自然災害等による影響、人為的なミス、更にはサードパーティ起因の障害等さまざまな要因によりITシステムが停止、中断、誤作動した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループではこうした障害による被害の最小化と早期復旧のために物理的、技術的、組織的な対策を講じています。具体的には、不具合等の発生を迅速に察知する監視体制の構築と強化、システムやデータの分散及び冗長化、業務オペレーションの標準化と定期的な教育、インシデント発生時に備えたリカバリープランの策定及び訓練の実施等があります。実際に発生したインシデントに関しては、その原因究明を行い、再発防止策を策定しています。委託先に関しては取引開始前審査を実施するほか、その他のサードパーティについても平時から連絡連携を密にし、障害発生時に円滑な対応が取れるよう関係強化に努めています。 |
|
・サイバー攻撃に関するリスク 近年のデジタル技術の著しい進展に伴い、サイバー攻撃も高度かつ巧妙になっています。AI技術を利用した攻撃パターンの学習、メールや電話を通じた悪意あるサイトへの誘導による人的な脆弱性を突いた手法、サードパーティを攻撃経路として狙う手法等が用いられ、金融機関を取り巻くサイバー攻撃の脅威は一層深刻化しています。当社グループのシステムやサードパーティがサイバー攻撃を受け、サービスの停止、データの棄損や情報の漏えい等が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、サイバー攻撃に対する技術的な対策を講じるとともに、グループ全体の対応水準や役割を明確化するため、サイバーセキュリティに関する基本方針を定めています。 また、AFSにCISO(Chief Information Security Officer)及び専門部署としてサイバーセキュリティ部、主要会社にはCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置し、グループ全体におけるサイバーセキュリティ対応の統括や経営層も関与する意思決定プロセスの明確化を図り、重要システムに対する防御・監視体制を整備しています。加えて、業界団体が実施する訓練への参加や外部専門家との連携を通じたサイバー攻撃時の対応力の向上、日進月歩で進化するサイバー脅威に対する潜在的なリスクの軽減に取り組んでいます。また、フィッシングメールやビジネスメール詐欺等のサイバー攻撃に対するお客さまや役職員への啓蒙を実施しています。 |
|
・マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するリスク 当社グループは、金融機関としてマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)に関する法規制を遵守する義務があります。当社グループは、態勢を整備し各種の対応策を実施していますが、これらの法規制に違反し、法的制裁等を受けた場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、AML/CFTに関する不備が発生した場合、当社グループのブランドイメージやお客さまからの信頼にも悪影響を与える可能性があります。 |
当社グループでは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するリスクを重要な経営課題と位置づけ、お客さまとの取引開始時及びその後の継続的な確認を通じて、お客さまの身元及び取引の目的を確認する手続、不審な取引を検出するためのシステムによる日常的な取引の監視、リスク管理部門による業務運用点検と有効性確認、及び内部監査を実施しております。また、前連結会計年度において、当社グループ会社の銀行事業におけるAML/CFTについて金融庁より業務改善命令が発出されたことを踏まえ、業務フローの見直しによる疑わしい取引の届け出迅速化、外部専門家による全般検証を実施するほか、役職員に対する教育を実施することにより法規制の遵守意識の向上に努めています。 |
|
・法規制違反 当社グループが提供するサービスには、法令に基づく許認可によるものが多くあります。これら法令及び規制の変更や新設に適切な対応ができず、あるいは違反による行政処分等を受けた場合、事業活動への制限を受ける等当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループ各社は、その展開する国や地域における関係法令及び諸規制の改正動向をモニタリングし、事業活動や業績等への影響を評価・分析し、コンプライアンスリスクの把握を行っています。また、法令等に基づく各種報告や届出事項に遺漏がないよう、厳格な期日管理を実施しています。更に、当社グループの役職員に対して定期的に研修を実施し、法令遵守に努めています。 |
|
・信用リスク 当社グループの与信業務は、クレジットカード、割賦販売、住宅ローン等の個人向けが大きな割合を占めており、信用リスクの分散が図られています。しかしながら、経済状況の著しい悪化や金融市場等の混乱の発生等により、お客さまの信用状況が変化し、想定を超える与信関連費用が発生する等した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、信用リスク管理態勢の強化を図っています。外部経済環境や商品・地域別の信用状況の変化を把握し、タイムリーに審査基準に反映することにより、収益と健全性のバランスのとれた運営に努めています。また、お取引開始後にも個々のお客さまの返済状況等のモニタリングを行い、必要な場合には与信枠の見直しを行う等、適切な債権管理を実施しています。 |
|
リスクの概要 |
対応策 |
|
・外部不正(フィッシングサイト等を通じた不正アクセス等被害) 近年、フィッシング詐欺による被害が多く発生しており、こうした金融犯罪の増加は金融機関にとって喫緊の課題となっています。特にネットサービスにおける犯罪手法は、高度化、巧妙化が進んでいます。こうした犯罪に適切に対応できない場合、当社グループの信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性があります。また、これらの事象に対応するための追加費用、被害にあったお客さまに対する補償費用等が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
外部不正動向の変化やリスクに迅速に対応するため、当社グループでは、技術的及び組織的な安全措置を拡充し、不正手口の高度化を前提とした検知・抑止力の強化に取組んでいます。具体的には、フィッシングサイトや不正アクセスの常時監視を行い、業界横断でのフィッシングサイトの能動的な閉鎖に取り組んでいます。更に、当社HPを模倣した不正なWebサイトを確認次第、警告画面(レッドスクリーン)へ書き換える等、Web Risk(セーフブラウジング)対策を通じた被害の未然防止・リスク低減を図っています。 また、セキュリティ対策専門チームによる不正検知ルールの高度化を含むセキュリティ体制の強化を推進するとともに、外部関連団体(一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター等)との連携を通じて不正に関する最新情報を早期に把握し、不正利用防止の強化を図っています。加えて、お客さまに対して被害に遭わないための注意喚起や情報提供にも継続的に努めています。 |
|
・情報セキュリティ 当社グループは、お客さまや取引先の個人情報を含む重要な情報を必要な範囲で取得し、適切に管理しています。しかしながら、これらの情報がサイバー攻撃を受けたり、役職員または業務委託先を含むサードパーティによる杜撰な管理等により情報の漏えい、改ざん、毀損、紛失等が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは個人情報をはじめとする情報資産管理について、技術的、物理的及び組織的な安全管理措置を講じています。近年脅威が増大しているサイバー攻撃については「サイバー攻撃に関するリスク」に記載のとおりです。当社グループ役職員は定期的な教育や研修を通じて、情報管理の重要性及びその保護についての理解を深めています。また、個人情報等の取扱いを外部に委託する場合においては、委託の基準を定めるほか、定期的なモニタリングを実施する等の管理措置を講じています。 |
■重要なリスク
|
リスクの概要 |
対応策 |
|
・税務リスク 当社グループが展開する国や地域の税務処理に関して税務当局と税法の解釈や認識に相違がある場合、想定外の追加の税金、利息や罰金が発生する等、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、日本を含む展開各国ごとの税務専門家によるレビューやアドバイスを活用し、できる限り当局との認識相違が生じないよう、適切な納税額を算定する体制を構築しています。当局との認識相違が発生した場合には、これら専門家の支援を得ながら当社の解釈について理解を得られるよう対応することとしています。 |
|
・内部不正、事務事故等のリスク 当社グループは、業務の遂行に際して様々な種類の事務処理を行っています。役職員等が定められたとおりの事務処理を怠る、あるいは事故、不正等を起こした場合、予期せぬ損失の発生や行政処分の対象になる可能性があります。その結果、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、事務処理に関して社内規程や手続等を定め、業務品質の維持向上に努めています。事務処理上の過失が発生した場合は、原因分析を徹底し、再発防止策を講じることとしています。また、内部不正の防止については、ジョブローテーションの実施による業務関連不正の抑止やイオングループ共通の基本理念に基づくコンプライアンス意識教育を行っています。 |
|
・為替リスク、金利リスク、価格変動リスク 当社グループの国内銀行事業では、住宅ローン等運用期間が長い金融商品を取り扱っているため、運用と調達の金利更改ギャップが発生します。市場動向等により金利が大幅に変動した場合、当社グループの業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。 また、国内銀行事業においては、外国証券及び債券・株式等の有価証券による資産運用を行っています。市場動向等により、為替・金利・株価等が大幅に変動した場合、当社グループの業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。 更に、当社グループはアジア各国で事業を展開していることから、日本からの投融資や現地子会社における外貨建て調達、又は現地子会社からの配当金送金、連結業績等に関して、為替相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループの国内事業では、調達について社債等の長期資金を活用し、運用と調達の金利更改ギャップの低減に取り組んでいます。 また国内銀行事業における有価証券の価格変動リスクについては、リスク量として主にバリュー・アット・リスク(過去のデータ等に基づき、今後の一定期間において、特定の確率で、保有する金融商品に生じる損失額の推計値)を計測し、取締役会等で決議したリスク限度額を超過しないようリスクをコントロールしています。 為替変動リスクについては、国内銀行事業においては上述のリスクコントロールを行っています。また、事業を展開するアジア各国での為替相場変動リスクについては、当社グループの業績や財務内容への影響を考慮し、定期的に影響度をモニタリングしています。 |
|
・流動性リスク 当社グループは、営業活動に必要な資金の調達を預金及び金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、債権流動化等により行っています。金融市況及び景気動向の急激な変動、その他の要因により当社グループの信用力低下が生じた場合、又は、格付が低下する等した場合、資金調達に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、継続的なキャッシュ・フローのモニタリングを通して、適時に資金管理を行うほか、資金調達手段の多様化や市場環境を考慮した短期調達・長期調達のバランスの調整等により、流動性リスクを管理しています。 また、当社グループの銀行事業では、流動性リスク管理として支払準備資産保有比率及び資金ギャップ枠を設定し、その枠を超過しないようリスクをコントロールしています。 |
|
・人材管理リスク 当社グループは、幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っていますが、こうした人材層の市場ニーズはますます高まっています。新規人材の獲得競争に劣後し、あるいは既存役職員の流出等により高い専門性を有する人材を充分に育成、確保できない場合、事業が計画通りに進行しない等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、事業の成長やお客さまの変化に対応するイノベーションを実現するため、専門性を持った優秀な人材の育成、確保を重要な課題と認識しています。そのため、成果・能力主義を重視した人事制度の運用、従業員の業務遂行能力向上を目指した教育制度の充実に努めています。 また、「次世代経営者育成プログラム」等を通じ、グループ経営を推進する人材の育成に向けて、トップ及びミドルマネジメント層の人材開発にも取り組んでいます。 |
|
・人事・労務リスク 当社グループは国内外で事業活動を行っており、各社には多様な人種や国籍、文化を有する役職員が働いています。グループ各社において人権や多様性への理解と対応が不十分である場合、役職員の離職や社会的批判の対象となる可能性があります。このことは、当社グループのレピュテーションに影響を与えるほか、サービス利用の敬遠等による業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、事業を展開する各国において、当該国の法令の遵守のみならず、すべての役職員が「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」というイオンの基本理念に基づいた行動を体得すべく、定期的な教育を通じた啓蒙活動を行い、ハラスメント等の人権侵害や職場環境を害する役職員の言動の予防措置に努めています。また、差別等の不適切な行為があった場合、その当事者や発見者は内部通報制度によりこうした不適切な行為を通報することができます。当該制度を通じた個別の事案に対しては、通報者の適切な保護のもと調査に基づく是正対応を行っています。 |
|
・自然災害、その他災害 当社グループは、国内及びアジア各国・各地域において事業を行っています。これらの地域で、地震・津波・台風・大雨・システムトラブル・感染症の拡大・暴動・テロ活動等の発生により、当社グループの店舗・その他施設及び資金決済に関するインフラ・ATM等への物理的な損害や役職員への人的被害、又は当社グループのお客さまへの被害が生じる可能性があります。その結果、相当期間にわたる業務停止、多大な復旧コストの発生や事業廃止に至る等、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社と子会社であるイオン銀行は、こうした自然災害等に対して、事業継続マネジメントシステム(BCMS)の国際規格(ISO22301)の認証を受け、事業継続計画の策定、訓練や演習等を行っています。グループ各社においても、有事の際の被害の最小化と早期事業復旧のため、重要業務の選定、BCP(事業継続計画)の策定、訓練や演習、役職員への教育等のプロセスを推進しています。 |
|
・風評・風説の発生によるリスク 当社グループや金融業界等に対して事実と異なる理解・認識をされる可能性がある風説・風評が、マスコミ報道・口コミ・インターネット上の掲示板、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)への書き込み等により発生・拡散した場合、当社グループへの信頼が損なわれお客さまの離反に伴う収益の低下や事態収拾のためのコスト発生等、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、常時キーワード検知による掲載記事確認及びSNSモニタリングを実施し、こうした風説・風評の早期発見に努めるとともに、その影響度・拡散度等の観点から適時かつ適切に対応することで、影響の極小化に努めています。 |
|
・地政学的リスク 当社グループはアジア圏を主に海外展開しています。近時、地政学的な緊張の高まりや国家間の分断の進展等により国際情勢の不確実性が高まる中、これら展開地域やその周辺地域、更には展開地域以外での戦争や外交的緊張等により貿易や投資の混乱、金融危機、政情不安や社会不安が顕在化した場合、当該国・地域の事業環境や経済環境、並びに当社グループの事業運営に影響が生じ、当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、展開の前後でマクロ及びミクロレベルでのマーケットの調査と分析を実施するほか、経済情勢や政治社会情勢等について、イオングループ各社や現地日本企業との連携を深め情報収集に努めています。各種情勢変化の兆候を認めたときは、リスク・コンプライアンス委員会等で対応について検討することとしています。 |
|
・気候変動リスク 異常気象の増加(台風・洪水等)や気温上昇等により、当社グループの店舗・その他施設並びに資金決済に関するインフラやATM等に停電や通信障害等の被害が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループでは「イオン脱炭素ビジョン2050」に基づき、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)指標及び目標 ②気候変動に関する事項」に記載の指標を目指し、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの推進、再生可能エネルギーへの転換等に取り組んでいます。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示を進めています。一方で、環境規制の強化や社会的要請の高まり等により、想定以上の対策コストが発生したり、取組や開示内容が不十分と見なされた場合には、社会的信用の低下を招くおそれがあります。 |
当社では、店舗やその他施設における設備・運用の整備やシステムの安定稼働の確保に向けた取り組みを行っております。また、店頭における商品説明、サービスのお申込み、イオンカードのご利用明細等のペーパーレス化、デジタル化を推進する等、脱炭素への対応を進めております。 加えて、環境規制の強化や社会的要請の高まりに対応するため、各種規制の新設や変更等のモニタリングを行い、十分な開示を行うことで、当社グループの説明責任を適切に果たせるよう努めています。 |
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
①連結経営成績の状況
当連結会計年度の連結営業収益は5,693億70百万円(前期比106.8%)、連結営業利益は606億55百万円(前期比98.6%)、連結経常利益は606億93百万円(前期比97.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は210億92百万円(前期比134.8%)となりました。
当社は、金融サービスの提供を通じた持続的な成長を実現するため、当社グループの存在意義をOur Purpose
「金融をもっと近くに。一人ひとりに向き合い、まいにちのくらしを安心とよろこびで彩る。」と定めています。Our Purposeのもと、小売業発の金融グループの強みである「生活者視点」に立ち、展開するアジア各国において、全てのお客さまのライフステージや生活環境の変化に対応した金融サービスの提供を目指しております。
また、2030年のありたい姿として設定した「『金融をもっと近くに』する地域密着のグローバル企業」の実現に向け、中期経営計画(2021年度~2025年度)を「変革フェーズ」と位置づけ、事業環境の変化を踏まえた最適な事業ポートフォリオへの見直しや、デジタルを活用した新たなビジネスモデルの構築に取り組んでまいりました。
中期経営計画の最終年度である当連結会計年度は、イオン生活圏におけるお客さまへの提供価値の最大化を図るため、事業ポートフォリオの見直しによる経営資源の再配分を進めました。国内では、2025年7月1日に生命保険事業を営む連結子会社イオン・アリアンツ生命保険株式会社(現 明治安田トラスト生命保険株式会社)の発行済株式の85.1%を、明治安田生命保険相互会社へ譲渡しました。また、2026年2月1日に連結子会社であるACSリース株式会社を当社に吸収合併し、2026年3月1日にはエー・シー・エス債権管理回収株式会社のデータ分析コンサルティング業を吸収分割により当社へ承継しました。加えて、連結子会社であるAFSコーポレーション株式会社を当社へ吸収合併することを決定しています。これらにより、よりシンプルで実効性の高い効率的な組織体制を構築するとともに、各事業間の連携強化を通じた事業拡大を図ってまいります。
当連結会計年度の国内経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、人件費やエネルギー、物流コスト等の上昇に伴う物価高の影響が家計を圧迫し、個人消費については慎重な動きが継続しました。当社グループの展開するアジア各国においては、マレーシアやベトナムを中心に、家計消費の拡大を背景に堅調な経済成長が続いておりますが、中国経済の成長率鈍化に加え、米国の通商政策を巡る不透明感の高まり等により、マクロ経済環境の先行きには不確実性が残っています。さらに一部地域においてはインフレの長期化や所得の伸び悩みが見られ、景気回復には時間を要する状況となりました。
このような状況のもと当社グループは、国内外においてお客さまの決済及び資金ニーズに応える金融商品・サービスの提供により顧客基盤の拡充に取り組むとともに、各種取扱高及び営業債権残高の拡大による資産収益性の向上を図りました。
国内では、2025年2月28日にGMS事業を営むイオンリテール株式会社からWAONバリュイシュア事業の譲受を完了し、コード決済や電子マネー等の各種決済チャネルを融合した、より利便性の高いスマホ決済「AEON Pay」サービスの提供とともに、顧客基盤及び加盟店の拡大に取り組みました。また、2025年7月12日に、レンディングサービスやフィンテックソリューションを提供するAND Global Pte. Ltd.(以下、AND Global社)との間で、AND Global社の第三者割当増資についての株式引受契約及び戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しました。AND Global社の有するオルタナティブデータを活用したAIスコアリングによる与信管理ノウハウやデジタルレンディングに関するビジネスノウハウを、当社の国内及びアジア各国で活用することにより、サービスのDX化を推進するとともに、融資事業の強化、AI等のデジタル技術を活用した与信精緻化や債権回収体制の強化を図ってまいります。
海外では、イオングループが海外戦略の重要国と位置付けているベトナムにおいて、2025年2月に連結子会社となったAEON Consumer Finance Company Limitedが、現地法人ACS Trading Vietnam Co., Ltd.の提供する共通ポイント会員と一体となった顧客基盤の拡大に取り組みました。マレーシアにおいても、デジタルバンク事業を営むAEON BANK(M)BERHADが事業者向け預金を開始し、イオングループの取引先等へのサービス提供を図るとともに、2025年9月17日には、現地法人AEON CREDIT SERVICE(M)BERHADがイオングループの小売業を営むAEON Co.(M)BHD.と共同で、マーケティング事業を営む新会社AEON360 SDN.BHD.を設立する等、イオン生活圏をさらに発展させる取り組みを進めました。
②セグメントの状況
<国内・リテール>
国内・リテール事業の営業収益は2,429億71百万円(前期比125.6%)、営業利益は51億18百万円(前期比48.7%)となりました。
当連結会計年度では、ショッピングリボ・分割を中心とした営業債権残高が順調に増加したことや、金利上昇に伴うローン等の貸出金利息や有価証券の運用益が拡大したことで、営業収益は前期を上回りました。一方、銀行業における預金利息の拡大や金利環境に合わせた保有債券ポートフォリオのリバランスに伴う金融費用の増加等により、営業利益は前期を下回りました。
リテール事業では、2025年9月11日よりカードショッピング1回払い又はボーナス一括払いにおいて、決済手続き後にWeb及びイオンウォレットを通じて返済方法を分割払いへ変更できる「あとから分割払い」サービスを開始しました。ショッピングリボにおいては、ご利用明細やご利用日単位に加え、1カ月単位で支払方法をリボ払いに変更できる機能を追加し、お客さまの利用状況に合わせた、より柔軟な支払方法の選択が可能となりました。これら利便性の向上によるショッピングリボ・分割債権残高の拡大に加え、2025年12月2日ご請求分よりショッピングリボ手数料を改定し、収益性の向上を図りました。また、カードキャッシングにおいては、スマホアプリ「イオンウォレット」を通じたネットキャッシングの告知強化を図りました。
これらの取り組みにより、ショッピングリボ・分割債権残高は3,951億79百万円(期首差336億12百万円増)、キャッシング債権残高は4,353億76百万円(期首差74億73百万円増)と順調に拡大しました。
なお、2026年4月6日よりアプリ名称を「AEON Pay」へ変更し、デザインを刷新するとともに、視認性及び操作性を改善しました。今後も、お客さまがより使いやすいアプリへとUI・UXの向上を図り、利便性を高めてまいります。
株式会社イオン銀行(以下、イオン銀行)では、日本銀行による金融政策の見直しや金利情勢の変化を踏まえ、2025年3月1日に円預金及びローン店頭表示金利の改定を実施しました。また、金融環境のさらなる変化に合わせ、2026年3月1日にも円預金及びローン店頭表示金利の改定を実施し、普通預金金利は預金残高にかかわらずわかりやすくお伝えできるようになりました。
そのほか、円預金においては、お客さまの預金ニーズの高まりに応えるため、定期預金キャンペーンの実施に加えて、2025年2月に取り扱いを開始した退職金定期預金の店頭告知の強化、給与振り込み口座設定での定期預金優遇金利の適用等に取り組んだ結果、イオン銀行の預金残高は5兆4,641億67百万円(期首差2,625億34百万円増)と、順調に拡大しました。
また、顧客接点であるイオングループ店舗に出店する銀行店舗では、対面ニーズの高い金融相談等への対応や、顧客基盤拡大に向けた新規口座の獲得推進を目的に、新店舗の開設に加え、カードカウンターと銀行店舗の一体運営による募集拠点を全国9箇所に拡大しました。
各種ローン商品においては、住宅ローン契約者さま特典としてイオングループでのお買い物が毎日5%割引となる「イオンセレクトクラブ」の告知強化による、継続した当社グループ独自のメリットを訴求しました。また、住宅価格の高騰や若い世代のお客さまの住宅購入需要の高まりに対応し、2025年4月1日より、借入期間を従来の最長35年から最長50年に延長しました。これらの取り組みの結果、債権流動化前の居住用住宅ローンの貸出金残高は2兆9,117億87百万円(期首差46億51百万円増)となりました。
資産形成サービスでは、NISAをはじめとした資産運用応援キャンペーンの他、お買い物ついでに立ち寄れるショッピングセンター内にあるリアル店舗の強みを活かしたセミナー開催や保険等の対面相談ニーズにお応えすることで、資産形成関連の販売額は順調に推移しました。
イオン銀行では、2024年12月26日に金融庁より、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与(以下、マネロン・テロ資金供与)管理態勢に関し、銀行法第26条第1項の規定に基づく業務改善命令を受けました。当社及びイオン銀行は今回の処分を厳粛に受け止め、真摯に反省するとともに、同管理態勢の改善に一体となり取り組んでおります。イオン銀行は、2025年1月31日に本命令の趣旨を踏まえた業務改善計画書を金融庁へ提出し、以降、定期的に業務改善計画の進捗状況を金融庁へ報告しております。引き続き全社をあげて業務改善計画を着実に実行することで、マネロン・テロ資金供与対策に係る態勢強化を図り、お客さまに安心してご利用いただけるよう、信頼の回復に努めてまいります。
<国内・ソリューション>
国内・ソリューション事業の営業収益は1,898億38百万円(前期比98.6%)、営業利益は135億2百万円(前期比137.7%)となりました。
当連結会計年度は、クレジットカード及びスマホ決済「AEON Pay」の顧客基盤及び加盟店ネットワークの規模拡大に取り組んだことに加え、2025年2月にイオンリテール株式会社よりWAONバリュイシュア事業を譲受したことにより役務取引等収益が拡大し、増益となりました。
ソリューション事業では、2025年6月26日よりAEON Payと電子マネーWAONの融合を図り、両決済手段における残高を自由に移行できる機能をAEON Payに搭載しました。サービス開始にあわせ、イオングループ各社と連携した告知強化に取り組み、顧客基盤の拡充及び利用拡大に取り組みました。
顧客基盤の拡充については、期間中に初めてAEON Payを利用した方へご利用金額の最大20%を還元する企画の実施や、ATMでの現金チャージ機能の認知向上の他、継続して新規会員の獲得に取り組んだ結果、チャージ払い利用者を中心に会員が拡大し、AEON Payの有効会員は1,208万人(期首差392万人増)となりました。これらの結果、AEON Payを含む国内有効ID数は3,925万人(期首差309万人増)、内カード有効会員数は2,654万人(期首差37万人増)となりました。
決済領域においては、物価上昇を背景とした日常消費での節約志向が根強く、利用単価の伸び悩みが見られています。そのような中、イオングループや提携先企業、加盟店における共同販促施策の実施や、イオンカードのゴールド会員限定で、全国のイオンモール専門店において毎月20日・30日のお買い物が5%割引となる「お客さま感謝デー」特典の対象に、2025年3月よりネイバーフッド型ショッピングセンターのイオンタウン専門店を追加し、カード特典の魅力度向上に取り組みました。また、2025年7月から、毎月10日にイオングループの対象店舗でのAEON Payのご利用で、WAON POINTを基本の10倍付与する新たな利用促進企画を開始する等、よりお得な決済手段として利用拡大に取り組みました。
さらに、あらゆる生活シーンで気軽に利用可能な決済手段を目指し加盟店網の拡大を図り、AEON Payの利用可能箇所数は期首より111万箇所増となる415万箇所となりました。これらの結果、カードショッピング取扱高は7兆8,666億73百万円(前期比105.0%)となりました。
当社は、さらなる成長に向けた事業ポートフォリオの見直しとして、コア領域・成長領域への適切なリソース配分を行う方針のもと、戦略的パートナーとの協業を推進しています。2025年10月に、株式会社オリエントコーポレーションと共同で、個人事業主及び法人代表者・中小企業法人向けの「イオンビジネスカード」の発行を開始しました。さらに、2025年3月にイオン株式会社及び当社と包括的パートナーシップ契約を締結した明治安田生命保険相互会社との取り組みの一環として、2025年10月に「一般社団法人 全国フードバンク推進協議会」に寄付できる「フードバンク応援WAON」の発行を開始しました。イオングループ店舗網を活用した健康増進イベントを共同で開催する等、お客さまの健康増進・地域活性化に資する取り組みを推進しています。
当社はこれまでも国内市場で増加するフィッシング詐欺等によるクレジットカード不正利用を防ぐため、本人認証サービス(3Dセキュア)の導入や24時間365日、不正利用を察知する異常検知モニタリング等のセキュリティ体制を構築してきました。2025年7月23日には、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社とフィッシング詐欺対策の強化を目的としたパートナーシッププログラム契約を締結し、同社の提供する、AIと機械学習を活用し不正なウェブサイトをリアルタイムで検知・ブロックする「Web Risk」の活用を開始しました。今後も、外部関連団体との連携深化による最新情報の共有・対策強化及び、セキュリティ体制の強化によるお客さまへの安全な金融サービスの提供に努めてまいります。
<海外・中華圏>
中華圏の営業収益は359億24百万円(前期比100.9%)、営業利益は108億25百万円(前期比116.2%)となりました。
中華圏の主要エリアである香港は、物価上昇の影響や米国の通商政策を巡る不透明感を背景に消費動向に慎重な状況が続きましたが、政府による観光振興や飲食業を中心とした支援策の実施、中国本土との往来回復等を受け、香港域内での消費や観光・サービス分野では持ち直しの動きが見られました。このような環境下において、クレジットカードの利用促進等に継続して取り組み、取扱高及び営業債権残高は堅調に推移しました。他方、マクロ環境を鑑みた与信精緻化に努めたことで貸倒関連費用を抑制し、営業利益は前期を上回りました。
香港の現地法人AEON CREDIT SERVICE(ASIA)CO.,LTD.は、イオングループの小売り事業AEON STORES(HONGKONG)Co.,LTD.の店舗に加え、カード利用ニーズの高い飲食店や交通機関を対象に、イオンカードのモバイル決済(NFC決済)利用時のポイント特典を強化しました。また、観光需要の高まりに合わせた旅行予約や、フードデリバリー等のEC利用の伸長等により、カードショッピング取扱高は2,289億33百万円(前期比105.0%)と順調に拡大しました。
カードキャッシングでは、顧客データ分析に基づくスマホアプリやテレマーケティングを中心とした個別アプローチを強化するとともに、スマホアプリのUI・UXの改善や新規顧客向け特典の提供を開始しました。個人向けローンでは、対面相談サービスの充実等パーソナライズした営業を強化した結果、カードキャッシング取扱高は518億82百万円(前期比108.5%)、個人向けローン取扱高は307億8百万円(前期比101.7%)となりました。
また、ローン契約業務の完全ペーパーレス化や、カードレスで発行するバーチャルカードの即時発行運用の開始等の業務効率化を進めました。貸倒関連費用については、外部信用情報と自社顧客データを組み合わせたスコアの継続活用により、審査精度を向上したことで抑制を図りました。
<海外・メコン圏>
メコン圏の営業収益は1,028億30百万円(前期比107.4%)、営業利益は160億85百万円(前期比100.5%)となりました。
メコン圏の主要エリアであるタイは、高水準で推移する家計債務を背景に個人消費が伸び悩み、内需の回復に力強さを欠く状況が続きました。他方、ベトナムやカンボジアでは製造業や輸出関連分野の拡大、観光や国内消費の持ち直し等を背景に経済活動は総じて底堅く推移し、各国ごとに経済動向にばらつきが見られました。
このような環境下で各国において顧客基盤及び取扱高の拡大に取り組むとともに、与信回収体制の強化による生産性向上に努め営業収益は前期を上回りました。一方、営業利益はベトナム連結子会社のAEON Consumer Finance Company Limited(以下、ACF)取得に係るのれん償却費の計上により前期と同水準となりました。
タイの現地法人AEON THANA SINSAP (THAILAND)PCL.は、新たな顧客層の開拓、商品・サービスの拡大、サービスやオペレーションの改善に積極的に取り組みました。2026年2月にはペットとの生活を総合的にサポートするクレジットカード「Petster」の発行を開始し、新規会員獲得を目指しました。またイオンカードのデザインリニューアルやカード特典の見直し等のリブランディングを進めました。
個人向けローンでは、まとまった資金ニーズにお応えする長期の証書貸付ローンの取り扱いを開始する等、お客さまの利便性向上に取り組んだ結果、メコン圏の取扱高は1,029億14百万円(前期比90.1%)となりました。
貸倒関連費用の抑制に向け、債権回収システムの刷新による業務効率化ならびに債権回収時の連絡におけるAIボイスボット活用により債権回収率の改善につながりました。
ベトナムでは、2025年2月3日に持分取得したファイナンス会社ACFへ、現地法人ACS Trading Vietnam Co., Ltd.(以下、ACSTV)からの個品割賦事業の移管を、2025年10月1日に完了しました。個品割賦利用者への個人向けローンの提供等のクロスセル推進や、ACSTVの提供する共通ポイント会員と一体となった顧客基盤の拡大に取り組みました。
<海外・マレー圏>
マレー圏の営業収益は1,017億9百万円(前期比111.6%)、営業利益は149億56百万円(前期比111.4%)となりました。
マレー圏の主要エリアであるマレーシアでは、失業率の低下等、雇用環境の改善と個人所得の増加を背景に個人消費が堅調に拡大し、内需の拡大が経済成長の主要なけん引役となりました。これにより、国内経済は引き続き安定した成長を維持しています。そのような中、主力の小型バイクに加え、近年注力している大型バイクや中古車をはじめとする個品割賦事業やクレジットカード等の取扱高が順調に推移し、営業債権残高が増加したことにより、営業収益は前期を上回り増収となりました。営業利益についても、営業債権残高拡大に伴う貸倒関連費用等の増加を吸収し、前期を上回りました。
マレー圏では、マレーシア現地法人AEON CREDIT SERVICE(M)BERHAD(以下、ACSM)において、2025年6月にマレーシア初のバイク愛好者向けカード「AEON Biker Visa Card」の発行を開始しました。また2026年1月には、クレジットカードとメンバーズカードを統合した「AEON Member Plus Credit Card」を発行し、イオングループ小売各社での独自特典や、ACSM及び小売各社の発行するポイントの統合を図り、よりわかりやすく便利なサービス提供に取り組みました。
個品割賦においては、外部信用情報を活用した即時仮与信機能やAIクレジットスコアリングの導入による与信精緻化に取り組みました。個人向けローンにおいては、スマホアプリ「イオンウォレット」のUI・UXの改善に加え、2025年8月に利用状況に応じてステージランクを決定する「FinPlus」のデータを活用した事前与信機能の追加により、FinPlus会員からの融資申込の拡大につながりました。これらの結果、マレー圏の個品割賦の取扱高は1,417億36百万円(前期比101.4%)、個人向けローンの取扱高は829億77百万円(前期比106.4%)と伸長しました。
デジタルバンク事業を営むAEON BANK(M)BERHADでは、預金及びデビットカードに加え、2025年3月に個人向けローン「Personal Financing-i」の提供を開始しました。2025年4月にはACSMのスマホアプリへ口座申込導線を設置し、両社の連携強化を図っています。加えて、2025年8月には事業者向け預金商品の取り扱いを開始しました。
2025年9月17日に、ACSMはイオングループの小売業を営むAEON Co.(M)BHD.と共同でマーケティング会社AEON360 SDN.BHD.(以下、AEON360)を設立しました。AEON360は、マレーシアでイオングループが40年にわたり培った事業基盤と、ACSMが蓄積してきた金融ノウハウやデータを融合し、お客さまのライフスタイルに関わる全方位(360度)のサービス提供とイオン生活圏のさらなる発展につなげていくことを目的としています。スマホアプリをグループ各社と統合し、グループ横断のプラットフォームの開発を拡大することで、顧客IDやロイヤリティ制度の共通化、AIを活用したデータマーケティング等の提供を目指してまいります。
(2)財政状態の状況
資産の部、負債の部、純資産の部における主な増減内容は次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より5,574億63百万円増加し、8兆3,139億56百万円となりました。これはカードキャッシングや個人向けローンの残高拡大及び居住用住宅ローン貸出金残高の増加等により貸出金が2,496億6百万円、銀行業における有価証券が3,290億92百万円、及び買入金銭債権が1,088億65百万円増加した一方、日銀預け金の減少等により現金及び預金が1,379億72百万円減少したこと等によるものです。
(負債の部)
負債合計額は、前連結会計年度末より5,180億20百万円増加し、7兆6,887億46百万円となりました。これは資金決済口座としての利用拡大等により預金が2,758億53百万円、買掛金が750億24百万円、有利子負債が1,301億49百万円、及び流動負債その他が603億92百万円増加した一方、事業分離により子会社を連結の範囲から除外した影響により保険契約準備金が426億56百万円減少したこと等によるものです。
(純資産の部)
純資産合計額は、前連結会計年度末より394億43百万円増加し、6,252億9百万円となりました。これは利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により210億92百万円、為替換算調整勘定が242億35百万円、非支配株主持分が237億39百万円増加した一方、利益剰余金が期末及び中間配当金の支払いにより114億41百万円、及びその他有価証券評価差額金が394億93百万円減少したこと等によるものです。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローについては、銀行業における預金残高の増加等により、3,036億65百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有価証券の取得による支出が有価証券の売却・償還による収入を上回ったこと等により、4,238億29百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払等により、186億28百万円の支出となりました。
以上の結果により現金及び現金同等物は1,322億76百万円減少し、6,627億91百万円となりました。
②資金需要
当社グループの主な資金需要は、個人向けの金融サービスの提供に係る、貸出金及び割賦売掛金等の事業運営資金に加え、お客さま利便性向上のためのIT、デジタル投資並びに子会社への出資・増資等を含む成長投資であります。
③資金調達
当社グループは、円滑な事業運営に必要な流動性の確保と、財務の健全性及び安定性の維持を資金調達の基本方針としております。この方針のもと、調達期間の長期化や調達手法の多様化を進めるとともに、外部金融機関との取引の安定及び拡大を図ることにより、手元流動性及び財務基盤の安定性の確保に注力しております。
資金調達の内訳として、国内においては、銀行業における預金に加え、メガバンクを中心とした金融機関からの借入による間接金融のほか、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行、ならびに債権流動化による直接金融を活用しております。海外においては、主に邦銀及び現地金融機関からの借入等による間接調達により資金調達を行っております。
また当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付はA(安定的)、格付投資情報センターの格付はAマイナス(安定的)となっております。また主要な金融機関とは良好な関係を維持していることから、引き続き、事業拡大や投資、運転資金の調達に対して安定的な外部資金調達が可能であると認識しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(明治安田生命保険相互会社及びイオン株式会社との包括的パートナーシップ契約の締結)
当社は、2025年3月21日開催の取締役会において、明治安田生命保険相互会社及びイオン株式会社との包括的パートナーシップ契約を締結することを決議し、契約を締結いたしました。
なお、詳細につきましては、2025年3月21日付で適時開示しております「連結子会社の異動(株式の譲渡)並びに明治安田生命保険相互会社及びイオン株式会社との包括的パートナーシップ契約の締結に関するお知らせ」に記載のとおりであります。
(財務制限条項)
財務制限条項が付された借入金契約
<提出会社>
|
財務制限条項(注)1 |
相手方 属性 |
契約 通貨 |
締結日 (注)2 |
弁済期限 (注)3 |
期末債務残高 |
担保 有無 |
||
|
① |
② |
③ |
||||||
|
○ |
○ |
- |
都市銀行等 |
日本円 |
2022年10月31日 |
2027年10月29日 |
3,500百万円 |
無 |
<AEON CREDIT SERVICE(ASIA)CO.,LTD.>
住所:20/F., Mira Place Tower A, 132 Nathan Road, Tsimshatsui, Kowloon, Hong Kong
代表者:Wei Aiguo
|
財務制限条項(注)1 |
相手方 属性 |
契約 通貨 |
締結日 (注)2 |
弁済期限 (注)3 |
期末債務残高 |
担保 有無 |
||
|
① |
② |
③ |
||||||
|
○ |
○ |
- |
都市銀行等 |
日本円 |
2019年9月5日 |
2026年3月18日 |
1,150百万円 |
無 |
|
○ (注)4 |
- |
○ |
都市銀行等 |
香港 ドル |
2025年2月28日 |
2028年2月28日 |
299百万香港ドル |
無 |
<AEON THANA SINSAP (THAILAND) PCL.>
住所:388 Exchange Tower, 27th floor, Sukhumvit Road, Khwaeng Klongtoey, Khet Klongtoey, Bangkok
代表者:島方 俊哉
|
財務制限条項(注)1 |
相手方 属性 |
契約 通貨 |
締結日 (注)2 |
弁済期限 (注)3 |
期末債務残高 |
担保 有無 |
||
|
① |
② |
③ |
||||||
|
○ |
- |
- |
都市銀行等 |
タイ バーツ |
2025年3月27日 |
2029年12月21日 |
2,500百万タイバーツ |
無 |
|
○ |
- |
- |
都市銀行等 |
米ドル |
2023年12月22日 |
2028年2月18日 |
117百万米ドル |
無 |
|
○ |
○ |
- |
都市銀行等 |
日本円 |
2025年6月25日 |
2028年6月26日 |
8,400百万円 |
無 |
|
○ |
○ |
- |
都市銀行等 |
米ドル |
2022年4月26日 |
2027年3月31日 |
142百万米ドル |
無 |
|
○ |
○ |
○ |
都市銀行等 |
日本円 |
2025年1月28日 |
2028年4月25日 |
7,500百万円 |
無 |
|
○ |
○ |
○ |
都市銀行等 |
タイ バーツ |
2025年1月27日 |
2027年4月30日 |
1,500百万タイバーツ |
無 |
|
○ |
○ |
○ |
都市銀行等 |
米ドル |
2023年3月28日 |
2027年3月29日 |
25百万米ドル |
無 |
(注)1.財務制限条項の区分は以下の通りとなります。
①純資産額維持を条件とする借入契約(以下いずれか)
・年度末の純資産額を、借入前年度の一定割合以上に維持すること
・年度末純資産の額がマイナスとならないこと
②営業利益又は経常利益が2期連続で赤字とならないことを条件とする借入契約
③上記①及び②に該当しないその他の財務制限条項が付された借入契約
(注)2.複数の契約が該当する場合は、契約日が最も古い契約を記載しております。
(注)3.複数の契約が該当する場合は、弁済期日が最も遅い契約を記載しております。
(注)4.連結純資産額は、30億香港ドルを下回らないこと。
該当事項はありません。