第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来、①お客様への最適な物流方法を提案する「提案力」、②中国を中心とした海外拠点の確かな「ネットワーク」、③物流情報をタイムリーに提供できる「オペレーティング」の3つをキーワードに、お客様の多様な物流ニーズにお応えしてまいりました。

社会や競争環境の変化に向き合う中で、当社では、2023年8月に、時代に即し未来を見据えた形で基本理念を刷新し、あわせて経営方針も刷新いたしました。

現在の基本理念及び経営方針は以下のとおりです。

[基本理念]

創発

[経営方針]

1.創発により、変化の激しい環境に適応し、お客様と共に持続的に成長します。

2.お客様のニーズに基づいた拠点網を拡充し、組織全体が創発により有機的に結びつき創造性あふれる活発な組織を構築します。

3.一人ひとりの想像力を高め、創発が生まれる企業文化を作ります。

4.世界に挑戦できる主体的・自律的な人材を育成し、創発による変革を実現します。

この理念に基づいた考え方や行動を企業文化としてグループの隅々まで浸透させることで、さらなる成長と飛躍を目指してまいります。また、企業倫理を尊重し、顧客・株主・従業員にとって存在価値ある企業グループとして、社会や経済の発展に貢献するとともに、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、これまでに培ってきた事業基盤及び経営資源を最大限に活用し、経営方針に基づき、安定的かつ持続的な成長の実現と収益の確保を重要な経営目標としております。そのため、事業環境の変化や市場ニーズの多様化を踏まえつつ、収益性と効率性の両面を向上させる経営体制の強化に継続して取り組んでまいります。

特に、営業収益、営業利益及び経常利益においては、成長率を重要な経営指標と捉え、その向上を重視した経営に取り組んでまいります。加えて、ROE(自己資本利益率)並びにROA(総資産経常利益率)においても、企業価値の向上及び資本効率の改善を示す重要な財務指標であるとの認識のもと、現在の水準から更なる向上を図るべく努力してまいる所存であります。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、国際物流事業において、より良い貨物輸送サービスを展開し、お客様に密着したサービスを提供できるワールドワイドな総合物流企業を目指しております。

近年、物流業界は大きな環境変化に直面しております。エネルギー価格の上昇や各種法改正への対応など、費用を押し上げる複数の要因が重なり、物流費は上昇基調にあります。こうした状況の中、企業にはこれまで以上に柔軟なコスト管理と工夫が求められています。

また、少子高齢化の進行や「2024年問題」に伴う労働規制の強化により、人手不足と輸送力不足は深刻化しています。これらの課題は安定的なサービス提供に影響を及ぼす可能性があるため、当社グループとしても環境変化を注視しつつ、持続的にサービスを提供できる体制の構築を進めてまいります。

一方で、顧客ニーズは多様化・高度化しており、物流に求められる品質やスピード、付加価値も高まっています。こうした環境に対応すべく、当社グループは主力である国際貨物輸送をはじめ、通関、配送、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)などのサービス領域を拡充し、その強化を図ってまいります。また、海外の保税倉庫を活用したビジネスの拡大や機能強化により、保税物流の利便性向上にも取り組んでいます。

さらに、国内外の子会社や世界各国の代理店との連携を強化し、中国・台湾と東南アジアを中心とした海外間の輸送の獲得に積極的に取り組むことで、グローバル物流体制の強化と収益の安定化を図ってまいります。加えて、輸出・航空貨物輸送、通関、保管、配送など各分野で専門性や強みを持つ企業との提携も視野に入れ、より広範で高品質なサービスの提供を目指してまいります。

 

また、社会全体のデジタル化の進展を踏まえ、物流分野におけるDXの重要性は一段と高まっています。当社グループでは、デジタル技術やAIを積極的に活用し、業務の省人化、プロセスの効率化、情報の可視化を推進することで、顧客利便性やサービス品質のさらなる向上、新たな価値創出を実現し、競争力の強化につなげてまいります。

当社グループは今後も、デジタル活用、事業領域の拡大、グローバルネットワークの強化、他企業との連携など多方面からの取り組みを進め、お客様にとって価値ある存在であり続けられるよう、一層のサービス向上に努めてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき課題

グローバル化が一層進展する現在の事業環境において、当社グループの中核事業である国際貨物輸送事業は、社会的・経済的基盤を支える極めて重要なインフラとしての役割を担っており、その責務はこれまで以上に重いものとなっていると認識しております。

人々の生活や産業活動の継続に欠かすことのできない国際物流及び日本国内の物流において、当社グループは多様な物流手段を活用し、安定的なサービスの提供に努めております。また、絶えず変化する事業環境に適切に対応しながら、持続可能な物流と社会の実現に資するべく、各種事業活動を展開しております。

さらに、当社グループがお客様からの支持を得て事業を発展させることは、企業価値の向上につながるのみならず、物流企業として担う社会的使命と責任を果たすことにも直結するものと認識しております。

このような認識のもと、当社グループでは以下の事項を優先的に対処すべき課題として掲げて、積極的に取り組んでまいります。

 

①強靭な収益基盤の確立とグループの持続的成長の実現

当社グループは、強靭な収益基盤の確立及びグループ全体の持続的な成長を実現するためには、国際物流を取り巻く環境変化を正確に捉え、その変化に迅速かつ柔軟に対応できる事業運営体制の構築が不可欠であると認識しております。近年の物流業界では、エネルギー価格の上昇や環境規制・各種法改正への対応といった外部要因により、物流コストは引き続き上昇基調にあります。これらを踏まえ、企業には従来以上に精度の高いコスト管理、柔軟な運用体制、さらにはサプライチェーン全体を見据えた効率化が求められております。

さらに、日本国内においては、少子高齢化の進展に加え、「2024年問題」に代表される労働規制強化の影響により、ドライバーの不足ならびに輸送キャパシティの不足が顕在化しております。これらは物流サービスの安定的な提供を困難にする懸念があり、当社グループにおきましても、外部環境の変化を注視しつつ、持続的なサービス提供を可能とする供給体制の強化に向け、より実効性の高い取り組みを進めていく必要があると考えております。

一方、顧客ニーズはこれまで以上に多様化・高度化しており、高品質な輸送サービスに加え、スピードや柔軟性、さらには付加価値の高いソリューションが求められております。こうした環境を踏まえ、当社グループは主力事業である国際貨物輸送の強化を軸に、通関、配送、国内外での3PL(サードパーティー・ロジスティクス)に加え、流通加工、海外保税倉庫を活用した保税物流など、各種付帯サービスの拡充を進めることで、物流企業としての機能向上に取り組んでまいります。

また、中国・台湾・東南アジア間を中心とした海外間の輸送の拡充は、当社グループの収益安定化と事業領域拡大に向けて重要なテーマであり、国内外の子会社及び各国代理店との連携を強化することで、国際ネットワークのさらなる充実を図ってまいります。加えて、各事業領域で強みを有する企業との提携可能性を継続的に検討し、輸出入関連業務、航空貨物輸送、保管・配送などにおいて提供価値の最大化を追求してまいります。これにより、顧客に対し総合的かつ高付加価値な物流サービスを提供し、競争優位性の確立と事業規模の拡大を実現してまいります。

さらに、物流業界においてデジタル化が急速に進む中、当社グループはAIを含むデジタル技術の活用を積極的に推進し、業務の省人化、プロセスの効率化、情報の可視化といった取り組みを一層加速させてまいります。これらにより、オペレーション面での生産性向上を図るとともに、顧客の利便性とサービス品質のさらなる向上、新たな価値の創出を実現し、グループ全体の収益基盤強化につなげてまいります。

今後も当社グループは、外部環境の変化を見据えつつ、事業領域の拡大、グローバルネットワークの強化、デジタル技術の積極的な活用、他企業との戦略的提携など、多面的な取り組みを継続的に推進してまいります。そして、これらの取り組みを通じて、グループとしての競争力を強化し、持続的な企業価値の向上を実現してまいります。

 

 

②人材戦略と人的資本経営の推進

国内においては、人口減少と高齢化に伴う労働力人口の縮小が進み、幅広い産業で人材確保の困難性が高まっております。物流業界においても、需要増加と人材供給のギャップが構造的課題となっており、国際物流を含む専門領域では、各国の規制やグローバル及び国内物流の事情に精通した高度な知見を有する人材の確保が一層重要性を増しております。

当社グループでは、持続的な企業成長の基盤として、優秀な人材の安定的な確保、定着率の向上、ならびに計画的な人材育成を重要な経営課題と位置付けております。採用面では、事業運営に必要な専門性を持つ即戦力人材を中途採用するとともに、将来の人的基盤強化を目的とした新卒採用を継続的に実施し、組織体制の強化を図っております。また、エンゲージメントサーベイの活用を通じて、従業員の働きがい向上と離職防止に向けた職場環境の整備に取り組んでおります。

人材育成においては、当社の基本理念である「創発」を基軸とし、「創発人材の育成」を人材育成方針として掲げ、「挑戦」「多様性とヒラメキ」「好奇心と感性」「主体性と自律性」を柱に、当社の掲げる理念に共感し、かつ実践できる人材の育成に取り組んでおります。また、この理念に基づく考え方や行動を企業文化としてグループ全体に浸透させることで、更なる成長と飛躍を目指しております。2026年2月期においても、創発人材の育成を目的とした研修を継続的に実施するとともに、階層別・テーマ別研修の充実を図り、組織全体の知的基盤と競争力の強化に努めております。

社内環境整備の面では、労働生産性向上と働きやすさの両立を目的として、柔軟な勤務制度の導入・運用、有給休暇取得の促進、勤務制度の適宜見直しなど、これまで継続的に環境整備に取り組んでまいりました。また、従業員の生活基盤を支え、意欲の向上につなげるため、近年において継続して賃金のベースアップなどを実施し、人的資本への投資を進めております。

当社グループは、これらの取り組みを通じて従業員エンゲージメントの向上を図り、企業価値の持続的向上につなげてまいります。今後も、人材確保、創発人材の育成、働きやすい職場環境整備、成長機会提供等の施策を継続し、環境変化に柔軟に対応しながら、人的資本経営の高度化を推進してまいります。

 

③内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を着実に高めていくため、組織体制と内部管理体制の強化、内部統制の実効性向上、ならびにコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を重要な経営課題としております。

こうした課題への対応として、事業拡大に応じた組織体制の適切な見直し・整備を進めるとともに、監査役と内部監査室の連携強化、定期的かつ計画的な内部監査の実施、さらに経営陣及び従業員を対象とした継続的なコンプライアンス研修を行い、ガバナンス機能の一層の向上に取り組んでおります。

当社グループでは、内部管理体制を実効的に機能させることが企業価値の持続的向上に直結するとの認識のもと、今後も透明性・公平性の確保に努め、相互牽制が働く健全なガバナンス体制の整備・運用を進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

近年、日本社会では人口減少の加速や働き方改革の浸透、テクノロジーの進展に伴い、企業には多様な働き方の実現や生産性向上が強く求められるようになりました。また物流業界においても、需要の増加とドライバー不足・専門人材不足が同時に進行し、効率化・高度化を両立させる取り組みが不可欠となっています。このような環境変化を踏まえ、当社グループも持続可能な社会の実現に向け、責任ある事業運営を進めていく必要があると考えております。

当社グループは、自ら輸送手段(船舶・航空機・自動車等)を所有・運行せず、顧客(荷主)の需要に応じて、船会社等の実運送業者のサービスを利用し、国際貨物輸送を行っております。物流業界においても、需要増加と人材供給のギャップが構造的課題となっており、国際物流を含む専門領域では、各国の規制やグローバル及び国内物流の事情に精通した高度な知見を有する人材の確保が重要性を増しております。当社グループでは、社会インフラである物流を通じて人々の暮らしの安定とグループの価値創造、そして持続的な成長を実現するための源泉は「人材」であると位置付けております。

社会や競争環境が大きく変化を遂げる中、当社では、2023年8月に、時代に即し未来を見据えた形で基本理念を「創発」へと刷新し、あわせて経営方針も刷新いたしました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、「創発」とは、個々人の能力や発想を組み合わせて創造的な成果に結びつける取り組みであり、革新や進化の源泉とも言える重要なプロセスを指します。それは異なる視点を掛け合わせて、次々と新しいアイデアを生み出していくことでもあります。

当社が策定した基本理念及び経営方針は、今まで以上に創意工夫などに代表される発想を重視することを明確化しただけでなく、そこからさらに前進してあらゆる場面で革新や進化を起こせる企業体でありたいという願いを込めて制定したものです。

この経営理念に基づいた考え方や行動を、企業文化としてグループの隅々まで浸透させていくことで更なる成長と飛躍を目指すとともに、経営理念、経営方針の実践及び実現により社会に貢献し、企業価値を向上させることが、ステークホルダーへの経済価値の創造、また社会貢献へつながるものと考えております。

 

(1) ガバナンス

当社グループのサステナビリティ関連のリスク及び機会を把握・管理するためのガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しておりますコーポレート・ガバナンスの体制と同様となります。

当社グループを取り巻く事業環境は、近年の急速な環境変化に加え、状況が継続的に移り変わる中で、当社グループが持続的な成長を実現するうえで必要となる課題も変化しております。こうした状況を踏まえ、グループ全体での戦略的方向性のすり合わせや取り組むべき課題の共有、及び課題に向けた業務遂行の指示・監督のために、取締役会が主体となり、各部室及び子会社からの定例的な業務報告を受けています。取締役会では、これらの報告を通じて業務や計画の進捗状況を確認し、実効性のある監督を実施しています。

 

(2)リスク管理

当社は、リスク管理を経営上の重要な活動と認識しており、事業全般について想定される各種リスクについて、リスク管理規程を制定するとともに、その適切な運用に努めております。また、サステナビリティに関連するリスクにつきましても、その他経営上のリスクと一体的に監視及び管理しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

当社では、担当取締役が子会社各社の連携のもと、当社グループ全体のリスク管理を行っており、重要な内容や問題点などは取締役会等に適宜報告され、顕在化するリスク等に対して、早期に適切な対応を講じるための体制を整備しております。

 

 

(3)人的資本に関する戦略

当社グループでは、持続的な成長を通じた企業価値向上の実現に向けて、「人材」を重要な経営資源として位置付けております。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)優先的に対処すべき課題」に記載のとおり、当社グループは、永続的な事業継続と持続的成長の実現に向けて、人材の確保、定着率の向上、ならびに計画的な人材育成を不可欠な要素と捉えており、これらを重要な経営課題として位置付けております。

当社では、新卒採用・中途採用の双方を通じて必要な人材を確保するとともに、エンゲージメントサーベイの活用及びその実施機会を増やすことで、従業員が働きがいや働きやすさを実感できる職場環境の整備を進め、定着率の向上に取り組んでおります。また、これまでにマネジメント層向けにエンゲージメントサーベイをより深く理解するための講習会を実施し、日々の業務状況をふまえた改善活動を推進することで、総合スコアの向上を図っております。さらに、人材育成においては、研修体系を整備し、従業員一人ひとりの成長を後押しすることで、人的資本の価値向上に努めております。

 

<研修体系図(2026年2月期)>


(注)当社では、ステージを最大8まで設けております。ステージ6、7、8については、全従業員を対象とした社内研修に加え、必要に応じて各ステージ別に研修を実施しております。

 

加えて、一部の子会社においても、従業員の能力向上を目的とした研修の実施やスキル開発支援を行うなど、グループとしてより良い職場環境の構築に取り組んでおります。

当社グループでは、社会の価値観が多様化する中、持続的成長と企業価値向上を支える原動力は、従業員一人ひとりの成長と働きがいであると考えております。人的資本の多様性を維持・促進する上でも、働きやすい環境整備は重要であり、当社グループでは、DX推進をはじめとする業務効率化の取り組みを通じて、残業時間の削減や有給休暇取得の促進を図り、労務環境の改善に継続的に取り組んでおります。

さらに、当社では基本理念である「創発」を基軸とし、「創発人材の育成」を人材育成方針として掲げ、「挑戦」「多様性とヒラメキ」「好奇心と感性」「主体性と自律性」を柱に、当社の掲げる理念に共感し、かつ実践できる人材の育成に取り組んでおります。創発人材の育成を目的とした公募型研修については、毎期継続して実施し、経営戦略やマーケティングについての学習機会を提供するとともに、新たなサービスや事業を企画・立案する場を設けることで、実践的な能力開発と成長促進を図っております。

社内環境整備の面では、労働生産性向上と働きやすさの両立を目的として、これまでに所定労働時間の短縮や短時間勤務の対象拡大を進めるとともに、時差出勤を効果的に活用するなど、柔軟な働き方の導入・運用に取り組んでまいりました。また、有給休暇取得の促進を通じて従業員のワークライフバランス向上を支援し、働きやすい職場環境の整備を継続して進めております。さらに、継続的なベースアップの実施により処遇改善を進めるとともに、毎月開催する「衛生委員会」では産業医と従業員が健康・職場環境・労働衛生などについて意見交換を行い、安心して働ける環境整備を推進しております。

当社グループは、年齢や性別を問わず安定的な人材確保と創発人材の育成を図るとともに、給与水準の向上、働きやすい職場環境の整備、自己成長の機会提供、組織活性化などに取り組み、環境変化に柔軟に対応しながら持続的成長の実現に向けて、人的資本のさらなる充実に努めてまいります。

 

 

(4)人的資本に関する指標及び目標

上記「(3)人的資本に関する戦略」に記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備について次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は次のとおりです。これらの指標項目については、今後も人的資本・多様性に対する取り組みを深化させる中で必要に応じて見直しを行ってまいります。なお、当社グループに属する全ての会社では指標及び目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難であることから、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

指標

実績

(2025年2月期)

実績

(2026年2月期)

目標

2027年2月期

挑戦を推奨する風土に対するエンゲージメントスコア

49

54

54以上を維持

資格取得支援の累積利用人数

93人

128

200

女性管理職候補(課長補佐、課長代理)登用率

41.7%

50.0

35.0%以上を維持

 

当社では、労働環境の整備を進めるとともに、性別に関わらず活躍できる組織風土の醸成にも取り組んでまいりました。その成果として、「女性管理職候補(課長補佐、課長代理)登用率」は、2025年2月期に41.7%となり、2024年2月期の11.1%から大幅に上昇し、当初目標であった25.0%を前倒しで達成することができました。

また、当社では、2024年2月期において「挑戦を推奨する風土に対するエンゲージメントスコア」の2027年2月期目標値を54に設定しておりました。これに向けて、個々人が新しいことに挑戦しながら学びを得られる環境づくりを推進するとともに、従業員が自ら新たな取り組みに踏み出したいと思える組織風土の醸成にも取り組んでまいりました。その結果、2026年2月期におけるスコア実績値は54となり、当初目標を前倒しで達成いたしました。

これら2つの指標につきましては、今後も一定水準の維持とさらなる向上を目指すため、「女性管理職候補(課長補佐、課長代理)登用率」については、2025年2月期において、改めて2027年2月期の目標を上記に設定し、「挑戦を推奨する風土に対するエンゲージメントスコア」についても、改めて2027年2月期の目標を上記に設定いたしました。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループは、これらのリスク要因を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に全力で努めてまいる所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

また、これらの記載のうち将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したもので、不確実性を内包しており、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではなく、実際の結果とは異なる場合があります。

 

(1)燃油価格及び船舶需要の変動等による仕入価格の変動について

当社グループは、船舶・自動車等を持たず、取引先から受託した貨物の輸送を実運送業者(船会社・自動車運送業者等)に委託しております。このため、燃油価格の変動や船腹・車両不足等により実運送業者の輸送運賃が変動した場合、当社グループの仕入コストも変動いたします。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため、一部の実運送業者との間で輸送運賃に関する契約を締結し、一定期間、運賃の固定化を図るよう努めております。また、市場環境の急激な変化等により輸送運賃の仕入価格が変動した場合は、競合他社の動向等も踏まえ、通常、仕入価格が上昇した際には販売価格に転嫁し、仕入価格が下落した際には販売価格の引下げや調整を行います。

しかしながら、何らかの事由により、仕入価格が上昇した際に販売価格へ転嫁できなかった場合、或いは仕入価格が急激に下落し販売価格を引き下げた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、外部環境に左右されないより強固な収益基盤を構築することが重要課題であると認識しており、より強固な収益基盤を構築すべく、現在、競争力を向上させるためにデジタル戦略を推進し、顧客の利便性向上へと繋げるため、DXによるサービスメニューの拡充等の施策に取り組んでおります。

 

(2)一般的な景気動向と特定業種への依存について

当社グループが展開する国際貨物輸送事業は、国際間の物流量の影響を受けるため、国内外の景気動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの売上高は、繊維・雑貨関連の企業への依存が相対的に高くなっております。当社グループでは、未だ取扱いの少ない他の業種への営業活動も強化し、収益獲得機会の拡大を図っており、現在、幅広い業種、多くの企業と取引を行っております。よって、特定した企業への依存度は低いものの、これら特定する業種への景気の悪化等で、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制について

当社グループの行う国際貨物輸送事業は、輸送手段(船舶・自動車等)を所有、運行せず、取引先の要望に応じて、船会社等の実運送業者のサービスを活用して貨物輸送を行い、取引先(荷主)に対して輸送責任を負う貨物利用運送事業者として、「貨物利用運送事業法」の規制を受けております。当社グループでは「貨物利用運送事業法」に基づき、国土交通大臣より「第一種貨物利用運送事業」の登録及び「第二種貨物利用運送事業」の許可を受けております。当該登録及び許可には期限の定めはありませんが、貨物利用運送事業に関し不正な行為を行った場合などの事由により、期間を定めた事業の全部もしくは一部の停止、あるいは、登録・許可が取り消される可能性があります。

さらに、当社グループでは貨物輸送に附帯する業務として通関業を行っており、所轄地税関長より「通関業法」に基づく通関業の許可を受けております。当該許可についても期限の定めはありませんが、関税法や通関業法などに違反した場合は、許可が取り消される可能性があります。

また、当社グループでは中国においても、「無船承運(NVOCC)業務営業許可」を受けており、不正な行為を行った場合には、許可が取り消される可能性があります。

 

本書提出日現在、当社グループにはこれらの登録・許可の取消し事由に該当する事実はありませんが、将来何らかの理由により、登録・許可の取消し等の事態が発生した場合、当社グループの経営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

許認可等の名称

所轄官庁等

許認可等の内容

有効期限

第一種貨物利用運送事業

国土交通大臣

事業経営の登録

期限の定め無し

第二種貨物利用運送事業

国土交通大臣

事業経営の許可

期限の定め無し

通関業

所轄地税関長

事業経営の許可

期限の定め無し

AEO認定通関業者

大阪税関長

AEO認定通関業

期限の定め無し

無船承運(NVOCC)業務営業許可

中華人民共和国

上海市市場監督管理局

事業経営の許可

期限の定め無し

 

それらのリスクに対して当社グループは、関係法令の制定、改廃に関する情報収集を行い、事前の対策を図るとともに、法令等に定められた有資格者の配置や社員へ関係法令の周知徹底に努めるとともに、役職員を対象に定期的なコンプライアンス研修を実施し、法令遵守の徹底を図り、各種許認可等の取消事由の発生を未然に防止することにより、当該リスクの低減に努めております。

 

(4)中国情勢の変化について

当社グループが展開する国際貨物輸送事業における主要な業務は、日中間の海上コンテナ輸送の取扱いであります。そのため、中国における政治的・経済的な混乱の発生、中国政府の政策変更、人民元の為替動向、反日運動の発生等の影響により、日中間の国際物流環境に大きな変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

それらのリスクに対して、当社グループでは、中国に2社連結対象子会社を有し、中国の主要となる沿岸部に拠点を設置して、これら拠点から中国国内の経済・社会・政治的状況や法規制等の動向について、適宜情報を収集しております。また、毎月開催される取締役会においても、中国子会社の事業環境及び経営状況に関する報告がなされており、対応が必要な事象が生じた際には、取締役会での検討及び所管の取締役が中国子会社と連携して適宜対応を行います。

 

(5)グローバルな事業展開に伴うリスクについて

当社グループは、中国以外の地域とのコンテナ輸送等も展開しており、中国情勢の変化だけではなく、グローバル化に伴う次のようなリスクが存在しております。これらのリスクが顕在化した場合或いは予期せぬカントリーリスクが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

1. 事業や投資に係る許認可、税制、通商制限等

2. 戦争、暴動、テロ、ストライキ、その他の要因による社会的混乱

3. 移転価格税制等の国際税務リスク

4. 急激な為替レートの変動

それらのリスクに対して当社グループは、新たに海外進出する際には、現地の政情や経済情勢、並びに当社グループの取引先が当該国と潜在的に持つ貨物量を勘案するほか、考えられる限りのリスクを把握し、対処するよう努めております。また、当社グループでは、中国以外に台湾、ベトナム、ミャンマーに連結対象子会社を有し、それぞれにおいて、中国子会社と同様の対応を行っております。

 

(6)外貨建て債権債務及び連結財務諸表に与える為替変動リスク

当社グループの行う国際貨物輸送事業において、その運賃収入及び運賃仕入の一部は米ドル建てであるため、為替レートの変動により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、外貨建の債権債務については、為替予約の実施等によりリスクヘッジをおこなっておりますが、全てのリスクを回避するものではなく、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、海外連結子会社における営業収益、費用及び資産等の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算しております。従って、円換算時の為替レートにより、これらの項目の円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、為替レートの変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)人材の確保について

当社グループが展開する国際貨物輸送事業においては、国内外の物流事業に精通した人材の確保、育成が必要不可欠であります。しかしながら、国内では少子高齢化に伴う慢性的な労働力不足が続いており、採用市場の競争は一段と激しさを増しております。その結果、求める人材を適切なタイミングで確保することが難しい状況となっております。

当社グループが事業を永続的に発展させ、持続的な成長を実現していくためには、人材の安定的な確保、定着率の向上、そして計画的な育成強化がこれまで以上に重要となっております。当社グループにとって、人材は最も重要な経営資源の一つであり、計画に基づいた事業拡大を実現するため、新卒採用の継続に加え、企業成長に応じた中途採用にも積極的に取り組んでおります。また、人材紹介会社の活用や教育研修制度の充実を図り、人材育成にも注力しております。

一方で、物流事業に精通した人材の十分な確保ができなかった場合、あるいは計画どおりの研修・育成が実施できなかった場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)戦略的事業提携について

当社グループは、より高度な付加価値サービスの提供や事業基盤の拡大及び補強のために、事業戦略の一環として他企業との戦略的事業提携を行う可能性があります。戦略的事業提携につきましては、事前の十分な検討や対象企業の詳細なデューデリジェンスを行いますが、提携後の事業計画が当初の計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)売上債権及び立替金の貸倒について

当社グループでは、取引先は特定した先に集中することなく、多数の取引先に分散されており、且つ当社の中心的な業務である国際貨物輸送の基本的な取引はキャッシュオンデリバリーで、相対的に売上債権の回収リスクは低いものの、最近では一貫輸送の営業強化の関係から通関業務の受託が増加し、必然的に売上債権が増加しております。さらに通関業の商習慣として、輸入する取引先が負担する商品の輸入関税等の立替も発生することが多く、立替金も増加傾向にあります。当社グループでは、輸入する取引先が負担する商品の輸入関税等について、当社グループが立替えることなく、取引先にて直接納付頂くよう求め、リスク軽減に取り組んでおります。

当社グループは、増加傾向にあるこれら売上債権や立替金に対し、細心の注意を払った与信管理を行い、取引先によっては、ファクタリングを活用して、リスクヘッジを行っております。ただし、これらヘッジを行ったとしても、信用リスクが顕在化し、ファクタリング等で補填が出来ず、貸倒が発生することも考えられます。これら貸倒が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)競争激化について

物流業界におきましては、近年、人手不足が顕著となり、物流コストも上昇しております。そして、さまざまな環境が急速に変化する中で、お客様の物流に対するニーズもより多様化・高度化しております。当社グループを取り巻く環境としては、常に同業他社との競争、競合状態にあります。当社グループでは、顧客企業への納品までの輸送期間の短縮や船舶と鉄道を組み合わせた輸送サービス、デジタルを活用したサービス等、独自のサービスの開発を進め、競合他社との差別化を図り、また価格競争力の強化にも努めております。しかしながら、新規参入業者の増加等で価格競争は激化の傾向にあり、独自の優位性を確保出来なかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)輸送事故について

当社グループは、国際貨物輸送事業者として培ったノウハウを持って、取引先の貨物が安全かつ確実に輸送されるよう細心の注意を払っていると共に、輸送事故等の発生に備え、利用運送業務に加え、通関業務等に関連する事故も保険の対象となる包括賠償責任保険等に加入しております。ただし、発生する特殊な事故のケースでは、保険等で補償されない場合もあり、このような場合には、社会的信用の低下や補償費用等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12)システム障害やセキュリティ侵害について

当社グループでは、経理業務・国際貨物輸送業務等の遂行にあたり、各種情報システムを活用しております。

業容の拡大に伴い、情報システムの機能強化や安定稼働に向けた取り組みを進めており、システム障害に備えたデータの定期的なバックアップを実施するとともに、自然災害や事故等の不測の事態に備えて外部データセンターを利用するなど、事業継続に必要な体制を整備しております。

また、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルス感染、標的型攻撃メール、さらにはソフトウェアの未知の脆弱性(ゼロデイ脆弱性)を悪用した攻撃など、近年高度化・多様化するサイバー攻撃への対応は重要性が増しております。

当社グループでは、アクセス制御の強化やセキュリティ対策システムの導入に加え、役職員を対象とした継続的な情報セキュリティ教育を実施することで、情報セキュリティ体制の強化に努めております。さらに、当社グループは外部委託先のシステムやサービスも活用しており、委託先における障害やセキュリティインシデントが当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性もあることから、必要な管理・監督を適切に行っております。

しかしながら、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミス、自然災害、停電、コンピュータウイルス、外部からの不正アクセス、外部委託先での障害やセキュリティインシデント等、さまざまな要因により情報システムに障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)自然災害、感染症等のリスクについて

当社グループは、船舶等による日中間の国際貨物輸送を主な業務としております。このため、これらの地域で起こる大地震・台風等の自然災害によっては、事業活動の停止及び社会インフラの大規模な損壊や機能低下により、当社グループが委託する実運送業者の貨物輸送に支障を来たすことがあります。このような場合、取引先への輸送サービスが停止し、売上高の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、大規模な地震・風水害等に備え、災害対策マニュアル等を整備し、安否確認システムの導入や防災訓練の実施など行い、また災害発生時には、必要に応じて緊急対策本部を設置するなど様々な対策を行っておりますが、自然災害による被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの売上高は、「(2)一般的な景気動向と特定業種への依存について」にも記載のとおり、繊維・雑貨関連の企業への依存が相対的に高まっております。新たな感染症の発生や感染症の拡大等により、これら企業の業績が悪化し、国際貨物の物流量が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな感染症の発生や感染症の拡大等により、中国をはじめとする各国の生産活動の停止や物流に長期的な停滞等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)取引先・個人情報の管理について

当社グループでは、取引先・個人等の情報を取扱っており、コンプライアンスや取引先・個人情報管理の徹底など、社内教育を通じて情報管理体制の強化に努めております。また、個人情報の取扱いについては、個人情報保護規程を策定の上、細心の注意を払っております。しかしながら、情報の外部漏洩やデータ喪失等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善などを背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、物価上昇の継続により消費マインドの下振れが懸念されているほか、米国の通商政策の動向や海外における地政学リスクの高まりなどにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような経済環境のもと、当社グループは、主力事業である国際貨物輸送の取扱拡大を図るべく積極的な営業活動を継続するとともに、輸出入関連の付帯サービス等の受注拡大に取り組み、さらに、新規顧客の開拓に加え、既存顧客との取引深化にも努めてまいりました。また、オンラインでのフォワーディング・通関サービス「Cargo Information Service」の機能を追加・拡充するとともに、子会社においても当社同様のデジタルサービスを提供するなど、競争優位性のさらなる強化に向けた取り組みを進めてまいりました。

当連結会計年度においては、これらの取り組みが奏功したことに加え、アパレル関連商材の荷動きが比較的堅調に推移し、それに伴って通関受注件数が伸長したこと、さらには期間前半に海上貨物輸送の運賃水準が前年同時期と比べて高く推移したことなどから、営業収益は増加しました。

さらに、一部の顧客との間で、海上運賃や価格が上昇する日本国内の陸送費用などの価格改定交渉を進め、価格転嫁に取り組んでまいりました。

その結果、売上総利益は前年同期を上回り、累計期間における売上総利益率も前年同期を下回る水準ながら、前期の夏以降に大幅に低下していた局面から改善傾向を示しました。

また、販売費及び一般管理費につきましては、給与のベースアップ等により人件費が増加いたしましたが、業務効率化の推進やその他の費用の抑制に取り組むことで、可能な限り利益の確保に努めてまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の営業収益は58,399百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は4,196百万円(前年同期比3.0%増)となりました。また、経常利益は、前年同期と比較して受取利息等が増加したことで4,680百万円(前年同期比3.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,175百万円(前年同期比4.2%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(日本)

前期の夏頃から海上貨物輸送の運賃が上昇した影響を受け、当連結会計年度は前年同期と比較して運賃水準が高い状況下で始まりました。中間期終盤にはその価格差は縮小したものの、このような環境下において、当社グループは収益拡大を目指し、新規顧客の獲得に加えて既存顧客との取引深耕にも注力してまいりました。

当連結会計年度における海上貨物輸送の取扱コンテナ本数は、雑貨関連の物量が減少したものの、アパレル関連商材が比較的堅調に推移しその減少分を補った結果、輸入は241,442TEU(前年同期比4.5%増)、輸出入合計では256,851TEU(前年同期比3.2%増)となりました。

また、通関受注件数については、アパレル関連を中心に堅調に推移したことに加え、営業強化の効果も寄与し、152,656件(前年同期比9.6%増)と前年実績を大きく上回りました。

以上のことから、日本における営業収益は、海上輸送における運賃差の影響に加え、通関受注の大幅増や海上輸送の取扱コンテナ本数の増加が寄与し、49,731百万円(前年同期比5.5%増)となりました。また、セグメント利益については、価格転嫁等による売上総利益の改善に加え、販売費及び一般管理費の抑制効果も加わり、3,359百万円(前年同期比5.5%増)となりました。

(中国)

日本向け貨物を安定的に取り扱ったことで、中国国内における輸送関連の収益を確保することができ、その結果、営業収益は7,005百万円(前年同期比2.0%増)となりました。一方、セグメント利益については、日本と同様に利益改善は進んだものの、累計期間における売上総利益率が前年同期を下回ったことが影響し、661百万円(前年同期比2.6%減)となりました。

 

(その他)

ミャンマー子会社では、輸送関連の収益を安定的に確保できたほか、台湾子会社においても、日本からの輸入貨物の取り扱いは減少したものの、三国間輸送の受注が堅調に推移した結果、営業収益は1,663百万円(前年同期比2.4%増)となりました。一方、セグメント利益については、主にミャンマー子会社の事業活動に伴う費用増が影響し、175百万円(前年同期比16.0%減)となりました。

 

(注)TEU(Twenty-foot Equivalent Unit、20フィートコンテナ換算)とは、海上コンテナの数量を表す単位で、20フィートコンテナ1個分を1TEUと計算します。

 

財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,058百万円増加し27,596百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,039百万円増加し21,392百万円となりました。これは主に、売掛金が661百万円、立替金が443百万円、現金及び預金が90百万円増加した一方で、電子記録債権が183百万円減少したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,019百万円増加し6,204百万円となりました。これは主に、投資有価証券が1,430百万円増加した一方で、顧客関連資産が263百万円、のれんが108百万円減少したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債総額は、前連結会計年度末に比べ678百万円増加し6,738百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ724百万円増加し5,134百万円となりました。これは主に、買掛金が411百万円、未払法人税等が128百万円増加したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ45百万円減少し1,604百万円となりました。これは主に、リース債務が75百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ1,379百万円増加し20,858百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益3,175百万円を計上した一方で、剰余金の配当により1,996百万円が減少したことに加えて、為替換算調整勘定が179百万円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ163百万円減少し、13,852百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は3,530百万円(前年同期比302百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を4,681百万円計上したことのほか、減価償却費532百万円、仕入債務の増加387百万円、利息及び配当金の受取額316百万円、のれん償却額108百万円等の資金の増加要因に対し、法人税等の支払額1,362百万円、売上債権の増加450百万円、立替金の増加442百万円等の資金の減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は1,590百万円(前年同期比287百万円減)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出1,569百万円、投資有価証券の取得による支出1,258百万円等の資金の減少要因に対し、定期預金の払戻による収入1,330百万円等の資金の増加要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、支出した資金は2,222百万円(前年同期比114百万円増)となりました。これは主に、配当金の支払1,996百万円等の資金の減少要因によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループは、国際貨物輸送サービスの提供をしております。従って、サービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため生産実績の記載は省略しております。

 

b.受注実績

生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年3月1日

至 2026年2月28日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

49,731

+5.5

中国

7,005

+2.0

その他

1,663

+2.4

合計

58,399

+5.0

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.主な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。

3.「その他」には、台湾、ベトナム及びミャンマーの現地法人を含めております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金等の各引当金や退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

(営業収益)

当連結会計年度における営業収益の概況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益)

当連結会計年度は、海上貨物輸送における取扱数量や通関受注件数が増加したことに加え、期間前半に海上貨物輸送の運賃水準が前年同時期と比べて高く推移したことなどから、営業原価が増加しました。これにより、営業原価は48,107百万円(前年同期比5.6%増)となりました。

売上総利益率については、前期の夏以降に大幅に低下していたものの、一部顧客との間で海上運賃や価格が上昇する日本国内の陸送費用などの価格改定交渉を進め、価格転嫁に取り組んだことで、改善傾向を示しました。しかしながら、前年同期と比較すると、売上総利益率は0.5ポイント低下することになりました。

販売費及び一般管理費は、給与のベースアップや昇給により人件費が増加しました。一方で、DX や生成AIの利活用による業務効率化を進め、各種コストの見直し・削減・抑制に取り組んだことにより、6,095百万円(前年同期比1.2%増)にとどまりました。

これらの結果、営業利益は、営業収益の増加に加え、売上総利益率の低下を補う価格転嫁の進展や、販売費及び一般管理費の抑制効果が寄与し、4,196百万円(前年同期比3.0%増)と前年同期を上回りました。

(経常利益)

営業外収益では、前連結会計年度に比べ、主に受取利息が56百万円、持分法による投資利益が5百万円増加した一方で、為替差益が29百万円減少することとなりました。これらにより、営業外収益は、前連結会計年度に比べ21万円増加し497百万円となりました。

その結果、経常利益は4,680百万円(前年同期比3.3%増)と前年同期を上回りました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益にて固定資産売却益1百万円を計上し、特別損失にて固定資産除却損1百万円等を計上しました。また、法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額等を合わせた法人税等合計は1,387百万円となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,175百万円(前年同期比4.2%増)と前年同期を上回りました。

b. 財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金を活用し、必要に応じて金融機関からの借入により資金調達を行っております。

主な資金需要につきましては、運転資金として、国際貨物輸送事業に係る営業原価、及び販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金として、業務の効率化や顧客の利便性向上を目的としたシステム投資等があります。

これら資金需要及び事業規模と業容の拡大を図るためのM&Aに係る資金等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応してまいります。

株主還元につきましては、各期の連結業績や連結配当性向、将来の国内外での事業展開及び経営基盤の強化を図るための内部留保を総合的に勘案しながら、安定的且つ継続的に配当を実施することを基本方針としております。この方針の下、株主の皆様のご期待にお応えするべく、配当による利益還元の充実を図っていきたいと考えております。配当政策に関する詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスや物流領域における競争優位性を高めるサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

5 【重要な契約等】

資本業務提携契約

当社は、ロジスティード株式会社との間で資本業務提携契約を締結しており、その内容は次のとおりです。

 契約締結先

契約締結日

 資本提携の内容

 業務提携の内容

ロジスティード

株式会社

2018年

10月10日

当社株式の保有

4,800,000株

 

 (被所有割合)

発行済株式総数(自己株式を除く)の20.4%

 当社及びロジスティード株式会社の取り組み

①3PL・フォワーディングのシームレスな連携による総合物流サービスの実現

②アパレル・雑貨物流のプラットフォーム化による収益基盤の強化

③非アパレル・非雑貨分野での協業による営業力強化

④LT*・ITを活用した最先端物流への取り組み強化

 * Logistics Technology の略。

 

(注)1.契約締結時における相手先の名称は「株式会社日立物流」でありましたが、同社グループの組織再編に伴い、「ロジスティード株式会社」に当該契約上の地位及び当該契約に基づく権利義務の全てが承継されております。

2.令和6年4月1日施行の「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和5年12月22日 令和5年内閣府令第81号)第3条第4項の経過措置により、この府令に規定された記載すべき事項のうち、府令の施行前に締結された契約に係るものについては、記載を省略しております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。