有価証券報告書とは?提出義務・記載内容・見方を3分で解説

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有価証券報告書とは、上場企業などが金融商品取引法に基づき事業年度ごとに作成・提出する開示書類です。決算後3か月以内に提出され、==企業の財務諸表や事業状況がEDINET金融庁が運営する電子開示システム。提出された有価証券報告書などを誰でも無料で閲覧できる。Electronic Disclosure for Investors' NETwork の略。で誰でも無料で閲覧できます。==本記事では提出義務の対象、記載内容、決算短信との違い、初心者向けの見方までを解説します。

有価証券報告書とは何か?

有価証券報告書とは、企業の事業内容と財務状況を投資家に開示するための法定書類です。金融商品取引法第24条で作成・提出が義務づけられています。略称は「有報(ゆうほう)」です。

監査法人による会計監査を受けた財務諸表が含まれるため、企業が任意で公開する資料よりも信頼性が高い点が特徴です。投資判断、就職活動の企業研究、取引先の与信調査など、幅広い用途で活用されます。

有価証券報告書は誰が提出する義務がある?

提出義務があるのは、おもに上場企業と一定規模以上の有価証券を発行した企業です。投資家保護の観点から、株式が広く流通している企業ほど開示義務が重くなります。

  1. 金融商品取引所に株式を上場している企業
  2. 店頭登録されている有価証券の発行企業
  3. 有価証券届出書を提出した企業
  4. 株主数が1,000名以上などの要件を満たす企業

提出期限は、原則として事業年度終了後3か月以内です。3月決算の企業であれば6月末までに提出します。虚偽記載があった場合は課徴金法令違反に対して行政が課す金銭的な制裁金。刑事罰とは別に科される。や刑事罰の対象となるため、記載の正確性が法的に担保されています。

有価証券報告書には何が書かれている?

有価証券報告書には、企業の概況から監査済み財務諸表までが体系的に記載されています。構成は内閣府令で定められており、どの企業でもほぼ同じ章立てです。

  1. 企業の概況(沿革、従業員数、主要な経営指標の推移)
  2. 事業の状況(業績、経営方針、事業等のリスク)
  3. 設備の状況(設備投資、主要な設備の内容)
  4. 提出会社の状況(株式、配当、コーポレートガバナンス、役員)
  5. 経理の状況(貸借対照表、損益計算書などの財務諸表)

特に「事業等のリスク」には、その企業が認識している経営上の懸念が具体的に書かれます。投資家や就活生が企業の弱点を把握するうえで重要な項目です。

有価証券報告書はどこで読める?

有価証券報告書は、金融庁が運営する==EDINET(エディネット)で無料公開されています。==会員登録なしで全文を閲覧・ダウンロードできます。

企業名や証券コードで検索すれば、対象企業の有報をPDF形式やXBRL財務データを項目ごとにタグ付けして記述する電子フォーマット。コンピュータによる自動分析がしやすい。eXtensible Business Reporting Language の略。形式で取得できます。企業スコープの各企業ページからも、最新の有価証券報告書情報へアクセスできます。

有価証券報告書と決算短信は何が違う?

有価証券報告書と決算短信は、どちらも企業の業績を伝える書類ですが、根拠となる制度と詳しさが異なります。速報性なら決算短信、正確性と網羅性なら有価証券報告書です。

比較項目有価証券報告書決算短信
根拠制度金融商品取引法証券取引所の適時開示ルール
提出先金融庁(EDINET)証券取引所
公表時期決算後3か月以内決算後45日以内が目安
会計監査監査済み監査前(速報値)
情報量多い(事業リスク等も網羅)少なめ(業績数値が中心)

出典: 金融商品取引法(e-Gov法令検索)日本取引所グループ

有価証券報告書の見方3ステップ

初心者が有価証券報告書を読むときは、全体を読もうとせず重要な3か所に絞るのが効率的です。所要時間は約10分です。

  1. 「主要な経営指標等の推移」で売上高と利益の5年トレンドを確認する
  2. 「事業等のリスク」でその企業が抱える経営課題を把握する
  3. 「経理の状況」の貸借対照表で自己資本比率など財務の安全性を確認する

よくある質問

有価証券報告書は上場していない企業でも提出する?

非上場企業でも、有価証券届出書を提出した企業や株主数が一定以上の企業は提出義務があります。ただし多くの中小の非上場企業には提出義務がなく、有報を公開していません。

有価証券報告書とアニュアルレポートの違いは?

有価証券報告書は法律で様式が定められた法定開示書類です。アニュアルレポートは企業が任意で作成する広報資料で、デザインや構成は企業ごとに自由です。

過去の有価証券報告書はどこまでさかのぼれる?

EDINETでは原則として直近5年分の開示書類が閲覧できます。それ以前の古い有報は、国立国会図書館や企業のIRページで確認できる場合があります。

有価証券報告書はいつ提出される?

提出期限は事業年度の終了後3か月以内です。3月決算の企業なら6月末、12月決算なら翌年3月末が目安です。多くの企業が期限の間際に提出します。

有価証券報告書と四半期報告書の違いは?

有価証券報告書は年1回の通期開示です。四半期ごとの開示だった四半期報告書は2024年に廃止され、現在は四半期決算短信に一本化されています。

有価証券報告書を読むのに費用はかかる?

かかりません。EDINETでは会員登録も費用も不要で、すべての有価証券報告書を無料で閲覧・ダウンロードできます。

有価証券報告書はどんな人が読む?

投資家、就職・転職活動中の人、取引先の与信を調べる担当者、研究者などが利用します。企業の実態を一次情報で確認したいすべての人に役立ちます。

有価証券報告書に虚偽記載があるとどうなる?

金融商品取引法違反として課徴金や刑事罰の対象になります。誤りが判明した場合は訂正報告書の提出が求められ、投資家の信頼を大きく損ないます。

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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET金融商品取引法(e-Gov法令検索)日本取引所グループ

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