流動比率とは?計算式・何%が安全かを3分で解説
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流動比率とは、1年以内に返す負債に対して、1年以内に現金化できる資産がどれだけあるかを示す財務指標です。計算式は「流動資産 ÷ 流動負債 × 100」で、一般に200%以上が理想、100%未満は注意が必要とされます。本記事では計算方法、目安となる水準、自己資本比率との違い、見るときの注意点までを初心者向けに解説します。
流動比率とは何か?
流動比率とは、企業が短期的な支払いに対応できる体力を示す財務指標です。1年以内に返済する負債を、手元の資産で十分にまかなえるかを判断する代表的なものさしとして使われます。
流動資産1年以内に現金化される資産。現金・預金、売掛金、受取手形、棚卸資産(在庫)などが含まれる。には現金や売掛金、在庫が含まれ、流動負債1年以内に返済期限が来る負債。買掛金、短期借入金、未払金などが含まれる。には買掛金や短期借入金が含まれます。流動比率が高いほど、目先の資金繰りに余裕があり、短期的に倒産しにくい企業と理解されます。
流動比率の計算式は?
流動比率は、流動資産を流動負債で割って100を掛けるだけで求められます。貸借対照表企業の資産・負債・純資産を一覧にした財務諸表。バランスシート(B/S)とも呼ばれる。の数値を使えば誰でも計算できます。
- 流動比率(%)= 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
- 流動資産は貸借対照表の「資産の部」にある流動資産合計を使う
- 流動負債は貸借対照表の「負債の部」にある流動負債合計を使う
たとえば流動資産が300億円、流動負債が150億円の企業であれば、流動比率は200%です。数値は有価証券報告書や決算短信の貸借対照表に記載されています。
流動比率の目安は何%?
流動比率の一般的な目安は、200%以上が理想、100%以上で一応安全、100%未満は注意とされます。100%を下回ると1年以内の負債を流動資産でまかなえない計算になります。
| 流動比率 | 一般的な評価 | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 200%以上 | 理想的 | 短期の支払能力に十分な余裕 |
| 150〜200% | 良好 | 短期的な安全性が高い |
| 120〜150% | 標準 | 業種により評価が分かれる |
| 100〜120% | やや注意 | 余裕が少なく資金繰りに留意 |
| 100%未満 | 注意 | 短期の支払能力に懸念 |
出典: 中小企業実態基本調査(政府統計 e-Stat) ほか。日本の中小企業の平均はおおむね150%前後で推移。
流動比率と自己資本比率の違いは?
流動比率と自己資本比率は、どちらも財務の安全性を示しますが、見ている時間軸が異なります。短期の支払能力なら流動比率、長期の財務体質なら自己資本比率です。
| 比較項目 | 流動比率 | 自己資本比率 |
|---|---|---|
| 示すもの | 短期的な支払能力 | 長期的な財務の安全性 |
| 計算式 | 流動資産÷流動負債×100 | 自己資本÷総資産×100 |
| 時間軸 | おもに1年以内 | 長期的な体力 |
| 一般的な目安 | 200%以上が理想 | 40%以上で安定 |
| 主な用途 | 資金繰りの確認 | 倒産しにくさの確認 |
両方を併せて見ることで、目先の資金繰りと長期的な体力の両面から企業の安全性を判断できます。より厳しく短期の支払能力を見たい場合は、在庫を除いた当座比率も用いられます。
流動比率を見るときの注意点
流動比率は高いほど安心ですが、数値だけで判断すると実態を見誤ることがあります。流動資産の中身まで確認することが大切です。
- 流動資産に売れ残りの在庫や回収困難な売掛金が多いと、数値が高くても実際の支払能力は低い
- 在庫を除いた当座比率も併せて見ると、より厳しく短期の安全性を判断できる
- 業種により適正水準は異なるため、必ず同業種内で比較する
- 1年だけでなく数年の推移で見て、改善傾向か悪化傾向かを確認する
たとえば流動比率が180%でも、流動資産の大半が長期滞留した在庫であれば、実際の資金繰りは苦しい可能性があります。流動比率は中身とセットで読むことが鉄則です。
よくある質問
流動比率と当座比率の違いは?
流動比率は流動資産すべてを分子に使います。当座比率は流動資産から在庫などを除いた当座資産だけを使うため、より厳しく短期の支払能力を判断できます。当座比率は100%以上が目安です。
流動比率は何%あれば安全?
一般には200%以上が理想とされ、100%以上あれば一応の安全圏とされます。ただし業種によって適正水準は異なるため、同業他社と比較して判断することが大切です。
流動比率が100%未満だとすぐ倒産する?
すぐに倒産するとは限りません。安定した借入枠や継続的な営業キャッシュフローがあれば資金繰りは回ります。ただし短期の支払能力に余裕がない状態なので、注意して見る必要があります。
流動比率が高すぎると問題はある?
極端に高い場合、現金や在庫を過剰に抱え資産を有効活用できていない可能性があります。安全性の面では問題ありませんが、資本効率の観点では指摘されることがあります。
流動比率はどこで調べられる?
上場企業なら有価証券報告書や決算短信の貸借対照表で確認できます。流動資産合計を流動負債合計で割れば自分でも計算できます。EDINETで無料で閲覧できます。
流動比率と自己資本比率はどちらが重要?
どちらも重要で、見ている時間軸が違います。流動比率は1年以内の支払能力、自己資本比率は長期的な財務体質を示します。両方を併せて見ることで安全性を多面的に判断できます。
流動比率は業種でどのくらい違う?
現金商売が中心の小売業は低めに、設備投資の少ない業種は高めになりやすい傾向があります。同じ数値でも業種で評価が変わるため、必ず同業種内で比べてください。
流動比率を上げるにはどうすればよい?
短期借入金を長期借入金に借り換える、利益を積み増して現預金を増やす、過剰な在庫を圧縮するなどが基本です。流動負債を減らし流動資産の質を高めることが健全な方法です。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 中小企業実態基本調査(e-Stat) 、財務省 法人企業統計調査 、金融庁 EDINET