純資産とは?構成・自己資本との違い・見方を3分で解説
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純資産とは、企業の総資産から負債を差し引いて残る、返済義務のない正味の財産です。総資産が1,000億円で負債が600億円なら、純資産は400億円になります。本記事では純資産の構成、自己資本や株主資本との違い、財務の安全性を読む見方、注意点までを初心者向けに解説します。
純資産とは何か?
純資産とは、企業のすべての資産から負債を差し引いて残る正味の財産です。返済する必要がないお金で、企業の財務的な体力を示します。
貸借対照表企業の資産・負債・純資産を一覧にした財務諸表。バランスシート(B/S)とも呼ばれる。では右下に「純資産の部」として記載されます。純資産が厚いほど、返済不要のお金で経営が支えられていることを意味し、倒産しにくさの目安になります。負債が資産を上回って純資産がマイナスになった状態は、債務超過と呼ばれます。
純資産の構成は?
純資産は1つの数字ではなく、性質の異なる4つの要素から構成されます。中心になるのは株主資本で、純資産の大半を占めます。
| 構成要素 | 内容 | おもな項目 |
|---|---|---|
| 株主資本 | 株主が出資したお金と利益の蓄積 | 資本金、資本剰余金、利益剰余金 |
| 評価・換算差額等 | 資産の時価評価で生じた含み損益 | その他有価証券評価差額金 |
| 新株予約権 | 将来株式を取得できる権利の対価 | ストックオプションなど |
| 非支配株主持分 | 子会社のうち親会社以外が持つ分 | 連結決算でのみ登場 |
このうち最も重要なのが株主資本です。資本金や利益剰余金過去に稼いだ利益のうち、配当などで社外に出さず企業内に蓄積した部分。内部留保とも呼ばれる。からなり、企業が長年積み上げてきた財務の土台にあたります。新株予約権や非支配株主持分は金額が小さいことが多く、補助的な位置づけです。
純資産と自己資本・株主資本の違いは?
純資産・自己資本・株主資本は似ていますが、含む範囲が異なります。範囲が広い順に純資産、自己資本、株主資本と整理すると理解しやすくなります。
| 用語 | 計算範囲 | 特徴 |
|---|---|---|
| 純資産 | 株主資本+評価換算差額等+新株予約権+非支配株主持分 | 貸借対照表の純資産の部すべて |
| 自己資本 | 株主資本+評価・換算差額等 | 自己資本比率の計算に用いる |
| 株主資本 | 資本金+資本剰余金+利益剰余金等 | 株主に帰属する中核部分 |
つまり純資産から新株予約権と非支配株主持分を除いたものが自己資本、自己資本から評価・換算差額等を除いたものが株主資本です。==安全性指標である自己資本比率の分子には、純資産ではなく自己資本を用いる==点に注意が必要です。
出典: 金融庁 EDINET、日本取引所グループ
純資産の見方は?
純資産を読むときは、金額の大小よりも内訳と推移に注目するのが効率的です。所要時間は約5分です。
- 純資産が前年より増えているか減っているかの傾向をみる
- 利益剰余金がプラスかマイナスかで利益の蓄積を確認する
- 総資産に対する自己資本の割合を計算し、財務の安全性をみる
- 純資産がマイナスの債務超過に陥っていないかを確認する
純資産が毎年増えていれば、利益を着実に積み上げている健全なサインです。逆に純資産が減り続けている場合は、赤字の累積や多額の配当が原因の可能性があります。数値は有価証券報告書や決算短信の貸借対照表で確認できます。
純資産を見るときの注意点
純資産は財務の安全性を示しますが、金額だけを見て判断すると誤った結論を招きます。3つの点に注意が必要です。
- 純資産が大きくても、総資産に対する割合が低ければ負債依存度は高い
- 評価・換算差額等は株価や為替の変動で動くため、本業の実力とは切り分ける
- 純資産が多くても資本効率が低いと、株主から活用を求められることがある
また、純資産の額は自己株式企業が発行済みの自社株式を買い戻して保有しているもの。純資産の部からマイナスとして控除される。の取得でも変動します。自己株式を買い戻すと純資産は減りますが、これは財務の悪化ではなく株主還元の一環です。増減の背景を決算説明資料で確認すると見誤りにくくなります。
よくある質問
純資産と自己資本はどう違う?
自己資本は、純資産から新株予約権と非支配株主持分を除いた部分です。多くの企業では両者の金額は近くなりますが、自己資本比率の計算には自己資本を用います。
純資産がマイナスだとどうなる?
負債が資産を上回る債務超過の状態です。返済不要の正味財産が尽きていることを意味し、上場企業では上場廃止の要因にもなる危険なサインです。
純資産はどこで確認できる?
上場企業なら有価証券報告書や決算短信の貸借対照表に記載されています。EDINETや各企業のIRページから無料で閲覧でき、過去数年分をさかのぼれます。
純資産が多い企業ほど安全といえる?
おおむね安全といえますが、金額だけでは不十分です。総資産に対する自己資本の割合を併せて見ることで、負債とのバランスを含めた安全性を判断できます。
利益剰余金と純資産はどう関係する?
利益剰余金は純資産を構成する一要素です。過去の利益の蓄積にあたり、企業が毎年利益を出して内部留保すると利益剰余金が増え、純資産も増えていきます。
純資産はどうすれば増える?
利益を出して利益剰余金を積み増す、増資で資本金を増やす、の2つが基本です。最も健全なのは、本業で稼いだ利益を内部留保として積み上げる方法です。
非支配株主持分とは何?
連結決算で、子会社の純資産のうち親会社以外の株主に帰属する分です。親会社が100%出資していない子会社がある場合に、純資産の部へ計上されます。
純資産と総資産の違いは?
総資産は資産すべての合計で、負債も含めて集めたお金の全体です。純資産はそこから負債を引いた、返済不要の正味財産です。総資産から純資産を引くと負債になります。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET 、財務省 法人企業統計調査 、日本取引所グループ