営業利益とは?計算式・利益率の目安・見方を3分で解説
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営業利益とは、企業が本業の事業活動だけで稼ぎ出した利益を示す指標で、収益力を測る基本のものさしです。計算式は「売上総利益 − 販管費」で、一般に営業利益率が10%を超えれば収益力が高いとされます。本記事では計算方法、経常利益や純利益との違い、利益率の目安、見るときの注意点までを初心者向けに解説します。
営業利益とは何か?
営業利益とは、企業が本業の事業活動によって稼いだ利益を示す指標です。商品やサービスを売って得た利益から、販売や管理にかかった費用を差し引いて求めます。
損益計算書一定期間の収益と費用をまとめ、利益を段階的に示した財務諸表。プロフィット・アンド・ロス(P/L)とも呼ばれる。に並ぶ5つの利益のうち、営業利益は本業の実力をもっとも端的に表す利益です。本業以外の財テクや一時的な要因を含まないため、企業が事業そのものでどれだけ稼げているかを判断できます。
営業利益の計算式は?
営業利益は、売上総利益から販管費を差し引くだけで求められます。損益計算書の数値を使えば誰でも計算できます。
- 営業利益 = 売上総利益 − 販管費(販売費及び一般管理費)
- 売上総利益は「売上高 − 売上原価」で求める粗利のこと
- 販管費販売費及び一般管理費の略。人件費、広告宣伝費、家賃、減価償却費など本業の運営にかかる費用の総称。には人件費や広告費、家賃などが含まれる
たとえば売上高が1,000億円、売上原価が600億円、販管費が300億円の企業であれば、売上総利益は400億円、営業利益は100億円です。数値は損益計算書や決算短信に記載されています。
営業利益と経常利益・純利益の違いは?
営業利益・経常利益・純利益は、計算の段階と含む範囲が異なります。本業の実力なら営業利益、企業全体の最終成果なら純利益で見ます。
| 比較項目 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|
| 示す内容 | 本業の利益 | 本業+財務活動の利益 | 最終的に残る利益 |
| 含む範囲 | 売上総利益−販管費 | 営業利益±営業外損益 | 経常利益±特別損益−税金 |
| 一時的要因 | 含まない | 含まない | 含む |
| 主な用途 | 本業の収益力の判断 | 企業の総合的な実力の判断 | 配当原資や成長投資の判断 |
営業利益が黒字でも、多額の借入金利息で経常利益が赤字になることがあります。逆に本業不振でも特別利益固定資産の売却益など、その期かぎりで発生する臨時の利益。継続的な収益力とは無関係。で純利益が黒字になる例もあるため、3つを並べて見ることが大切です。
出典: 金融商品取引法(e-Gov法令検索)、日本取引所グループ
営業利益率の目安は?
営業利益率の一般的な目安は、10%以上で収益力が高く、5%前後が標準とされます。ただし適正水準は業種によって大きく変わります。
| 営業利益率 | 一般的な評価 | 状態の目安 |
|---|---|---|
| 15%以上 | 非常に高い | 高付加価値・強いブランド力 |
| 10〜15% | 高い | 本業の収益力が優秀 |
| 5〜10% | 標準 | 安定した収益力 |
| 0〜5% | やや低い | コスト構造に改善余地 |
| 0%未満 | 営業赤字 | 本業で利益が出ていない |
営業利益率は「営業利益 ÷ 売上高 × 100」で求めます。小売業や卸売業は数%でも標準的で、ソフトウェア業は20%超も珍しくないため、必ず同業種内で比較してください。
業種別の利益率は財務省「法人企業統計調査」で業種ごとの平均値が公表されています。
営業利益を見るときの注意点
営業利益は本業の実力を示しますが、1期の数値だけで判断すると誤った結論を招きます。複数年の推移と中身の確認が欠かせません。
- 単年度ではなく3〜5年の推移で増減傾向を確認する
- 営業利益の増加が値上げによるものか、コスト削減によるものかを見極める
- 減価償却費設備など長期で使う資産の取得費を、使用年数に応じて分割して計上する費用。の方針変更で利益額が動くことがある
- 営業利益率を同業他社と比較し、業界内での位置を把握する
また、営業利益が黒字でも借入金の利息負担が重い企業もあります。本業の力は営業利益、利息や為替の影響は経常利益というように、利益の段階ごとに役割を分けて読むことが重要です。
よくある質問
営業利益と粗利(売上総利益)の違いは?
粗利は売上高から売上原価だけを引いた利益です。営業利益は、その粗利からさらに人件費や広告費などの販管費を差し引いた利益で、本業の実力をより正確に表します。
営業利益がマイナスだとどうなる?
営業赤字といい、本業そのもので利益が出ていない状態です。財テクなどで純利益が黒字でも、本業の収益力に問題があるサインとして注意して見る必要があります。
営業利益率は何%あれば優良企業といえる?
全業種をならすと10%を超えれば収益力が高いとされます。ただし小売業は数%でも標準的で、ソフトウェア業は20%超も多いため、同業種内での比較が前提です。
営業利益と営業キャッシュフローは同じもの?
異なります。営業利益は会計上の利益で、減価償却費など現金支出を伴わない費用を含みます。営業キャッシュフローは本業で実際に増減した現金を示す別の指標です。
営業利益はどこで確認できる?
上場企業なら有価証券報告書や決算短信の損益計算書に記載されています。EDINETで無料閲覧でき、企業のIRページの決算説明資料でも確認できます。
営業利益を増やすにはどうすればよい?
売上高を伸ばす、売上原価を下げて粗利率を高める、販管費を抑える、の3つが基本です。値上げによる単価向上も有効ですが、販売数量とのバランスが重要です。
営業利益と経常利益はどちらが大きい?
決まっていません。受取利息や受取配当金が多ければ経常利益のほうが大きくなり、借入金の支払利息が重ければ経常利益のほうが小さくなります。
営業利益が前年より減ったら危険?
一概に危険とはいえません。先行投資による販管費の増加が原因なら将来の成長につながることもあります。減少の理由を決算説明資料で確認することが大切です。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 財務省 法人企業統計調査 、金融庁 EDINET 、日本取引所グループ