経常利益とは?計算式・営業利益との違い・見方を3分で解説
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経常利益とは、本業の利益に財務活動などの損益を加えた、企業の総合的な稼ぐ力を示す指標です。計算式は「営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用」で、企業全体の実力を測る代表的な利益として重視されます。本記事では計算方法、営業利益や純利益との違い、何がわかるか、見るときの注意点までを初心者向けに解説します。
経常利益とは何か?
経常利益とは、本業で稼いだ営業利益に、財務活動などで生じた損益を加えて求める利益です。企業が継続的な活動全体でどれだけ稼げているかを示します。
読み方は「けいじょうりえき」で、実務では「経常(けいつね)」と略されることもあります。営業利益に受取利息や支払利息などを反映するため、経常利益は企業の総合的な実力を表す利益として広く使われます。一時的な特別損益は含みません。
経常利益の計算式は?
経常利益は、営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いて求めます。損益計算書一定期間の収益と費用をまとめ、利益を段階的に示した財務諸表。プロフィット・アンド・ロス(P/L)とも呼ばれる。の数値を使えば計算できます。
- 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
- 営業外収益受取利息、受取配当金、為替差益など、本業以外で継続的に生じる収益。には受取利息や受取配当金が含まれる
- 営業外費用支払利息、為替差損など、本業以外で継続的に生じる費用。借入金の利息が代表例。には借入金の支払利息などが含まれる
たとえば営業利益が100億円、受取利息など営業外収益が10億円、支払利息など営業外費用が30億円の企業であれば、経常利益は80億円です。数値は損益計算書や決算短信に記載されています。
営業利益・純利益との違いは?
営業利益・経常利益・純利益は、計算の段階が進むほど含む範囲が広がります。本業の力は営業利益、企業全体の実力は経常利益、最終成果は純利益で見ます。
| 比較項目 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|
| 示す内容 | 本業の利益 | 本業+財務活動の利益 | 最終的に残る利益 |
| 財務損益 | 含まない | 含む | 含む |
| 特別損益 | 含まない | 含まない | 含む |
| 税金 | 差し引く前 | 差し引く前 | 差し引いた後 |
| 主な用途 | 本業の収益力の判断 | 総合的な実力の判断 | 配当原資や成長投資の判断 |
本業が好調で営業利益が黒字でも、多額の借入金利息で経常利益が小さくなることがあります。逆に特別損失災害や固定資産の売却損など、その期かぎりで発生する臨時の損失。の影響で純利益だけが赤字になる例もあるため、3つを並べて読むことが大切です。
出典: 金融商品取引法(e-Gov法令検索)、日本取引所グループ
経常利益で何がわかる?
経常利益を見ると、本業と財務活動を合わせた企業の実力と、財務体質の健全さがわかります。継続的な稼ぐ力を測るのに適した利益です。
- 営業利益より経常利益が大きい企業は、受取利息や配当など財務面でも稼げている
- 営業利益より経常利益が小さい企業は、借入金の利息負担が重い可能性がある
- 営業利益が赤字でも経常利益が黒字なら、財務収益が本業の不振を補っている
- 経常利益が安定して伸びていれば、企業全体の収益基盤が堅調といえる
営業利益と経常利益の差額に注目すると、その企業の財務体質が一目でわかります。差が大きく経常利益が小さい場合は、有利子負債の規模や金利負担を併せて確認すると理解が深まります。
経常利益を見るときの注意点
経常利益は総合的な実力を示しますが、1期の数値や1つの利益だけで判断すると見誤ります。推移と他の利益との比較が欠かせません。
- 単年度ではなく3〜5年の推移で増減傾向を確認する
- 為替差益や差損で経常利益が大きく振れることがあるため中身を確認する
- 経常利益が黒字でも、本業の営業利益が赤字なら収益構造に注意する
- 営業外収益に一時的・限定的な要素が含まれていないかを見極める
また、近年は国際会計基準IFRSとも呼ばれる国際的な会計基準。経常利益という区分を用いず、損益計算書の構成が日本基準と異なる。を採用する企業も増えています。IFRS採用企業には経常利益の区分がないため、営業利益など他の利益で比較する必要があります。
よくある質問
経常利益と営業利益はどちらを重視すべき?
目的によって異なります。本業の収益力を見たいなら営業利益、借入の利息など財務活動まで含めた企業全体の実力を見たいなら経常利益が適しています。両方を併せて見るのが理想です。
経常利益がマイナスだとどうなる?
経常赤字といい、本業と財務活動を合わせても利益が出ていない状態です。本業の不振か、利息負担の重さが原因として考えられ、財務体質に注意が必要なサインです。
IFRS採用企業に経常利益はある?
ありません。国際会計基準には経常利益という区分がなく、損益計算書の構成も異なります。IFRS採用企業を比較する際は、営業利益や純利益などの利益を用います。
経常利益と税引前当期純利益の違いは?
経常利益に特別利益を加え、特別損失を引いたものが税引前当期純利益です。特別損益という一時的な要因を含むかどうかが、両者の違いです。
経常利益はどこで確認できる?
上場企業なら有価証券報告書や決算短信の損益計算書に記載されています。EDINETで無料閲覧でき、企業のIRページの決算説明資料でも確認できます。
営業利益より経常利益が大きいのは良いこと?
受取利息や受取配当金などの財務収益が、支払利息を上回っていることを意味します。財務面でも稼げている状態で、一般にプラスに評価されます。
経常利益が為替で変動するのはなぜ?
為替差益や為替差損が営業外損益に計上されるためです。輸出入の多い企業は為替相場の変動で経常利益が大きく振れることがあり、中身の確認が重要です。
経常利益を増やすにはどうすればよい?
本業の営業利益を伸ばすことが基本です。加えて、借入金を返済して支払利息を減らす、余剰資金の運用効率を高めるといった財務面の改善も経常利益の押し上げにつながります。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融商品取引法(e-Gov法令検索) 、財務省 法人企業統計調査 、金融庁 EDINET