セグメント情報とは?事業別の儲けがわかる見方を3分で解説
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セグメント情報とは、企業の売上高や利益を事業別や地域別に分けて開示した情報です。会社全体の売上が1兆円でも、内訳をみると稼ぎ頭の事業と赤字の事業が混在していることは珍しくありません。本記事ではセグメントの種類、見方、有価証券報告書での確認方法、注意点までを初心者向けに解説します。
セグメント情報とは何か?
セグメント情報とは、企業の業績を事業や地域などの単位に分けて示した開示情報です。会社全体の合計数字だけでは見えない、内訳の実態を投資家に伝える役割を持ちます。
複数の事業を持つ企業では、全体の利益が黒字でも、ある事業は大きく稼ぎ別の事業は赤字ということがよくあります。セグメント情報を読めば、どの事業が会社を支え、どこに課題があるかが具体的にわかります。
開示の方法はマネジメント・アプローチ経営者が事業を管理するために実際に使っている区分を、そのまま開示の単位とする考え方。という考え方に基づき、経営陣が社内の意思決定に使う区分がそのまま用いられます。
セグメントの種類・区分は?
セグメントの区分は企業ごとに異なり、事業内容や経営の実態に合わせて設定されます。代表的な分け方は次の4つです。
| 区分の種類 | 分け方の例 | わかること |
|---|---|---|
| 事業別 | 電機、金融、ゲームなど | どの事業が稼ぎ頭か |
| 地域別 | 日本、北米、欧州、アジア | どの地域で稼いでいるか |
| 製品・サービス別 | ハード、ソフト、保守 | 収益の構成の偏り |
| 顧客別 | 法人向け、個人向け | 顧客層ごとの依存度 |
区分とは別に、特定の取引先1社で売上高の10%以上を占める場合は「主要な顧客に関する情報」として開示が求められます。これにより、企業が特定の顧客にどれだけ依存しているかも把握できます。
なお、開示が必要となる報告セグメント売上高や利益が一定の基準を満たし、独立して開示する対象となる事業区分。基準に満たない事業はまとめて表示される。は、売上高や利益が全体の10%以上といった基準で判定されます。小さな事業は「その他」にまとめられます。
セグメント情報の見方は?
セグメント情報は、全体の合計より各セグメントの売上と利益の内訳に注目するのが効率的です。所要時間は約5分です。
- セグメント別の売上高を比べ、会社の主力事業がどれかを確認する
- セグメント別の利益をみて、赤字の事業がないかを確認する
- 売上構成比と利益構成比のズレから、利益率の高い事業を見抜く
- 前年と並べて、伸びている事業と縮んでいる事業を把握する
売上は小さくても利益の大半を生む事業や、売上は大きいのに赤字の事業が見えてくると、企業の本当の収益構造がわかります。地域別セグメントを併せて見れば、海外依存度や為替の影響も読み取れます。数値は有価証券報告書で確認できます。
セグメント情報はどこで確認できる?
セグメント情報は、有価証券報告書や決算短信の注記事項にまとめて記載されています。会社全体の財務諸表とは別の場所にある点に注意が必要です。
- EDINETで有価証券報告書を開き、「経理の状況」内の注記事項を探す
- 注記事項の中の「セグメント情報等」という項目を確認する
- 決算短信の添付資料でも同様にセグメント情報の注記を確認できる
決算説明資料では、セグメント情報がグラフや表でわかりやすく補足されることも多くあります。注記の数字に加えて決算説明資料を併読すると、事業ごとの動きをより立体的に理解できます。数値は金融庁のEDINETで誰でも無料閲覧できます。
セグメント情報を見るときの注意点
セグメント情報は便利な開示ですが、区分の決め方が企業任せのため、読むときに気をつけたい点があります。
- セグメントの区分は企業ごとに異なるため、他社との単純な比較はしにくい
- 事業再編で区分が変わると、過去の年度と連続して比較できなくなることがある
- 「その他」に複数の小さな事業がまとまり、中身が見えにくい場合がある
- セグメント間の取引(内部売上)が含まれることがあり、合計と一致しないことがある
特に注意したいのが区分変更です。企業が組織再編に合わせてセグメントを組み替えると、見かけ上は事業が急成長または急減したように見えることがあります。区分変更の有無は注記に説明されるため、複数年で比較する前に必ず確認しましょう。
よくある質問
セグメント情報はすべての上場企業が開示している?
原則として上場企業は開示します。ただし単一の事業しか行っていない企業は、報告すべきセグメントが1つだけのため、事業別の内訳としての情報量は少なくなります。
セグメント情報はどこに載っている?
有価証券報告書や決算短信の「経理の状況」にある注記事項の中に、「セグメント情報等」としてまとめて記載されています。財務諸表本体とは別の場所にある点に注意が必要です。
事業別と地域別のどちらで開示される?
企業の実態によります。経営陣が事業ごとに管理していれば事業別、地域ごとに管理していれば地域別が中心です。多くの企業は事業別を主とし、地域別を補足的に開示します。
「その他」のセグメントとは何ですか?
開示基準を満たさない小規模な事業をまとめた区分です。売上高や利益が全体の10%未満の事業は独立して開示されず、「その他」に合算されるため、中身は詳しくはわかりません。
セグメント情報で何がわかる?
会社全体の数字ではわからない、事業ごとの売上や利益の内訳がわかります。どの事業が稼ぎ頭か、赤字の事業はないか、特定の地域や顧客への依存度はどうかなどを把握できます。
セグメント情報の数字を合計すると会社全体と一致する?
一致しないことがあります。セグメント間の内部取引の消去や、本社費用などの調整項目があるためです。注記には合計と全社数値をつなぐ調整表が示されています。
セグメントの区分は毎年同じですか?
変わることがあります。組織再編や事業の入れ替えがあると区分が見直されるためです。区分が変わると過去との比較が難しくなるため、変更の有無は注記で確認しましょう。
セグメント情報は就職活動にも役立ちますか?
役立ちます。志望企業のどの事業が成長し、どこが縮小しているかがわかるためです。配属を希望する事業の業績を把握しておくと、企業研究や面接対策に活かせます。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET 、日本取引所グループ