総資産とは?構成・回転率・見方を3分でやさしく解説
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総資産とは、企業が事業のために保有する資産すべての合計額で、企業の規模を示す代表的な数字です。負債が600億円、純資産が400億円の企業なら、総資産は両者を合わせた1,000億円になります。本記事では総資産の構成、回転率などの見方、純資産や負債との関係、注意点までを初心者向けに解説します。
総資産とは何か?
総資産とは、企業が保有する資産をすべて合計した金額です。現金や商品から建物や土地まで、事業に使うあらゆる財産が含まれます。
貸借対照表企業の資産・負債・純資産を一覧にした財務諸表。バランスシート(B/S)とも呼ばれる。では左側の「資産の部」の合計額が総資産にあたります。総資産は、負債と純資産を合わせた金額と必ず一致します。集めたお金の使いみちの全体が総資産であり、企業の事業規模をひと目で示す数字として使われます。総資本と呼ばれることもあります。
総資産の構成は?
総資産は、現金化のしやすさを基準に流動資産と固定資産の2つに大きく分かれます。さらに固定資産は3つの区分に分けられます。
| 区分 | 内容 | おもな項目 |
|---|---|---|
| 流動資産 | 1年以内に現金化される資産 | 現金、預金、売掛金、商品、製品 |
| 有形固定資産 | 形のある長期使用の資産 | 建物、機械設備、土地 |
| 無形固定資産 | 形のない長期使用の資産 | ソフトウェア、特許権、のれん |
| 投資その他の資産 | 長期保有の投資など | 投資有価証券、長期貸付金 |
流動資産と固定資産のどちらが多いかは、業種によって大きく変わります。製造業は工場や設備という有形固定資産建物や機械、土地など、形があり長期にわたって事業に使う資産。の比率が高く、小売業やサービス業は在庫や現金などの流動資産の比率が高くなる傾向があります。
総資産回転率などの見方は?
総資産は金額だけでなく、効率の指標と組み合わせて見ると企業の実力がわかります。代表的なのが総資産回転率とROAです。
- 総資産回転率=売上高 ÷ 総資産。総資産を使ってどれだけ売上を生んだかを示し、1回を超えると効率が高いとされる
- ROA(総資産利益率)=当期純利益 ÷ 総資産 × 100。総資産をどれだけ効率よく利益に変えたかを示し、一般に5%以上が目安とされる
総資産が大きくても、それに見合う売上や利益を生めていなければ「資産を活かせていない」評価になります。たとえば総資産1,000億円で当期純利益が50億円ならROAは5%です。これらの指標は同業種内で比較するのが鉄則です。
業種別の財務指標は財務省「法人企業統計調査」で平均値が公表されています。
総資産と純資産・負債の関係は?
総資産・負債・純資産は密接につながっています。総資産は負債と純資産の合計であり、お金の使いみちと集め方を表裏で示します。
| 用語 | 意味 | 貸借対照表の位置 |
|---|---|---|
| 総資産 | 保有する資産すべての合計 | 左側(資産の部の合計) |
| 負債 | 返済が必要な集めたお金 | 右側上段 |
| 純資産 | 返済が不要な正味財産 | 右側下段 |
総資産から負債を引くと純資産になり、総資産に占める自己資本の割合が自己資本比率です。総資産が大きくても負債で膨らんでいる場合があるため、純資産とのバランスを必ず併せて確認します。
出典: 金融庁 EDINET、日本取引所グループ
総資産を見るときの注意点
総資産は規模を示す便利な数字ですが、金額の大きさだけで優劣を判断すると実態を見誤ります。3つの点に注意が必要です。
- 総資産が大きくても借入で膨らんでいる場合があり、純資産の割合を併せて見る
- 総資産に見合う売上や利益を生めているか、回転率やROAで効率を確認する
- M&Aで子会社が増えると総資産が一気に膨らむため、自力の規模と区別する
また、総資産には回収が難しい売掛金や、価値が下がった在庫が含まれていることもあります。帳簿上の総資産が必ずしも実際の換金価値と一致するとは限らない点に注意し、資産の中身まで決算書で確認すると見誤りにくくなります。
よくある質問
総資産と総資本は同じもの?
実質的に同じ金額を指します。資産の使いみちに着目した呼び方が総資産、お金の集め方である負債と純資産の合計に着目した呼び方が総資本で、両者は必ず一致します。
総資産はどこで確認できる?
上場企業なら有価証券報告書や決算短信の貸借対照表に記載されています。資産の部の合計額が総資産です。EDINETや各企業のIRページから無料で閲覧できます。
総資産が大きい企業ほど優良といえる?
一概にはいえません。総資産が借入で膨らんでいる場合があるためです。純資産とのバランスや、総資産回転率やROAなど効率の指標も併せて評価する必要があります。
総資産から負債を引くと何になる?
純資産になります。総資産は負債と純資産の合計なので、総資産から返済が必要な負債を差し引くと、返済不要の正味財産である純資産が残ります。
総資産回転率は何回あればよい?
全業種をならすと1回前後が目安です。1回を超えると総資産を効率よく売上に変えているとされますが、設備の重い業種は低く、小売業は高くなりやすいため同業比較が前提です。
総資産が前年より増えたら良いこと?
一概には良いとはいえません。利益の蓄積で増えたなら好ましいですが、借入の増加で増えた場合もあります。増えた要因が資産と負債のどちらかを確認することが大切です。
ROAとROEはどう違う?
ROAは総資産を分母にし、資産全体をどれだけ効率よく利益に変えたかを示します。ROEは自己資本を分母にし、株主のお金で稼ぐ効率を示す別の指標です。
のれんも総資産に含まれる?
含まれます。のれんはM&Aで支払った金額のうち、買収先の純資産を上回る部分で、無形固定資産として総資産に計上されます。価値が下がると減損処理されます。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET 、財務省 法人企業統計調査 、日本取引所グループ