売上原価率(原価率)とは?計算方法と業種別の目安
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売上原価率(原価率)は、売上高のうち売上原価が占める割合で、「売上原価 ÷ 売上高 × 100」で求めます。100%から売上原価率を引いた残りが売上総利益率(粗利率)です。企業スコープが有価証券報告書から集計した2,992社では、中央値が70.2%です。業種別に見ると、中央値は証券、商品先物取引業の42.9%から陸運業の87.7%まで開きがあります。
売上原価率(原価率)とは?
売上原価率は、売上高に対して売った商品やサービスの原価がどれだけかかったかを示す割合です。原価率、売上高原価率と呼ばれることもありますが、決算書を読むときは同じものを指します。
売上原価は、損益計算書で売上高のすぐ下に載っています。売上原価率が低いほど、売上のうち手元に残る粗利の割合が大きくなります。
原価率の計算方法は?売上原価の出し方
売上原価を売上高で割り、100を掛けて求めます。100%から引いた値が売上総利益率です。
- 売上原価率(%)= 売上原価 ÷ 売上高 × 100
- 売上総利益率(%)= 100 − 売上原価率
- 売上原価 = 期首の棚卸高 + 当期の仕入高(または当期製品製造原価) − 期末の棚卸高
3つ目の式は、財務諸表等規則 第75条が定める売上原価の表示項目を式にしたものです。項目は、期首棚卸高、当期商品仕入高(または当期製品製造原価)、期末棚卸高の3つ。仕入れた量ではなく、その期に売れた分だけが原価になります。
たとえば売上高が1,000億円で売上原価が700億円なら、売上原価率は70%です。売上総利益率は残りの30%になります。上場企業の数字は有価証券報告書の「経理の状況」にあり、EDINETで無料で読めます。
当期製品製造原価を計上する会社は、その内訳を示す明細書を損益計算書に添付することになっています(同第75条第2項)。ただし、連結財務諸表でセグメント情報を注記している場合は添付しなくてよいとされています。そのため、明細書が載っていない会社もあります。
原価率の目安は?企業スコープのデータで見る業種別の実例
全体の中央値は70.2%です。ただし業種によって40%台から80%台まで散らばるため、同じ業種の中で比べるのが基本です。
| 業種(東証33業種) | 売上原価率の中央値 | 集計社数 |
|---|---|---|
| 陸運業 | 87.7% | 18社 |
| 鉄鋼 | 83.6% | 34社 |
| 輸送用機器 | 83.5% | 79社 |
| 倉庫・運輸関連業 | 83.2% | 12社 |
| 建設業 | 83.1% | 111社 |
| 全体 | 70.2% | 2,992社 |
| 情報・通信業 | 59.7% | 474社 |
| 小売業 | 57.4% | 261社 |
| 精密機器 | 56.9% | 47社 |
| 医薬品 | 43.5% | 46社 |
| 証券、商品先物取引業 | 42.9% | 14社 |
出典: 企業スコープが各社の直近の有価証券報告書をもとに集計(2026年10月時点)。業種別は中央値が高い5業種と低い5業種。損益計算書に売上原価を表示していない会社は集計に入っていないため、陸運業・倉庫・運輸関連業・証券、商品先物取引業などは業種の一部の会社だけの中央値です。中央値を使っています。
高いほうには、材料や設備、現場の人手が売上に直結する業種が並びます。たとえばトヨタ自動車が属する輸送用機器の中央値は83.5%です。同じ業種の会社がどの位置にいるかは、輸送用機器の売上原価率ランキングで確かめられます。
低いほうの5業種は、販管費率の中央値が高い5業種と顔ぶれがそっくり同じです。原価が軽い業種は、そのぶん人件費や広告などの費用が販管費に出てきます。原価率が低いからといって、「儲かる業種」とは読めません。情報・通信業の会社どうしは情報・通信業の売上原価率ランキングで比べられます。
売上原価と販売管理費(販管費)の違いは?
売上原価は売った商品を仕入れたり作ったりした費用、販管費は売るための費用と会社を運営する費用です。売上高から売上原価を引いたものが売上総利益です。そこから販管費を引くと営業利益になります。
| 比較項目 | 売上原価率 | 販管費率 |
|---|---|---|
| 計算式 | 売上原価 ÷ 売上高 × 100 | 販管費 ÷ 売上高 × 100 |
| 対象の費用 | 商品の仕入・製造の費用 | 売るための費用・会社の運営費 |
| 主な中身 | 材料費、仕入高、工場の人件費、外注費 | 営業・本社の人件費、広告宣伝費、物流費、家賃 |
| 全体の中央値(企業スコープ集計。対象社数は指標ごとに異なる) | 70.2% | 21.5% |
| 高めに出る業種の例 | 陸運業、鉄鋼、輸送用機器 | 小売業、情報・通信業、医薬品 |
日本の会計基準の損益計算書なら、1社の中では「売上原価率 + 販管費率 + 営業利益率 = 100%」になります。
同じ人件費でも、工場で製造に携わる人の給与は売上原価、営業や本社の人の給与は販管費に入ります。製造業とサービス業の原価率を並べるときは、この線引きの違いを頭に置いておきます。
就活で原価率をどう見る?企業研究・面接での使い方
原価率は、会社の良し悪しを決める数字ではありません。その会社がどこで稼ぎ、どこにコストがかかるビジネスかをつかむ手がかりとして使います。
- まず同じ業種の会社と並べる。業種の中央値より低い会社は、何が原価を抑えているのかを調べてみる
- 数年分を並べる。材料費や仕入価格が上がった年に原価率がどう動いたかで、値上げで吸収できたかが見えてくる
- 販管費率と足して見る。原価率が低くても販管費が重ければ、営業利益は残りにくい
- セグメント情報で事業ごとの利益を見る。原価のかかり方が違う事業を抱える会社は、全社の原価率だけでは中身がわからない
面接では、数字の高低を評価として述べる必要はありません。「原材料の値上がりにどう対応してきたか」のように、原価率の動きを質問や志望動機の材料に変えると使いやすくなります。事業ごとの数字はセグメント情報で確かめられます。
原価率を見るときの注意点
- 業種が違う会社どうしの比較には向かない。上の表のとおり、業種の中央値だけで40ポイント以上の差がある
- 人件費を売上原価と販管費のどちらに入れるかで、数字が動く
- 原材料の価格や為替の動きで、同じ会社でも年によって大きく変わることがある
- 業種別の集計社数が少ない業種(20社未満など)は、数社の数字で中央値が動きやすい。売上原価を表示していない会社が集計から外れ、業種の一部の会社だけの数字になっていることもある
原価率をランキングと企業ページで確かめるには?
各社の売上原価率は売上原価率ランキングで一覧できます。このランキングは数値の小さい順に並んでいます。あわせて販管費率ランキングと営業利益率ランキングを見ると、費用と利益の配分がつかめます。
気になる会社が見つかったら、企業ページで売上や従業員、平均年収とあわせて確かめます。例としてトヨタ自動車の企業ページから、会社の全体像をたどれます。
よくある質問
原価率の目安は何%?
全業種に通じる目安はありません。企業スコープが有価証券報告書から集計した2,992社の中央値は70.2%です。ただ業種別の中央値は42.9%から87.7%まで開きがあるので、同じ業種の会社と比べて判断します。
原価率の計算方法は?
「売上原価 ÷ 売上高 × 100」で求めます。売上原価そのものは、期首の棚卸高に当期の仕入高(製品を作る会社は当期製品製造原価)を足し、期末の棚卸高を引いて出します。
売上原価率と売上総利益率(粗利率)の関係は?
足すと100%になります。売上原価率が70%なら、売上総利益率は30%です。
売上原価と販管費はどう違う?
売上原価は売った商品を仕入れたり作ったりした費用、販管費は売るための費用と会社を運営する費用です。工場の人の給与は売上原価、営業や本社の人の給与は販管費に入ります。
売上原価率はどこで確認できる?
有価証券報告書の損益計算書にある売上原価と売上高から計算できます。上場企業の有価証券報告書はEDINETで無料で読めます。企業スコープでは売上原価率ランキングで各社を一覧できます。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: e-Gov法令検索 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 、金融庁 EDINET