販管費率(SGA比率)とは?求め方と業種別の目安
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販管費率(SGA比率)は、売上高のうち販売費及び一般管理費(販管費)が占める割合で、「販管費 ÷ 売上高 × 100」で求めます。何%なら良いという決まった基準はなく、業種によって水準が大きく違います。企業スコープが有価証券報告書から集計した3,077社では、中央値が21.5%です。業種別に見ると、中央値は倉庫・運輸関連業の8.4%から証券、商品先物取引業の58.5%まで開きがあります。
販管費率(SGA比率)とは?
販管費率は、売上高に対して販売費及び一般管理費がどれだけかかったかを示す割合です。SGA比率、SGA率、売上高販管費率も同じものを指す呼び名です。
SGAはSelling, General and Administrative expensesの略です。財務諸表等規則 第84条は「会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。」と定めています。
たとえば営業や本社で働く人の給与、広告宣伝費、物流費、事務所の家賃が入ります。本社設備の減価償却費もここです。商品を仕入れたり作ったりする費用は売上原価に入るため、販管費には含まれません。
販管費率の求め方は?計算式と数字の探し方
販管費を売上高で割り、100を掛けて求めます。使う数字は2つとも損益計算書に載っています。
- 販管費率(%)= 販売費及び一般管理費 ÷ 売上高 × 100
- 売上高は損益計算書のいちばん上の行、販管費は「販売費及び一般管理費」の合計の行を使う
- 上場企業なら有価証券報告書の「経理の状況」に損益計算書があり、EDINETで無料で読める
たとえば売上高が1,000億円、販管費が250億円なら、販管費率は25%です。グループ全体の姿を見たいときは、連結損益計算書の数字を使います。
内訳を知りたいときは注記を見ます。単体の財務諸表のルールである財務諸表等規則 第85条では、販管費をまとめて1行で載せる場合、主要な費目とその金額を注記で示すことになっています。注記の対象は、減価償却費と引当金繰入額(少額のものを除く)、それに販管費合計の10%を超える費目です。連結損益計算書の注記は連結財務諸表規則 第55条が定めていて、主要な費目が単体とは一部違うため、連結の数字を見るときは連結の注記で確かめます。
販管費率の目安は?企業スコープのデータで見る業種別の実例
全体の中央値は21.5%です。ただし業種ごとの差が大きく、全体の数字を目安にするより、同じ業種の中で比べるほうが実態に合います。
| 業種(東証33業種) | 販管費率の中央値 | 集計社数 |
|---|---|---|
| 証券、商品先物取引業 | 58.5% | 25社 |
| 小売業 | 38.6% | 263社 |
| 医薬品 | 38.1% | 37社 |
| 精密機器 | 31.5% | 45社 |
| 情報・通信業 | 31.2% | 468社 |
| 全体 | 21.5% | 3,077社 |
| 電気・ガス業 | 10.0% | 10社 |
| 陸運業 | 9.7% | 56社 |
| 非鉄金属 | 9.5% | 27社 |
| 建設業 | 8.9% | 128社 |
| 倉庫・運輸関連業 | 8.4% | 26社 |
出典: 企業スコープが有価証券報告書から集計(2026年10月時点)。業種別は中央値が高い5業種と低い5業種。中央値を使っています。
上位には小売業や情報・通信業、医薬品が並びます。下位は建設業や陸運業、倉庫・運輸関連業です。差が生まれる大きな理由は、費用の多くが売上原価に入る業種か、販管費に入る業種かの違いです。
研究開発費は、日本基準の会社では一般管理費として販管費に入ることがあります。財務諸表等規則 第86条(単体の財務諸表のルール)は、一般管理費と当期製造費用に含まれる研究開発費の総額を注記するよう定めています。一方、IFRSの会社では研究開発費を別の行に出す例があり、企業スコープの集計ではその場合は販管費に含めていません。
販管費率が高い5業種は、売上原価率の中央値が低い5業種と顔ぶれがそっくり同じです。販管費率だけを見て「コストが重い」と読むと、業種の構造を見落とします。
販管費率と売上原価率の違いは?
売上原価は商品を仕入れたり作ったりする費用、販管費は売るための費用と会社を運営する費用です。売上高から両方を引いた残りが営業利益になります。
| 比較項目 | 販管費率 | 売上原価率 |
|---|---|---|
| 計算式 | 販管費 ÷ 売上高 × 100 | 売上原価 ÷ 売上高 × 100 |
| 対象の費用 | 売るための費用・会社の運営費 | 商品の仕入・製造の費用 |
| 主な中身 | 営業・本社の人件費、広告宣伝費、物流費、家賃 | 材料費、仕入高、工場の人件費、外注費 |
| 全体の中央値(企業スコープ集計) | 21.5% | 70.2% |
| 高めに出る業種の例 | 小売業、情報・通信業、医薬品 | 陸運業、鉄鋼、輸送用機器 |
売上原価の行がある日本基準の損益計算書なら、1社の中では「売上原価率 + 販管費率 + 営業利益率 = 100%」になります。IFRSで開示する会社は損益計算書の項目の並びが違うため、この式どおりにならないことがあります。
同じ人件費でも、工場で製造に携わる人の給与は売上原価、営業や本社の人の給与は販管費に入ります。店舗で働く人の給与がどちらに入っているかは、注記や販管費の内訳で確かめます。
就活で販管費率をどう見る?企業研究・面接での使い方
販管費率は、会社の良し悪しを決める数字ではありません。その会社がお金をどこに使っているかを知る手がかりとして使います。
- まず同じ業種の会社と並べる。業種の中央値から大きく離れていれば、その理由を調べる価値がある
- 内訳の注記で、広告宣伝費・人件費・物流費のどれが大きいかを見る。営業やマーケティングに力を入れる会社か、人に投資する会社かが見えてくる
- 数年分を並べる。販管費率が上がっていても、売上も伸びていれば先行投資の可能性がある
- 営業利益率とセットで見る。販管費率が高くても、粗利が厚ければ利益は残る
面接で数字そのものを評価として口にする必要はありません。たとえば「同業より広告宣伝費の比率が高いのは、ブランドづくりを重視しているからか」。こうした問いの形にすると、質問や志望動機の材料として使えます。
販管費率を見るときの注意点
- 業種が違う会社どうしの比較には向かない。上の表のとおり、業種の中央値だけで50ポイント以上の差がある
- 人件費や研究開発費を売上原価と販管費のどちらに入れるかで、数字が動く
- IFRSの会社と日本基準の会社では、損益計算書の項目の並びが違うことがある
- 売上が一時的に落ちた年は、販管費が同じでも販管費率は上がる
販管費率をランキングと企業ページで確かめるには?
各社の販管費率は販管費率ランキングで一覧できます。数値の小さい順の並びです。あわせて売上原価率ランキングと営業利益率ランキングを見ると、費用と利益の配分がつかめます。
気になる会社が見つかったら、企業ページで売上や従業員、平均年収とあわせて確かめます。例としてトヨタ自動車の企業ページから、会社の全体像をたどれます。
よくある質問
販管費率の目安は何%?
全業種に通じる目安はありません。企業スコープが有価証券報告書から集計した3,077社の中央値は21.5%です。ただ業種別の中央値は8.4%から58.5%まで開きがあるので、同じ業種の会社と比べて判断します。
SGA比率と販管費率は同じもの?
同じものです。SGAは販売費及び一般管理費の英語名の略です。SGA比率、SGA率、売上高販管費率は、どれも「販管費 ÷ 売上高 × 100」を指します。
販管費率が高い会社は経営が悪いの?
そうとは限りません。小売業や医薬品のように業種として高く出るところもあり、広告や営業に意図してお金を使っている場合もあります。売上や営業利益の推移とあわせて見ます。
販管費の内訳はどこで確認できる?
有価証券報告書の損益計算書と、その注記で確認できます。販管費を1行にまとめて載せる会社は、主要な費目とその金額を注記で示します(単体は財務諸表等規則 第85条、連結は連結財務諸表規則 第55条)。
人件費は販管費と売上原価のどちらに入る?
働く場所と仕事で分かれます。工場で製造に携わる人の給与は売上原価、営業や本社の人の給与は販管費に入ります。店舗スタッフの給与がどちらに入っているかは、注記や販管費の内訳で確かめます。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: e-Gov法令検索 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 、e-Gov法令検索 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則 、金融庁 EDINET