東証プライム・スタンダード・グロースの違いは?上場基準と実データで解説
公開: / 最終更新:
東証プライム・スタンダード・グロースは、東京証券取引所の3つの市場区分です。2022年4月4日に、旧市場第一部・第二部・マザーズ・JASDAQを再編してできました。違いは想定する企業像と上場基準。たとえば流通株式時価総額の基準は、プライム100億円以上、スタンダード10億円以上、グロース5億円以上です。企業スコープの集計では、東証上場3,752社のうちプライム(内国株式)が1,574社、スタンダード1,577社、グロース596社。市場区分は規模と上場基準を知る入口で、待遇や働きやすさを直接示すものではありません。
東証プライム・スタンダード・グロースの違いは?
3市場の違いは、どんな企業を想定した市場かと、それに合わせた上場基準の高さです。プライムは機関投資家の投資対象になる規模と、より高いガバナンス水準。スタンダードは一定の規模と、基本的なガバナンス水準。グロースは高い成長可能性と、事業計画の開示が軸です。
| 比較項目 | プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 |
|---|---|---|---|
| 想定する企業 | 機関投資家の投資対象になる規模で、より高いガバナンス水準を備える企業 | 一定の規模と、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備える企業 | 高い成長可能性がある一方、事業実績の面では相対的にリスクが高い企業 |
| 株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
| 流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
| 流通株式比率 | 35%以上 | 25%以上 | 25%以上 |
| 利益の基準(新規上場) | 最近2年間の利益の額の総額25億円以上など | 最近1年間の利益の額1億円以上 | 形式要件としては無い |
| 上場会社数(内国株式) | 1,574社 | 1,577社 | 596社 |
出典: JPX 市場区分見直しの概要、JPX 上場審査基準概要。上場会社数は企業スコープ集計(2026年10月時点)
表の株主数と流通株式の基準は新規上場時のものです。上場した後も、同じ水準の上場維持基準を満たし続けなければなりません。
東証プライム市場とは?
東証プライム市場とは、東京証券取引所の3つの市場区分のうち、上場基準が最も高い市場です。JPXはコンセプトを「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」としています。
流通株式の基準が3市場で最も高いのは、機関投資家が売買できる規模(流動性)を求めているからです。プライム上場の会社にはもう一つ、「コーポレートガバナンス・コード」のうち一段高いガバナンスについて定めた原則が適用されます(コーポレート・ガバナンスの解説)。
スタンダード市場・グロース市場とは?
スタンダード市場のコンセプトは「公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」です。新規上場には、最近1年間の利益の額1億円以上が要ります。
グロース市場のコンセプトは「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場」です。利益の額の形式要件は無く、上場審査では事業計画の合理性が見られます。
グロースには、上場から一定期間がたった会社への時価総額の基準もあります。現在の基準は40億円以上(上場10年経過後から適用)。2030年3月1日からは、100億円以上(上場5年経過後から適用)に見直されます。
プライム市場の時価総額の基準は?
プライム市場に新規上場するには、上場時見込みの時価総額250億円以上と、流通株式時価総額100億円以上の両方を満たすことが条件です。時価総額は、株価に上場株式数を掛けた額。流通株式時価総額は、そのうち流通株式の分だけを数えます。
- 株主数800人以上(上場時見込み)
- 流通株式数2万単位以上、流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上
- 時価総額250億円以上
- 連結純資産の額50億円以上(単体純資産の額が負でないこと)
- 最近2年間の利益の額の総額25億円以上、または最近1年間の売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上の見込み
- 3か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること
上場後の維持基準では、株主数と流通株式の基準が新規上場時と同じです。これに売買代金(1日平均0.2億円以上)と、純資産の額が正であることが加わります。2022年の移行時には経過措置もありました。基準を満たさない会社でも、適合に向けた計画と進捗を出せば、緩和された基準が適用されました。
出典: 上場審査基準概要(プライム市場)、上場維持基準(プライム市場)
東証一部・二部はどうなった?東証一部上場とは今のどの市場?
東証一部(市場第一部)は今はありません。2022年4月4日、市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQは、今の3市場に再編されました。上場の条件も、今は3市場それぞれの基準で決まります。
- 2013年に東証と大阪証券取引所が株式市場を統合した際、それぞれの市場区分を残したため4区分が並んでいた
- 市場第二部・マザーズ・JASDAQの位置づけが重なり、市場第一部のコンセプトもはっきりしなかった
- 新規上場基準より上場廃止基準が大幅に低く、上場後も水準を保つ動機づけになっていなかった
- 2022年4月4日に3市場へ一斉に移り、上場会社は各市場のコンセプトと基準を見て移行先を自ら選んだ
旧区分の名前は、古い会社案内や就活情報に残っていることがあります。「東証一部上場」とあれば2022年4月より前の表記なので、今の市場区分は企業ページで確かめるのが確実です。
出典: JPX 市場区分見直しの概要
企業スコープのデータで見る3市場の実例
企業スコープが東証上場3,752社を市場区分別に集計しました。プライムとスタンダードはほぼ同じ社数で、グロースはその4割弱です。直近期の連結売上高の中央値はプライム1,467億円、スタンダード191億円、グロース53億円。基準の高い市場ほど、会社の規模は大きくなります。 売上高の中央値は、連結の売上高がある会社だけで集計しています(表の社数とは母数が異なります)。
| 市場区分 | 社数 | 平均年間給与の中央値 | 売上高の中央値 |
|---|---|---|---|
| プライム(内国株式) | 1,574社 | 755万円 | 1,467億円 |
| スタンダード(内国株式) | 1,577社 | 601万円 | 191億円 |
| グロース(内国株式) | 596社 | 624万円 | 53億円 |
| 非上場(有価証券報告書を提出) | 624社 | 604万円 | 392億円 |
出典: 企業スコープが有価証券報告書から集計(2026年10月時点)。市場区分は東証の上場銘柄一覧による。平均年間給与は各社の提出会社単体の値の中央値。このほか外国株式がプライム1社、スタンダード2社、グロース2社
一方で、平均年間給与の中央値はグロース(624万円)がスタンダード(601万円)を上回ります。売上の規模の順と年収の順は一致しないので、市場区分だけで年収の水準は読めません。
実例として、トヨタ自動車はプライム市場の会社で、有価証券報告書の平均年間給与は2026年3月期で1,006万円です。中央値は真ん中の会社の値なので、志望先の数字は平均年収ランキングで同じ業種の会社と並べて見ます。
就活で市場区分はどう使う?
市場区分は、会社の規模と開示の厚さをつかむ入口として使えます。会社の良し悪しや、待遇・働きやすさを示すものではありません。
- 企業ページで今の市場区分を確かめる(「東証一部」のままの資料もある)
- 同じ市場・同じ業種の会社と、売上高や平均年間給与を並べる
- グロース市場の会社は「事業計画及び成長可能性に関する事項」の開示資料で、計画と進捗を読む
- 面接では市場区分そのものより、有価証券報告書で読んだ事業や数字を根拠に質問や志望理由を組み立てる
グロースの会社は、事業実績の面で相対的にリスクが高いと東証が位置づける一方、成長を前提にした事業計画を開示しています。どの市場の会社でも、計画と実績の差を自分で確かめておくと、面接で数字を使うときの準備になります。
市場区分を見るときの注意点は?
市場区分が表すのは上場基準の違いです。会社の中身の違いまでは表しません。
- 市場区分は流動性やガバナンスの基準で、業績の良し悪しや株価の割安・割高を示すものではない
- 同じ市場でも売上や平均年間給与は会社ごとに異なる。中央値は真ん中の会社の値にすぎない
- 市場区分は固定ではなく、上場会社の申請で他の市場区分へ変更できる。変更先の上場審査基準を準用した審査がある(スタンダードへの変更では利益の額の要件は除く)
- 上場していない会社でも、有価証券報告書を提出していれば企業スコープで同じ項目を確かめられる
出典: JPX 市場区分の変更
企業ページとランキングで続きを調べる
市場区分ごとの上場企業はプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の一覧にまとめています。業種と市場で候補を絞ったら、次は各社の企業ページ。平均年間給与の推移や事業の内容を載せています。
規模で比べるなら売上高ランキング、待遇の目安なら平均年収ランキングが使えます。数字の意味があいまいなときは時価総額や平均年間給与の解説に戻ると読み違えが減ります。
よくある質問
東証一部は今もある?
ありません。2022年4月4日に、市場第一部・第二部・マザーズ・JASDAQはプライム・スタンダード・グロースの3市場に再編されました。
プライム上場企業は何社ある?
企業スコープの集計(2026年10月時点)では、内国株式1,574社と外国株式1社です。スタンダードは内国株式1,577社、グロースは596社です。
プライム市場の時価総額の基準は?
新規上場時は、時価総額250億円以上と流通株式時価総額100億円以上の両方を満たします。上場後も、流通株式時価総額100億円以上を保ち続けることが上場維持の条件です。
スタンダードとグロースの一番の違いは?
利益の基準と想定する企業像です。スタンダードは新規上場に最近1年間の利益の額1億円以上が要り、グロースには利益の形式要件が無く、事業計画の合理性と開示が重視されます。
プライムからスタンダードへ移ることはできる?
制度上できます。上場会社の申請で他の市場区分へ変更でき、変更先の上場審査基準を準用した審査を受けます。スタンダード市場への変更では、利益の額の形式要件は適用されません。
関連用語・関連ページ
執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 日本取引所グループ 市場区分見直しの概要 、日本取引所グループ 市場構造の見直し 、日本取引所グループ 上場審査基準概要(プライム市場) 、日本取引所グループ 上場審査基準概要(スタンダード市場) 、日本取引所グループ 上場審査基準概要(グロース市場) 、日本取引所グループ 上場維持基準(プライム市場) 、日本取引所グループ 上場維持基準(スタンダード市場) 、日本取引所グループ 上場維持基準(グロース市場) 、日本取引所グループ 市場区分の変更 、日本取引所グループ 上場維持基準の詳細(流通株式)