繰越欠損金とは?10年繰越・控除限度・活用効果を3分で解説

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繰越欠損金とは、法人税法上で過去に発生した赤字(欠損金)を将来の黒字から差し引ける制度です。==青色申告法人税で帳簿要件を満たした申告。欠損金繰越などの優遇措置を受けられる。を行う法人は、原則10年間にわたり欠損金を繰り越せます。==大法人は所得の50%まで、中小法人等は100%まで控除でき、節税効果は大きいといえます。本記事では制度の仕組みと活用効果、会計上の欠損金との違い、注意点までを解説します。

繰越欠損金とは何か?

繰越欠損金とは、ある事業年度に発生した税務上の赤字を、翌期以降の黒字所得から差し引ける金額のことです。法人税法第57条で規定された制度で、企業の業績変動を税負担に反映させる仕組みです。

黒字と赤字を通算することで、長期的にみた税負担を平準化できます。創業期や大型投資直後で赤字が出やすい企業にとって、後年の黒字化局面で大きな節税効果をもたらします。

繰越欠損金は何年まで繰り越せる?

繰越できる期間は、原則として欠損金が発生した事業年度から10年間です。2018年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金が対象で、それ以前は9年が上限でした。

  1. 青色申告書を提出していること
  2. 欠損金が生じた事業年度から連続して確定申告書を提出していること
  3. 帳簿書類を保存していること
  4. 10年以内の各事業年度の所得から控除すること

1年あたりに控除できる金額にも上限があります。中小法人等は所得金額の100%まで、資本金1億円超の大法人は所得金額の50%までしか控除できません。

繰越欠損金の活用と節税効果を確認する

繰越欠損金を活用すると、黒字化した年の法人税負担を大きく圧縮できます。実効税率を約30%とすれば、1億円の繰越欠損金で約3,000万円の節税効果が見込めます。

ケース当期所得繰越欠損金課税所得節税効果
中小法人1,000万円1,000万円0円約300万円
大法人1,000万円1,000万円500万円約150万円
大法人1億円1億円5,000万円約1,500万円

繰越欠損金の残高は、有価証券報告書の「税効果会計」注記で確認できます。繰延税金資産将来の税金を減らす効果を資産計上したもの。回収可能性の判断が必要。の根拠として開示されることが多く、投資家が将来の節税余力を把握する手がかりになります。

繰越欠損金と会計上の欠損金は何が違う?

税務上の繰越欠損金と会計上の欠損金は、計算ルールも目的も異なります。税務は法人税法、会計は会社法と会計基準に基づくため、金額が一致しないのが普通です。

比較項目繰越欠損金(税務)欠損金(会計)
根拠法人税法会社法・会計基準
計算対象課税所得のマイナス純資産のマイナス
繰越期間原則10年期限なし
用途法人税の節税配当制限の判定

出典: 国税庁 No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除金融庁 EDINET

繰越欠損金で注意すべき点

繰越欠損金は強力な節税手段ですが、制度上の制限と将来の不確実性に注意が必要です。期限切れや組織再編で控除できなくなるケースもあります。

投資判断では、繰越欠損金の残高だけでなく将来の課税所得を稼げる見込みまで確認することが大切です。利益回復の見通しが立たない企業では、繰延税金資産を取り崩す減損資産の収益力低下を会計上で損失処理すること。が発生し、純利益を押し下げることがあります。

よくある質問

繰越欠損金は個人事業主でも使える?

青色申告を行う個人事業主も、純損失の繰越控除制度として原則3年間の繰越が可能です。法人の10年とは期間が異なるため、個人と法人で扱いが違う点に注意が必要です。

中小法人と大法人で控除限度が違うのはなぜ?

大企業ほど安定的に納税してほしいという財政上の要請から、2012年度税制改正で大法人の控除限度が段階的に引き下げられました。現在は所得の50%が上限です。

繰越欠損金は決算書のどこで確認できる?

貸借対照表本体には載りません。有価証券報告書の税効果会計に関する注記や、法人税申告書の別表七で確認できます。投資家には注記情報が最も入手しやすいです。

10年を超えた繰越欠損金はどうなる?

控除されないまま期限を迎えると、その金額は税務上消滅します。残った繰越欠損金がある会社では、計画的に黒字化して期限内に使い切ることが節税上のポイントになります。

繰越欠損金があると株価にプラス?

将来の税負担を軽くする要素なので、理屈の上では企業価値にプラスです。ただし黒字を稼げる見込みがなければ価値はなく、本業の収益力と合わせて評価する必要があります。

繰越欠損金と繰戻還付の違いは?

繰越欠損金は将来の黒字から差し引く制度です。繰戻還付は当期の欠損金を前期の黒字に充当し、納めた法人税の還付を受ける制度で、中小法人で利用できます。

繰越欠損金は連結納税でも使える?

現行のグループ通算制度でも繰越欠損金は引き継げます。ただし通算開始前の欠損金は自己の所得の範囲内でしか使えないなど、特有の制限があります。

繰越欠損金が多い企業を投資対象にする際の見方は?

本業の利益が黒字転換しつつあるかをまず確認します。回復が確実なら節税効果が株主価値に直結しますが、赤字体質が続く企業では繰越欠損金は使い切れず投資妙味は限定的です。

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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET日本取引所グループ財務省 法人企業統計調査

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