有価証券報告書の平均年収(平均年間給与)とは?載っている場所・計算方法・実例
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有価証券報告書の平均年収は、正式には「平均年間給与」といい、提出会社の従業員1人あたりの賞与込みの年間給与の平均です。載っている場所は「従業員の状況」で、2026年3月期以降の報告書では第4の「提出会社の状況」の中に移りました。企業スコープの集計では、有価証券報告書を出す3,967社の中央値は660万円です。ただ、業種や持株会社かどうかで数字の意味は変わります。
有価証券報告書の平均年間給与とは?
平均年間給与は、有価証券報告書の「従業員の状況」に載る数字です。従業員数・平均年齢・平均勤続年数と同じ欄に並びます。記載を求めているのは企業内容等の開示に関する内閣府令で、平均年間給与に賞与を含めると定めています。企業スコープで「平均年収」と書いている数字は、この欄の値です。
対象は提出会社(単体)の従業員です。グループ会社の社員は含まれません。臨時従業員が相当数いれば、その人数は従業員数とは別枠(外書き)です。取締役などの役員の報酬は「役員の報酬等」という別の欄にあり、役員報酬として分けて開示されます。
平均年収は有価証券報告書のどこに載っている?
2026年3月期以降の報告書では第4「提出会社の状況」→5「従業員の状況等」→⑵「従業員の状況」に載っています。2026年2月の内閣府令の改正で場所が移りました。それより前の決算期の報告書では第1「企業の概況」→5「従業員の状況」です。
| 報告書の決算期 | 平均年間給与が載っている場所 |
|---|---|
| 2026年3月期以降 | 第4 提出会社の状況 → 5 従業員の状況等 → ⑵ 従業員の状況 |
| 2026年3月期より前 | 第1 企業の概況 → 5 従業員の状況 |
- EDINETで会社名か証券コードを検索する
- 書類の一覧から最新の「有価証券報告書」を開く
- 決算期に合わせて、上の表の「従業員の状況」を開く
- 提出会社の「平均年間給与」の数字を見る。円か千円か、単位も確かめる
同じ欄に従業員数・平均年齢・平均勤続年数が並んでいます。平均年間給与だけを抜き出さず、この4つを一緒に書き写しておくと、あとで他社と比べやすくなります。
出典: 企業内容等の開示に関する内閣府令第二号様式・第三号様式(e-Gov法令検索)
平均年間給与はどうやって計算されている?
考え方は、提出会社の従業員に支払った1年間の給与(賞与を含む)の平均です。府令が定めているのは賞与を含むことまで。年の途中で入った人や辞めた人をどう扱うかなど、細かい計算方法は様式に書かれていません。
そのため、会社ごとの前提は注記で確かめます。たとえば基準外賃金を含むかどうかは、注記に書かれていることがあります。複数社を比べるなら、注記の書き方の違いもチェックポイントです。
2026年3月期以降の報告書には、平均年間給与の対前事業年度増減率も載ります。府令の定義を式にすると、(当期の平均年間給与 − 前期の平均年間給与)÷ 前期の平均年間給与 です。トヨタ自動車で計算してみます。企業スコープの集計では2025年3月期が983万円、2026年3月期が1,006万円。式に当てはめると約2.3%の増加です。
出典: 企業内容等の開示に関する内閣府令第二号様式記載上の注意(58−3)。トヨタ自動車の数値は企業スコープが有価証券報告書から集計(2026年10月時点)
管理職や役員の給与も含まれる?見るときの注意点は?
管理職は従業員なので含まれ、役員は含まれません。平均年間給与は若手から管理職までを合わせた平均で、入社直後の年収を示す数字ではありません。
- 提出会社単体の数字で、グループ全体の平均ではない
- 平均年齢や平均勤続年数が違う会社どうしは、そのまま比べにくい
- 持株会社(子会社の経営管理を主な業務とする会社)の数字は、持株会社自身の社員の平均
- 2026年3月期以降は、持株会社の場合、従業員が最も多い子会社(最大人員会社)の平均年間給与なども会社ごとに記載される
持株会社の下にある事業会社に入社する場合は、最大人員会社の欄があればそちらも確認します。持株会社の欄だけを見ると、実際に働く会社の数字とずれることがあります。
上場企業の平均年収はどのくらい?企業スコープのデータで見る実例
集計の対象は、上場企業と有価証券報告書を出す非上場企業の3,967社。平均年間給与の中央値は660万円です(企業スコープ集計、2026年10月時点)。上位10%に入るのは920万円以上、下位10%は493万円以下でした。
業種による差は大きく、業種ごとの中央値で比べると、上位の海運業と下位の小売業では400万円以上の開きがあります。ただし社数が少ない業種は、数社の影響で中央値が動きやすくなります。
| 業種 | 平均年間給与の中央値 | 集計社数 |
|---|---|---|
| 海運業 | 956万円 | 11社 |
| 証券、商品先物取引業 | 862万円 | 40社 |
| 保険業 | 840万円 | 13社 |
| 医薬品 | 837万円 | 83社 |
| 電気・ガス業 | 826万円 | 29社 |
| パルプ・紙 | 589万円 | 25社 |
| サービス業 | 589万円 | 574社 |
| その他製品 | 568万円 | 109社 |
| 水産・農林業 | 558万円 | 12社 |
| 小売業 | 543万円 | 349社 |
上の5業種が中央値の高い順、下の5業種が低い順です。市場区分でも差があります。内国株式の中央値はプライム市場が755万円、グロース市場が624万円、スタンダード市場が601万円でした。
表の社数は、有価証券報告書を出す非上場企業も含めた企業スコープの集計で数えたものです。リンク先の業種別ランキングの社数とは一致しません。
推移も見てみます。5期分の数字がそろう3,204社のうち、最初の期より最新の期の平均年間給与が高い会社は88.1%。変化率の中央値は+10.5%でした。個別の例として、トヨタ自動車の5期を並べます。
| 決算期 | トヨタ自動車の平均年間給与 |
|---|---|
| 2022年3月期 | 857万円 |
| 2023年3月期 | 895万円 |
| 2024年3月期 | 900万円 |
| 2025年3月期 | 983万円 |
| 2026年3月期 | 1,006万円 |
国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円でした。正社員(正職員)に限ると559万円です。上場企業以外や正社員以外も含む調査なので、有価証券報告書の数字とそのままは比べられません。
出典: 企業スコープが有価証券報告書から集計(2026年10月時点)。各社の有価証券報告書「従業員の状況」の提出会社の数値。国税庁 令和7年分 民間給与実態統計調査
就活では平均年収をどう見ればいい?
企業研究では、平均年間給与を同じ業種の中で、平均年齢と並べて見るのが基本です。業種の違いや年齢構成の違いを外すと、会社ごとの差が見えやすくなります。
- 同じ業種の会社と比べる(平均年間給与ランキングから業種別のページに進める)
- 平均年齢・平均勤続年数と並べ、年齢構成の違いを確かめる
- 1年分ではなく5期の推移を見る。賞与を含む数字なので、賞与の増減も推移に表れる
- 持株会社なら、最大人員会社の欄も確かめる
- 初任給や若手の給与は平均年間給与からは分からないので、募集要項や説明会で確認する
企業研究ノートに書き写すときは、金額に加えて決算期と「提出会社の数字」であることも残しておきます。面接で数字に触れる場合も、決算期と出典を言えれば話の前提がずれにくくなります。平均年間給与が高いか低いかだけでは、働き方や将来性までは分かりません。従業員数や労働分配率と合わせて読むと、会社の姿がつかみやすくなります。
気になる会社の平均年収はどこで確かめられる?
企業スコープの企業ページでは、有価証券報告書から集めた平均年収の5期の推移と、同じ業種の中での順位を載せています。たとえばトヨタ自動車の企業ページで、上の表の数字を確かめられます。
上場企業全体で比べるなら平均年間給与ランキング。業種ごとに見るなら、輸送用機器の平均年収ランキングのような業種別ページが使えます。
よくある質問
有価証券報告書の平均年間給与に賞与は含まれる?
含まれます。企業内容等の開示に関する内閣府令が、平均年間給与に賞与を含めると定めています。残業代などの基準外賃金を含むかどうかは、注記で確かめます。
平均年間給与に管理職や役員の給与は入っている?
管理職は入っていて、役員は入っていません。管理職も従業員なので平均に含まれます。取締役などの報酬は「役員の報酬等」の欄に別に記載されます。
持株会社の平均年間給与は何を表している?
持株会社自身の従業員の平均です。傘下の事業会社の社員は含まれません。2026年3月期以降の報告書では、従業員が最も多い子会社(最大人員会社)の平均年間給与なども会社ごとに記載されます。
平均年間給与から新卒の年収は分かる?
分かりません。若手から管理職までを合わせた平均だからです。初任給や若手の給与は、募集要項や説明会で確かめるのが確実です。
上場企業の平均年間給与の目安は?
企業スコープの集計では、上場企業と、有価証券報告書を出す非上場企業を合わせた3,967社の中央値が660万円です(2026年10月時点)。中央値の高い5業種と低い5業種では543万円から956万円まで差があるので、同じ業種の中で比べるのが基本です。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: e-Gov法令検索 企業内容等の開示に関する内閣府令 、金融庁 EDINET 、国税庁 令和7年分 民間給与実態統計調査