フリーキャッシュフロー(FCF)とは?計算式と目安を3分で解説

公開: / 最終更新:

フリーキャッシュフロー(FCF)とは?計算式と目安を3分で解説のイメージイラスト

フリーキャッシュフロー(FCF)とは、企業が自由に使える現金を示す指標です。計算式は「営業CF−投資CF」または「営業CF−CAPEX」で、トヨタ自動車のFCFは年間数兆円規模に達します。本記事では計算式、目安と使い道、営業CFとの違い、注意点までを解説します。

フリーキャッシュフロー(FCF)とは何か?

フリーキャッシュフローとは、本業で稼いだ現金から事業維持に必要な投資を差し引いた、経営者が自由に使える現金を示す指標です。略してFCFと呼ばれます。

FCFが大きいほど、借入返済・配当・自社株買い・M&Aなどの選択肢が広がります。企業価値評価(DCF法将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を算定する手法。Discounted Cash Flow の略。の基礎にもなる重要指標です。

FCFの計算式

FCFの定義には複数ありますが、実務でよく使われるのは次の2式です。投資CFをそのまま使うか、設備投資(CAPEX)に絞るかの違いです。

計算式内容用途
営業CF − 投資CF投資CF全体を控除簡便・速報向け
営業CF − CAPEX設備投資のみ控除本業の実力を見る
NOPAT税引後営業利益。Net Operating Profit After Tax の略。 − 投資 + 減価償却理論ベース企業価値評価

投資CFには有価証券売買やM&Aの大型案件も含まれるため、本業の安定的なFCFを把握したい場合はCAPEXベースの式が適しています。

FCFの目安と使い道

FCFは継続してプラスであることが理想です。マイナスでも成長投資なら問題ありませんが、長期化すると借入依存度が高まります。

  1. 有利子負債の返済(財務体質の改善)
  2. 配当金の支払い(株主還元)
  3. 自己株式の取得(1株利益の向上)
  4. M&Aによる事業拡大
  5. 内部留保による手元資金の確保

FCFを売上高で割ったFCFマージンは、5%超で良好、10%超で優良とされます。業種により水準は異なるため、同業他社との比較が重要です。

FCFと営業CFは何が違う?

営業CFが本業で稼いだ現金の総額であるのに対し、FCFはそこから投資を差し引いた残額です。FCFのほうが企業の還元余力を直接的に示します。

比較項目営業CFFCF
意味本業の現金創出力自由に使える現金
計算CF計算書の1区分営業CF − 投資(CAPEX)
用途収益力の評価還元余力・企業価値評価
増減要因売上・利益・運転資本営業CF+投資金額

出典: 金融庁 EDINET日本取引所グループ

FCFを見るときの注意点

FCFは便利な指標ですが、計算式の選び方や単年の振れに注意が必要です。複数年平均で評価するのが基本です。

よくある質問

FCFはどこに記載されている?

キャッシュフロー計算書には直接記載されません。営業CFと投資CF(またはCAPEX)から自分で計算します。決算説明資料では明示している企業もあります。

FCFがマイナスの企業は買うべきでない?

一概には言えません。成長投資による一時的なマイナスなら問題なく、むしろ将来の収益拡大の証です。営業CFの推移と投資内容を確認しましょう。

FCFと当期純利益はどちらを重視すべき?

投資判断や企業価値評価ではFCFを重視するのが主流です。利益は会計上の概念ですが、FCFは実際の現金の余力を示すため、配当や買収の原資になります。

FCFはなぜDCF法で使われる?

FCFは株主と債権者の双方が請求できる現金の総量を示すため、企業全体の価値を割り引いて算定するDCF法に適しています。理論的根拠が明確です。

FCFを増やすにはどうすればよい?

営業CFを増やす(売上拡大・運転資本圧縮)か、投資を効率化するのが基本です。短期的な投資抑制は将来のFCF低下を招くため慎重に判断します。

FCFとEBITDA利払前・税引前・減価償却前利益。Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization の略。の違いは?

EBITDAは利益指標で運転資本や設備投資を考慮しません。FCFは現金ベースで投資後の余力を示すため、より実態に近い指標です。

FCFはどの企業も開示している?

法定開示の義務はありませんが、IR資料や決算説明会で多くの上場企業が任意に公表しています。中期経営計画のKPIに採用する企業も増えています。

FCFと営業CF−CAPEXの式はなぜ実務で使われる?

本業を維持・拡大するための最低限の投資はCAPEXであり、それを控除した残額が本業由来の自由現金と捉えられるためです。アナリストもよく用います。

関連用語・関連ページ

執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET日本取引所グループ財務省 法人企業統計調査

比較中: 0
比較ページへ