1人当たり営業利益とは?目安を3分で解説
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1人当たり営業利益とは、企業が従業員1人で生み出す営業利益の金額を示す人材生産性の指標です。計算式は「営業利益 ÷ 従業員数」で、製造業の平均はおよそ100万円前後、IT・金融など高収益業種では1,000万円超に達する企業もあります。本記事では計算式、業種別目安、労働分配率との関係、見るときの注意点を解説します。
1人当たり営業利益とは何か?
1人当たり営業利益とは、本業の儲けを示す営業利益を従業員数で割った指標です。従業員1人がどれだけの本業利益を生み出しているかを示す代表的な人材生産性のものさしです。
数値が大きいほど少人数で大きな利益を上げる効率的な事業構造といえます。M&Aや事業ポートフォリオ見直しの効果検証、業界内のベンチマーク、就職活動の企業研究まで幅広く活用されます。
1人当たり営業利益の計算式は?
1人当たり営業利益は営業利益を従業員数で割るだけで計算できます。営業利益は損益計算書、従業員数は有価証券報告書の「従業員の状況」で確認できます。
- 1人当たり営業利益(円)= 営業利益 ÷ 期末従業員数
- 営業利益は連結ベースか単体ベースかを統一して比較する
- 従業員数は従業員数欄の臨時雇用を含めるかどうかを確認
たとえば営業利益100億円・従業員数1,000人の企業なら、1人当たり営業利益は1,000万円です。期中平均人数を分母にする場合もあり、自社で計算する場合は前提を統一することが重要です。
1人当たり営業利益の目安は?
1人当たり営業利益は業種により大きく異なり、労働集約的な業種は低く、資本集約・知的集約な業種は高くなる傾向があります。
| 業種 | 1人当たり営業利益の目安 | 傾向 |
|---|---|---|
| 総合商社・金融 | 1,000万円超 | 知的集約で人材生産性が高い |
| IT・SaaS | 500〜1,500万円 | ソフトウェアのスケールが効く |
| 製造業全体 | 100〜400万円 | 業種・規模で差が大きい |
| 小売業 | 50〜200万円 | 労働集約で1人当たりは低め |
| 外食・宿泊 | 50万円以下 | 労働集約度が高く生産性が低め |
出典: 財務省「法人企業統計調査」、各社有報を基に作成した業種別の目安。
1人当たり営業利益と労働分配率の関係は?
1人当たり営業利益と労働分配率はともに人件費と利益の関係を見る指標ですが、収益力で見るなら1人当たり営業利益、人件費の負担度で見るなら労働分配率を使います。
| 比較項目 | 1人当たり営業利益 | 労働分配率 |
|---|---|---|
| 示すもの | 従業員1人当たりの本業利益 | 付加価値に占める人件費の割合 |
| 計算式 | 営業利益÷従業員数 | 人件費÷付加価値×100 |
| 高いほうがよい | 高いほどよい | 低いほうが利益確保しやすい |
| 業種影響 | 大きい | 大きい |
| おもな用途 | 人材生産性のベンチマーク | 人件費負担の妥当性検証 |
両者を併せて見ると、利益を生み出す力と人件費の重さを多面的に把握できます。労働分配率が高くても1人当たり営業利益が大きい企業は、高賃金と高収益を両立しているといえます。
1人当たり営業利益を見るときの注意点
1人当たり営業利益は便利な指標ですが、業種特性と組織体制を踏まえないと評価を誤ります。数値の大小だけで優劣を決めない姿勢が重要です。
- 業務委託や派遣社員を多用する企業は分母が小さく1人当たりが見かけ上大きくなる
- 持株会社は従業員数が極端に少なく数値が異常に大きくなることがある
- M&A直後は人員と利益の取り込みタイミングにズレが生じて数値が不安定になる
- 業種により水準が大きく違うため、必ず同業他社で比較する
たとえば1人当たり営業利益2,000万円の持株会社は、実態として事業会社の利益が集約されているだけの可能性があります。連結ベースで業種を揃えて比較するのが鉄則です。
よくある質問
1人当たり営業利益はいくらあれば優良?
業種により異なります。製造業なら500万円超、IT・金融なら1,000万円超で高水準とされます。必ず同業他社と比較し、推移を併せて確認することが大切です。
1人当たり営業利益はどこで調べられる?
営業利益は損益計算書、従業員数は有価証券報告書「従業員の状況」で確認できます。両方を割れば自分で計算可能で、決算説明会資料に直接記載する企業もあります。
1人当たり営業利益と1人当たり売上高の違いは?
1人当たり売上高は売上規模を従業員数で見る指標、1人当たり営業利益は本業の儲けを見る指標です。利益率の高低を反映する分、1人当たり営業利益のほうが収益性をより的確に表します。
従業員数は連結と単体どちらを使う?
営業利益と分母を揃えるのが原則です。連結営業利益なら連結従業員数、単体営業利益なら単体従業員数を使います。混在させると数値の意味が変わるため要注意です。
業務委託が多い企業の1人当たり営業利益はどう見る?
業務委託費は販管費に計上され営業利益を圧縮しますが、従業員数には含まれないため1人当たりは小さく見えます。委託費の規模と併せて、人件費総額ベースで生産性を補正する必要があります。
1人当たり営業利益を上げるには?
利益率の改善、付加価値の高い事業へのシフト、業務の自動化や効率化、生産性の低い事業からの撤退などが基本です。人員削減一辺倒では中長期の競争力を損なうリスクがあります。
1人当たり営業利益が下がる原因は?
売上単価の低下、原材料費・人件費の上昇、新規採用による分母拡大などが代表的です。一時的な要因か構造的な要因かを切り分けて分析することが重要です。
持株会社の1人当たり営業利益はなぜ大きい?
持株会社は事業会社からの配当や経営管理機能が中心で従業員数が極端に少ないためです。連結ベースの数値で見ないとグループ全体の人材生産性は把握できません。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 財務省 法人企業統計調査 、金融庁 EDINET 、日本取引所グループ