売上高成長率(YoY)とは?計算式・決算書での確認方法・上場企業の実例
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売上高成長率(YoY)は、売上高が前の期と比べて何%増えたか、または減ったかを示す数字です。計算式は(当期の売上高−前期の売上高)÷前期の売上高×100で、前期100億円・当期110億円なら+10%になります。YoYはYear over Yearの略で、前年同期比のことです。企業スコープが有価証券報告書から集計した3,627社だと、直近の決算期の中央値は+5.0%(2026年10月時点)。
YoY(売上高成長率)とは?何を表す数字?
YoYは「Year over Year」の頭文字で、1年前の同じ期間と比べた増減率を指します。決算の資料に「売上高 前年比+8%」とあれば、その8%が売上高のYoYにあたります。
売上高成長率は、このYoYを売上高に当てはめたものです。損益計算書のいちばん上に来るので「トップライン」とも呼ばれます。
利益はコストや一時的な損益で大きく動きます。売上はそれより「商品やサービスがどれだけ買われたか」に近く、事業の広がりを素直に映します。
利益の伸びを見るなら純利益成長率です。
YoYの計算式は?伸び率の計算方法を例で確認
計算式は(当期の売上高−前期の売上高)÷前期の売上高×100です。「当期÷前期×100−100」と書いても同じ結果になります。割る数は、いつも前期の売上高。
| 前期の売上高 | 当期の売上高 | 増減額 | YoY(成長率) |
|---|---|---|---|
| 100億円 | 110億円 | +10億円 | +10.0% |
| 500億円 | 475億円 | −25億円 | −5.0% |
| 1,000億円 | 1,300億円 | +300億円 | +30.0% |
| 80億円 | 100億円 | +20億円 | +25.0% |
最後の行は、計算ミスが起きやすい例です。増えた20億円を当期の100億円で割ると20%と出てしまいます。正しくは前期の80億円で割り、+25%です。
四半期の数字で計算するときは、前の四半期ではなく前年の同じ四半期と比べます。季節で売上が上下する会社でも、同じ季節どうしなら比べやすいためです。前の四半期と比べる数字はQoQと呼ばれ、YoYとは別のものです。
なお、営業利益率のような「率」どうしの差は%ではなく「ポイント」で表します。営業利益率が10%から12%になった場合、増え方は2ポイントで、成長率の20%とは意味が違います。
決算短信・有価証券報告書のどこでYoYがわかる?
早いのは決算短信の冒頭にあるサマリー情報です。東京証券取引所の参考様式では、売上高の金額の横に%の欄があり、「%表示は対前期増減率」と注記されています。つまり売上高成長率は計算済みの状態で載っています。四半期の決算短信では、期首からの累計の売上高について、この欄が「対前年同四半期増減率」になります。
数年分の伸び方を追うなら有価証券報告書が便利です。
- EDINETで会社名か証券コードを検索し、最新の有価証券報告書を開く
- 「第一部 企業情報」→「第1 企業の概況」→「1 主要な経営指標等の推移」を開く
- 連結の表に並ぶ最近5期分の売上高を書き出す(連結決算のない会社は提出会社の表)
- 隣り合う2期ずつ、上の計算式でYoYを出す
表は連結と提出会社単体の2種類。グループ全体の伸びは連結の表で見て、ほかの会社と比べるときも連結どうし・単体どうしでそろえます。
出典: 東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信作成要領等」(2026年7月)、企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式・第三号様式 記載上の注意(e-Gov法令検索)
上場企業の売上高成長率はどのくらい?企業スコープのデータで見る実例
企業スコープでは、直近期と前期の売上高がそろう3,627社について、有価証券報告書から売上高成長率を集計しています。中央値は+5.0%。真ん中の会社で、売上が5%ほど伸びている計算です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 集計した会社 | 3,627社 |
| 売上高成長率の中央値 | +5.0% |
| 前期より売上が増えた会社(増収) | 75.2% |
| +10%以上伸びた会社 | 31.0% |
| トヨタ自動車(2026年3月期) | +5.51% |
4社に3社は増収。+10%以上の会社も3割ほどあります。裏返すと、売上が前期より増えていない会社は24.8%です。+0%を超え+10%未満の会社が44.2%で、いちばん厚い層になっています。
トヨタ自動車の2026年3月期は+5.51%で、全体の中央値とほぼ同じ水準でした。売上の大きさと伸び率は、別の物差しです。
会社ごとの順位は売上高成長率ランキングで見られます。上位には、売上がまだ小さい会社や、買収で売上が一度に増えた会社が入ることがあります。順位を見たら、伸びた理由もあわせて確かめてください。
出典: 企業スコープが有価証券報告書から集計(2026年10月時点)。各社の直近の決算期の売上高と前期の売上高から計算
QoQ・CAGR・純利益成長率とは何が違う?
どれも「伸び」を表す数字ですが、比べる相手と期間が違います。売上高成長率(YoY)は1年前との比較で、1年分の伸びしか表しません。
| 指標 | 比べる相手 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 売上高成長率(YoY) | 前年(前年同期)の売上高 | 直近1年の伸びを見る |
| QoQ | 前の四半期 | 足元の勢いを見る(季節の影響を受けやすい) |
| CAGR | 数年前の売上高 | 数年分の伸びを1年あたりにならす |
| 純利益成長率 | 前年の純利益 | 最終的な利益の伸びを見る |
CAGRは(最終年の売上高÷最初の年の売上高)を「年数分の1」乗し、1を引いて求めます。5期分の売上高なら年数は4です。単年のYoYが上下に振れる会社でも、CAGRなら数年間の平均的な伸びがつかめます。
売上高成長率を見るときの注意点は?
数字が大きいほど事業が強い、とは限りません。売上が伸びた理由によって、意味が変わります。
- M&Aで子会社が増えると、その会社の売上が加わり、成長率が一度に高く出る
- 海外売上の多い会社は、円安になると円に直した売上が増える
- 決算期を変えた年は12か月より短い(長い)期間の売上になり、前期とそのまま比べられない
- 会計基準を変えた年は、前期の数字と前提がそろわないことがある
売上は伸びたのに利益が減る「増収減益」もあります。値下げや広告費で売上を作っている場合などです。営業利益や営業利益率の動きも並べて見ます。
就活の企業研究・面接で売上高成長率をどう使う?
就活で役立つのは、成長率の高さそのものより、その会社がいま何で伸びているのかを知る入口としての使い方です。伸び悩んでいる場合も同じように読めます。
- 有価証券報告書の5期分の売上高から、毎年のYoYを出す。増収が続いているのか、上下しているのかを見る
- 決算短信の「経営成績等の概況」で、売上が増えた(減った)理由として会社が書いている事業や地域を読む
- セグメント情報で、どの事業が伸びを引っ張っているかを確かめる
- 同じ業種の会社と、同じ決算期の成長率を並べて比べる
面接では、数字の良し悪しを語るより、数字から生まれた疑問を聞くほうが話が深まります。たとえば「直近の決算で〇〇事業の売上が伸びていますが、若手はその事業にどう関わっていますか」。伸びている理由と、入社後の自分の仕事をつなげる聞き方です。
減収の年がある会社でも、理由は事業の売却や撤退で、残した事業は伸びていることがあります。1年の数字で決めつけず、理由まで読んでおけば逆質問の材料にもなります。
気になる会社の売上高成長率を調べるには?
企業スコープの企業ページには、有価証券報告書の数字から作った売上高の推移が載っています。たとえばトヨタ自動車の企業ページでは、売上高と利益の推移を並べて見られます。
- 直近期の伸び率で並べた売上高成長率ランキング
- 利益の伸びと見比べるなら純利益成長率ランキング
- 会社の規模とあわせて見るなら売上高ランキング
よくある質問
YoYとは何の略ですか?
Year over Yearの略で、前年同期比のことです。売上高のYoYなら、売上高が1年前の同じ期間と比べて何%増えたか(減ったか)を表します。
売上高成長率(YoY)の計算式は?
(当期の売上高−前期の売上高)÷前期の売上高×100です。前期80億円・当期100億円なら、20億円÷80億円×100で+25%になります。割る数は当期ではなく前期の売上高です。
四半期のYoYは何と比べますか?
前年の同じ四半期と比べます。決算短信の四半期のサマリーでも、売上高(期首からの累計)の%は「対前年同四半期増減率」として載っています。前の四半期と比べる数字はQoQと呼び、別の指標です。
売上高成長率は何%あれば高いといえますか?
一律の基準はなく、業種や会社の規模で変わります。企業スコープが有価証券報告書から集計した3,627社(2026年10月時点)では、中央値が+5.0%でした。+10%以上伸びた会社は31.0%です。
減収の会社は就職先として避けたほうがいいですか?
成長率だけでは判断できません。事業の売却や決算期の変更で、一時的に減収になることもあります。決算短信の「経営成績等の概況」で減収の理由を読み、数年分の推移とあわせて確認してください。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信作成要領等」(2026年7月) 、企業内容等の開示に関する内閣府令(e-Gov法令検索) 、金融庁 EDINET