売上高とは?計上ルール・利益との違い・見方を3分で解説
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売上高とは、企業が本業の商品やサービスの提供によって得た収入の総額で、事業の規模を示す最も基本的な数字です。たとえば1個1,000円の商品を10万個販売すれば、売上高は1億円になります。本記事では収益の計上ルール、利益との違い、見方、注意点までを初心者向けに解説します。
売上高とは何か?
売上高とは、企業が本業で商品やサービスを提供して得た収入の合計額です。費用を引く前の金額で、事業の規模感を表す出発点の数字です。
損益計算書一定期間の収益と費用をまとめ、利益を段階的に示した財務諸表。プロフィット・アンド・ロス(P/L)とも呼ばれる。の一番上に記載されるため、売上高は「トップライン」とも呼ばれます。売上高から各種の費用を順に差し引いて利益が計算されるため、すべての利益のもとになる数字です。本業以外の受取利息などは売上高には含まれません。
売上高はいつ計上される?
売上高は、商品やサービスを顧客に引き渡し、義務を果たした時点で計上するのが原則です。お金を受け取った時ではなく、価値を提供した時に記録します。
- 商品を販売した場合は、顧客に商品を引き渡した時点で計上する
- サービスを提供した場合は、サービスの履行が完了した時点で計上する
- 工事など長期の契約では、進捗度に応じて期間にわたり計上することがある
- 代金の入金が翌月以降でも、提供が済んでいれば売掛金商品やサービスを提供したものの、まだ代金を受け取っていない債権。後日回収される。として計上する
この計上の基準は、2021年度から上場企業などに適用された「収益認識に関する会計基準」で詳しく定められています。値引きや返品の見込みは売上高から差し引いて計上するため、最終的な純額が損益計算書に並びます。
売上高の見方は?
売上高を読むときは、1年だけの金額ではなく複数年の推移と内訳に注目するのが効率的です。所要時間は約5分です。
- 直近3〜5年の売上高を並べ、伸びているか縮んでいるかの傾向をみる
- 前年と比べた増減率で成長のスピードを把握する
- セグメント情報で、どの事業や地域が売上を支えているかを確認する
- 売上高だけでなく営業利益も併せ、増収増益かを確認する
売上高が増えていても利益が減る「増収減益」のケースもあるため、売上高単独で評価しないことが大切です。数値は有価証券報告書や決算短信の損益計算書、主要な経営指標の推移で確認できます。
売上高と利益の違いは?
売上高と利益は混同されがちですが、意味は明確に異なります。売上高は収入の総額、利益は売上高から費用を引いて残った儲けです。
| 比較項目 | 売上高 | 利益 |
|---|---|---|
| 示すもの | 本業で得た収入の総額 | 費用を引いた後に残る儲け |
| 費用の控除 | 費用を引く前の数字 | 費用を引いた後の数字 |
| わかること | 事業の規模 | 稼ぐ効率・収益力 |
| 損益計算書の位置 | 一番上(トップライン) | 下に向かい段階的に算出 |
たとえば売上高1,000億円でも、費用が980億円なら利益は20億円にすぎません。規模の大きさは売上高、稼ぐ力は利益という役割の違いを理解し、両方を併せて見ることが企業を正しく評価するこつです。
売上高を見るときの注意点
売上高は規模を示す便利な数字ですが、金額の大きさだけで判断すると実態を見誤ります。3つの点に注意が必要です。
- 売上高が大きくても、費用がそれ以上にかさめば赤字になるため利益も併せて見る
- 一時的な大口受注で増えた売上は、翌年も続くとは限らない点に注意する
- M&Aで子会社が増えると売上高が一気に膨らむため、自力の成長と区別する
また、売上高の数字は会計基準の変更でも動きます。収益認識基準の適用で、過去には総額で計上していた売上を純額に直した企業もあり、見かけ上は売上高が減ったように見えることがあります。決算説明資料で増減の理由を確認すると安心です。
よくある質問
売上高と売上総利益は何が違う?
売上高は商品やサービスを売って得た収入の総額です。売上総利益は、その売上高から売上原価を差し引いた粗利のことで、売上高より必ず小さい金額になります。
売上高はどこで確認できる?
上場企業なら有価証券報告書や決算短信の損益計算書に記載されています。EDINETや各企業のIRページから無料で閲覧でき、過去数年分をさかのぼって確認できます。
売上高と売上は同じ意味?
ほぼ同じ意味で使われます。会計上の正式名称が売上高で、日常では単に売上と呼ばれます。損益計算書には「売上高」または「営業収益」と表記されます。
売上高が増えれば良い企業といえる?
一概にはいえません。売上高が増えても費用がそれ以上に膨らめば利益は減ります。規模を示す売上高と、稼ぐ力を示す利益の両方を併せて評価することが大切です。
増収増益と増収減益の違いは?
増収増益は売上高と利益がともに前年より増えた状態で、最も好ましい決算です。増収減益は売上高は増えたのに利益が減った状態で、コスト増などが原因です。
代金を受け取る前でも売上高に計上する?
計上します。売上高は商品やサービスを引き渡し義務を果たした時点で計上するのが原則です。代金が未回収でも、その分は売掛金として資産に記録されます。
営業収益と売上高は違うもの?
実質的には同じものです。銀行や鉄道など一部の業種では、損益計算書のトップラインを売上高ではなく営業収益と表記しますが、本業で得た収入という意味は同じです。
売上高はマイナスになることはある?
通常はマイナスになりません。売上高は本業で得た収入の総額だからです。ただし大量の返品や値引きが発生した場合、ある期間の純額が極端に小さくなることはあります。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET 、財務省 法人企業統計調査 、日本取引所グループ