離職率とは?何%が多いかを3分で解説
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離職率とは、一定期間に企業から離職した従業員の割合を示す指標で、人材定着力を測る代表的な非財務データです。厚生労働省統計によれば新卒入社者の3年以内離職率は全体で約3割が目安とされます。本記事では計算式、業種ごとの目安、平均勤続年数との関係、人的資本開示で見るときの注意点までを初心者向けに解説します。
離職率とは何か?
離職率とは、一定期間のうちにどれだけの従業員が会社を辞めたかを示す割合です。人材の定着度合いを示す代表的な非財務指標売上や利益などの金額では表せない経営指標。人材・環境・ガバナンスなどの情報が該当する。として、就活や転職の企業研究で広く使われます。
離職率が低い企業は働きやすさや教育体制が整っている可能性が高く、逆に高すぎる場合は労働環境や処遇に課題がある可能性があります。近年は人的資本開示従業員に関する情報を投資家向けに開示する制度。2023年3月期から有価証券報告書での記載が義務化されている。の義務化により、有報でも開示が進んでいます。
離職率の計算式は?
離職率は離職者数を在籍者数で割って算出します。期間や分母の取り方により年間離職率と3年離職率などの種類に分かれます。
- 年間離職率(%)= 1年間の離職者数 ÷ 1月1日時点の常用労働者数 × 100
- 新卒3年以内離職率(%)= 入社3年以内の離職者数 ÷ その年の新卒入社者数 × 100
- 在籍者数は期首時点や期中平均など定義を必ず確認する
たとえば期首在籍1,000人で年間50人が離職した企業の年間離職率は5%です。新卒3年以内離職率は厚生労働省の雇用動向調査などで毎年公表されています。
離職率の目安は何%?
離職率の目安は年間離職率15%、新卒3年以内離職率30%が全体平均の水準です。業種により大きく差があるため、必ず同業種で比較します。
| 業種 | 新卒3年以内離職率の目安 | 傾向 |
|---|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 約50%前後 | 業界全体で高めに推移 |
| 生活関連サービス・娯楽業 | 約45%前後 | シフト勤務が多く流動性が高い |
| 小売業 | 約40%前後 | 全体平均より高め |
| 製造業 | 約20%前後 | 全体平均より低め |
| 金融・保険業 | 約25%前後 | 業種内でばらつきがある |
出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」。最新年度の公表値に基づく目安。
離職率と平均勤続年数の違いは?
離職率と平均勤続年数は、どちらも人材定着力を示しますが切り口が異なります。直近の流出度合いなら離職率、定着の蓄積なら平均勤続年数で見るのが基本です。
| 比較項目 | 離職率 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|
| 示すもの | 一定期間の人材流出度 | 在籍者の定着の蓄積 |
| 単位 | % | 年 |
| 反映の速さ | 直近の動きが反映されやすい | 過去からの積み上げで動きが鈍い |
| おもな出典 | 厚労省統計、有報の人的資本欄 | 有価証券報告書「従業員の状況」 |
| 見るべき場面 | 直近の働きやすさを判断したいとき | 長期の定着傾向を判断したいとき |
両指標を併せて見ると、直近の人材流動と長期の定着傾向の両面から人事の実態を把握できます。平均勤続年数は従業員数とともに有報の「従業員の状況」に記載されます。
出典: 金融庁 EDINET、日本取引所グループ
離職率を見るときの注意点
離職率は低いほど良いとは限らず、数値だけでは実態を見誤ることがあります。算出の前提と中身まで確認することが重要です。
- 企業ごとに分母の定義(正社員のみ・全従業員)が異なるため、横並び比較には注意が必要
- 急成長企業は分母が拡大するため離職率が見かけ上低く出やすい
- リストラ実施時は離職率が一時的に高騰するため、推移とイベントを併せて確認する
- 人的資本開示の項目化により、自己都合離職と会社都合離職の内訳まで読めるケースが増えている
たとえば離職率5%でも自己都合が大半で若手中心であれば実態は要注意です。離職率は数値・前提・人的資本の記述を三点セットで読むのが鉄則です。
よくある質問
離職率は何%以下なら優良企業?
業種により異なりますが、年間離職率5%未満、新卒3年以内離職率20%未満であれば全体平均より低く、人材定着力が高い水準と判断されます。ただし同業種比較が前提です。
新卒3年以内離職率はどこで調べられる?
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」で業種別・規模別の数値が毎年公表されています。個社の数値は有価証券報告書の人的資本欄やCSR報告書で公開している企業もあります。
離職率が低すぎても問題はある?
低すぎる場合、新陳代謝が進まず組織が硬直化する恐れがあります。年齢構成の偏りや管理職ポストの不足など、長期的な人事課題につながる可能性も指摘されます。
離職率と退職率は同じ意味?
ほぼ同じ意味で使われますが、文脈によりニュアンスが異なります。厚労省統計では「離職率」、企業の人事文脈では「退職率」と表現されることが多く、計算式は基本的に同じです。
人的資本開示の義務化で何が変わった?
2023年3月期から有価証券報告書で人材育成や多様性などの開示が義務化され、離職率や女性管理職比率を有報で確認できる企業が増えました。投資家の判断材料として活用されています。
離職率は業界平均と比べる意味がある?
意味があります。宿泊・飲食業のように構造的に流動性が高い業界もあるため、全体平均ではなく同業種の平均と比べることで、その企業独自の人材定着力を正しく判断できます。
離職率はどの期間で見ればよい?
1年だけでなく3〜5年の推移で見ることが重要です。単年の数値は組織再編や大量採用の影響を受けやすく、複数年で見ることで構造的な傾向と一時的な変動を切り分けられます。
離職率が高い企業は避けたほうがよい?
必ずしも避ける必要はありません。業界構造で高くなる場合もあり、教育投資の結果として戦略的に高めの企業もあります。自己都合と会社都合の内訳まで確認して判断することが大切です。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況 、金融庁 EDINET 、日本取引所グループ