総資産回転率とは?計算式・業種別の目安・見方を3分で解説
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総資産回転率とは、企業が保有する総資産をどれだけ効率よく売上高に結びつけているかを示す効率性指標です。計算式は「売上高 ÷ 総資産」で、一般に1回転前後が目安、小売業では2回転超も珍しくありません。本記事では計算方法、業種別の目安、ROA分解との関係、注意点までを初心者向けに解説します。
総資産回転率とは何か?
総資産回転率とは、企業が抱える総資産を1年間に何回売上に変えたかを示す効率性指標です。資産がどれだけ稼ぎに貢献しているかをひと目で把握できます。
数値が高いほど少ない資産で多くの売上を生み出していることを意味し、資産の使い方が上手な企業と評価されます。逆に低い場合は遊休資産や過剰在庫が眠っている可能性があります。
総資産回転率の計算式は?
総資産回転率は、売上高を総資産で割るだけで求められます。単位は「回」で表し、貸借対照表企業の資産・負債・純資産を一覧にした財務諸表。バランスシート(B/S)とも呼ばれる。と損益計算書の数値から簡単に計算できます。
- 総資産回転率(回)= 売上高 ÷ 総資産
- 売上高は損益計算書の「売上高」を使う
- 総資産は貸借対照表の「資産の部」合計額を使う
- 厳密には期首と期末の平均値を分母に置くと精度が高まる
たとえば売上高1,000億円、総資産800億円の企業であれば、総資産回転率は1.25回となります。1年間に資産が約1.25回、売上に転換されたという読み方です。
総資産回転率の目安は?業種差は?
総資産回転率は1回転前後が一般的な目安ですが、業種により大きな差があります。在庫や設備の重さが分母に効くため、ビジネスモデルの違いが如実に表れます。
| 業種 | 回転率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 小売業 | 2.0〜3.0回 | 在庫を素早く売上に変える |
| 卸売業 | 2.0〜2.5回 | 薄利多売で回転が速い |
| 製造業 | 0.9〜1.2回 | 工場・設備で総資産が大きい |
| 不動産業 | 0.2〜0.5回 | 保有資産が極めて大きい |
| 電力・ガス | 0.3〜0.5回 | 巨額のインフラ投資が必要 |
出典: 財務省 法人企業統計調査 ほか。業種ごとの平均値を参照。
総資産回転率とROA分解の関係は?
総資産回転率は、収益性指標であるROAを分解する重要なパーツです。ROA=売上高利益率 × 総資産回転率という関係で、収益性と効率性の両面から企業を見ることができます。
つまりROAを引き上げるには、利益率を高めるか、資産を効率的に回すかの2つの道があるという意味です。利益率が薄くても回転率が高ければ十分なROAになり、小売業の代表的な勝ち筋として知られています。
同じROA5%でも、薄利多売型と高付加価値型では戦い方がまったく異なります。総資産回転率を併せて見ることで、企業の稼ぎ方の質を理解できます。
総資産回転率を見るときの注意点
総資産回転率は便利な指標ですが、単独で良し悪しを判断するのは危険です。業種比較と推移確認の2点を必ず押さえる必要があります。
- 業種が異なる企業同士を比較しても意味がない
- M&Aや大型設備投資の直後は一時的に低下することがある
- 売上高にはグループ間取引が含まれる場合があり実態とずれる
- 回転率を上げるために必要な投資を削ると将来の成長を損なう
数値が低い企業は必ずしも非効率とは限らず、先行投資の段階にあるだけのケースもあります。3〜5年の推移と業界平均を併せて見ることが大切です。
よくある質問
総資産回転率と固定資産回転率は何が違う?
総資産回転率は分母に総資産を使うのに対し、固定資産回転率は固定資産だけを使います。設備投資の効率を測りたいときは固定資産回転率、企業全体の効率を見たいときは総資産回転率を用います。
総資産回転率は高ければ高いほど良い?
基本的には高いほど効率的ですが、極端に高い場合は必要な設備投資を控えている可能性もあります。同業他社と比較しつつ、利益率や成長投資とのバランスで判断します。
総資産回転率が下がる原因は?
売上の伸び悩み、過剰在庫の積み上がり、大型のM&Aや設備投資による総資産の急増などが代表的な原因です。要因を分解して把握することが改善の出発点になります。
総資産回転率はどこで確認できる?
有価証券報告書の財務諸表から自分で計算できます。EDINETで売上高と総資産を取得すれば、誰でも電卓1つで算出可能です。
総資産回転率と棚卸資産回転率の違いは?
総資産回転率は資産全体の効率、棚卸資産回転率は在庫だけの効率を測ります。在庫管理を細かく分析したいときは棚卸資産回転率、経営全体を見たいときは総資産回転率を用います。
業種をまたいで比較しても意味がない理由は?
業種により必要な資産規模が大きく異なるためです。インフラ業は巨額の設備、小売業は少ない設備で済むなど構造が違うので、同じ数値でも評価基準が変わってきます。
総資産回転率を改善する方法は?
売上高を伸ばす、遊休資産や不採算事業の資産を売却する、過剰在庫を削減する、売掛金の回収を早めるなどが基本です。資産のスリム化と売上拡大の両輪で進めます。
総資産回転率の世界的な平均はある?
国際的な統一基準はありませんが、全産業平均では概ね0.8〜1.0回程度に収まるケースが多いとされます。あくまで参考値で、業種別の平均値を見ることが実務的には重要です。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 財務省 法人企業統計調査 、金融庁 EDINET 、日本取引所グループ