のれんとは?M&Aで発生する仕組みと減損リスクを3分で解説
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のれんとは、企業がM&Aで他社を買収した際に、支払った買収額が買収先の純資産額を上回った差額を計上する無形固定資産です。ブランド力や顧客基盤など目に見えない価値を金額で表したもので、貸借対照表の「無形固定資産」に計上されます。本記事ではのれんが発生する仕組み、日本基準とIFRSの違い、減損リスクと確認方法を解説します。
のれんとは何か?
のれんとは、M&Aによる買収価格と買収先企業の純資産との差額を表す無形固定資産特許権・ソフトウェア・のれんなど、形のない長期保有資産。貸借対照表の固定資産の部に計上される。です。英語では Goodwill と呼ばれ、買収先のブランド力や顧客基盤、技術力など、帳簿には載らない価値を金額化したものと理解されます。
たとえば純資産100億円の会社を150億円で買収した場合、差額の50億円がのれんとして買い手の貸借対照表に計上されます。買収先の「超過収益力」を見える化したものといえます。
のれんはどんなときに発生する?
のれんは、M&Aや事業譲受けで他社を買収したときに、買収額が買収先の純資産額を上回った場合に発生します。買い手が「純資産以上の価値がある」と判断した部分が、のれんとして計上されます。
- 株式取得によるM&A(子会社化)で買収額が純資産を上回るとき
- 事業譲渡で譲受け対価が譲り受けた純資産を上回るとき
- 合併や会社分割で交付対価が承継純資産を上回るとき
逆に買収額が純資産を下回った場合は負ののれんとなり、発生した期の特別利益として一括計上されます。M&Aの活発な企業では、のれんが総資産の数十%を占めることもあります。
のれんの会計処理は日本基準とIFRSで違う?
のれんの会計処理は、適用する会計基準によって大きく異なります。日本基準は20年以内の規則的な償却、IFRSは償却せず毎期減損テストを行うのが原則です。
| 比較項目 | 日本基準 | IFRS |
|---|---|---|
| 償却 | 20年以内に均等償却 | 償却しない |
| 減損テスト | 兆候があれば実施 | 毎期必ず実施 |
| 利益への影響 | 毎期一定の償却費が発生 | 通常は影響なし、減損時に一括計上 |
| 貸借対照表上の残高 | 時間とともに減少 | 減損がなければ残高は減らない |
IFRS適用企業は償却負担がないため利益が出やすい一方、減損時には数百億〜数千億円規模の損失が一気に出ることもあります。日本基準と比べた利益水準の差にも注意が必要です。
のれんの減損リスクとは?
のれんの最大のリスクは減損損失です。買収先の業績が想定を下回り、見込んだ収益が得られなくなった場合、のれんの帳簿価額を取り崩して特別損失として計上する必要があります。
- 買収先の業績が計画を大幅に下回ったとき
- 事業環境の悪化で将来キャッシュフローが減少したとき
- 市場価値の下落や撤退判断が必要になったとき
減損は損益計算書の特別損失に計上され、純利益を大きく押し下げます。のれんが純資産の30%を超える企業は、減損が起きた場合の影響が大きいため要注意です。
出典: 企業会計基準委員会(ASBJ)、金融庁 EDINET
のれんはどこで確認できる?
のれんの金額は、有価証券報告書や決算短信の貸借対照表で確認できます。「固定資産」→「無形固定資産」の中に「のれん」として計上されています。
あわせて確認したいのは、のれんの残存償却年数(日本基準)と過去の減損履歴です。注記の「重要な会計方針」や「減損損失」に記載されているため、規模感とリスクを同時に把握できます。
よくある質問
のれんと営業権は同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味で使われます。会計基準上は「のれん」が正式名称で、税務上は「営業権」と呼ばれることがあります。両者とも買収で生じた超過収益力を表す無形固定資産です。
負ののれんとは何ですか?
買収額が買収先の純資産を下回ったときに生じる差額です。安く買えたことを意味し、日本基準・IFRSとも発生した期の特別利益として一括で損益計上されます。
のれんの減損が起きるとどうなりますか?
減損損失が特別損失に計上され、純利益を大きく押し下げます。当期赤字に転落するケースもあり、株価への影響も大きくなります。買収戦略の失敗を示すシグナルとも見なされます。
のれんは税務上も費用になりますか?
日本の税法上は、原則として5年間の均等償却が認められます。会計上の償却期間とは異なるため、税効果会計で繰延税金資産・負債が生じる点に注意が必要です。
のれんが多い企業は危険ですか?
一概に危険とはいえませんが、減損リスクには注意が必要です。のれんが純資産の30%超を占める場合、買収先の業績悪化で大きな損失が出る可能性があります。買収の成否を継続的に確認しましょう。
IFRS適用企業ののれんが減らないのはなぜですか?
IFRSではのれんを償却しないためです。毎期減損テストを行い、減損がなければ帳簿価額はそのまま残ります。利益は出やすい反面、減損時には巨額の損失が一気に出る特性があります。
のれんはどこに計上されますか?
貸借対照表の「固定資産」→「無形固定資産」の中に計上されます。注記では当期の増減や減損損失の有無も開示されるため、合わせて確認しましょう。
のれんの償却費は営業利益に影響しますか?
日本基準ではのれん償却費は販売費及び一般管理費に計上されるため、営業利益を押し下げます。IFRSでは償却しないため営業利益に影響しません。基準の違いは比較時の重要なポイントです。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET 、日本取引所グループ 、財務省 法人企業統計調査