利益剰余金(内部留保)とは?内訳と見方を3分で解説
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利益剰余金とは、企業がこれまでに稼いだ利益のうち、配当や税金で社外に流出しなかった分を社内に蓄積したもので、一般に「内部留保」と呼ばれる金額にあたります。貸借対照表の純資産の部に表示され、株主資本の中核を構成します。本記事では内訳、見方、純資産・株主資本との関係、注意点を解説します。
利益剰余金(内部留保)とは何か?
利益剰余金とは、企業が事業活動で得た利益のうち、配当や税金として社外に出ていかず社内に積み上がった金額のことです。一般用語の「内部留保」とほぼ同じ意味で使われます。
貸借対照表の純資産の部、特に株主資本の中に表示されます。過去の儲けの蓄積であり、企業の体力や財務基盤の厚みを示す重要な項目です。
利益剰余金の内訳は?
利益剰余金は、利益準備金・その他利益剰余金の2つに大別されます。さらに、その他利益剰余金は任意積立金と繰越利益剰余金に分かれます。
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 利益準備金 | 利益準備金 | 会社法で積立てが義務づけられた剰余金 |
| その他利益剰余金 | 任意積立金 | 別途積立金・配当準備積立金など定款や株主総会で決めるもの |
| その他利益剰余金 | 繰越利益剰余金 | 未処分の累積利益。配当の原資となる |
配当の原資となるのは主に「繰越利益剰余金」です。任意積立金も株主総会の決議で取り崩せば配当原資となり、機動的に株主還元の原資にできます。
利益剰余金はどう見ればいい?
利益剰余金は、毎期の当期純利益から配当を差し引いた額が積み上がるため、過去の収益力と配当政策の累積結果を映し出します。増え続けていれば利益体質、減っていれば赤字や還元拡大のサインと読みます。
- 毎期増加していれば安定的に利益を出している証拠
- 横ばいなら利益と配当がほぼ均衡している状態
- 減少が続く場合は赤字計上や大型還元の可能性
- マイナス(欠損)の場合は累積で赤字を抱えている状態
利益剰余金がマイナスの企業は配当ができないのが原則で、財務再建や増資による立て直しが必要となります。経営の健全性を測る重要なシグナルです。
純資産・株主資本との関係は?
利益剰余金は、純資産→株主資本→利益剰余金という階層構造の中の一項目です。純資産全体の中で、利益剰余金がどれくらいの比重を占めるかを見ると、企業の利益蓄積体質が分かります。
| 階層 | 構成要素 | 意味 |
|---|---|---|
| 純資産 | 株主資本+評価・換算差額等+新株予約権+非支配株主持分 | 返済不要の資金の総額 |
| 株主資本 | 資本金+資本剰余金+利益剰余金−自己株式 | 株主に帰属する持分 |
| 利益剰余金 | 利益準備金+その他利益剰余金 | 稼いだ利益の蓄積 |
利益剰余金が資本金・資本剰余金より大きい企業は、株主出資より自力で稼いだ利益で財務基盤を築いてきた企業といえます。一般に高い評価につながりやすい構造です。
利益剰余金を見るときの注意点は?
利益剰余金は会計上の概念で、すべてが現預金として残っているわけではありません。設備や在庫、子会社株式などにも投資されており、「内部留保=ため込んだ現金」ではない点に注意が必要です。
「内部留保を取り崩して賃上げを」といった議論もありますが、会計上の利益剰余金と支払い可能な現金は同じではない点を理解して読むことが大切です。
よくある質問
利益剰余金と内部留保は同じですか?
ほぼ同じ意味で使われます。会計上の正式名称が「利益剰余金」、一般的な呼び方が「内部留保」です。厳密には資本剰余金の一部も内部留保に含めることがあり、文脈で範囲が異なります。
利益剰余金がマイナスでも経営できますか?
経営自体は可能ですが、原則として配当ができなくなります。マイナスは累積赤字を意味し、自己資本の毀損につながります。増資や事業立て直しによる早期回復が必要となります。
利益剰余金は現金として残っていますか?
必ずしも現金ではありません。多くは設備投資や在庫、子会社株式、売掛金などに姿を変えています。すぐ使える現金の額は「現金及び預金」や「手元流動性」で別に確認する必要があります。
利益準備金とその他利益剰余金の違いは何ですか?
利益準備金は会社法で積立てが義務づけられた剰余金で、配当のたびに一定額を積み立てます。その他利益剰余金は任意積立金や繰越利益剰余金で、株主総会の決議により柔軟に処分できます。
利益剰余金を取り崩すとどうなりますか?
配当や自社株買いの原資となり、社外に資金が流出します。利益剰余金は減少し、純資産も減るため、自己資本比率がやや低下します。経営判断としての株主還元の一形態です。
内部留保への課税は行われていますか?
中小企業の同族会社など一部の企業を対象に「留保金課税」が存在します。一般の上場企業には適用されません。内部留保への一律課税は議論されていますが、現状では制度化されていません。
配当性向と利益剰余金の関係は?
配当性向が低いほど利益剰余金は積み上がりやすく、高いほど積み上がりにくくなります。長期的な利益剰余金の推移を見ると、企業の配当政策のスタンスが読み取れます。
利益剰余金はどこで確認できますか?
有価証券報告書や決算短信の貸借対照表「純資産の部」と、株主資本等変動計算書で確認できます。変動計算書では当期の増減要因(純利益、配当、自己株式処分など)まで分かります。
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執筆・監修: 企業スコープ編集部 / 出典: 金融庁 EDINET 、日本取引所グループ 、財務省 法人企業統計調査